04年12月5日
チャンピオンシップ第1戦
横浜F・マリノス対浦和レッズ
1−0で勝利

「夜来風雨声 花落知多少」は「春眠」だけど、昨夜はまさに「夜来風雨声」だった。
朝起きると晴天。気温は20度を超えた。夜になれば多少冷えるから観戦には最適な気温となるだろう。

チャンピオンシップの第2戦を終えてから、「観戦記」をアップすると今の気持ちと同じではないと思う。だからまだ決着のつかない中途半端な、今の気分で書く。

家を出たのは4時過ぎ。横浜アリーナの横あたりを歩いていると、突然「うら〜われっず」のコールと応援歌が聞こえてきた。強風だから風で声が運ばれてきたにしても、横国とアリーナでは距離がある。それほどの大音声で叫んでいるのか。驚いてしまう。

鳥山大橋辺りはまだ横国へ向かう人はそう多くはない。労災病院の裏側の道をとって「COCOLO」下から横国に入ることにする。
富士山が見えた。

階段を上ると、列が東ゲートから北ゲートへ延びている。列の後ろにつき、北ゲート先で折り返し東ゲートまで歩く。30分以上歩いてきたので、早足で歩かされるのはちょっときつかった。東ゲートから階段を上がりバックスタンド一階後部席・コーナー付近へ。
座席はどんどん埋まっていく。ホーム側の方が席が埋まるのが早い。

選手バスが到着したことを大型ビジョンが伝えた。大きな拍手が起きる。選手は落ち着いた表情だ。

試合前、映像で中田市長、ゴーン社長、鈴木チェアマンの挨拶があった。ぼそぼそしゃべる鈴木チェアマンよりゴーンさんの方が明晰で訴える力があった。続いて左伴マリノス社長から「マリノスタウン」の紹介があった。日産・マリノスの景気の良さにレッズサポのため息が聞こえるような気がした。先制パンチ。

サポーターが歌詞カードを配って歩いている。赤白青の風船も配られている。
選手が練習に出てきた。スタジアムが一気に盛り上がる。
サインボールプレゼント。中澤はいつものようにバックスタンドへ。やわらかい笑顔だ。

メンバー発表。那須がいない。中西・上野のベテラン起用。3バックの一角は河合。
すでに紙吹雪が舞っている。
突然場内の照明が消える。レーザー光線がピッチを照らす。CHARの演奏にいつものカッコいいVTRが流れる。そして選手入場。スポット光を浴びながら選手たちが入場してくる。両チームのサポーターのコールが響き渡る。旗が振られる。ブルーボードやチームタオルを掲げる。大量の紙吹雪が舞い落ちる。これだよね。大一番の雰囲気

紙吹雪。実際はもっとすごかった。
                     
   
風船も飛ばす                           レッズサポ  

試合開始。いつもはドキドキ、口が渇くのだが、今日は不思議に落ち着いていられた。
マリノスは積極的に前に出る。
エメルソンにボールが渡った時、マリノスの選手(誰だかわからない)が突っかけた。エメルソンは足を痛めたのか立ち上がらない。もし狙ってやったのだとしたら、狡猾だ。第2のパンチ。

4分坂田の超惜しいシュート。ポスト直撃。これは坂田が浦和選手の股抜きパス、それに反応した清水がシュート、闘莉王のクリアミスをダッシュで坂田が拾ってGKの脇を狙ってシュートしたものだ。闘莉王も硬くなっていたか。坂田の切れのある動きは浦和を慌てさせたと思う。第3のパンチ。マリノスのペースになっていく。
キックオフ直前

マリノスはサイドにボールを放り込む。足の速い清水と坂田がそこに走りこむ。奥、ドウトラ、隼磨が絡んでいく。

エメルソンにボールが出た。対応する河合。ドウトラが駆けつける。エメルソンは二人をかわしてシュート。松田がブロック。こぼれ球を鈴木がシュート。中西がクリア。CK。ショートコーナー、それを山田がミドルシュート。大きく外れる。こういうところが下手なので安心。
この守りの形がこの後も何度も繰り返される。

エメルソンへのボールに中西が大きくジャンプしてクリアするも、もんどりうって背中から落ちる。動かない。「ここでケガして引っ込んでしまったらどうしよう」と心配になる。ゴール裏からは「エイスケ」「エイスケ」と大きな声援。どうやら起き上がったのでホッとする。

FK。奥がまたいでドウトラが低い早いクロス。ファーに走りこんだ中澤にはわずかに合わず。惜しかった。

この後、ややレッズの時間。三都主のロングスロー。ボールがGKの前に、そして田中達也の姿。「アー!」と叫ぶまもなくボールはゴールの上を越えていった。田中が浮かしてしまったのかと思ったが、中澤が防いだのだった。

その後のセットプレー。アルバイと中澤の争い。そこへ榎本達也が下手に飛び出す。中澤の動きを見て出て行けよっ。中澤がクリアだったからよかったけど、ゴールマウスがら空きだ。出て行くならきちんと弾け、達也よ。

この後の攻防はマリノスの方が一瞬反応が早い。パスもすばやくつないで前線へ運ぶ。或いはロングボールで前へ。レッズの選手より早くボールにさわり、或いは身体を投げ出す。集中を切らさない。前に後ろによく走った。果敢だった。

前半終了。始めの15分くらいは長く感じたが、後はあっという間だった。

後半開始。

レッズは内舘に代えて平川。内舘は「味方」とマリサポに言われていた。残念。
後半開始直後はレッズ攻勢。マリノスが落ち着いて防ぐ。

奥が右サイドに持ち込む。切り返そうとするところ、三都主に引っ掛けられ、二人とも倒れる。「何すんだよ!」「イエローだよ、イエロー」「いつまで寝ているんだぁ」猛烈なブーイングが三都主に浴びせられる。
FK。ついで、CK。

そしてそしてついについにゴール!!待ちに待ったセットプレーからの得点だ。
身体を折り曲げて誰かがヘディング。ネットが激しく揺れた。私達は一斉に立ち上がる。選手はそのまま看板を乗り越えてサポーターの前に走っていく。「河合だ、河合!」

ゴールに大喜び。皆立ち上がっている
(デジカメの動画があるが、容量を増やさずどのように貼り付けたらいいか分からない)

レッズの反撃が始まる。エメルソンのすごいシュート。GK弾く。CKからこぼれ球を長谷部がミドルシュート。右にそれていったと思ったが、上野がクリアしたのだった。上野と中西は効いていたと思う。こういう時に歴戦のベテランを使うのはある意味定石。期待に応えた。

エメルソンにいいパスが出た。中澤が振り切られ、松田がタックル。エメ倒れ、2〜3回転する。「PK?」周り人たちも不安そうに見つめる。隼磨が手を叩いている。「あ。エメにイエローだ。シュミレーション」。レッズサポは不満だろう。エメルソンはあまり文句を言わなかった。大人になっている

この後マリノスもチャンス。だけど、シュートを打つタイミングが遅い。何故、すぐ打たないんだろう。そして決定的な時のシュートが不正確。清水も奥も坂田も決められない。「やっぱりアンジョンファンは上手かったよね。」と娘と話す。

田中達也は岡野と交代。今日は一度しか見せ場がなかった。

エメルソンへのパスを河合がカット。エメルソンはふてくされたようなポーズ。取り返そうと追っていく事はしない。
対照的なのがロスタイムの坂田だった。GKからのボールを受けて平川がドリブルで持ち込もうとすると、最前線から猛烈に追いかけて、サイドに蹴りだした。あの時間にあのスピードで走りぬく走力と根性。
そして守備陣は何度もオフサイドを取った。ラインを上げるのは勇気がいるそうだ。
結局は選手の執念の違いではないか。

清水から山崎に交代。山崎は前線で走り回って、レッズに攻撃をさせなければいい。マリノスはCKやスローインの後ライン近くで粘る。時々倒れる。当然のテクニック。ロスタイムは4分と長かったが無事に守りきって勝った。

挨拶にくる選手たちを旗を振って迎える。
中澤・松田・河合のDFは冷静、安定していた。奥はミスもあったが要所で存在感を見せた。隼磨は三都主を走力、技術で凌駕していた。ドウトラも時間が経つにつれて好調時に近づいた。FWは走りぬいた。
得点力不足という課題は解消されたとは思わないが、マリノスの今の状態を考えれば会心の試合と思う。

レッズを解雇され、トライアウトから這い上がってきた選手(河合)が、殊勲のゴールをあげたというのも最高の舞台のエピソードとしてよくできている。

選手が挨拶を終えて帰る頃、サポーターはスタンドの紙吹雪の回収・掃除を始めていた。かなりな量だから、さぞ大変だろう。サポーター達はよく頑張っていた。


試合終了後の横国。もうすぐ日産スタジアムに
なる

何度も「あーあ、楽しいなあ」と言いつつ家路に着く。自然にマリノスの応援歌が鼻歌になって出てきてしまう。娘は「サッカー大好き」と言う。「これだから観戦はやめられないよね」

同じ道を歩くレッズサポーターは淡々として静かだった。もっと騒ぐ情熱的な人たちだと思っていたから、ちょっと意外だった。

でも、「私達は何も手にしていない」という岡田監督の言葉は真実だ。
11日で決まるのだ。