Ingram Mac11
Ingram Mac11
イングラム マックイレブン サブマシンガン
全長:248mm
重量:1590g
装弾・.380 ACP / 9mm Kurz

 Ingram Mac11は軽量・小型のサブマシンガンである。
 第二次大戦以降、各国は新たな個人用小火器を次々と開発した。中でもサブマシンガン……ライフルより小さく拳銃より強力な銃の開発に尽力し、幾つもの名銃が生まれる事となる。
 1960年代後半に勃発したベトナム戦争。この戦争に米軍は数々の特殊部隊を投入した。「デルタフォース」や「ネイビーシールズ」はベトナム戦争中の秘密作戦に従事した結果、今日の特殊部隊の代名詞とも言うべき存在となる。
 特殊部隊はベトナムのジャングル戦に特化したサブマシンガンを求めていた。隠密行動が主である彼等にとってはライフルは大きすぎた。かといって拳銃では制圧能力に欠ける事から「とにかく小型で、可能な限り軽く、耐久性に優れた銃」を要求したのだ。
 その結果「Mac10」というサブマシンガンが開発された。拳銃より一回り大きい程度のこの銃は、ライフルの二倍近い発射速度と一発で大人を吹っ飛ばす威力を持った傑作銃であった。
 見通しの悪いジャングルで猛烈な勢いで弾をばら撒き、一瞬で範囲制圧を可能とするMac10は、まさに特殊部隊にうってつけの銃だったのだ。
 やがてMac10の評判は他の部隊にも伝わり、小型で携帯性に富む点から、戦車兵やヘリのパイロットの護身用火器として広く使われる事となったのである。
 しかしMac10は万能という訳ではなかった。反動が強すぎて並の兵士ではまともに銃を制御出来ないという欠点があった。Mac10はあくまで「精鋭の特殊部隊が」「ジャングルで」使うための武器なのだ。
 戦後、この欠点を克服すべくMac10の改良型の「Mac11」が開発された。
 弾薬を小型で低反動の.380ACP弾に交換し発射速度を抑え、大型の30連マガジンを標準装備とした。
 ベトナムで培った高い評判と、安価でメンテナンスを必要としない高い耐久性から、Mac11は政府機関からゲリラ組織に至るまで、世界的に使われる事となるのである。(無論、現在でも現役だ)
 余談だが、1970年代に米国のCIAが外国でMac11を好んで使用したため、Mac11には「CIAのオモチャ」というアダ名が付いている。