Plate mail
Plate mail (Body armor parts) - プレートメイル
板金鎧 (胴体部分)

 中世、欧州で使われた騎士用の重鎧、特に板金製の物を総称してPlate mailと呼ぶ。
 Plate mailは板金と鎖から成っており、着用者の体型に合わせて一つずつ、手作りで作られる。刃を通さず衝撃にも強いこの鎧は着用者を完璧にガードする。
 戦場においては比類無き防御力を発揮すると共に、平時においては権威の象徴として騎士達に愛用されたのであった。

 一口に板金鎧と言っても、時代と場所によってかなり様相が違ってくる。
 10世紀前後、中世真っ只中の板金鎧は、鎖と鉄の板からなる無骨な服といった感じだった。左図のような、装飾を施し複合装甲を用いた鎧が開発されたのは、中世の末期以降である。(左図は1400年頃のイタリア製の鎧を参考にした)
 
 さてこの板金鎧、刀剣の類は完璧にガードできるのだが、二つだけ、どうしても防げないものがあった。
 それは、銃弾とクロスボウの矢(ボルト)だ。
 どんなに装甲を厚くしようとも、至近距離から銃で撃たれれば、銃弾は容易く装甲を貫通する。
 銃と同程度の破壊力を持ったクロウボウにおいても同様で、この二つばかりはどうしても防げない、板金鎧の天敵であった。
 新型の銃が登場する→装甲を厚くして対抗する→また新型の銃が出る→もっと装甲を厚くする……といった堂々巡りが繰り返され、しまいにはとても人間が着こなせない程重たい鎧になってしまう。
 「重たくてマトになる板金鎧なら着なくていいや」という事で板金鎧は廃れたのである。

 かくて銃の登場と共に板金鎧は戦場から姿を消し、華やかなりし騎士の時代は幕を下ろしたのであった。
 時に16世紀のことである。