03年12月14日(日) トヨタカップ ACミラン対ボカジュニアーズ
今年もトヨタカップが開かれる季節だ。トヨタカップになると歳の瀬を感じる。

 12月11日(木)
 プールのスクールの前、小机競技場に寄ってみた。人影が見え、近寄るとテレビカメラも確認できた。競技場に降りるスロープにいた若者に「ボカ?」と尋ねるとコクンとうなづく。見物人は私を入れて3人。通りかかった人に「何ですか?」と聞かれたので「ボカジュニアーズ」です、と言うと「あぁ。物々しい雰囲気だから何かと思った、やっぱり」。昨日日本についたばかりの選手たち、こんな寒い朝の練習は辛いだろうなぁ。選手たちはジョギングやストレッチ、ダッシュの後、9人対9人のゲームを始めた。残念だったが、私はここまで。スクールの後に行ってみたがもう練習は終わっていた。雨も降り出していた。

 12月14日(日)昼
 今日はとてもいい天気。富士山がくっきりと見えている。昼頃散歩に行った。熱心なファンはもうスタジアムに来ている。

ミランのサポ W杯記念モニュメントを
ビデオに撮るボカサポ
東ゲート。トヨタカップ仕様

 レンガ通りはW杯の時のように、ユニを売る露天がたくさん出ていた。
今は閑散としているが夜はすごい人だかりだった。 競技場へ向かうボカサポ

12月14日(日)夜
 夕方、5時に家を出る。競技場はイルミネーションできれいだ。続々観客が詰め掛けている。競技場の2階座席はYOKOHAMAと字が浮かび上がるようになっているが、最後のAのてっ辺あたりの席だ。通路のすぐ下。通路の上はボカサポのアルゼンチン人でいっぱいだ。大型ビジョンでは過去のトヨタカップの映像を流している。

夜の東ゲート 1階ゴール裏のボカサポ 練習するミランの選手たち

1階ゴール裏のボカサポは黄色と青のユニ、パラソル、旗、幕、布、で派手派手だ。サンバのリズムで「♪タンタラタンタラ、ラ、ボッカ!」と繰り返している。ミランのサポもホームゴール裏に多数陣取っている。真っ赤だ。昨年はオリンピアのサポは少数でしかも2階端の席、レアルも2階の斜めの席で、応援が少なかった。今年は世界一を決めるにふさわしい雰囲気だ。
 試合前の練習はミランの選手だけで、ボカの選手たちは出てこなかった。

 選手入場前、「第九」の音楽が鳴り響き、ビジョンの映像もミラン、ボカそれぞれの優勝シーンが流れる。観客達の気分もいやがうえにも盛り上がっていく。
そして、花火!ミラン側では赤、ボカ側では青。そして最後にバックスタンド側で大きな花火が上がった。

花火の煙が残る中、選手入場、整列。
高円宮妃、国際サッカー連盟、日本サッカー協会、トヨタ自動車関係者等の激励を受ける。

 試合開始。マルディーニがいる。シェフチェンコがいる、カカ、トマソン、セードルフ、カフー(ブーイング)がいる、とミーハー気分だ。

 細かいことは覚えていない。印象だけ書く。
 ミランの選手が大きく、ボカの選手が小さく見えた。ユニフォームの色の関係もあるのだろう。調べてみれば、ボカのDFなどは180cmを超えているのだが。

 ミランはイタリアサッカーらしい早くて力強い攻め。ボカは人数をかけて守り、攻めはゆっくりだ。

 ピルロの素晴らしいスルーパス。シェフチェンコとトマソンの飛び出し。シェフチェンコがスルーして、トマソンがGKの股ぬきシュート!ゴール!トマソンはそのままサポーターのもとへ駆け寄っていく。すごい歓声だ。

 ボカサポに遠慮していた私の周りのミランファンも一斉に立ち上がる。こんなにミランファンがいたのか、とびっくり。

 私はミランを応援するつもりで、タオルなども用意したのだが、周りのボカサポの熱狂的な応援に囲まれているうちにいつの間にかボカを応援し始めていた。だから、ちょっとがっかり。

 ボカ。7番がクロス。10番がDFと競いながらシュート。ジダがはじくが詰めていたドネがシュート!ゴール!同点!後ろのボカサポたちは大騒ぎ。グラウンドではアルゼンチンの記者がゴール裏のサポーターとともに飛び上がって喜びを表している。

 後ろのボカサポは中年の太ったおじさんたちが多い。どうして、外国人サポはあんなに声量があるのだろう。大迫力の歌声だ。その上、席の前のフェンスをたたいたり、蹴っ飛ばしたりして大きな音を立てる。日本の応援では見たことがない。前にいる若者が「熱いなぁ」と何度も振り返っていた。
ボカのFK 熱烈なボカサポ 1対1の表示(わからない)

 同点後の試合はボカペースだったと思う。後半以降になると、ミランは足が止まっていた。DFはボールに追いつけずよれよれ。インザーキもシェフチェンコも効果的なプレーができない。

 ―この頃、家から「フセインが捕まった」とメールが入った。驚いた。―

 ボカはうまかった。あんなサッカーは見たことがない。セリエでもプレミアでも、誰かがボールを持つと、「縦に一斉にどどッーッと走り出す」イメージがある。評論家の湯浅さんもよくボールのないところの動きとか、走れとか書いている。でもボカはそんなに走らなかった。細かいバスを足元につなぎながら、急に早くなったりロングパスを出したりする。緩急というのだろうか。

 ボールは良くつながる。どうしてそこにフリーの選手がいるのだろうと思うくらい巧みな動き方をする。守備でも、ボールキープするミランの選手の後ろから、ブロックされているのにひょいと足を出してボールを奪ってしまう。ロドリゲスなんて1m67cmしかない選手なのにヘディングで負けない。力任せの派手なプレーではないけど、とにかく上手い。

 後半も、延長前後半とも点は入らずPKとなった。

 初めカメラマン達はミラン側に行こうとしていたが、慌ててボカ側に走ってくる。PKはボカ側で行われる。ボカのゴール裏に向かって蹴るのだから、ミランはやりにくいだろうなぁと思っていた。

 最初からミランは止められる。ルイコスタ以外は失敗。最後のコスタクルスなどへなちょこキックだった。カッシーニがPKを決め、ボカ勝利!!

勝利の瞬間。カッシーニのもとへ駆け寄るボカの選手、スタッフ達。

大喜びのボカサポたち
表彰式
 ボカが勝者にふさわしかったと思う。妥当な結果だ。
 帰り際、アルゼンチンの老サポにお祝いの言葉を言うと、大喜び。ついでに、「アイマール、サビオラ、べロン・・」とアルゼンチンの選手の名前を挙げていくと、ますます喜んで私たちをハグ。

 ボカのビアンチ監督は「この勝利はロジカルなもの」と話したそうだ。この言葉をジーコに聞かせたい。