2006年1月9日(祝)

全国高校サッカー決勝戦
鹿児島実業高校対野洲高校
1−2で野洲の勝利
全国高校サッカーの決勝戦を見るのは初めてだ。

今日は思ったよりも暖かい。それでも防寒対策万全を期して行く。

外苑前駅そばで一緒に観戦予定のNaさんに会う。Yさんは先に着いて席を確保していてくれる。

バックスタンド中央部は両チーム応援団の席。ホーム寄りが鹿実。アウェイ側が野洲。私達の席はバックスタンドホーム側コーナー付近上部席。ここだと西日が最後まで当たるので暖かい。着席直後は歩いて来たこともあり、上着を脱ぎたくなるほど暖かかった。

隣のブロックでは応援団員が鹿実の大きな校旗を持って立っている。これは野球応援と同じ。ブラスバンドは鹿児島民謡を奏でている。鹿実応援団から何度もウェーブが起こされるけれど、メインスタンドに達した辺りで消えてしまう。応援団のテンションと一般観客に差があったようだ。

鹿実の旗

その左赤いのが鹿実の応援団

野洲の応援団は更に向こう側だが、わかりにくい

スクールカラーは鹿実が赤、野洲が青色。つい、青を応援したくなる。

前の席はご夫婦に引率された小学生6人くらいのグループ。後ろは若い男性たち。

試合前、「コブクロ」が出てきて大会テーマソングを歌った。昨年まではw-indsだったので、サッカーとは関係ない若いファンもかなり来ていたという。

歌が終わると選手入場。FIFAの音楽で入場だ。両チームの校歌が流れる。

試合開始。

野洲の9番青木君はジェフ千葉に入団が決まっている注目選手だ。FW11番は背が高い。鹿実は二人を厳しくマークしていた。

野洲は細かくパスをつなぐと聞いていたが、ロングボールも多用した。鹿実がこのロングボールに戸惑っているように思えた。

野洲が次第にペースをつかみ、波状攻撃。ボールキープが巧くて鹿実が止めるのに苦労する場面が増える。
23分右CK。一度クリアされたボールが再びCKキッカー8番へ。ファーサイドへふわっとボールを上げる。ヘディングシュート。GK弾いたボールを再度ヘディングシュート。決まる。野洲先制。喜ぶ野洲選手たち。鹿実は選手権初めての失点だ。

喜ぶ野洲選手たち。

ピッチのバックスタンド側
センターライン付近で応援団にアピールしている。

野洲の選手の個人技が注目されるが、鹿実の選手達も全然負けていない。迫田のドリブルを野洲のDFは止められなかった。強いて言えば、野洲は連携が優れている。ヒールパスなんてそうそう巧く行かないのはJリーグでよく見ていること。野洲が何度も決めていたのは、思いつきでトリッキーなプレーをするのではなく、仲間が必ずそこに走りこんでいるということがわかっているからだと思う。

前半は野洲のペースで終わった。

高校サッカーの応援は野球スタイルだ。鹿実ブラスバンドの演奏は「狙い撃ち」「タッチ」「サウスポー」と高校野球おなじみの曲ばかり。野洲の方は遠くてよくわからなかったが、メガホンを叩いていたようだ。こちらは主に声による応援だった。

前の小学生たちが席をはずす。帰ってきた彼らは食べ物を沢山持っていた。後半の試合中、ひたすら食べていて、引率者から「食べてばかりいないで試合見なさい」なんて言われていた。

後半開始。鹿実はハーフタイムにはっぱをかけられたかな?攻めが積極的になる。野洲は防戦一方になる。しかも簡単にクリアせず、足元においてパスで攻めへつなげようとするから、それを狙われた。鹿実が野洲が上げようとするボールに身体をぶつけて奪い取る。鹿実の選手の気迫はすごかった。

鹿実のCKは何本あったろうか。シュートも何本も打つ。でも最後のところで決めきれない。野洲のDFは身体を張って守る。3番の選手は何度も足を痛めていた。選手が団子状態になり、ボールがどこにあるかわからない、まるで小学生のサッカーのようなシーンもあった。

鹿実のOB?が観客席に応援を呼びかける。軽妙な動きで笑わせるが、呼応する者少なし。

しかし、ついに34分。鹿実のクロスにGKが飛び出す。鹿実オーバーヘッドシュート。DFが懸命にクリア。左側に出たボールを鹿実再びクロス。それを見事にヘディングシュート。決めたのは迫田。得点王だ。

同点に追いつき喜ぶ鹿実選手


ベンチの人達も飛び出す。

座り込む野洲のGK

鹿実の喜びが爆発。私達の席は鹿実サイドなので、周りの人達みんな大喜びだった。

この後も鹿実の攻撃が続く。野洲は足が止まっていた。しかしカウンター攻撃は鋭かった。右サイドの選手(14番?)はドリブルが上手く、スタジアムを沸かせた。

同点のまま後半終了。延長戦へ。 野洲の14番の選手は芝の上の大の字に倒れていた。野洲大丈夫かなぁ?と思った。余力は鹿実にあるように思った。

同点のまま延長へ。    

1−1のスコア

風はなくて暖かかった。

延長開始。

野洲が続けてチャンス。そこで決めきれないと鹿実が反撃し鹿実のペースに。野洲がしのいで、延長後半へ。Niさん達とPKで優勝が決まるのは嫌だから、どちらかが点を取ってほしいね、と話す。

延長後半。鹿実絶好の機会、ヘディングをはずし、選手が天を仰ぐ。
鹿実の選手が傷んでピッチ外へ。あわてて交代の選手が準備する。

ここで、懸命に守っていた3番が思い切ったように攻めあがった。そして左から右へサイドチェンジの低いパスを出す。見事なパスに観客席から「おぉー!」と声が上がる。

受けた選手がドリブルで中央に持ち込む。そしてヒールパス。ドリブルに引き寄せられ中央に寄っていたDFは対応できない。更に一番右を駆け上がった選手にパス。そこから、中央へクロス。ペナルティエリアに走りこんでいた選手が簡単に決めた!ゴール!選手たち飛び上がり、抱きあう。

後で確認すると3番田中雄大サイドチェンジパス⇒14番乾、ドリブルしてヒールパス⇒平原パス⇒中川クロス⇒瀧川シュート、ゴール!!ということだったらしい。ペナルティエリアには3人が走りこんでいた。「今だ!」と皆が決めて一斉に攻め上がったという印象だった。

見事な得点に大歓声。私達の回りは鹿実応援だから、落胆の声もあったけれど、「すっげー」という声も多かった。

わずかな残り時間、鹿実も必死に攻める。GKも上がってきてゴールを狙うが叶わず。試合終了。

芝生に崩れ落ちる鹿実。飛び上がる野洲。雄たけびを上げるGK。

勝者と敗者はくっきり分かれる。いつも残酷だと思うけれど、でも一番胸打たれる場面でもある。

試合終了。

飛び上がる野洲イレブンと崩れ落ちる鹿実イレブン

表彰式。川渕キャプテンや理事たちから優勝校、準優勝校へ優勝カップやメダル、楯などが渡された。アルゼンチン等からも表彰があった。

一度コンコースへ出て代々木門に向かったが、野洲高校応援団付近ゲートに差し掛かると人が次々入っていく。「何だろう?」と入っていくと、選手たちが挨拶を済ませたところだった。そして野洲は鹿実応援団の前へ、鹿実は野洲応援団の方へ向かう。そして両チームとも相手応援団に挨拶する。

両チームがそれぞれ相手チームに挨拶に行く。


交差した所。

これは当たり前の習慣らしいが、初めて見たので「いいなぁ」と思った。

野洲高校のサッカーは今年の話題を独占した。卓越した個人技と創造性あふれるプレー。それに対して鹿実は体力勝負のような言われ方をした。

でも鹿実も走って放り込んでという単純なサッカーではなかった。個人技も素晴らしかった。ただ、連携において野洲の方が上だったように思う。とはいえ、どっちが勝っても不思議ではない。力の拮抗した好ゲームだった。

また、来年も決勝を見たいと思った。また、今年活躍した選手がこの先どんな活躍をするのかとても楽しみになった。