プリキュアオールスターズDX感想
〜歴代プリキュアの能力比較〜
Yes!プリキュア5GoGo!編


#能力特化とリスク分散
アーセナルシップという計画がありました。米海軍の話です。

端折って説明すると、
「艦隊の中核に、対空ミサイルや対艦ミサイル、対地ミサイルを何百発も搭載して、でも自分自身は索敵手段とか持たない、データリンクでイージス艦とかに誘導してもらう艦を造れば、艦隊の火力が安価で飛躍的に向上する」というものです。
現代の電子装備は非常に高価なので、それら一切を省いたアーセナル艦は電子装備を搭載する他の巡洋艦や駆逐艦に比べて安価に造れます。
しかも、自らレーダーを使わないのでステルス性能に優れます。

いい事尽くめのようですが、
「敵のジャミングとか故障とかでデータリンクが機能しなくなったらどうするの?」
「アーセナル艦が敵の攻撃で沈没したらどうするの?」
「誘導するイージス艦とかの僚艦が故障したり沈没したらどうするの?」
「船体自体は安価でも、何百発もミサイル搭載したら結局高くつく」

というような問題で計画は中止になりました。

艦隊として、戦力を集中的に運用する艦に頼るというのは、効率は良いかもしれませんが戦力として脆弱なんです。

それならば、それなりの装備を揃えた艦で艦隊を組む事は、リスク分散の観点から見て一定の価値は見出せます。

たとえ1隻が沈没しても、艦隊の戦力の大幅減は避けられますし、何らかのトラブルでデータリンクが出来なくても自前で索敵や迎撃も可能です


アーセナルシップならば、中核となる艦に何かあったら、そこで作戦を中止して母港に戻らざるを得ませんが、イージス艦などで揃えているならば、1隻くらい沈んでも任務の続行が可能になります。



『Yes!プリキュア5GoGo!』(以下GoGo!)での、プリキュア5の変化は、まさしく、この考え方そのものです。

・ミントは防御一筋のミントプロテクションから、フィールドを収束させて攻撃するエメラルドソーサーへ
・レモネードは牽制専用だったレモネードフラッシュから、変幻自在のプリズムチェーンへ

分断されると極端にきつかった2者が、応用力の高い技を身に着けて変幻自在に立ち回るようになりました。

・ルージュは単発技のルージュファイアーから、ホーミング性のあるファイアーストライクへ
・アクアは比較的近距離で使うことが多かったアクアトルネードから、遠距離専用のサファイアアローへ

身体能力が高く格闘センスのいい2者は、遠距離の技を強化してオールレンジで戦うようになりました。

・ドリームは単発トドメ技のドリームアタックから、突進技のシューティングスターへ
他のメンバーの技のエネルギーを加えてパワーアップさせるなど発展性の高い技へと変化しています。

個々のメンバーが『苦手な状況』を減らし個人で戦えるようにつつ、戦況を変えうる応用力の高い技でチーム全体の連携に貢献できるように変化しています。



ナイトメア戦の後半で、ブラッディやシャドウに分断作戦をされたのが、よほど苦しかったのでしょう。
どの組み合わせで分断されても、それなりに戦えるように能力が平均化されています。


実際に、GoGo!ではシビレッタやビター&ドライなど、プリキュア5を完全に分断してくる相手によって、チームを分断される羽目に陥っています。
ですが、『レモネード&ミント』や『ルージュ&ミント(お化け相手なのでルージュは戦力外)』のような組み合わせでも、充分に戦うことができています。
それどころか、誰か一人のみの状況でもそれなりに戦えています。
『リスク分散』の考え方から見れば、充分な成果といえます。




#戦況を見極める眼
では、1人だけでも良いのかといえば、そういうわけではありません。
プリキュア5の持ち味は、やはり『チーム』としての完成度です。

『役割分担』の意味合いが薄れたことで、誰でも前衛を勤めることが可能になりました。
相手に対して有利な位置にいるものが攻撃を開始して、相手に隙が出来たところで別の者がすかさず追撃。
これを繰り返すのが、GoGo!の時点でのプリキュア5の基本戦術です。

ナイトメアとの1年間の戦い、その経験こそがGoGo!での下敷きになっているのです。
普段の立ち回り方や、『戦況』および『勝負時』を見極める目、これがプリキュア5の一番の武器です。




オールスターズDXで、キュアブラック&ホワイトが『鉄アレイコワイナー』を蹴飛ばした後、アクアはすかさずサファイアアローで追撃をかけています。
ブラック&ホワイトは、このとき、非常に驚いていました。
『挟まれないようにとりあえず蹴飛ばして緊急回避した』相手を、潰してもらう経験などなかったのでしょう。
(ルミナスは……そんなことできないしねw)
ですが、アクア側としては至極当然のように行動しています。
『浮いた』相手に必殺技で追撃をかけるのはプリキュア5にとっては基本中の基本です。
特にGoGo!に入ってからは、その傾向に磨きがかかり、『必殺技でお手玉』という荒業も使っています。


また、フュージョン戦でも見事な連携を見せています。
・キュアブライト&ウィンディが空から『光&風』で攻撃を仕掛けようとする。
・それに気づいたフュージョンが迎撃しようとする。
・フュージョンの動きを見たミルキィローズが、足元を崩して、フュージョンの体勢を崩す。
・すかさずレモネードがチェーンで束縛し、フュージョンの動きを封じる。
・『光&風』にタイミングを合わせてドリームがシューティングスターで突撃

(しかも、Hit位置を微妙にずらし挟み込むようにしてダメージを倍増させている)

一瞬にして、これだけの状況を見切って流れるように相手を追い込み、追撃までかけています。
『Yesシステム』の精神感応で戦況を見極め、『勝負所』の一瞬からの連携で相手を叩き潰す。
そして、誰もが前衛も支援もこなすことが出来る。
これは、かなり完成度の高いチームです。




#リスク分散の代償
GoGo!の戦術は、一見いい事尽くめのように見えます。
ですが、致命的ともいえる欠点があります。

格下の相手には、確定で勝てるのですが、『格上の相手には勝てない』のです。

5人+ミルキィローズが、ほぼ同じ力を持っている
……ということは、1人が勝てない相手には6人がかりでもきついんです!



GoGo!の基本戦術は、6人で牽制しながら誰かが相手をして、隙が出来たところで連続攻撃を叩き込むことです。
つまり、誰かが相手をしなければならず、彼我の戦力差がある場合は、最初の『隙』を作れません。
アナコンディ・ムシバーン・エターナル館長、彼らのような『強敵』を相手をしたときは、メンバーが組み合うことすらなく吹き飛ばされてしまいます。
これでは、GoGo!の戦術そのものが成り立ちません。

似たような例で、ブンビーが『攻撃が当たった瞬間に相手を拘束する』ホシイナーを使ったことがあります。
アナコンディの石化能力もそうですが、一撃でプリキュアを沈黙させる攻撃も『連携』を阻害されるという点でプリキュア5の天敵となりえます。

リスク分散のため能力を平均化したことで、攻防に『軸』がなくなってしまったのです。
そのため、プリキュア5を『あしらう』レベルの相手に対しては、とっかかりすら掴めなくなってしまいました。



キュアローズガーデンでの決戦で、ドリームは口上を述べている最中の館長相手に不意打ちをかけました。
おそらく、ドリームは自分達の弱点を知った上で、
『奇襲で決めるしか勝ち目がない!』と踏んだのでしょう。

(直前のアナコンディやムカーディアにあれだけ苦戦しましたし)


館長は、怒涛の必殺技連打にすら耐え抜き、圧倒的な力でプリキュア5を追い詰めました。
『フローラの種』によって、最後の力を得たプリキュア5が取った行動は『エメラルドソーサーの強化』でした。

館長の攻撃を捨て身で受け止めたミントのソーサーに6人がかりでパワーを注ぎ込み強化。
攻撃を相殺して、隙が出来た館長に全員がかりで突撃する。
ある意味、一番最初のプリキュア5の戦術に立ち返ったといえます。





結局、切り札となったのは、一番最初に慣れ親しんだ戦術だったということになります。





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