フレッシュプリキュア!感想
〜プリキュア3サイクル説〜



『フレッシュプリキュア!』を「プリキュアシリーズの1作品」としてみた場合、どのような立ち位置なんでしょうか?




実は、『フレッシュプリキュア』とは……
『yes!プリキュア5』のやり直しだったんじゃないでしょうか?




『ふたりはプリキュア』+『MaxHeart』→『Splash☆Star』と同じように
『yes!プリキュア5』+『GoGo!』→『フレッシュプリキュア』だったんじゃないでしょうか?



『Splash☆Star』は、無印プリキュアのやり直しであるとスタッフによって明言されています。
設定的なつながりなどはありませんが、前の2作品を作る際に不完全燃焼だった部分や作劇上で切り捨てなければならなかった部分、成功した要素や反省点を踏まえて、キャラクターを変えての『やりなおし』なんです。
『フレッシュプリキュア!』も、同様にプリキュア5の、キャラクター変え企画だったと捕えると、違った面が見えてきます。






プリキュア5シリーズとフレッシュプリキュア


『フレッシュプリキュア!』と『yes!プリキュア5(GoGo!)』を比べると、
デザインや、キャラの性格や雰囲気など、「パッと見」はかなり違います。


しかし、『フレッシュプリキュア!』には、明らかにプリキュア5を元にしたと思われるエピソードがいくつかあります。

・フレッシュ9話→GoGo!4話:オーディション直前に敵が現れるエピソード
・フレッシュ18話→GoGo!26話:プリキュアの戦いをTV中継する話

どちらも、GoGo!屈指の名作画ながらも「そういうシナリオってどうなの?」とツッコミが入ったエピソードです。
GoGo!のものを前提に、フレッシュのエピソードを捕えると、明らかにわかりやすく、納得できるつくりになっています。

オーディションの話では「みんなの期待をうららが裏切って勝手に自滅した」と取れるのに対して、美希は偶然つけたTVを見て悩む事すらなく走り出しています。
オーディションを抜け出した見希に対して、「ごめん!」とラブが泣き出すのもポイントでした。
TV中継の話でも、GoGo!では「ブンビーさんの趣味」以上の理由付けがされず、また、はじめてきた街の人たちに対して、のぞみたちがわかったことを言いまくる展開で「絵面は格好いいけど、無理がありすぎ」という感想しかありませんでしたが、フレッシュでは、ウエスターがTV中継をする理由がありますし、前半の子供とのエピソードと上手くまとめています。

総じて、GoGo!で「やりたかったけど不完全燃焼だった」エピソードを上手く練り直している印象があります。


他にも……
美希の扱いが、やたらとかれんさんとかぶる……とか、
イースがナキサケーベのカードをもらうシーンが、アラクネアとほぼ同じ流れ……とか

(しかも、このシーンのメビウス様は、明らかにラストのメビウス様がしそうにない行動を取っている)
そこかしこで、『yes!プリキュア5』で見たことのあるシーンが出てきます。


製作側としては「明言してはいないけれど、プリキュア5を踏まえた上で、キャラ変えのリメイク」と考えていた可能性は高いでしょう。
明言しなかった理由は……、S☆Sで明言したら、思いっきり反発食らったからでしょうねw







東せつなの元ネタ


では、フレッシュプリキュア!のキーパーソンである『東せつな』はどうなのでしょうか?


シリーズ的にいうと、一般的にはこういわれています。

『入澤キリヤ』→→→『霧生満&霧生薫』→(ダークドリーム)→→→『イース』
         ↑                            ↑
      『九条ひかり&ひかる』                『ブンビー』



『イース』は、『満&薫』のリメイクと一般的には言われています。
確かに、そうかもしれません。
けれど、それはあくまで『イース』としての元ネタです。
『イース』と『東せつな(=キュアパッション)』は、性格が全然違います。
性格を作っている可能性は充分考えられますが、そもそもの思考原理が違いすぎます。
そこが、「フレッシュの前半と後半でキャラとかノリが変わりすぎじゃね?」と言われる原因です。

(事実、設定を細かく見ていくと両者は別人になるんですけど……そこはスルーして)


実は、『東せつな』の原型になったキャラは、別にいたんじゃないでしょうか。

そう考える理由は、42話「ラビリンスからの招待状」です。
このエピソードでは、ノーザの「お前にプリキュアの資格などない!」に注目が集まっている風があります。
ですが、これは単なる言葉攻めであり、単にせつなの動揺を誘うためだけのネタに過ぎません。

ストーリーの流れで見ると、この42話はGoGo!の23話・24話に酷似しています。
・ノーザ(アナコンディ)が、前は仲間だったのにつけこんで、せつな(シロップ)を1人で呼び出す。
・せつな(シロップ)は、「仲間を危険に晒したくないから」1人で敵地に乗り込む。
・仲間たちは、1人でいったせつな(シロップ)を追いかけて、敵地に乗り込もうとする。
・せつな(シロップ)は、追い詰められるギリギリの所まで行きながらも、仲間の顔を思い出して踏みとどまる。




ストーリーラインと彼女達の心情の流れは、ほぼ一致しています。
これも、「やりなおし」のエピソードの1つだったと見て間違いないでしょう。
同時に、このエピソードは、東せつなから見たストーリーの要です。
なら、『東せつな(=キュアパッション)』の原型はシロップだったと見て間違いないんじゃないでしょうか。
……すぐフラッシュバックするし、
……見るのは不安が形になった悪夢ばっかりだし、
……威勢はいいけど基本へタレだし、
……行動するのに理屈を求めるタイプだし、
……そのくせ、衝動に任せて無茶苦茶するし、


ほんとにもう、そっくりですよ。
ある意味、イースよりもシロップの方が近いと部分すら見受けられます。


要するに……、
前半:イース←霧生満がモデル
後半:せつな←シロップがモデル
こうなっているから、見てる方が「ちぐはぐ」な印象を受けるんでしょうね。




翻って、『yes!プリキュア5GoGo!』におけるシロップの立ち位置を思い出してみると、
結局のところ、彼は「ダークドリームの代わり」でした。
夢原のぞみの視点からすれば、「ダークドリームを救えなかった」から、仲良くなれる余地のある敵には信じたいという考え方に変わっています。
デスパライアと和解を選んだのもしかり、最後にブンビーの名前を呼んだのもしかり、ムシバーンや館長を相手に「こんな戦いしなくて良かったのに!」と叫んだのも、その流れです。
シロップにしても、この流れの中で「仲間」として自然に受け入れています。


『Splash☆Star』における、霧生満&薫の場合は、登場時から最終回まで、一貫して「絆に憧れる『強い』キャラ」でした。
咲&舞の『絆』の強さに惹かれ、命を投げ出しても彼女達を助けようとして、復活後は「絶対に諦めないっていったのはあなたたちでしょ!」と鼓舞までしました。
元々「そういうキャラ」として設定され、最後まで「そういうキャラ」であり続けました。



せつなの場合は、彼らに比べると、態度がころころ変わります。
「何を考えて行動しているか」の部分が、(特に後半)登場するたびに違う事すらあります。
ラブたちも、そこにツッコミを入れる事はありませんでした。
というか、その辺には触れないようにシナリオレベルで、かなり気を使っていた風があります。

キャラの立ち位置としては、GoGo!の「ダークドリーム→シロップ」を「霧生満→シロップ」にしたのでしょう。
でもね、そもそも、これを1キャラでやるとか無理だから!!

しかも、一番奥底の心情変化にメスを入れないようなシナリオ作りとか、無理にも程があるっつの!!
(これしたら、女の子向けから思いっきり離れるから仕方ないけど)






プリキュア3サイクル説


スタッフが意識したかどうかはともかく、今までのプリキュアは3作品で1つのサイクルを形成しています。

1:始まり(ふたりはプリキュア・yes!プリキュア5)
前作品から、一気に空気を変えようと、これでもかとばかりに違う要素を詰め込んだ作品。
すぐ打ち切っても良いように、おもちゃが簡単なつくりだったり、「次のこと」なんて考えないで、思いついたネタをありったけぶち込んで作っているのが特徴です。
スタッフ側も企画時点で「これを続けてやろう」なんて思いもしないで、現在の作品を良くする事のみに集中しています。
(西尾Pは、インタビューで「まさか5の続編を作るとは思いもよらなかった」と答えています)
結果的に、新しいファンが大量に生まれる事になりました。



2:続編(ふたりはプリキュアMax Heart・yes!プリキュア5 GoGo!)
前年の作品が、思いのほか好評だったので、2年目決定!
現場の人が「こういう作品を作りたい」と出した企画ではなく、上から降りてきたものっぽい印象があります。
面白いエピソードと、ネタ切れっぽいグダグダなエピソードが混在するのが特徴です。



3:リメイク(ふたりはプリキュアSplash☆Star・フレッシュプリキュア!)
前2つの作品で「やろうとしたけれど上手くいかなかった」要素を膨らませた作品。
「上手くいかなかった」理由は、主にシナリオレベルの練りこみの不足のため、もしくは主題に合わないため。
(入澤キリヤは「プリキュアに彼氏は要らない」と干されたし、GoGo!オープニングのTVデビューは「絵面はいいけど作品の世界観との整合性が取れない」と、正体バレを避けた)
これらの要素を、初期設定や世界観レベルで取り込んで作った作品であるのが特徴です。
リメイクであるために、完成度は高いけれど、「目新しさ」は少ない。



こういう視点で見ると、『フレッシュプリキュア!』は、リメイクでありながら「リメイクの枠」を飛び出そうとした作品だったと言えます。
(逆に言えば『Splash☆Star』は、リメイクに徹した作品です。)

リメイクに徹すると、(Splash☆Starのように)完成度は高くても新規のファンがつかずジリ貧になる。
だから、一見リメイクに見えないように、パッと見を大きく変える。
さらに、「プリキュアが正体を明かして世界を変える」という、GoGo!で出来なかった要素にスポットライトを当てた。
しかし、残念ながら、『フレッシュプリキュア!』の新要素は、完全に上手くいったとは言えないでしょう。

『リメイク』要素が多く見られた前半戦は、割とそつなくこなしていましたし、名エピソードも多かったです。
しかし、『リメイクの枠』を飛び出した12月以降は、なにがしたいのかすら判らない話が続出しました。

(シナリオの練りこみが甘すぎて、説得力が欠片も無かったエピソードが多すぎます。)
宗教がらみの設定も多かったし、火遊びに手を出すには、脚本が甘すぎたかな……てのが正直な感想です。
(後半で面白かったのは、成田さんが書いた回だけだったしねw)




現在放映中の「ハートキャッチプリキュア!」は、色々と新要素満載です。
新しいサイクルに入ったと見ていいでしょう。
さて、これからどうなるのか……。


個人的には「人気が出たからもう1年」ってのは勘弁して欲しいわけなんですけどね。





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