Breeding /// 1-6
繁殖って?
犬種の標準(スタンダード)って何?
ある犬種の、最も理想的な性質を定めた項目です。
ドッグショーやキャットショーでは重要なポイントになります。
これは血統書が発行される協会(AKC、JKC、KCなど)によって異なります。
例えばJKCのMLダックスだと、以下のように決められています。(かなり大まかに書きます;;)
1.外貌…短足胴長で体高体長比が1:2
2.性格…大胆で利口、感覚は鋭い
3.頭部…鼻に向かってくさび形、スカルはわずかにアーチ。鼻は黒(チョコカラーはレバー)。目はアーモンド型で、暗色が望ましい。
歯はシザーズ・バイトである。
4.顎…美しいアーチで、長くすっきりとした形。喉下のデューラップは好ましくない。
5.ボディ…キ甲とわずかにアーチした腰との間ラインは、できるだけまっすぐで地面に水平に。
6.尾…背線の延長上につき、長すぎず、カーブし過ぎず、先細であまり高く掲げてはならない。
7.四肢…前肢は短く、前望すると内側にやや傾いている。爪は暗色である。
8.被毛と毛色…(スムース、ロング、ワイヤーによって異なって定められています)
9.歩様…弾力的で、持久力に富んでいる。歩幅が十分にあり、重心は低い。
10.サイズ…12ヶ月を超えたものは、4.8kgまで
欠陥…陰睾丸/失格、極端な不正咬合、反対性相、浅い胸、ローマン・ノーズ、シャイ/減点
これでいくと、私の愛犬クリスは見事に体重だけで標準値を遙かに超えています(^^;;
個体の骨格によって、理想体型や体重は異なります。
クリスの場合、「5.2kgでは痩せ過ぎ」と獣医さんに言われたことがあり、彼の標準は5.4kgです。
栄養失調や肥満、痩せすぎ、太りすぎ等で病気になる可能性は高まります。
腰に爆弾を抱えているようなダックスなら尚更です。
ですから、この“標準”というのは、ショーで優勝を目指さないのなら、特に気にしなくても良い項目。
しかし繁殖をするとなると、やはり違ってきます。
犬種標準から外れてしまうような子は、繁殖には適しません。
ペットショップの子は、繁殖に向いてない?
繁殖しても良い子とは?
数多くある遺伝性疾患
遺伝してしまう疾患は数多く存在します。
犬では“てんかん”や心臓病、水頭症、あらゆるアレルギー、胃捻転、進行性網膜萎縮症、コリー系に見られるCL症などです。
また、股関節形成不全や肘関節形成不全、膝蓋骨脱臼、陰睾丸も遺伝します。
犬種特有の遺伝性疾患は、わかっているだけで400種以上あるとされています。
犬ほど無理な品種改良がされなかった為か、猫の遺伝性疾患は犬よりも少ないですが、
肥大型心筋症、スコティッシュホールドの軟骨形成不全、虚弱体質などがあります。
遺伝性疾患は、その個体自体が発症していなくても、その子孫代々に問題のある遺伝子が受け継がれていきます。
そのため、親は大丈夫でも子供が発症したり、子供が大丈夫でも孫が発症したりします。
防ぐ方法はたった1つ。
遺伝性疾患のある、もしくは素因のある子は絶対に繁殖してはいけません
犬のカラーの落とし穴
犬には、犬種によって数多くのカラーが存在します。
MLダックスなんかは、その典型といって良いほどバラエティ豊富です。
パイボールド(ぶち)やブラックソリッド、血統書に認められていないカラーもあります。
そんな豊富なカラー遺伝子…
両親の毛色によって、生まれてくる子供が危険に晒される可能性があるんです!
MLダックスでは(MLダックスの例えばかりですみません)
例えば私の愛犬クリスはクリームカラーですが、相手にシルバーダップルを選んだとします。
以上のようになり、生まれてくる子供はクリームダップルかクリームキャリアダップル。
一見レアカラーの様に聞こえますが、実はこの子供には目や耳に疾患のある可能性があります。
ミスカラーになる確率もグッと上がります。
クリームカラーの場合、理想的な相手のカラーはブラック&タンかシェーデッドクリームなのです。
他にもダップル同士やパイボールド同士は致死率が高り、視聴覚障害、内臓疾患、脳障害を煩う事もあります。
斑模様のわかりにくいカラーの掛け合わせは後々のことを考えて避けるのが普通です(レッドダップルやクリームダップルなど)
ダックス以外では、オーストラリアンシェパードでもブルーマール同士を交配させるのは×です。
また、プードルでは同色同士の繁殖が基本とされています。(ミスカラーを防ぐ為)
万が一ミスカラー(単色以外。例えばつま先の白いさし毛など)が出てしまった場合、その子は繁殖ラインから外すべきです。
繁殖を行う場合は、子孫代々まで考慮していかなくてはならないのです。
一般家庭での繁殖は無理か?
生まれてくる子犬や子猫の行き先、健康、カラー、疾患、母体の背負うリスク…etc…
覚悟を決め、あらゆる知識がなければ、繁殖は出来ません。
してはいけません。
「犬は安産」と言われていますが、最近ではそうとも言えなくなってきています。
飼い主の補助がなければお産出来なかったり、子供を育てようとしなかったり、難産だったり…。
中には母親が子供を食べてしまう事もあります。
また、もし奇形の子や先天性疾患のある子供が生まれてしまった場合、何頭でもきちんと飼ってあげられますか?
疾患によっては医療費が沢山かかります。
その事も大丈夫ですか?
一般の家庭で繁殖しなくても、ブリーダーを名乗る人たちは大勢います。
業界は常に飽和状態です。
保健所で処分される犬・猫の数は年間30万匹を超えています。
命を生み出すと言うことは、思っている以上にハイリスクな事なのです。
動物には生存本能として子孫を残す本能はありますが、ペットにおいてそれは必要ありません。
飼い主の愛情を一身に受け、その愛を独り占め出来ていた方が幸せだと思いませんか?
絶対にしてはいけないこと
遺伝性疾患、もしくは素因のある固体の繁殖
致死遺伝子同士、無茶なカラー同士の繁殖
生まれた子供の販売(登録がなければ法律違反です)
生まれた子供を保健所へ持ち込む(最初から避妊・去勢をしましょう)