Colt Dragoon
Colt Dragoon
コルトSAA 竜騎兵仕様

 コルト・ドラグーンはコルトSAA・ピースメーカーを竜騎兵仕様に改造したリボルバーである。銃身下に銃剣を装着し、グリップに指を守るためのナックルガードを追加。格闘戦でも使用できるように改良されている。アメリカ開拓史の最後、米西戦争等でさかんに用いられた。
 ドラグーン、竜騎兵とはハンドガンやマスケットガンで武装した軽騎兵の事である。ドラグーンは馬の機動力を最大の武器とし、集団で馬上から銃を連射して敵をかく乱、一撃離脱を行う機動戦に特化した騎兵の総称だ。ドラグーンの原型となる軽騎兵隊は17世紀にフランスやスペインで編成され、以後、銃器の発展と共にヨーロッパ全土に広がった。「馬の機動力を活かして敵の銃撃をかわし、敵の懐に飛び込んだら一発撃ち込んで全力で逃げる」という戦術が有効であった為である。ドラグーンは最低限の装甲とサーベルやナイフ等の軽装しか身にまとわない。はじめから格闘戦や正面からの撃ち合いを想定していないので、そのような武装は必要無いと言う訳だ。もっともドラグーンは正規の訓練を受けた専業軍人がなるようなエリート兵だったので、馬上からの狙撃や剣の使い方、集団戦や軍団の統率といった軍事的な知識や肉体の鍛錬を徹底して行っていた。要するに普段は馬上で戦うが、いざ馬を失えば歩兵としての戦闘もこなし、現場の人間として参謀に意見もするプロフェッシェナルという訳である。ドラグーンは第一次大戦までは戦場の主役であったが、連発可能で命中精度の高いライフルや固定式のマシンガンが軍隊に普及すると共に役目を終え、順次機械化歩兵へと再編成されて姿を消した。今日では部隊章や師団名などにドラグーンの名残を見出すことが出来る。