2005年12月15日
FIFAクラブワールドチャンピオンシップトヨタカップジャパン2005
準決勝
デボルティボ・サプリサ対リバプールFC
0−3でリバプールFCの勝利
(横浜国際競技場)
スタジアムに向かう人波はかなりのものだった。やっぱり真打登場なんだなと思った。
それでもダフ屋は少なかった。当日券もあったからね。

東ゲート

各大陸チャンピオンの
エンブレムが飾ってあった。

スタジアムに着いたのは7時前。もう試合前の練習は終わっていた。

座席は5列目だが、前3列は観客を入れないので、2列目ということだ。観客席前の壁にはびっしりリバプールのゲーフラが吊るしてある。

一つブロックを置いて向こう側にリバプールサポーターの一団がいる。赤くてサンタクロースみたいだ。中年の男性が多い。みんなもう立っている。ずっと立ちっぱなし。

空いている前の席をリバプールサポーターと警備員が何度も通る。旗を吊るす場所を探してあげているようだった。それとも禁止場所に張ってある旗をはずすよう注意したのかな?

リバプールの応援歌は浦和と同じのが多かった。
リバプール応援団。
試合開始前の一休み

スタメン発表。サプリサは知っている選手はいない。リバプールはキューエルやモリエンテス、ルイスガルシアは出ない。ジェラードとリーセ、シセに大きな拍手があった。

選手入場。FIFAのアンセムが流れると、ワクワクしてくる。
リバプールサポーターはタオルを掲げている。

開始2分でもうリバプール1点。アウェイ側だったし、あっという間だったので、よくわからなかったが、中央に入ったボールを横に出したのが見え、そのボールを叩き込んだのはわかった。再現映像で、クラウチのゴールと知る。横に出したのはシセだった。巧い。

クラウチは201cmの長身。マークに付くサプリサの選手は肩までしかない。リバプールの選手はほとんどが大柄、長身。サプリサは170cm台が大半のようにみえた。

サプリサの効果的な攻撃は2度くらい。中央付近から、DF2人にはさまれたFWへのスルーパス、見事に通る。これは決まった!と思ったけれど、シュートは枠の外。

サプリサのFK。

決まらない。

この頃私たちの前に若い女性3人と外国人男性1人の4人が席につく。

リバプールの大きなサイドチェンジに「おーっ」と感嘆の声。スタジアムはリバプールサポータの歌が響く以外は静かだ。もちろん白けているわけではない。じーっと見つめている。いいプレーが出ると「わぁ」と歓声が沸くし、惜しいプレーには「あぁ〜」と歎声が漏れる。プレー、プレー一つ一つに観客が反応しているのは悪くないと思った。

スタジアムが静かだと、選手の声も響く。英語やスペイン語だからわかるわけないけれども選手の気迫を感じるし、臨場感もたまらない。

クロウチが左側に落とし、リーセへ。リーセが中を見るともう左側にジェラードが完全にフリー。ジェラードはクロスをいきなり打つ。低い弾道であっという間にネットに突き刺さってしまった。「うゎ〜」「すご〜い」「いきなり打つのか〜」と回りも驚きの声。もちろん満足そうに。

大型ビジョンに映ったジェラードの嬉しそうな笑顔。会心のゴールだったんだろう。

サプリサ「2番」の攻撃を「22番」が見事なタックル。「中澤と同じ22番だね」というと娘が「シソッコだよ」と教えてくれる。「バレンシアにいたんだよ」。バレンシア(アイマール)ファンだから詳しい。「リバプール監督もバレンシアを2度もリーガ優勝に導いたんだからね。なんで、辞めさせちゃったんだろう。」

あ、もう38分。時間が経つのが早い。プレーに魅せられているから退屈している暇がない。

前半終了。

大型ビジョンにはジェラード。

前半終了。

ハーフタイムにはFIFA選定のベストゴールを流していた。バッジョ、ぺレ、ハジ、オーウェンなどの映像、もちろんベスト1はマラドーナのメキシコW杯のゴール。マラドーナは2つ選ばれていた。

後半開始。
今度はリバプールはこちら側に攻めてくる。相変わらずリバプールペース。

クラウチが滑り込んでくるDFを交わして、一瞬躊躇はあったけれど、落ち着いてシュート。3点目。もうこの試合は決まり。

クラウチは足元の技術もなかなかのもの。マイク君(マリノス昇格が決まったディドコーチの長男。2m以上長身)もああいう風になって欲しい。マリサポ以外は「平山」と思ったらしいけれど。

見ているうちに何だか既視感。12月、アウェイ側ゴール裏、一方的な展開・・・。

そう、昨年の日本代表対ドイツ代表の試合。リバプールはあの時のドイツと同じ赤ユニ。長身のクローゼとクラウチが重なる。サプリサは日本の青いユニフォームとは違うのに、何だか小笠原がいるような気がした。鹿島のアウェイユニに見えた?

サプリサも中南米チャンピオンの意地を見せて欲しい。2番が頑張っていたので、「2番」「2番」と応援したけれど、駄目だった。2番はボラニョス。長髪を一つに結わえて、ヘアバンドをしていた選手だ。

横国の1階席は低いので、距離感がつかめない。2階席で見るような、人の動き、ボールの動きがわからない。でも、考えてみれば選手はこういう位置で試合をしているのだ。私達は俯瞰図を見ているけれど、選手は見えない。頭の中で俯瞰図をイメージしてプレーしているのだろう。それを実感した。

つい大型ビジョンに目をやる。Jリーグの試合はゴールシーンの再現しかしないけれど、この試合は実況に近い形で映像を流した。ビジョンをずっと見ていて、「あ、目の前のプレーじゃん」と気が付くことも数回あった。

0−3になった。勝負アリ。


後半になって、リバプールの選手たちが、目の前でアップを始めた。モリエンテスを探す。ちゃんと双眼鏡を持ってきた。背の高い、カッコイイ選手がモリエンテスだ。選手たちは時々、サポーターの方に手を振っていた。

ジェラードが交代。メインの観客はスタンディングオーベーションで迎える。彼は守備に顔を出すかと思うと、攻撃でも頻繁に顔を出す。いい選手だと思った。全然違うタイプなのに、彼を見ているとどういうわけかストイコビッチを思い出した。短髪、チームの中心、的確な位置取り。

次の選手交代、ルイス・ガルシアが出る。大きな拍手。本当に選手層が厚い。次はモリエンテスを出して、と思ったが、モリエンテスの出番はなし。キューエルも出なかった。この頃はサブの選手は余裕で試合を見つめていた。

終了10分前くらいになると、席を立つ人が増えた。私たちの前の4人も帰ってしまった。

試合は0−3でリバプールの圧勝だった。力が違いすぎた。

終了後、シセだけがゴール裏にやって来た。カメラマンが周りを囲む。観客が最前席を目指してダァッと下りてきた。シセはユニフォームをリバプールサポーターへ投げ込んだ。風貌も身体も精悍そのもの。カッコよかった。

タオルを掲げるリバプール
サポーター。

黄色ゼッケンの報道陣の中に
シセがいる。

リバプールサポーターの「リバポー、リバポー、リバポー」のコールは印象的。「イエローサブマリン」は本当の本場。「You’ll never walk alone」も歌っていた。

入り口付近ではリバプールサポのおじさんがすっかり酔っ払って「リバポー」と歌っていた。日本人の若者が肩を組んで写真を撮っていた。

外に出る。引率のコーチらしき人がサッカー少年たちの点呼を取っていた。こういう試合を見て、いいサッカー選手になってね。

マリノスの試合と違って、観客は若い男性が多いと思った。家族連れは少ないし、おばさんたちもあんまりいない。若者はJよりも海外サッカーが好きという話は良く聞く。ちなみに若い女性は日本代表が好きなんだそうだ。

道すがら、ずっとリバプールサポーターの歌が聞こえていた。W杯のアイルランドサポーターがずっと歌っていたなぁ、と懐かしく思い出した。

決勝戦はリバプールとサンパウロだから、イングランド風応援と、ブラジルサンバの応援合戦も見られるのだろう。試合ももちろん楽しみだけれど、スタジアムの雰囲気も楽しみだなぁ。