トップページへ 議会質問目次へ 質問要約記事へ 2期目質問リストへ
99年8月30日行財政改革特別委員会
財政再建推進プランを批判、乳幼児医療費助成、重度障害者手当て、高速道路への負担見直し
◯曽根委員 それでは、東京都の財政再建推進プランについて質問させていただきます。
今、全国の多くの自治体が、政府による過大な公共事業の押しつけで借金が急激に増大して、公債費の負担で苦しんでいるわけです。東京都も全国に先駆けて、八〇年代半ばから単独費の公共事業を拡大してきました。これで結局、都民サービスよりも開発優先という逆立ちした財政運営を繰り返してきて、結果、全会計合わせれば十四兆三千億円の重い借金を抱えているわけです。
そういう点から、都の財政再建は、私たちにとって焦眉の課題でありますが、財政を立て直す上で、問題は、財政難の原因にきちんとメスを入れて自治体本来の健全な財政へと転換を目指していくのか、それとも、毎回逆立ちした財政運営を続けて、その犠牲を都民に押しつけるだけなのかどうか、ここの点が今非常にするどく問われていると思います。
都の財政プランを見ますと、その点で、私がいった残念ながら後者の方、都民犠牲という重大な問題を抱えております。きょうは、限られた時間の中で、三つの問題に絞ってただしておきたいと思うんです。
まず第一に、都の財政プランの中で、九六年に出されました財政健全化計画、これよりもはるかに大規模で深刻な都民犠牲の押しつけを行う計画になっているという問題です。この財政プランでは、冒頭に、今後四年間で六千億円から七千億円の財源不足が生じるとして、施策の見直しなどによって、二〇〇三年度で、単年度六千三百億円の財源不足を解消するんだというふうにしているわけですが、その最大のものは、これを見ても明らかなとおり、二千四百億円の一般財源を生み出すという施策の見直しであります。
そして、そこを読むと、特に一般財源の充当額の多い事業について重点的に見直しを図るとされており、ご丁寧に、一般財源充当額が五億円以上の百三十八事業が、後半の大半のページを使って載っているわけです。
そこで、これが重点的見直し対象となる事業というふうに見られると思いますが、百三十八の事業に充当されている一般財源額というのは、都の行っている施策全体の一般財源額の中で、どれぐらいの割合を占めているんでしょうか。
◯成田財務局主計部長 ただいまご紹介ございました百三十八事業に充当されております一般財源は、約一兆二千百億円でございます。他方、一般会計の一般財源総額から給与関係費や公債費、税連動経費を除いた一般財源の額は、一兆三千億円でございます。そういう意味での対比からいたしますと、約九割ということになります。
◯曽根委員 都の事業は、細かく分ければ六千以上、大きくくくっても千以上あるというふうに聞いていますが、ここに載っている百三十八の事業によって、一般財源ベースでいえば全体の九割を占めているということですから、まさに、この百三十八事業が重点的見直しの対象ということになると思うんです。
ところが、これを見てみると、非常に私不可解なことに気がついたんですが、まず圧倒的に経常経費であると。これは一般財源充当額に絞って重点を置いているということがあると思うんですが、しかも、経常経費の中でも、例えば都民から批判の強いコスモ信組への二十億円、毎年出していますよね、これが入っていない。私たちが厳しく批判してきて、もう時代おくれだ、時代に合わないということで解消すべきだといっている同和対策事業も、数十億円規模で残っていると思うんですが、入っていない。
一方で、もちろん投資的経費、これは非常にこの中では軽く扱われているということですね、臨海開発なんか単独で出てこないんです。こういう極めて重要な特徴があると思っています。
そこで、事業の全体のくくりでお聞きしたいんですが、百三十八事業の中で、一番自治体として守らなければならない福祉、教育、医療の分野、この事業は幾つ入っているんでしょうか。
◯成田財務局主計部長 百三十八事業のうち、福祉、教育、医療の事業数はそれぞれ幾らかというご質問でございますが、まず、福祉関係の事業につきましては四十四事業でございます。それから、教育につきましては十三事業、医療、すなわち衛生関係ということにいたしますと、これが十五事業になっております。
◯曽根委員 ここで、委員長のお許しをいただいてパネルをちょっと出したいんですが、今お話のあった事業を私なりに、いろいろ項目が入り組んでいますけれども、ここに大くくりで試算をして出してみました。全体の分野の中では、百三十八事業の中で福祉、医療分野が三八%、教育、文化関係が一四%と、これでちょうど半分ぐらいを占めているわけです。一般財源ベースでも、ほとんど同じだと思うんです。
それから、さらに住宅や産業対策、環境対策など、都民の生活に密着した事業なども加えますと、七割から八割近くが都民にとってかけがえのない事業で、都の財政が厳しいからといって安易に切り捨ててはならない事業がずらっと並んでいるわけです。
そのほかを見ますと、例えば大型の公共事業などは、わずか四%しか事業数でいえば入っていないし、あとは公営企業会計の繰出金が割合に金額が大きく入っていますけれども、そういうものに限られている。どこにシフトが置かれているかは明らかだと思うんです。こういうものが、これから、ここに書かれてありますように、いわば例外なく、聖域なく見直しの対象とされるということになる。
この点でも、やはりここにねらいを定めて切り捨てているという財政計画、全面的に都民犠牲の押しつけというふうに、全体を見てもいわざるを得ないと思います。
しかも、財政プランでは、このうち経常経費の見直しについては、投資的経費と区別して、今後すべての施策について、事業の存廃を含め根本的な見直しを行っていくとされています。百三十八事業の中で見れば、投資的経費に比べて一般財源充当率が高いわけで、全体を見れば八割以上でしょうね、経常経費が。これが焦点を当てられて、すべての事業を存廃を含めて根本から見直すと最初から宣言しているのが、今度のプランの特徴であります。
私、その中で特に切り捨てがひどいのが、福祉分野の事業の見直しだと思うんです。この財政プランに続いて福祉と高齢の局で、福祉施策の新たな展開という文書が発表されました。これは当然ながら、この財政プランと一体のものというふうに受けとめるべきものだと思いますが、ここでは、福祉施策の新たな展開という題名をつけながら、今後の福祉施策については、新たな展開どころか全く抽象的な言葉ばかりが並んで、具体的な政策はほとんど出てこない。これに対して、現行の福祉施策の見直しについては、極めて具体的に見直し事業名を十一項目、名指しで挙げているわけです。
乳幼児医療費助成、ひとり親家庭の医療費助成、児童育成手当、老人医療費助成、シルバーパス、老人福祉手当、特養ホームの運営費加算、都立高齢者施設の運営の見直し、重度心身障害者手当、心身障害者福祉手当、心身障害者医療費助成であります。
この十一の事業は、都の福祉の大きな柱をなしてきた事業ばかりです。一つ一つの制度に、関係者が苦労して積み上げてきた努力の歴史があります。それがこの薄さですから、理由らしい理由も示されず、いとも簡単に、見直しますとだけ書かれているんです。なぜ、この十一の事業が、わざわざ見直しを明記されたのか、これはもちろん福祉局や高齢者施策推進室の考えという、それだけでは私はないと思うんです。財政プランと軌を一にするものだというふうに思わざるを得ません。
そこで、ちょっとこの点をお聞きしたいんですが、別紙2の事業のリストに掲げられた福祉関連、先ほど四十四事業あるとおっしゃいましたが、その中で、実際は国の制度によって義務づけられた事業がかなり入っています。また、国の制度の義務づけと、都がそれに一部上乗せをしている事業も入っているんです。それぞれ幾つぐらいそういう事業があるでしょうか。
◯成田財務局主計部長 別紙2でお示ししております百三十八事業の事業区分は、必ずしも国の事業区分に対応していないため、あくまでも国の制度に基づく義務的な事業を含む事業、及びそれに都が上乗せしている事業を含む事業、そういう前提で抽出しますと、福祉関係の四十四事業のうち、国の制度によって義務づけられた事業は五事業、国の基準に都が独自に加算している事業は十一事業となっております。
◯曽根委員 つまり五つの事業は、この百三十八の中に入っていますけれども、都の単独の裁量では削ることはできないわけですね、義務づけですから。それから、都が上乗せしている十一の事業も、都の裁量で見直しができるのは上乗せ部分だけに限られるということになり、財源を生み出すという点では条件は限られています。すると、思い切って財源対策ということで削れるのは何か、これは単独事業。しかも、都が行っている福祉の単独事業で予算上大きな位置を占めている、先ほど挙げられた十一の事業、どうしてもそこに矛先が向かわざるを得ないような仕組みになっているわけです。 財務局が、とにかく一般財源で二割削れというふうに財政プランをもとに指示をすれば、福祉の二つの局は、三十年来の全国に誇る先進的な事業を、二割どころではなくて、ほかの事業が削れない分だけさらにばっさりと切り落とす、物によっては全廃するということにならざるを得ない仕組みになっているわけです。この福祉切り捨て計画に対して危機を感じた多くの団体から、次々と、かつてない怒り、そして驚きの声が上がっているのは当然だと思います。ここまでやるのかという声であります。 大体この福祉の切り捨て計画は、私が道理が全くないというのは、私たち自身が都議会で、都民の声を受けて、まだ一年ちょっと前に、例えばシルバーパスやマル福、マル障などは財政健全化計画で削減が計画されながら、厳しい審判が下って、マル福は否決、シルバーパスや障害者のマル障は知事自身が撤回せざるを得ないということになったばかりなんですよ。これを蒸し返すというのは、議会と都民に対する非常に乱暴な挑戦だと思います。 そこで、お聞きしますが、昨年の予算議会で、たしか委員会で既にマル福が、削減案が否決されたその直後の締めくくり総括質疑の中で、前知事ですけれども、青島さんは、マル福削減が全会一致で否決されたことに対して、重く受けとめざるを得ないというふうにいったわけです。一年ちょっとで、また見直しというのはどういうことか。今度の計画にも都民や議会の声を聞くというふうに書いてありますが、もうあれだけ議論して、結論を出したものを、この意見はどういうふうに受けとめているんでしょうか。
◯成田財務局主計部長 現在、都財政の置かれております状況は、財政健全化計画の策定時と比較して、より危機的な状況に陥っております。このため、財政再建推進プランでは、厳しいさらなる内部努力や聖域なき施策の見直しを行うなど、社会経済状況の変化を踏まえた都財政の構造改革への取り組みを推進することにしたところでありまして、すべての施策及びその実施体制につきまして、あらゆる角度から精査、点検を行っていくことになります。
◯曽根委員 昨年の議会の、私たちだけではなく、ほとんど全党の合意というのは、都の財政が、去年の段階の厳しさから──だからいいとか悪いとか、今日だからいいとか悪いとかいう問題じゃない、こういうものは、財政の厳しさを理由にして、都民に押しつけてはならない犠牲なんだというのが結論ですよ。それが全然受けとめられていない。去年より厳しいからしようがないんだ、こんなことは理由になりませんよ。非常に無責任きわまりないと思います。意見を聞く姿勢が一体あるのかと。 さらに重大なのは、この十一の事業の中には、これまで充実を約束し、現に拡充してきた事業が投げ捨てられようとしている問題もある。乳幼児、ひとり親家庭のそれぞれ医療費助成、これは少子化対策として、今までずっと緊急課題だということで、都民の運動もあり、東京都もようやく重い腰を上げて拡充してきた。東京都の出生率は全国最低です。女性が子どもを生まない理由は、都の調査でも国の調査でも、経済的負担の重さが第一位だと。これは拡充は当然です。 だからこそ、健全化計画であれだけ、ほかの福祉がやり玉に上げられながら、この乳幼児医療費助成は三歳から四歳未満に引き上げられてきたわけです。今回、財政プランでも、また、福祉局の福祉のプランでも見直し対象にされているというのは、どう考えても、今までの政策から見て筋が通らないんじゃないでしょうか。いかがですか。
◯成田財務局主計部長 財政再建を進めるに当たりましては、すべての施策及び実施体制につきまして、あらゆる角度から精査、点検を行いまして、新たな都民ニーズに的確に対応するために施策の再構築を行っていくこととしております。 したがいまして、今お話のございました乳幼児医療費助成制度も、先日発表されました福祉施策の新たな展開で述べているように、子どもと子育て家庭への支援に関する施策を再構築していく中で、見直しが行われるものと考えております。
◯曽根委員 本当にお話にならないんですよ、そんなことでは。だって、大体、都が乳幼児医療費については、所得制限つきだけれども、四歳未満までやるから、全額を見るからということで今、区市町村が、それに上乗せして頑張っているわけです。何とか就学前まで所得制限もなしでやっているところも出てきた、そういうときに都がやめてしまう、もしくは大幅削減だとなると、区市町村は、まさにはしごを外されるわけですよ。これ、どういうふうに説明しますか、区市町村に。東京都は見直しだからよろしくといえるんですか。
◯成田財務局主計部長 ただいま申し上げましたように、この施策につきましては、子どもと子育て家庭への支援に関する施策の新たな再構築、そういった中で位置づけて、それで区市町村と相談していく、そういう事柄であろうかと考えます。
◯曽根委員 再構築だからということで区市町村に説明して、それで理解が得られるんでしょうか。 北区議会で、ちょうどきょうの午前中に企画総務委員会がありまして、そこで北区の緊急財政対策というのを説明したんですが、その中で財政担当課長が、とにかく東京都の財政再建推進プランは、区にとって、水道に例えれば元栓を締められたようなものだといっていましたよ。本当にそうだと思うんです。水が来ない。もちろん行政だけではなくて、要するにそれぞれの自治体で、何とか拡充を、それぞれ協力してやるということで進めてきた、それに対する大きな期待がこの分野ではあったわけですよ。それを全部裏切ることになる。 しかも、昨年から、やっと国に対して都が、政府に対する重点要望で、乳幼児医療費の助成制度の創設というのをいい始めたんじゃないですか。それにこたえて、国が重い腰を上げて、やっと制度の創設の検討が今始まりつつある。そのやさきに、なぜ都が切り下げるのか。本来なら、国の制度ができて、都が上乗せすれば、もっと充実したものになるというチャンスじゃないですか。国に対しても、区市町村に対しても、これは全くいいわけの立たない話なんです。 こういう点でも、今回の福祉プランというのは、都民の意見を聞くとか、関係者の理解と合意を得るなどというのは、さらさら考えていない。ただ、何よりも削減ありきと。そのためには、これまでの制度の役割や関係者の努力とか、構わず一律にばっさり切るという、私は、この点では財政健全化計画よりも数段ひどいものだということが、この点を見てもはっきりしていると思うんです。 もう一つ、時間も余りないですけれども、この十一事業の中に入っている障害者やひとり親家庭、それから寝たきり高齢者の福祉手当の軒並みの見直しというのも重大だと思っているんです。特に、重度障害者の手当の見直し、これは本当に私は放置できないんですよ。ことし、予算委員会でも、私は盲聾者に対する通訳派遣事業をいいましたけれども、予算上は、東京都の財政は本当に頑張れば何とかなる、維持できる、充実さえできるというものを切っている、その代表的な例だと思います。 この手当は、重度の障害者で常時複雑な介護が必要な人に、在宅の場合に限って支給されているものです。常時介護ですから、例えばヘルパーさんなんかが来ていても、家族が二十四時間ほとんどつきっきりです。したがって、仕事に出られないために、世帯収入が低いのが通例であります。ある手当受給者の実情をお伺いしましたが、世帯主の男性が、難病で手足の筋肉が動かなくなる病気になった、今入院中だと。その息子さんが、五歳で同じ病気が発病して運動機能が低下している、現在二十七歳。二十年以上にわたって、お母さんが自宅で、切開した気管から絶えずたんを吸引するわけですね。これをやめれば、のどが詰まって命が危ないと。絶えずそれをやっているわけです。 したがって、カテーテルを初めとして、ガーゼその他、水も流動食も、病院にいないわけですから全部お金がかかるということで、どんなに倹約しても、月に医療品代だけで四万から六万のお金がかかるんだということでした。生活費は、障害者の福祉手当とこの重度の手当が中心ですから、これは極めて一般的な例ですけれども、この重度手当六万円を外すということは、本当に命の管を引き抜くということにつながっていくんです。 これは、財政プランで、聖域なしに根本から見直す対象に、リストの中に入っていますよね。この重度障害者手当というのも、財務局は福祉局に対して、存続させるかどうかも含めて検討するよう指示したというふうに聞いていますが、事実でしょうか。
◯成田財務局主計部長 財政構造改革を徹底的に進めるに当たりまして、すべての施策につきまして、事業の存廃を含めて根本的な見直しを行い、必要な再構築を行っていく、そういうことは各局に指示しているところでございます。
◯曽根委員 存廃含めて、廃止されてももちろん大変ですが、二割や三割削られても、たちどころに生活や介護が成り立たない、ぎりぎりで暮らしている世帯への手当であります。ここにまで切り込みを計画すること自体が、本当に福祉を破壊するものであり、自治体としての任務放棄だと私は思います。これは絶対に都民の理解を得られません。こういう福祉や医療、教育などは、どんなに財政が苦しくても、必要な施策は守り抜くというのが自治体の使命ではないでしょうか。財政が厳しいときこそ、こういう施策を守るために、財務局長、財務局長の手腕が問われるんですよ。厳しいから施策を削るというのは、余りにも安易過ぎます。ましてや、それなしでは生活も、また人間の尊厳も守れない人の福祉まで、安易に一律に削減すべきではないということを申し上げておきたいと思います。 これに対しては、今、多くの要望や訴えが寄せられていますが、例えば、障害者団体の東京都の連絡会の方はこういうふうにいっています。障害者施策を初め都民生活にかかわる施策を、予算額の大小で見直しの対象にするべきじゃないんだ、そこで生活する都民一人一人の実態を見て、人権を守っていくことが自治体本来の姿ではないかと訴えています。 それから、我が党もいろいろな福祉団体の方々と懇談しましたけれども、育成会の方は、この障害者手当については何としても守りたいと。また、守るだけじゃなくて、生活寮、グループホームなどはもっと伸ばすように、力を尽くしていかなければならないというふうにおっしゃっています。守るだけじゃ済まないんですよ。今、充実こそ求められている分野であります。まだまだ足りないということです。 こういう点で、私は、第一の問題として、都民に余りにも犠牲を押しつけているこの計画の問題点を明らかにしてきましたが、二つ目の問題は、財政プランで、それでは都の財政の浪費にメスが入ったのかというと、これは先ほどちょっといいましたが、投資的事業が非常に軽く扱われて、メスが入っていない。しかも、借金は野放し。財政危機の原因に手をつけようとしていない計画だという問題であります。 今回のプランで、一般財源を捻出することだけを目標にしておきながら、都の借金の積み増しとか、それによる投資的な事業の拡大に抑制をかけていない。したがって、都民からむだ遣いと批判されて、財政破綻が深刻化している臨海開発事業とか、幹線道路建設事業などはほとんど野放し。どうしてこういうことになるんでしょうか。
◯成田財務局主計部長 先ほど申し上げましたように、今回の財政再建プランにおきましては、投資的経費につきましても、一般財源ベースで、平成十五年度には三〇%削減するということをやっております。それは投資的経費の対象として、さまざまな道路建設等、それにつきましては聖域なく、すべてにわたって見直していきたいと考えております。
◯曽根委員 道路建設や開発についても聖域なくといっても、では、そこに一般財源がどれだけ入っているのかということが見直しの基準ですから、どれぐらいメスが入るのかということになると、例えば臨海開発の中の臨海道路、これは確かに街路整備事業の中に入っているそうなんですよ。しかし、臨海道路というのは、九割が単独事業ですけれども、ほとんど借金。一般財源はほとんど入っていないということから重点にならないということで、本当にむだ遣いの一番問題のある事業が、今回、一般財源を重点にするという形のためにメスが入らないという仕組みになっている、これは大問題だと思います。 投資的経費については、東京都はピーク時の半分まで減ったと盛んに強調していますが、バブル前の八四年に比べれば、まだ一・六倍以上です。しかも、減ったのは、都営住宅など生活密着型事業が主であって、浪費的な大型開発、例えば臨海、北新宿開発などはしっかりと温存されています。都民の立場から見て、自治体として逆立ちした財政運営というのは、この投資事業の分野では解決されていないわけです。 しかも、ことしの予特では、知事も財務局長も、公共事業の拡大による都債発行の増大が財政硬直化の一因だと、これは私が質問したんですけれども、認めました。さらに、石原知事の出した「危機に直面した東京の財政」というパンフレットでも、都税収入が落ち込む中で、都債の積極的活用や基金の取り崩しなどで歳出水準を維持してきたことから、歳出、歳入のギャップが拡大した、今後の公債費負担を考えると、都債増発に頼った財政運営はできないとはっきり認めています。 このように、財政危機の一因として、都債の発行をやり過ぎたということを認めて、もう借金には頼れないといいながら、なぜ今回の計画で借金による事業を適正に抑制しなかったんですか。
◯成田財務局主計部長 先ほど申し上げましたように、投資的経費につきましては、起債が財源にもなりますし、また一般財源も充当されております。そういう意味では、一般財源を抑制することによりまして、起債についてもその抑制効果が図られる、そういう関係になります。
◯曽根委員 私のいったことを全然聞いていないようなんですけれども、今、投資的事業で九千億円以上ありますけれども、一般財源はどれだけ入っているか、千五百億円しか入っていないわけですよ。大半が起債でしょう。そういう状況で、一般財源だけ絞っても、例えば一つの事業で、それにメスを入れることはできないじゃないですか。これは曲がりなりにも、財政健全化計画のときには、都債の発行についても抑制目標を持っていたし、それから、投資的経費もここまで落とすという目標もありましたよ。今回、何でそれをつくらないんですか。やはり投資的経費や都債発行の総枠を、四年間の計画の中できちんと規制すべきじゃないですか。どうですか。
◯成田財務局主計部長 先ほど申し上げましたように、投資的経費の財源といたしましては、補助事業の場合ですと国庫、単独事業の場合ですと起債、さらに起債、それから一般財源、そういった財源構成になっております。 したがいまして、一般財源を抑制することによりまして、事業全体、また、ひいては起債の抑制に連動する、そういう考え方のもとに計画を立てたものでございます。
◯曽根委員 何を聞いても同じ答えしか返ってこないんですけれども、もう私がるる述べる必要もないんですが、そんな間接的な話、しかも、一般財源充当額が今うんと少なくなっている投資的な事業を、また借金の問題を、一般財源だけを目安にして、それを適切に抑制しようなんていう間接的な方法が有効だとはだれも考えていません。私は、投資のむだ遣いの蛇口を逆にどんどん緩くしているという点でも、財政健全化計画に比べて、こっちの点もひどいなというふうにいわざるを得ないと思うんです。 この財政フレームの前提となっている、毎年五千百億円の都債発行、これは四年間、そういうフレームの前提でやっていますが、これを続けていけばどうなるかと。償還の仕組みからいって、借金、ふえ続けますよね。十年後には十兆円を超えます、一般会計で借金が。この五千百億円の毎年の起債発行では、これは減らせないんです。これをもっともっと下げないと、借金全体がふえ続けてしまう、抑えられないという、余りにも無責任な財政再建計画だと思います。私は、こうした財政計画になってしまう根本的な問題としては、やはり大型開発路線というのがとっくに破綻して、実態も財政も破綻しているのに、それにしがみついているという東京都の政策の根本姿勢が問われていると思います。 そこで、具体的にお聞きしますが、臨海開発で、二〇〇一年から、有明の丘の買い取りのために一般会計をつぎ込む。総額でいえば二千億円を超えるでしょう、そのときの時価で買うんですから。そういうお金がどんどん今投入されていこうとしているわけですが、この計画の期間の中で始まるわけですね。臨海会計というのは、当初から、七兆円の開発収入が見込まれるので、都民に迷惑はかけないということで、とにかく無理やり進めたと。結果としては、その七兆円の収入見込みが一兆四千億円に下がって、さらに下がるかもしれないという中で、五兆円以上の財政破綻に既に陥っている。そこで、この有明の丘買い取りを含めて、三年前に、青島知事のときに五千五百億円の税金投入を新たに決めました。 しかし、その後どうなったかといえば、ビルの経営の破綻が、また新たに膨れ上がっている。それから、開発用地の地価が、計画でいうと、あの見直したときでさえ、来年から二%ずつ上がり始めるということになっているんですよ。その後は三%と、さらに地価がどんどん上がっていくと。今の計画は、それを前提に地代収入が計算されているわけですよね。この見直し計画でさえ、もう破綻が事実上始まっているんじゃないでしょうか、ことし春の地代の書きかえのときに上げなかったんですから。上げられるわけがない。こういう開発に、また、この買い取りでもってお金を投入すると。これはだれが考えたって、赤字の穴埋めじゃないですか。違いますか。財務局はこういうものを認められるんですか。
◯成田財務局主計部長 有明の丘につきましては、平成九年三月の臨海副都心まちづくり推進計画におきまして、港湾施設等が至近にあることなどの利便性を生かしまして、物資の集配機能、支援要員等の集結活動機能を有する防災支援活動の拠点として、段階的に整備を進めることとされております。
◯曽根委員 防災機能用地って、都民のだれが信用しますか、あんな橋を渡らなきゃいけないところの防災用地を。それが全都的な施設だということで、ほかの清掃工場だとか学校なんかは別に地代は取らないのに、あそこだけ買うわけでしょう、東京都がわざわざ金を出して。それは、もともと都有地ですよ。都有地を、ただで開発に提供したものを、また都民の税金で買い戻すんですよ。こんなばかな話がありますか。もともと売るはずだった土地なんでしょう。事実上、ダブルでもってお金を出しているわけじゃないですか。こういうことをきっぱり改めなければ、開発のむだ遣いはどこまでも広がっていくと思うんです。 もう一つ、私たちがかねてから指摘している、くくりとしては経常経費に入っているけれども、実態は投資関連の経費であるいろいろな出資や貸付金の問題です。これも非常にゆるがせにできない問題で、総額でいえば五千億円以上ありますから。その代表例として首都高速道路公団、高速道路の王子線や新宿線が始まってから、ここにかなりの額の出資や貸し付けをしていますよね。これまで幾らぐらい出しているのか、これからどれぐらいを出そうとしているのか、お答えいただきたい。
◯成田財務局主計部長 首都高速道路公団に対する出資金と貸付金につきましては、一定のルールに基づき、国と折半で負担しているものでございます。首都高速道路公団への出資総額は、昭和三十四年から平成十年までの四十年間で一千四百八億三千八百万円でございまして、十一年度予算においては、三十五億五千三百万円の出資を見込んでおります。 また、平成元年から平成十年までの十年間に首都高に貸し付けた総額は、千九百四十一億一千八百万円でございまして、十一年度予算におきましては、百五十四億二千九百万円の貸し付けを見込んでおります。
◯曽根委員 貸し付け、出資を両方合わせたら、三千億円なんですよ。これからどれぐらい投入するかというのはお答えがなかったんですが、都市計画局の計画では、これから新宿線、王子線でさらに少なくとも二千三百億円、さらに品川方面に延ばす計画、これもやっていくとすれば、これから三千億円まだ残っていると。この貸し付けというのは無利子ですよね、無担保。東京都は都営交通に金を貸すときでさえ、株式を持って担保に取ったことがあるんですよね。それを、この首都高速道路公団には無担保で無利子で貸し付けると。本当にやめるべきだと思うんです。 と、私たちが思っていたら、ことし八月に総務庁が、高速道路に関する行政監察結果に基づく勧告、都市高速道路を中心としてというふうに、勧告の文書を出しました。この文書はお読みになりましたか。──これはぜひ読んでいただきたいんですよ。ぜひ参考にしてもらいたい。ここでは、非常に重大な首都高速道路の建設にかかわる仕組みについて指摘されています。 文書をそのまま読みますけれども、両公団は、都市高速道路の建設管理の主体として都市高速道路の建設管理を行い、料金収入により、建設管理に要した資金を回収する経営責任を負うことになるにもかかわらず、採算の確保を図る上で重要な意思決定である都市高速道路の路線の決定に当たり、経営の観点から意見を述べる機関を有していない。つまり、公団は採算のことで物をいうことができないと。ただ、つくることだけ責任を負わされている。回収の責任もある。しかし、採算はとれませんよという、だれもチェックできない形でつくられているというわけですよ。これ、政府の勧告ですよ。政府は、特殊法人等の整理合理化について、平成九年十二月二十六日、閣議決定で、事業資金を財政投融資資金に依存している特殊法人等については、財投機関債(原則として政府保証は行わない)の発行を自由化し、自力での資金調達に努めるものとする閣議決定を行っており、公団の経営責任のより一層適切な遂行が求められていると。 我々、これ、公団が自前でやるべきじゃないか、社債の発行の道もあるじゃないかといっていたら、こういう勧告も出ているわけです。 しかも、今、都市高速道路の一日当たりの平均通行台数の伸びは、事業の初期段階に比べ次第に鈍化しており、このままでは資金の回収もおぼつかないということも指摘されているわけです。貸し付けた金は返ってこない、出資はもちろん、という問題が政府の総務庁の行政監察の結果として指摘されているわけです。ここまで指摘されているわけですから、私は、きっぱりと見直すべきだと。これから三千億円ですからね、この厳しいときに。この点も指摘しておきたいというふうに思います。 第三の問題に、時間の関係で行きたいと思うのですが、都は、財政再建団体への転落の危険というのを、今度の財政プランでも盛んに口実にして、都民の施策を切り捨てるということの理由にしてきました。しかし、本当に都民サービスを削るしか財政再建団体転落の回避の道はないのか、そんなことはないという問題であります。 我が党はかねてから、当面の財源対策を講じていく上でも、都民に犠牲を押しつける道ではなく、借金の積み増しを抑えていくことによって財源対策も十分可能になるというふうにいってきました。その一つの問題として、減債基金の積み立てについて質問したいと思います。 かつて、私は本委員会で、減債基金の積み立ては過大だと指摘して、適切に見直すよう求めましたが、財務局長、当時主計部長の木内さんは、もうそんなことはできませんというふうに拒否されました。しかし、その後、九七年、九八年度、実際には減債基金の積み立ては半分程度に抑えられた。やればできるということが現実に証明されました。その点で、来年度以降も、これは同じ考え方で、適切な減債基金の積立抑制は可能だと私は思いますが、いかがでしょうか。
◯成田財務局主計部長 平成九年、十年度は、財源対策といたしまして減債基金の積み立てを二分の一にしましたけれども、今後につきましては、十四年度以降の本格的な償還に備えまして、ルールどおりの積み立てを行っていくことが望ましいのは事実でございます。 しかしながら、今後も巨額の財源不足が見込まれることから、積み立ての一部を減額することも、財源対策の一つといたしまして検討していく必要があると考えております。
◯曽根委員 初めて肯定的な答えが出ました。 それで、私は、都債の発行をさらに抑えていけば、三年後からの減債基金積み立ての額にそのまま直結するわけですから、減債基金積立額をさらに抑え込むことができると。 それから、とにかく新たな借金を極力抑えるということによって、今までの借金の返済についても多少先送りするという技術も使えるようになる。これはいろいろ国がうるさいでしょうけれども、こういうときですから、私は、そういうことがあってしかるべきだと思うのです。とにかく、これから何年かの間に、過去の一兆円を超すところまで膨らんだ借金の返済がどかんとくるわけでしょう。それを先へ極力全体にならしていくと。で、新たな借金はしないという原則を打ち立てるべきなんですよ。そうしてこそ、当面の財源対策も打つことができる。 ところが、都の財政プランというのは大体、前提となる財政フレーム自体が、バブルのときのツケがまだ残っている。投資的経費は一兆円近いし、都債発行は五千億円で、このままでは借金は膨らむ、それが財政の前提になっているわけで、これでは、もともとの財政再建の流れに乗らないというふうにいわざるを得ない。私たちがいうように、極力都債発行も抑え、投資的経費を適切に抑制すれば、これは前提条件が変わりますから、減債基金、公債費、これまでの都債の償還、全体としての公債費を適切に抑え込んで、都民犠牲の一般財源切り捨てという、こういうなたを振るわなくても、都の財政再建もできるし、当面の財源対策も十分できるということを申し上げておきたいと思うのです。 以上、財政プランの問題点をただしてきましたが、改めて、自治体の財政再建のあり方として、今、お金が厳しいから、都民に対してサービスができませんというようなことは絶対あってはならない、禁じ手であります。そうなる前に、みずから浪費を削り、本来の仕事を守り抜くことが、財政再建の真髄でなければなりません。 我が党は、今後とも都民犠牲を許さない、そういう大きな、今高まりつつある世論や運動とかたく連帯して、都民本位の財政再建実現に全力を挙げていきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。