8班の始まり


「すまないが、カカシ先生は緊急の用事のため遅れて来るそうだ。7班の3人はこの教室で待っているように。
そして次、8班のキバ、シノ、ヒナタの担当の先生は夕日紅先生だ。」

木ノ葉隠れの里、忍者学校にて先日卒業試験をパスした下忍候補生たちが新しい先生たちの紹介をイルカ先生から受けていた。
犬塚キバ、油女シノ、日向ヒナタは8班となり、担当の先生は夕日紅という女の先生に決まった。

「へえ〜あの人が俺たちの担当になんのか。すげ〜美人じゃんか、なあシノ?」

「・・・・そうだな」

「フン、、何が『・・・・そうだな』だよ。ホントはサングラスの奥の目は見とれてたりしてな〜」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「や、やめなよ二人ともいきなりケンカはよくないよ。キバくん、シノくん」
(先生、女の人でよかった・・・あっちの熊みたいな人だったら怖いんだろうなぁ・・・・)

「以上だ!これからはここにいる先生たちの指示に従って忍者として任務に勤しむように。では解散!!」

イルカ先生の先生紹介が終わり、教室内はさまざまな声でざわめきあっていた。各班、新しい担当の先生の指示で次々と教室から出て行った。キバの友達であるシカマルやチョウジの班もヒゲ面の大柄な先生と出て行った。
キバたちの前の席には7班のナルト、サスケ、サクラがいたが、すでにこの場にいるはずの先生が来ていないとい
うこともありヒマそうにしていた。ヒナタは憧れのナルトがすぐ近くにいることもあり、顔を赤くしてモジモジしていた。

「ええと、8班の3人はアナタたちね。いろいろと話とかがあるから私についてきて。」

「わっかりやした!!よっしゃ行くぜ。シノ、ヒナタ!」

「ああ」「う、うん」

「キバー!シノー!ヒナター!!頑張れってばよ〜〜!!俺たちも負けないからよ〜!!」

「へっ、あんがとよ!そんじゃーな。」

(ナルト君、わ、私頑張るから…。ナルト君も。///)


紅に連れられて、3人が着いた場所は忍者学校の裏庭である。紅はコンクリでできた階段に座った。
3人は紅に促されて木でできたベンチに座った。ヒナタはいささか緊張気味だが、キバは余裕の表情、シノはいつものマイペースっぷりだった。

「さて、これからは私たちは8班として任務をこなしていくわけだけどまずはお互いをよく理解することが大切。自己
紹介をしましょう。それじゃ最初はそっちのアナタから・・・・」

「先生ぇ〜それよりか先に先生のことを教えてくれよ。先生キレイだから早く知りてえんだよなぁ」

「ふふ、お世辞が上手いのね。犬塚キバくん。犬塚家の長男で愛犬は赤丸ね。代々忍犬と共に木ノ葉の里を支えてきた一族。」

「えっ?先生俺のこと知ってるのかよ。俺の一族のことまで・・・」

「ええ、アナタの一族は木ノ葉でも有名よ。私たちを担当してくれた先生がツメさんだからね。あとお姉さんは私の
後輩で優秀な獣医。キバ、アタナのことはよく聞いていたから。」

「俺の母ちゃんが先生の先生だったのか・・・って自己紹介しなくてもよかったじゃんか。」

驚くキバをよそに、涼しい顔をしているシノに紅は目をやった。

「そしてアナタ。油女シノ、油女一族は代々、生まれた時から体に蟲を住まわす代わりに自分のチャクラを餌とし、戦闘時には蟲が主人の代わりに戦いに参加する。シノ、あなたの父であるゲンさんも寡黙だけど強い人よ。」

「・・・その通りです。俺は親父のように強くなりたい。紅先生よろしくお願いします。」

シノは特に驚く素振りは見せなかったが、自分たちの一族のことを見事言い当てられて頷いていた。紅は最後に
オドオドしているヒナタに目をやり、優しく話しはじめた。

「最後に女の子、日向ヒナタ。アナタは木ノ葉でも一番歴史が古く、数少ない血継限界『白眼』を有する日向一族宗家の娘。体術に長け、『柔拳』の使い手でもある。」

「は、はい。///あ、あの私は日向宗家の人間だけど、、、今は・・・」

「そうね、父親のヒアシ様から聞いているわ。『ヒナタは日向にはいらぬ存在だ』とね。妹のハナビにも劣るとも言
われていたわね。」

突然、紅の真紅の目が鋭くなり、顔も厳しいものになった。
そう言われ、ヒナタは顔面蒼白にも近い表情になってしまった。それを見たキバは紅にものすごい勢いでつっかかっていった。

「おい、先生!いきなりヒナタに言いすぎじゃねーのか?!ヒナタが可哀想だろ!」

ヒュッ!

その刹那、辺りが急に暗くなったのを3人は感じた。どこを見回しても目に映るのは真っ暗な闇。キバも立ちすくん
でしまった。さすがのシノも焦りを感じたのか、闇を見据えていた。ヒナタは涙目になりながら、うつむいていた。
闇の中でふと紅の声が聞こえてきた。

「・・・アナタたちは忍者になったと思っているようだけど、実際にはまだ下忍じゃないわ。候補生といったところね。」

「何言ってんだ?俺たちはアカデミーを卒業したんだぜ、忍者として任務をこれからやってくんじゃねーのか?!」

「残念ね、明日から任務を始める事は確かだけど、それがアナタたちの最後の任務になる可能性もある。
卒業生27人のうち、実際に下忍として認められるのは9人よ。『卒業=下忍になれる可能性のある奴を選抜』しただけ。だからそれを決めるのが明日の任務というわけ。たまたまアナタたちはそれぞれが代々優秀な一族の末裔で他の候補生たちより見込みがある、だけどそれだけでは一人前の忍にはなれやしない。覚悟が必要。甘い事は許されない世界よ。だからあえてヒナタに厳しい事を言った。それをどう受け止めるかがアナタたちの明日の
運命を決める・・・」

と、同時に闇はスッと消えた。3人は突然の出来事と、衝撃の事実に驚き、へたり込んでしまった。紅は先ほどまでの厳しい口調、顔も消え去り、優しい表情に戻っていた。

「今のは『幻術・黒暗行の術』私が得意とする幻術の1つよ。どうだったかしら?」

「はあはあ、、それにしてもいきなりはねえよなぁ。」

「あ、ああ。かなり焦った。大丈夫か?ヒナタ。」

「う、うん。大丈夫だよシノ君。」

「でも、俄然やる気が出てきたぜ!こうなりゃ俺ら3人とも全員、下忍になってやるよ!先生!」

「・・・・そうだな。またアカデミーに戻さる訳にはいかないからな…。」

「わ、私も!」

「その意気よ。それじゃ明日の任務は8時から演習場でやるから、忍具忘れないように!あっ、そういえば私自分の事アナタたちに話してないわね。ええと、私は・・・」

「夕日紅だろ〜?新米上忍さんの?」

「えっ?キバがなんで知ってるの?私が新米の上忍だって。」

「へっへ〜〜俺の情報網を甘くみんじゃねーよ。前に職員室でイルカ先生たちが話してるのを聞いたんだ。
『紅い目をした特別上忍の先生が今度上忍に昇格した』ってな。」

「・・・・俺もさっきここに来る時にキバに聞いた。」

「ごめんなさい、わ、私もです・・・・」

「ふう〜〜まったく抜け目ないわね。ま、いいわ。今日はこれで解散!また明日、時間に遅れたらダメよ。」

「了解ぃ!」

(わ、私頑張れるかな・・・?でも絶対に下忍になりたい!それと、、紅先生も厳しいけど優しい人で良かったな。)

「・・・・・・・・・・明日か・・・・」

(この子達、思った以上にやりそうね。楽しみだわ、明日はバシバシやってあげようかしらね。)


こうして、8班は次の日の任務で、紅の予想以上の力を見せ、見事3人とも下忍として認められる事となった。