14.山川惣治のライバルたち 沢田重隆
マロー原作「海の子ロマン」。沢田重隆絵。マローは「家なき子」の作者です。
おもしろブックの巻頭に世界の名作の絵物語が載っていました。「海の子ロマン」は6ページ12コマの絵物語です。
しかしもともと長篇小説(と思います)だったのを、わずか6ページにまとめるので、荒筋紹介くらいにしか、なり
ませんでした。
むかしの少年雑誌は映画の紹介のページがあり、一本の映画を、荒筋と写真で、絵物語風にまとめていました。3ページ
くらいだったでしょうか。
巻頭の世界名作絵物語も映画の荒筋紹介に近かった。しかし、それでもよかった。文学の香気のようなものは感じました
から。映画の予告編みたいなもので、本物がよみたくなります。
世界名作というのは、版権がきれていて、紹介するのに原作料がいらなかったのでしょう。それから、この時代(終戦
直後)の子供たちには、次代の期待が寄せられていたのでしょう。
沢田重隆という人はくせのない絵で、私は全く記憶にありませんでした。しかし「海の子ロマン」の絵は憶えていた
ので、絵物語ではあり、紹介しておきます。(「異能の画家・小松崎茂」の中で、日本屈指のイラストレータとして、
絶賛されています。)