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 リスと外来生物法

 2005年6月1日から、外来生物法が施行されました。
 リスにも大いに関係のあるこの法律。2005年5月発売の『ザ・リス』には4月の時点での情報しか載せられませんでしたので、それ以降のフォロー、および、皆さんにご理解いただきたいとの意味合いから、簡単にまとめておきます。施行直前の5月28日に実施された外来生物法説明会でお聞きした内容も含まれます。
 ここではリスを「愛玩動物」として飼っている一般の飼い主さんにどう関係するか、についてのみごく簡単にまとめます。
 「アンタそりゃ法律の解釈を間違ってるよ」という点があればご指摘ください。また、実際に申請、マイクロチップ埋め込み等、行われた方がおられたら体験談をお聞かせいただきたいと思っています。(記:2005年5月28日/改訂2007年7月30日)

「外来生物規制法」の目的などについては以下の環境省のサイトを見てください。
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)

<特定外来生物に指定されたリス>

第1次指定
●タイワンリス(クリハラリス)
※「クリハラリス」の台湾に生息する亜種がタイワンリス
●トウブハイイロリス
第2次指定
●キタリス

・第1次指定においては2005年6月1日までに、第2次指定においては2006年1月31日までに飼育している場合は、申請し、許可を得れば飼育を続けることができます
・許可を得ないで飼育することはできません。→違反すると罰金。50万円以下。
・第1次指定種においては2005年6月1日以降、第2次指定種においては2006年2月1日以降、これらの種を新たに飼い始めることはできません。→違反すると罰金。50万円以下。
・例えば、今Aさんがタイワンリスを1匹、Bさんも1匹飼っているとして、申請(下記参照)を出した以降に、Bさんが飼えなくなったのでAさんに譲り、Aさんが2匹飼う…ということはできません。
・繁殖はさせられません。
・野外に放してはいけません。→違反すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金。


タイワンリス、トウブハイイロリス、キタリスの飼い主さんがやらねばならないこと。

現時点(2007年7月)では、「やらねばならなかった」ということになります。申請せずにこれらのリスを飼っているのは、「違法」です。外来生物法についてまったくご存じなく、今になって申請が必要だということを知った方は、「環境省の窓口に相談してください」と環境省外来生物対策室の方がおっしゃていました。
地方環境事務所等一覧

外来生物法の手続きフローチャート

○申請
・環境省に経過措置の期間中(2005年12月1日まで)に、環境大臣宛に提出。
・申請書は環境省自然環境局野生生物課(外来生物室(仮称))に提出。7月上旬から電子申請にも対応予定。
・申請料金は無料。
・種類ごとに必要。タイワンリスを3匹飼っているとしたら申請はひとつでよい。タイワンリスとトウブハイイロリスを1匹ずつ飼っているとしたら、申請はそれぞれ。
・申請書には飼育施設(ケージ)の図面や写真の添付が必要。
飼育施設についての決まり→
環境大臣が所掌する特定外来生物に係る特定飼養等施設の基準の細目等を定める件(pdf)
(タイワンリスは「クリハラリス」で出ている)
・受理されると許可証が交付される。
・申請書はこういうもの→ 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に関する手続
申請・届出等手続き一覧

・許可の有効期間は5年間。更新可。
・1年ごとに報告書を提出(種類。数の変化)。
・死亡した場合は30日以内に届出が必要。

○マイクロチップ
・個体識別措置が必要になります。リスの場合はマイクロチップ。
・全国的に施術できる獣医師がいない現状があるため、マイクロチップ装着はおおむね1年を目安に猶予。
・猶予期間は、飼育施設に標識をつけておく。
・マイクロチップはISO規格のもの。すでに入れている場合はそれでよい。
・子リスのうちは(2ヶ月まで)猶予。また、高齢、病気の個体はしなくてよい(獣医師が判断する)。
・マイクロチップ装着にかかる費用は飼育者負担。

※マイクロチップについて
タイリクモモンガ指定直前の2005年12/9から2006年1/10に実施されたパブリックコメント「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」に基づく特定外来生物の飼養等の取扱細目等の改正等に関する意見の募集」において、タイリクモモンガ等のマイクロチップについて「ストレスに弱いことからマイクロチップ埋込みや麻酔のための保定をするだけで死亡する可能性が高い。マイクロチップ以外の識別方法を例外措置としてではなく明示して欲しい」旨の意見を出したところ、「マイクロチップの埋込みについては、適正な取扱いが可能な獣医師等により実施することとし、体制が整ったものから義務づけることとし、タイリクモモンガについても動物園関係者の指導を得つつ、埋込みのための技術マニュアルの作成を進めているところです」との回答をいただいています。
環境省の当該ページ→ここ

マイクロチップ埋込み技術マニュアルより
現在マイクロチップを埋め込むことができる体制が全国的に整備されていないことを考慮し、哺乳類及び爬虫類についてマクロチップによる個体識別措置を必ずしも実施しなくてもよいこととしていますが、今後状況に応じて義務付ける方針ですので、可能な限りマイクロチップを挿入しておくことをおすすめします。


<未判定外来生物に指定されたリス>

●タイワンリス(クリハラリス)以外のハイガシラリス属(タイワンリス属)
※アンダーソンリス、イラワジリス、キナバルリス、クロスリス、クロハラリス、シロアシリス、バナナリス、フィンレイソンリス、ベトナムリス、ミケリス、ミミホシリス、ワキスジシロアシリス、ワキスジリス。(平凡社『動物大百科』による)
●トウブハイイロリス、ニホンリス、キタリス(エゾリス)以外のリス属
※アカハラハイイロリス、アカハラリス、アパッチキツネリス、アーベルトリス、アリゾナハイイロリス、アレンリス、アンデスリス、カイバブリス、カワリリス、キノドリス、クリイロリス、コクモツリス、コリーリス、コロンビアタカネリス、サンボーンリス、セイブハイイロリス、チリカーワヤマリス、デッペリス、トウブキツネリス、ナヤリトリス、ピーターズリス、ブラジルリス、ペルシアリス、ペルータカネリス、ホノオリス、ムギワラリス、ユカタンリス、リッチモンドリス。(平凡社『動物大百科』による)

・輸入に制限がかかる(環境大臣が「特定外来生物にあたるか否か」を判定、その通知があるまで輸入は禁止)。
・現状では上記リスを飼育している人がしなくてはならないことはありません。


<種類名証明書添付生物に指定されたリス>

●リス科全種
※種類は省略しますが、ムササビ、モモンガの仲間、ジリスの仲間、リスの仲間がすべて該当。つまりシマリスも。
※なおプレーリードッグはすべて平成15年から「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令」の一部改正を受けて、すでに輸入禁止になっています。

・輸入時に、外国政府機関が発行した種類名証明書が必要。
・現状では、上記リスを飼育している人がしなくてはならないことはありません。


<要注意外来生物リストに載っているリス>
要注意外来生物リストより
●シマリス
「被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物」としてリストアップされています。競合や駆逐(生活環境やエサなどをめぐって在来の動物との争いが起こり、在来の動物が追いやられてしまうこと)、遺伝的攪乱(シマリスでいえば、北海道にしかいないエゾシマリスと、外来の動物であるペットのシマリスが繁殖してしまい、いずれ純然たるエゾシマリスが姿を消してしまうこと)などの生態系への影響が懸念されています。詳しくは→ここ


◎参考資料
リス類の輸入・流通、飼育実態、及び遺伝的撹乱等について(pdf)

資料のここに注目
シマリスを過去に飼育したことのある回答者によると、飼育年数は数年(半年から3 年)が多く、16%は、シマリスを逃がしてしまったと回答している。

調査の分母が「シマリスを飼ったことのある人」ではないようなので(アンケートした1000名のうち、シマリスを飼ったことがある人だけに聞いたのだと思われる)、調査の仕方によってはまた違った数値になるでしょうし、昔(1000名のうち、今シマリスを飼っている人は2世帯で、あとは以前の経験を回答しているようだ)と今とでは飼育レベルも違うわけで、この数字をもって「おいおい16%も逃がしてるのかよ!」「飼育年数3年て……」というわけにはいかないと思うものの、でもやっぱ16%も逃がしているという数値はショックではあります。
シマリスはまだ特定外来生物に指定されていませんし、飼育頭数が多いだけに指定しにくいということもあるとは思いますが、故意はもちろん過失にせよ、逃がさないでください。


 リスと輸入届出制度

 もうひとつ、リスに関連する法律では、2005年9月からげっ歯目はすべて輸入にあたって厚生労働大臣(検疫所)への届出、「感染症にかかっていない」ことなどを記載した輸出国政府機関発行の証明書の添付が必要になります。

厚生労働省のサイト内「動物の輸入届出制度について」


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