練習ノートとは

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◎第4の鍵「記録に残す」
 設計や計画を生業にしていると自然に記録魔になるようです。設計の依頼を受けて最初にするのは敷地調査です。 敷地とその周辺をよく調べて、写真を撮ったりスケッチをしたりして現況を把握します。 また建築主やその他の多くの関係者と打ち合わせをすると、必ず詳細な記録を作成します。鉛筆を握って図を描いたり文字を書いたりする日常なのです。
 仕事においては、打合記録や営業記録を残すのは常識です。記録を残すのは上司や関係者に報告をするためですが、自分のためでもあります。 記録を書くことによって、打ち合わせした内容が明確になるからです。書きながら曖昧なところがあれば出席者に確認します。 記録を見た他人からの問い合わせに応えるうちに、曖昧な点は更に払拭されます。この良き習慣をゴルフ上達に適用しない手はありません。
 スコアやパット数の記録を残している人は多いかもしれません。しかし、ぼくのように、ラウンドでの成功と失敗、その原因や反省点、またレッスンで指導されたこと、それを自分なりに復習して新たに湧いてきた疑問などを残らず記録している人は少ないかも知れません。
 1年間でB5版ノートに数冊分の記録が残ります。
 雑誌を読んでいて、その時に取り組んでいる課題の解決につながるレッスンや道具の記事に出くわした時には、切り取ってこのノートに貼り込んでいます。実戦に裏付けられたぼくだけの貴重なレッスン教本ができ上がるのです。
  これらのノートを時々取り出して読み返していると、「そうだ、あの時こうすれば上手くいったのだ」と一度開眼していたのに、 いつの間にか忘れてしまっているコツを再発見することがあります。
 また、読み返していて自分が確実に進歩していると実感できます。以前取り組んでいて、 今はもう全く悩んでいない課題が見つかるのです。既に克服できている課題も多いと分かれば意欲が湧いてきます。
 読み返していると、上達とは「こうすれば上手く行く」という小さな開眼の積み重ねなのだと分かります。 二歩前進一歩後退しながら、少しずつ上達していると分かります。ぼくの上達の軌跡を記したこのノートを「開眼・閉眼」と名づけた所以です。
 開眼したと思ってはまた閉眼する毎日ですが、開眼することの方がだんだん多くなって行くのが楽しみです。
 ちょうどこの稿を書いている時にタイミングよく、2004年2月27日付の日本経済新聞夕刊のコラム『あすへの話題』 に東京大学教授の藤山隆宏さんの『ノートの力』と題する小文が掲載されました。 藤山先生は、工場での実態調査の時、「見たもの聞いたことは全て書け」と学生を指導しているそうです。 そして「帰りの電車のなかでもよいからなるべく早く、脳のどこかに記憶の断片が残っているうちに整理せよ。 結局それが楽だし正確だ」と言い続けているそうです。
 「ノートの力」を信じる先達を得た思いです。
 

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