SVD Dragunov Sniper Rifle
SVDドラグノフ・スナイパーライフル

 SVDドラグノフ・スナイパーライフルは、旧ソ連で開発された共産圏陣営の傑作狙撃銃である。
 第二次大戦時、数多くの市街戦や野戦を戦ったロシア赤軍は、 狙撃という戦術について、極めて高い関心を寄せていた。32人の狙撃手で4000人を撃退した「白い死神、シモ・ヘイヘ」や、250人を狙撃・殺害した 「スターリングラードの悪魔、ヴァシリ・ザイツェフ」など、狙撃手はそれ自身が伝説となり、士気を大きく向上させる存在である事を知ったのだ。
 「優れた狙 撃手が市街戦で戦った場合、たった一人で敵歩兵1個小隊、50人を制圧する事が出来る」この命題は冷戦下のソ連で忠実に実行され、数多くの狙撃銃や技が生 み出される事となった。
 SVDドラグノフはこのような背景を持って生まれた銃であり、それ故にソ連軍がドラグノフに寄せた期待は大きかった。
 ドラグノフは 1963年に制式化されると、すぐに高い評価を得る事となった。質実剛健を旨とするソ連軍らしく、極めて頑丈で、どんな環境下でも確実に作動した。また軽 量化の為に肉抜きされ、スライド式のチークピース(頬当て)を持ったストックや、腐食防止の為にクロム加工された稼動部などは、当時としては非常に画期的 であった。
 やがてベトナム戦争が本格化すると、ドラグノフは特にソ連の特殊部隊スペツナズに配備され、「特殊部隊が持つ精密狙撃銃」として西側兵士から恐 れられるようになった。アメリカやドイツはドラグノフに対して高い関心を寄せ、鹵獲したドラグノフを徹底的に研究して、現在に繋がる新型の狙撃銃を生み出 した。
 ドラグノフは現在でも現役であり、現ロシア軍や共産圏陣営の軍隊や治安維持機関の主力狙撃銃として運用されている