Japanese Cavalier killer sword |
Japanese Cavalier killer sword - 斬馬刀 全長:180cm〜300cm 重量:2.5kg〜8.0kg 斬馬刀は南北朝〜室町〜安土桃山初期(1300〜1550年)にかけて戦場で使われた武器である。歩兵が馬を斬るために使った刀で、全長は人間の全身よりも遙かに長く非常に重たい。刀身は肉厚で硬く、「斬る」よりも「叩き切る」事に主眼をおいて作られている。 実はこの武器、あまり盛んに使われる事の無かった「忌まれる刀」なのだが、その理由について説明しよう。 戦場における軍馬というものは、相手に有効な撃退方法がない限りほとんど無敵の存在であった。乗り手の死角を補いながら独自の判断で動き、体当たり一つで人間を蹴散らす圧倒的な「兵器」なのである。 ところが良く調教された馬、それも軍馬は育てるのに多大な時間と金と人手がかかる。従って軍馬はそれ自体が貴重な財産であり、富である訳だ。(馬泥棒=死刑は誇張ではなく、昔は人間より馬の方が遙かに価値があった) この貴重な馬を手に入れる方法。それが戦争である。戦場というのは「合法的に相手の馬を奪える絶好の機会」であり、古今東西、この不文律だけは世界中のどこでも変わることはない。であるから、可能な限り馬は攻撃せず無傷で手に入れようとする。馬への攻撃は御法度であり、タブーなのだ。 しかしこの斬馬刀は馬を攻撃するための武器である。禁忌を破って貴重な富を台無しにする刀であったから、余りいい顔をして使われることがなかった、という訳だ。 斬馬刀を使う場合は、乱戦中に馬の足を狙って斬り付ける。(疾走中の馬を斬ったら衝撃で使い手の腕が折れるため) 首や胴体は一刀では切断できないため、馬の弱点である足を切り払う訳だ。知っての通り、馬にとっての足は命と同義語。例え戦場を生き延びても、足のない馬は遅かれ早かれ死ぬことになる。この「人ではなく馬を狙う行為」は倫理上、とても蔑まれた行為として嫌われた。そのため斬馬刀は雑兵や傭兵(浪人)によって運用され、名のある武将や侍達が斬馬刀を使うことは無かった。 この戦術は(とてもとても忌み嫌われていたが)長槍による集団戦法が確立される戦国時代まで用いられた。やがて日本にも銃の時代がやってくると、欧州と同じように重たい刀は廃れ、斬馬刀も戦場から姿を消した。 その後、斬馬刀や野太刀は神社に奉納され、神剣として剣舞や式典で使われたそうな。 上図の斬馬刀は180cmという設定で作った物。図の右上の打刀が115cmなので、斬馬刀が如何に長いかよく分かると思う。地方の甲冑行列などで野太刀が振るわれるのを見た事がある人もいるかと思うが、あれはムチャクチャ体力と腕力が必要になるらしい。野太刀以上に重い斬馬刀は運動選手でも辛いだろう。女性では構えるのも難しいかもしれない。 ネットで情報収集していた際、自作小説の女性キャラクターに斬馬刀を持たせていた凄いページを発見したが、アンタ本当に斬馬刀のこと調べたのかと激しく突っ込みたくなったのをここに記しておく。 |