−10月をふりかえって−

10月はけっこういろいろなジャンルを見ましたねえ。青春モノ、アニメ、アクション、バイオレンス等々・・
紹介したのは4本だけですが、ほんとはもっと沢山の作品を見てました。
(けど、期待はずれだったりあまり印象に残らなかったりして・・・そんなわけでそれらは割愛させてもらいました;^^)
その中で一番衝撃的だったのが「ビタースウィート」
爽やかな青春モノと思って観にいっただけにそのギャップがちょっと激しかったです。
観るにはつらい映画だったけど、その強烈なメッセージはたしかにズシンと心に響き渡りました。

『パルプ・フィクション』と『KILL BILL』  1994・米 2003・米   10月25日(土)
あの、『パルプ・フィクション』で一躍有名になったタランティーノ監督の最新作です。
タランティーノは『パルプ・フィクション』を観て以来、すっかりファンになってて、今回の『KILL BILL』もずっと楽しみにしてました。
今回は同じユマ・サーマンとのコンビである『パルプ・フィクション』と観比べてみることにしました。

映画がはじまってすぐ、なぜかすごく古い音楽とともに古めかしい映像が流れてきて、あれっちょっと違う・・・と思いました。
で、しばらくして主人公が登場したんですが、その登場シーンもまるで一昔まえのTVドラマのような感じで、またまたあれっと思いました。
どうやら今回の作品は、昔の映画を忠実に再現することに重みを置いて映画をつくったみたいです。
始まってすぐに’故・深作欣二に捧ぐ’っていうテロップが流れたきたので、なるほど、こういうことなのかって、やっとわかりました。

映画のストーリーも、自分を殺そうとした敵を一人ずつ復讐していくという、昔の仁侠映画っぽいかんじのもので、ちょっと期待していたものとは
違ってました。
そんなわけで、タランティーノ独特のスタイリッシュな映像を期待していたのにと、ちょっと肩透かしをくったかんじになりました・・・けどっつ
そうはいっても、やっぱりタランティーノの映画だけあって、パルプフィクションで魅せたあの、彼独特の映像センスが所々に見え隠れして、あ、
やっぱりタランティーノだって思うところもけっこうありました。
特に後半のルーシー・リュウとの対決シーンは、彼のセンスがすごく光ってたなあと思いました。

今回のこの映画、物語でいうところの前編にあたるんです。だから、話も謎を含んだままのちょうどいいところで終わってしまいました。
来年公開される後編を観た時、この映画の真価がはっきりわかることでしょう。
(絶対、後編も観にいこうと思いますっつ。)

『S・W・A・T』  2003・米  10月18日(土)
映画の刑事ものなんかではお馴染みのSWAT部隊。どちらかというと主役の影でひっそりと暗躍する彼らを、主役に大抜擢した映画です。

じつははじめはこの映画、観に行くつもりはありませんでした。
けど、TVでCMを見て、あのミシェル・ロドリゲスが出ていることを知り、観に行くことにしました。

この映画は、なぜか「中学1年生は無料で入れる」キャンペーンを実施してて、ひょっとしてものすごく中学生が多いんじゃ・・って心配してたん
ですけど、劇場に入ってみるとそんなこともなく、ゆっくりと観る事ができました。
映画を観てわかったんですがSWATって、警官のなかでもエリート中のエリート、トップしか入ることのできない、まさに憧れの職業だったんですね。
映画のなかでは主役に隠れてかすんで見えても、リアルな世界では主役よりもずっと優秀なまさに「選ばれし者」なんです。
映画のなかでは、そんな選ばれし者をスカウトするべく、街に繰り出し警官に声をかけていくシーンがあったんですが、それがなかなか笑えました。
スカウト中にホットドックをおごろうとしたら断られ、「ベジタリアンは駄目だ」と言ったり、スカウトする人物がまさか女性だとは思わず本人を目の
前に尋ねたり(それがこのミシェル・ロドリゲスなんです。)
実際にはまだ、女性のSWAT隊員はまだいないそうなんですが、映画のなかでは、家庭に仕事に一所懸命がんばる女性隊員を見事に演じてくれてました。

ただ、欲をいえばもっとミシェルに活躍してほしかったなあと思いました。(まあ、主役じゃないのでしかたのないのかもしれませんが・・)
映画のように、ほんとに女性隊員が活躍する日が来るのもそう遠くないのかもしれませんね。

『千と千尋の神隠し』  2001・日  10月11日(土)
このあいだTVでSAKUSAKUを観ていると、オープニングにいきなりジゴロー貯金箱が3つ出てきました。
そしてその3つの貯金箱をどうするのだろうと思って見ていると、「おいっおいっつ」という掛け声とともに積み上げたり、降ろしたりを繰り返し
始めました。
そう、なんとそれはあの「千ちひ」に出てきた’頭’っていうキャラを再現していたんです。
そんなわけで、急に「千ちひ」を観たくなって、この作品を観てみることにしました。

この映画は、劇場で観たのも合わせると通算5回くらいは見ています。けど飽きるどころか、観るほどに新たな発見があってすごく楽しめました。

この作品に限らず、宮崎さんの創るアニメは何回見ても楽しめて、ほんと不思議だなあと前からつねづね思ってました。
それで今回「千ちひ」を観てみたんですが、やっぱりスウッとすごく自然に映画の世界に入っていけるからだろうなあと思いました。
引越し中の千尋が、ちょっとしたことからどんどんいろんな出来事に巻き込まれて、ふと気がついてみると油谷で働くことになってしまって・・・
その間、すこしもストーリー展開に違和感を覚えることなく、すんなり物語に入っていけたのは、純粋に観ていて楽しかったからです。
次々と登場する多種多様な神様たちや、エレベーターつきの奇抜な油谷の様子、登場からすごいインパクトの湯婆婆などなど・・・次から次に
登場するキャラクターたちに、目を離せなくて、気がつけば画面に釘付けになってる自分がいました。
そして流れるように進むテンポの良いストーリー展開で、はじめから終わりまで一気に見入ってしまいました。

やっぱり宮崎アニメは心地良いなあ・・・観終わって、改めてそう思いました。
・・・もう一回観ようかな・・・そう思わせる一本でした
『ビタースウィート』  2002・独、米   10月4日(土)
この映画を見る前までは、てっきり爽やかな青春映画かと思っていました。
けど、実際はすごく生々しい、人間の心の奥底に潜む感情を直視した、とても辛口な映画でした。

ちっちゃなころから親友のカティとスティフィ。2人はバーで知り合った男性に連れられてとあるパーティに誘われます。
そこでステフィは偶然、父親の浮気の現場を目撃してしまいます。
2人はその浮気相手に復讐するべく、娘のテッサを標的に罠に落とし入れようと計画を企てます。けど、それが思わぬ結果をまねいて・・・

なんていうか、父の浮気の発覚を発端に、不安定だった人間関係がどんどん崩れていくんです。うわべだけのうすっぺらい関係が、
みるみる崩れていって、2人はどんどん転落してゆきます。
もう、観ているのが辛くって、思わず目を背けたくなるような展開でした。
見て見ぬふりをしていれば良かったのか・・・決してそうではないと思います。褒められたものではないけれど、主人公の二人は、自分の人生
に逃げずに向かい合って、自分が正しいと思う行動に出たんです。そこに、どんな結果が待っていようとも・・・

「すべてに解決方法なんてない、。けど、それでも人は生きていかなければならないの」
主人公のこのセリフが心にずんと突き刺さりました。

辛く、苦い絶望の人生(ビター)のあとにわずか残ったちっちゃな希望。
辛口だけど、こころに深く突き刺さった一本でした。