貴方へ
あいなんていうのは、この世でもっとも不確かな存在です。
なぜ人はそんな物に惹かれるのでしょうか。
たくさんの思い出を得ても、別れてしまえばそれも悲しい幻想。
がんじがらめになってから気づいてももう遅いのです。
だれがこの苦しみを理解できましょうか。
いま此処に居ない人を……遠い人を想うことの辛さを。
すいぎょくの輝きを持つ木々も、今では枯れています。
きせつは過ぎ去り、けれど気持ちはあの頃のまま。
とり戻せない時間はナイフとなって、幾たびも私の心を抉ります。
わすれようとしても、愛の亡骸は執拗に叫ぶのです。
にじんでしまった絵画のような、歪な恋を。それを聞くたび、
「いつか、もしかしたら……」そんな淡い期待を抱いてしまいます。でも、
ついおくの世界ももう終わりです。私も老いました。
しが足音を立てて近づいてきました。しかし悲しむ必要はないのです。
よういされた生を精一杯生き、私は逝くのですから。
にい様……今度こそ、ご一緒させて下さい……
END
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