トップページ良泉紹介>仏生山温泉 天平湯




香川県の県都・高松市の南部に、仏生山という、昔ながらの町家造りの建物が並ぶ町がある。ここ仏生山は松平家が菩提寺として法然寺(写真左上)を建立したことから門前町が形成され、当時の松平藩主が度々参詣していたことから、「お成り街道」として発展を遂げてきた。そして現在、仏生山歴史街道都市景観形成地区として、円光寺(写真左中)や国の登録文化財に指定されている天満屋呉服店(写真左下)など幾つかの歴史的建造物が保存されている。

さて、この仏生山の地に100年余り続く結婚式場「観翠」の専務・岡省志氏は、1995年に金沢大学・河野芳輝教授率いる地質調査チームが発見した「高松クレーター」の仮説を元に、2002年2月、掘削工事を開始し、同年7月、見事温泉を掘り当てた。
温泉は、観翠が旅館として賑わっていた頃からの、岡氏の夢であった。その後廃水の問題等様々な紆余曲折を経て、ようやく2005年11月29日、開業にこぎ着けた。
法然寺。松平家の菩提寺として1668年に建立された。これにより仏生山が門前町として栄えることとなる。
▲法然寺
円光寺。1683年に現在地へ移転した。写真左側のイチョウは高松市の名木に指定されている。
▲円光寺
天満屋呉服店。国の登録文化財に指定されている。藩主の行列を上から見下ろすことを禁じた為、中二階構造で、二階の窓が極端に狭くなっている。
▲天満屋呉服店と
 仏生山歴史街道
2-1.仏生山温泉天平湯 外観

住所:香川県高松市仏生山町乙114-5(地図
電話番号:087-889-7750
料金:600円
営業時間:11:00〜24:00
     (土・日・祝日は9:00〜)
泉質:ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉  掛け流し
効能:切り傷・火傷・慢性皮膚病他
休日:第4火曜
評価:総合26(泉質10、雰囲気8、料金8)

外観は木の持つ暖色系の温もりと現代建築の美しさを掛け合わせた、
「和」を基調とした造りとなっている。この建物、古い建物群の中にも違和感無く溶け込んでいる。
早速中へ入り、券売機にて入浴券を購入してフロントに手渡し、浴場へと向かう。
休憩室(手前)休憩室(奥) 道中、風呂上がりのお客さんが休憩スペースで寛いでいた。この休憩スペース、浴場手前と奥とを合わせて20〜30人ほどが座れる広さがある
その光景を横目に、俺は浴場へと向かった。
先ずは内湯浴場に入り、掛け湯をする。すると、源泉と思しきその湯は、白湯とは明らかに感触を窺い知ることが出来る。この湯に好感を持った俺は、身体を洗い、早速湯船に浸かる。
そこで俺はさらに深い感動を覚えた。
まず、源泉に重曹(炭酸水素ナトリウム)が約7g(試料1kg当たり、以下同様)含有されており、
非常に強いヌルヌル感を有している。このヌルヌルとした感触が、肌の毛穴に溜まった皮脂を溶解し、肌そのものを滑らかにしてくれる。一般に美人の湯と称されている泉質であるが、重曹泉としては含有量が他に例を見ないもので、それがこの湯の素晴らしさを象徴している。
また食塩(塩化ナトリウム)が約4g含有されており、血行を促進し、塩分が皮膚に付着することにより体熱の放散を防止する為、
ポカポカ感が持続し、また皮膚表面にしっとりとした保湿効果をも生む。また塩分には悪性菌やカビなどを選別殺菌する作用があることから、切り傷や皮膚病にも効果が高い
湯口より源泉を口に含んでみると、塩味に重曹薬味、そして少々の鉄分を感知することが出来る。もっさりとした味で、お世辞にも旨い水ではないが、効能は高そうである。(飲用許可は出ていないと思われるので、飲用の際はあくまでも自己責任でお願いする。)
仏生山温泉天平湯 内湯
2-2.仏生山温泉天平湯 露天
2-2.仏生山温泉天平湯 露天浴槽
2-2.仏生山温泉天平湯 露天
(上:全景、下:浴槽)

内湯にて温もった後、露天風呂へと向かう。露天風呂は上写真左右の2つの浴槽が2段に分かれており、一方が高温浴+足湯、もう一方を低温浴+寝湯として利用されている。当然ここも源泉掛け流しとして利用されているのだが、特筆すべきは
低温浴である。
重曹(炭酸水素ナトリウム - NaHCO
3)はご存知の通り、加熱することで炭酸ナトリウム(Na2CO3)と水(H2O)、そして二酸化炭素(CO2)に分解される。一般に重曹泉と言えば、この加熱分解後の炭酸ナトリウム水溶液(強アルカリ性)による強いヌルヌル感が特徴であるが、温度の低い(33℃前後)ここ低温浴においては、重曹が分解される際に発せられる二酸化炭素の、非常に繊細な泡付きが楽しめる。発せられる泡の量こそ多くはないものの、それでも暫くじっとしていると、体中が泡に包まれる。重曹分が多いからこそ起こりうる、非常に神秘的な現象である。
調和の取れた施設外観や、想像以上に素晴らしい湯には感動した。但し、俺なりに気になった点も幾つか存在する。かなりの長文になるので、あくまで私見ということを前提に、興味があれば一読頂きたい。

→俺流問題提起 in 仏生山温泉
(最後に:一部サイトで当該温泉施設に付き、「掛け流し」とは書いてあるが「源泉掛け流し」とは記載されていないので「循環」しているのであろう、という寝言を発しておられる管理者がいた。しかし、循環濾過装置では温度管理(加温)も行われており、吸込み口から空気が入るような構造では、装置内部での加熱により空気が膨張し、その圧力で装置を破壊してしまう。当該施設は内湯・露天ともまさに排出口に空気が入る構造で、循環濾過装置の利用は理論上有り得ない。当該施設において、源泉を極力浴槽の淵から排出させずに、排出口を設けているのは、施設周辺に田畑が多く(特に南側)、土壌から滲出する源泉による農作物への塩害を考慮してのことであろう
また同管理者は次亜塩素酸ナトリウムの使用云々についても触れているが、2004年11月現在、14府県(宮城、茨城、愛知、京都、大阪、奈良、広島、香川、愛媛、高知、長崎、宮崎、鹿児島、沖縄)において掛け流し温泉施設においても塩素系薬剤の使用を(事実上)義務付けている。これら都道府県において、循環・掛け流しの別を問わず塩素系薬剤の使用を(事実上)義務付けるのには相応の理由があるわけで(参考=鹿児島県HP)、塩素系薬剤の使用云々を以て循環・掛け流しを論ずるのは如何なものか。近年某M(自称)温泉教授の影響か、このような誤った見解が散見される(これに関してはM教授本人にも当てはまる)が、もう少し
化学的、生物学的見地から論じて欲しい、と心底願っている。
因みにM教授の持論に対する反証は、「海癒の湯」の項でも行っている。参照されたし。)