山川惣治と絵物語の世界page14196  picture  

14.山川惣治のライバルたち 椛島勝一7
 

「人好きのする顔」や動作をかくのが不得意?

 

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椛島勝一は人物の顔を描くのが不得意なのでしょうか。少なくとも、子供に受けるような、颯爽たる 美少年や美男子の顔は描きませんでした。「敵中横断三百里」では出発のときと、友軍の陣地に戻ったときだけしか、 日本軍兵士の顔が描かれません。その途中はずっと頭巾をかぶって、向こうを向いたままです。大部分、夜間の情景 です。実際、一目を忍んだ作戦ですから、敵の占領地を移動するのは夜間でしょうから、原作に忠実といえば忠実な 挿し絵ですが、子供には高級すぎるかもしれません。

昭和5年に「少年倶楽部」の別冊付録として「敵中横断三百里」が再録されたときには、梁川剛一が主人公たちの顔や アクションの入った挿し絵を描いて多数追加しています。それによって随分わかりやすくなったのではないでしょう か。

「敵中横断三百里」ではそれでよいとしても、椛島は他の挿し絵でも、主人公の顔はあまり前から描かれず、外国人 の顔や、人物の後ろ姿ばかり描くことが多いように思います。いつも人物の顔をかかないとなると、不得意なのでは ないかと思いたくなります。漫画「正チャンの冒険」が書けたのですから、挿し絵でもかけそうなものですが。

また人物を描いても、じっと立っているようなのが多いように思います。アクションはあまりかかなかった。アク ションがあるのは動物画だけでした。

山川惣治は人物の動きをかくのこそが得意で、また主人公の顔を美少年にかくのも(あまり安定していないとはいえ) 一応できました。山川惣治は椛島の動物画を発展させ、同時に椛島のいちばん不得意な部分を補って登場したのです。  


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