Battle Fan
Battle Fan - 戦闘用扇子・鉄扇

 Battle Fanこと戦闘用扇子は読んで字のごとく戦闘用に開発された特殊な扇子である。
 団扇や扇は遥か昔から世界中で用いられてきた道具だが、左図のような折り畳み可能な扇子(Folding Fan)は日本を起源としており、Sensu Fanとして英語化されている。折り畳んで小型化できる上、芸術品としても優れていた扇子は、19世紀のジャポニズム現象(浮世絵を始めとする欧州での日本文化流行現象)で爆発的に世界中に広まったと言われている。
 さて、そんな文化的な扇子ではあるが、こと軍事的・武器的な観点から考えた場合、非常に厄介な道具である事が分かる。一言で言えば「仕込み」である。骨組みの部分に針や小刀を簡単に隠せる上、貼られた和紙を広げて裏返せば密書としても使用できる。使い方次第では幾らでも後ろめたい事に使用できる何とも厄介な代物なのだ。また特に侍の階級では扇子や印籠を持つ事が粋とされ、いわゆるファッションとして定着していた為、取り調べる側もうっかり見落としたりと対策に困っていたようである。(現代で言うなら、腕時計にプラスチック爆弾を仕込むような物か?)
 扇子を純粋に打撃用の武器として改造した「鉄扇」なる物も存在する。これは文字通り鉄で作った扇で、鈍器として相手を殴りつけたり、団扇の先を磨いで刃物として扱ったりと完全な武器として作られている。鉄扇は中国大陸、特に拳法の型や武器に端を発する物とされ、台湾、または沖縄方面で用いられていたようで、日本国内では余り姿を見かける事は無い。