Kaiken - Futokoro Gatana
Kaiken - 朱塗龍堆錦懐剣拵

 懐剣(かいけん、ふとごろがたな)とは護身用、または自決用に、男女を問わず武家の人間が持っていた小刀の事である。
 侍やその妻、また武家の人間は常に懐剣を持って歩き、いざ危険が迫った時は懐剣を用いて身を守っていたという。また死が避けられない状況に陥ったり名誉を守る為の死を迫られた場合は懐剣で自らの命を絶つのだ。懐剣とはいわば侍の生死感を凝縮した直接生き死にに関わる道具、武士の魂ともいえる武器であるといえよう。
 今日では伝統的な神前結婚や地方の嫁入り等で実際に懐剣を目にする事が出来る。新婦は結婚式の前に懐剣を渡される訳だが、この行為には「侍の妻として名誉を汚す事無く立派に死になさい」という意味が含まれている。自決して恥を濯ぎ一家の名誉を守る為の道具として、両親は新婦に懐剣を持たせるのだ。また男性用の懐剣には「天皇に忠を尽くし、七度生まれ変わっても国に報いる」という日本民族と侍の精神が込められているという。

 懐剣参考ページ:琉美堂