研究報告『エビの謎』

【スジエビ】

以前、ソイ類を水槽で飼っていたことがありました。種類はハチガラ(オウゴンムラソイ)、ナガラ(クロソイ)、ガヤ(エゾメバル)でいづれも大きさは10〜13cm位です。
真夏に水槽の温度が上がりエサの喰いが悪くなった時は近くの川に新鮮な餌を探しにタモを持って出掛けていました。獲物は「スジエビ」です。
このエビは水質が少々悪くても平気らしく、札幌市内を流れる少々臭そうな川でもタモ網で簡単に採取することができました。
また淡水のエビなのに塩分にも強く、海水魚の水槽に入れても元気に泳ぎ回っています。

             ソイ水槽     スジエビ採り    エビ・エビ・エビ

ただ肉食性が強く、同じ川で採取したタナゴ(タイリクバラタナゴ)やウキゴリと一緒の水槽に入れた時は、魚が弱っていたり、少しでも油断をしているとスジエビ軍団に囲まれてあっという間に食べられていました。
熱帯魚水槽の掃除屋として入れているヤマトヌマエビもたまに稚魚をかかえて泳いでいる姿を見ますが、自分より大きな生きている魚を襲うところは見たことがありません。
またミナミヌマエビは魚を襲うどころか、逆に食べられていました。

   ヤマトヌマエビ   タイリクバラタナゴ              スジエビ

それはソイ水槽の掃除をしている時です。魚を他の容器に入れ、流木を出そうとすると何かが流木の後ろから飛び出してきました。
見るとスジエビでした。それも2匹。スジエビを水槽に入れたのは1ヶ月程前です。
いくら汽水域で産卵することもあるエビでも1ヶ月もの間、完全な海水で生きて行けるものでしょうか?。

その後スジエビがどの位、海水の中で生きていけるのか実験をしてみました。
水の綺麗な海岸から汲んできた100%天然海水にスジエビ8匹を投入(落ちた時に分かるように少な目にしました)。
3ヵ月程経過しても全く弱る気配が無いのと、海水の汲み置きが無くなってしまったので実験は終了しましたが、真水に換えた後も何事も無かったかの様に元気で泳いでいました。スジエビ君!お前は何者?。

                   スジエビ水槽    抱卵スジエビ 


【ホッカイシマエビ(ホッカイエビ)】

北海道で水揚げされるエビとして有名なものにホッカイシマエビ(ホッカイエビ)があります。主にオホーツク海域で水揚げされ特に野付湾、尾岱沼(おだいとう)の打瀬船漁は夏の風物詩として有名です。
私もこのエビの塩茹が大好きで、茹でたてのプリプリとした食感と旨味の濃い塩味は何匹でも食べられてしまいます。

道南方面へ釣行した時、その日の釣りを終え隣町の温泉宿へ戻って食事をしていると電話が入りました。
『エビ食べる?』 電話の主はこの町に住む友人のM氏でした。
旅館の玄関に現れたM氏の頭にはキャップライト、右手にタモ、左手にはバケツを提げていました。
バケツの中には20匹前後のホッカイシマエビが元気よく泳いでいます。

どうやら近くの港で掬ったらしいのですが、このエビは北海道でも海水温の低いオホーツク海や道東でしか採れないものと思っていたので少しビックリ。
実際に管内の漁協市場には全く水揚げされていません。
M氏の話では、この周辺でホッカイシマエビが掬える港は一つだけで、何故か他の港には居ないとのことでした。
皆さんも近くの港を観察してみると以外な発見があるかもしれませんよ。

※場所によっては漁業権の設定(採捕出来ない魚介類)や漁具・漁法の規制(タモ網の大きさ等)がありますのでご注意下さい。

                          ホッカイシマエビ         


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