ジオンの残業
〜ジェリド=ニュータイプ説〜


ジェリド・メサは、「ガンダム史上一番多くの機体を乗り継いだ男」として有名です。
最後に乗った機体は「バウンド・ドック」でした。

ニュータイプ用のMSであるこの機体をなぜ、ジェリドが使いこなせたのかについて、昔からちょくちょく話のネタにされていました。


・あのバウンドドックは、オールドタイプ用に調整されていた。
・実はジェリドはニュータイプだった。




たいていの場合この2つの説が出てきて、「ジェリドはニュータイプじゃないだろ!」ということで前者が結論になる場合が多いです。
確かに、ジェリドは「典型的なオールドタイプ」として描写されています。
ただ、それは、富野監督作品特有の「排除されるべき敵役」として描写されているにすぎません。

「ニュータイプ」の定義は、劇中でも人と場合によってまちまちなのですが、単純に「NT能力を持つ人間」として考えた場合、ジェリドにも、その素養はあったんじゃないでしょうか。




物語中盤を見ると、ジェリドがNT能力を持っているような描写がかなり出てきます。
・はじめてZガンダムに乗ったカミーユに対して「カミーユか?ヤツめ!」(第22話:「シロッコの眼」)
・シロッコのプレッシャーを感じて「何だ!この不快感は?」(第23話:「ムーン・アタック」)
・建設中のコロニー内に逃げ込んだZガンダムの位置を正確に把握した(第29話:「サイド2の危機」)
・カミーユが「カツは感じなかったか?何か歪んだもののプレッシャーを」と感じている。(同上)


ジェリドがガブスレイに乗っていた時期は、「NT同士のプレッシャー」にはジェリドも入っていました。
少なくとも、カツやサラよりは「NTの素養」があったのではないでしょうか。

行動がニュータイプ的ではない(電波な行動をしない)点については、それだけの責任感があった
…というかマウアーが止めてくれてたのが実情でしょう。




そして、第30話「ジェリド特攻」では…
ガディ艦長の作戦によって、アーガマに奇襲をかけるジェリドとマウアー
取って返したZガンダムたちによってアーガマ撃沈には至らず、カミーユと交戦します。
その最中、マウアーはジェリドをかばい、宇宙に散りました。

ジェリドのガブスレイも両足を失い、爆発を待つばかり…
その刹那、ジェリドはマウアーの影を見ます。

ジェリド「よし、マウアー!いけるぞ!!」


この後、ジェリドはアーガマに突貫をかけ、Zガンダムを圧倒しネモ2機を撃墜。
爆発寸前だったはずのガブスレイはビーム3発を直撃されても耐え切りました。



カミーユも「あれは普通じゃない」「何で、あんなにもったんだ?」と驚いています。
また戦闘後「でも、俺は見たんだ…」とマウアーの姿を思い返してもいます。

(これは、ジェリドをかばった時の姿かもしれませんが…)




今にして思えば…
これは「Zの発動」の片鱗だったんじゃないでしょうか。



最終決戦でカミーユが使った「人の体を通して出る力」
彼の言葉を借りれば「宇宙を支える生命」が力を貸してくれ、Zガンダムはものすごい力を発揮しました。
(私はBGM名から「Zの発動」と呼んでいます。)

あのとき、ジェリドは不完全ながら「Zの発動」をなしえた
そう考えれば、色々と辻褄が合います。



・マウアーは、「宇宙を支える生命」としてジェリドを守ったのです。
だから、ビームライフルの直撃を受けても、ジェリドは生き延びました。
Zガンダムは目に見えるほどのバリアを張っていましたが、これはバイオセンサーつきのZガンダムとガブスレイの違い、もしくは守ってくれていた人の差、カミーユとジェリドの違いでしょう。


・これ以降、ジェリドはニュータイプらしさを失っている。
ジェリド:「うっ、ここは…?オレは死んだのか? うっ! あっ! マウアー。あぁっ?」
マウアー:「ジェリド…あなたは決して負けない…。あなたは世界を正しい方向に持って行くことができる。」
ジェリド:「そんな事はいい。オレはただ、この手に全てを掴みたいんだ。」
マウアー:「生き延びること…。戦うこと…。あなたにとって今はそれが正しい…。」
ジェリド:「なのに、お前までいなくなっちまうなんて。」


この後、マウアーに手を差し伸べた先にレバーがあり、それを掴んで突貫するわけなんですが…
マウアーの言葉とジェリドの言葉が噛みあっていません。
(「世界を正しい方向に持っていく」は、この手の「宇宙を支える生命」が必ず言う台詞なのですが、意味がわからないのでスルーしてw)

マウアーの最後の力で「戦う」ことを選んだジェリドは、その「力」に守られてアーガマに突貫しました。
あと一歩まで追い詰めますが、ボロボロの機体ではいかんともしがたく…

「ダメだ…マウアー!」と、撤退信号を上げました。

そして、ジェリドは、2度とマウアーの声を聞くことはありませんでした。
「俺の体をみんなに貸すぞ!」とまで言い切ったカミーユとの差は、ここにあったのかもしれません。




エマ・シーンは最終決戦で「Zガンダムは人の意志を吸い込んで、自分の力にできる」と見抜きました。
ヤザン戦の初見で見抜いたのは「洞察力ありすぎだろ」と思っていたのですが、
もしかしたら、エマはこの時のジェリドと同じものを感じたのかもしれません。





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