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99年3月3日経済港湾委員会予算質疑
臨海開発の今後について都民負担は約2兆円
◯曽根委員 今大変熱心な質問がありました臨海副都心開発関連について、私からも何点か質問させていただきますが、きょうの質問は、この間、予算特別委員会で私が臨海問題についてお聞きした中で、どうしても時間の都合で宿題を残したものがありますので、その問題から入っていきたいと思うのです。 一つは、既に進出している企業との賃料改定におきまして、地代減額措置が行われていることと、その他の企業についても地代減額措置があるのか、それから料率改定はどうなんだということで、企業から出ている要望にこたえていくのかどうかということをお聞きしたつもりだったんですが、局長からは、特別減額の延長はしないというお答えが返ってきました。ということは、貸し付けの料率改定については、これは第二次公募企業にもかかわることですが、これまでの料率を変えることもあり得るというふうに考えておられるのかどうか、この点をちょっと確認しておきたいと思います。
◯渡辺開発部長 地代減額につきましては、さきの予算特別委員会で局長がご答弁したとおり、減額を延長するということは考えていないということでございます。 また貸付料率、すなわち、正確にいいますと、土地の底地価格の六%である貸付料率につきましては、全庁的に定められたものでございまして、これを見直すことは考えておりません。
◯曽根委員 これはちょっと私の聞き方も悪かったのかもしれませんが、答弁が全面的でなかったので改めてちょっと確認したいのですが、今、特別地代減額を行っている企業がありますが、その延長はしないと。ほかの企業から、新たな地代減額の要望が出ているとすれば、それはどうなんでしょうか。
◯渡辺開発部長 既に地代減額をしている企業については地代減額をしないということを局長が申し上げて、私も先ほど申し上げたとおりですが、新たな企業から地代減額の要望があったとしても、これについて地代減額をすることは考えておりません。
◯曽根委員 私ちょっとくどくお聞きしているのは、一たん、こうしたところの条件を、基本的な条件を変えますと、何しろ黒字転換といいますか、これが三十八年先と設定されているわけですから、四十年近くたてば物すごい金額の違いになってきて、長期収支がまた狂うということになりますので、その点を確認しておきたかったわけです。 臨海開発全体については、これはもうテレビなどでも、都知事候補の間でも盛んに議論されているところで、今度の都知事選挙をめぐっても大きな争点の一つになることは間違いないと思うのです。先ほども、より発展的にという話もあったし、我が党もまた多くの都民も、例えば今お話のあった国際研究交流大学村構想や、それから病院の進出の予定もある、こういうものについて、何もかも臨海に出てくるものは反対だというふうに考えているわけではないし、そうもいっていないと思うんですね。問題は、やはり副都心開発、なかんずく、オフィス開発を中心に組み立てられてきたこれまでの基本的な計画が変わっていない、そういうところを、今は事実上いろいろ流れは複雑になっていますけれども、東京都がこの開発の全体としての破綻を認めていない、そのまま突き進もうとしている、このことが今問われているんだと思うのです。 そこで、この間、予算特別委員会で、私は、今後計画どおり進んでいけば二兆円の都財政の負担になっていくというふうにお聞きしましたが、局長からの答弁というのは、今後の投資が約一兆円であり、そのうち一般会計負担は二千五百億円だとお答えになりました。かなり食い違っておりますので、この点についてただしておきたい。 ただす前に、我が党は、二兆円、中身はこれからいいますが、今後の投入をすべてやめるべきだとかやめられるんだとかいう非現実的な考えを持っているわけではありません。この中には、今後例えば開発を大きく見直して、都民の憩いの場という方向で残りの一兆を使っていく、また、今後の財政投入を極力減らしていくというふうに考えた場合でも、投入しなければならない投資額というのは、どうしてもゼロにはなりません。それから、むしろ積極的に投資すべきものもあると思うのです。だから、二兆円全部否定しているわけではありません。そういうことを含んでいただいて冷静に答弁をいただきたいのです。 二兆円の中身を私は四つに整理してお聞きしたいのですけれども、第一には、臨海開発の基盤整備の事業費についてなんですね。 予算特別委員会の答弁でも、一般財源負担が二千五百億円あるよと、これはお認めになりました。このほかに、もともとの臨海副都心計画の中で副都心計画として確立した段階で、開発の域外ではあるけれども、開発に不可欠の基盤整備であるとして広域幹線道路六本が設定をされまして、その整備費の大半は開発者が持つというふうにされていたわけです。これが、財政が苦しいということで、一昨年の見直しで、最終的には、整備時期検討路線とか環状三号線のように、一般会計で負担するよと、位置づけの解釈を変えて臨海会計の負担から外したものがありますけれども、しかし、臨海開発のコンセプトは基本的に副都心開発ということで変わっていないということですから、解釈だけ変えても、今後整備が必要になってくることは十分に──計画は残されているわけですから、これも合算すべきじゃないか。整備時期検討路線が二千四百七十億円、環状三号線が、当時の計算ですが、二千二百六十五億円で、合わせると整備事業費は七千三百億円程度になるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
◯渡辺開発部長 ご指摘の内容の事業費を約七千三百億円という額で推計されておられますけれども、私どもは、この事業費のうち、晴海通り、環状二号線延伸等の広域幹線道路整備に対する約二千五百億円のみが、臨海副都心開発事業費に該当するものというぐあいに考えております。すなわち、臨海道路二期工事事業分の整備時期検討路線につきましては、今後整備時期を検討することとしていること、また環状三号線の整備につきましては、区部の広域交通対策上の必要路線として一般道路事業として整備すべきものである、こういうことから、事業の性質上、臨海副都心開発事業費には該当しないというぐあいに考えております。
◯曽根委員 つまり、開発事業費の中には東京都は算入しないよという位置づけを答えられたわけですが、計画そのものは、一般会計負担の道路計画として残ったり、または整備時期を検討するということで残されているわけで、これが凍結なり中止されない以上は、これは当然、具体化すれば、財政負担をどうするかということになる。財政負担は、今開発の会計の中に入っておりませんので、したがって、やるとすれば、一般会計負担ということにならざるを得ないという点では、当然、都財政負担の一つに加えるべきだということを申し上げておきたいと思います。 それから第二に、前回の見直しで、まさに一般会計から基盤整備以外につぎ込むことになったもの、一つは有明の丘の土地購入費ですね。これは当時二千九百億円程度といわれましたが、その後病院の進出予定地が減りましたので、その分を引くと約二千五百億円程度じゃないか。それから、これまで公共施設として半額だった国際展示場の地代を民間と同じに引き上げますよということを決めまして、これによる負担増が約一千百億円程度、それから、今までは開発会計が負担する予定だった道路や公園の維持管理費を、これも一般会計負担に切りかえたということで約一千億円前後、合わせると四千数百億円の一般財政負担が出ると思うのですが、この点はいかがでしょうか。
◯渡辺開発部長 ご指摘の四千数百億円ということでございますが、有明の丘土地購入費につきましては、防災拠点の用地として活用する。これは東京都全体にその効果が及ぶものでございまして、当然一般行政経費として見るべきものであると考えております。 また、国際展示場の時価貸付への変更につきましては、臨海副都心開発に対する国際展示場の先導的役割を評価して政策的に行っております減額措置、五割減額でございますが、これをまちの完成、平成二十八年ということで考えておりますが、二十八年のまちの完成に伴って取りやめるものでございます。 また、道路、公園の管理につきましては、都民の共有の財産である。その整備後は、都や区の本来管理者に移管して管理するというのが通例でございますので、これらの経費につきましては、今後の開発に対する投入額とすることは適当でないというぐあいに考えております。
◯曽根委員 やはり今のお答えも、お金は出すんだけれども、その解釈としては、開発の事業者に持たせるべきじゃないんだということで、東京都の財政負担に引き揚げたというお話があるだけで、実際に、域内の道路や公園を維持するために東京都がお金を出していること、この事実は曲げることはできないわけですね。そういう意味では、開発に対する都の財政負担であることそのものは否定できませんよね。もちろんこれから──一般会計負担はなくていいんだとかいうふうに我々はいっているわけじゃありません。これはだれが出すにせよ、維持管理はしていかなければならない、つくった以上は。そういう問題だと思います。 それから第三に、埋立会計からの負担もあるわけですね。これは、例えば臨海道路をつくるのに一般会計からも出していますけれども、埋立事業会計からもお金を出しているということがありますよね。それから、これから有明北地区は埋め立てをすると、この事業費は埋立会計から出すということになりますね。これらを合わせると、これからも一千億円程度の負担になるわけで、この点も、埋立会計は都民の税金そのものではありませんが、埋立会計が造成した土地や、それからそれを処分したことによる収益というものは、広くいえば都民の財産ですから、これを投入することは都の財政負担ということになるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
◯渡辺開発部長 ご指摘の埋立事業会計の負担分についてでございますけれども、これは臨海副都心開発事業費の中に含まれているものではございます。しかしながら、その事業の性格を分析してみますと、有明北地区の埋立事業費及び補償費につきましては、埋立造成終了後、その土地を処分しまして、その収益によって事業費を賄うことができるものでございます。 また、基盤整備事業についての埋立事業会計の負担についてでございますが、広域交通基盤の整備などによりまして、埋立地に、開発の利益といいますか、その道路整備等による利益が生じてまいりますので、埋立事業会計で開発利益に応じて負担をしていくという考え方でございます。
◯曽根委員 部長はそういうふうにお答えになるだろうなと思ったんですけれども、ただ、こういうことがあったんですよね。九三年に、私がちょうど都議会に出させていただいた年ですよ。夏に新土地利用方式から貸付方式に変更すると。それに伴って、埋立会計から買い取る予定だった開発用地を、そっくり現物出資に切りかえるということにしたわけですね。そのときには、私たちは開発に基本的には反対でしたから、もちろんそれは反対しましたが、開発に賛成であり推進の立場の会派の議員さんからも、やはり埋立会計の土地や財産というのは、広くいえば都民のものだ、だからこそ開発が買うという形をとってきたものを、現物出資とはいっても、事実上無償で提供しなければならないというのはいかがなものかという疑問の声も出たわけですよね。私は、そういう点では、やはりこれは、埋立会計の性格は確かに公営企業会計をとっていますけれども、特別会計ではありますが、都民の財政負担というふうに見なければならないと思います。 それから、来年度は東京都は市場会計からお金を借りる、かつては羽田沖からもお金を借りたわけですよね。そういうことも、一般会計が本当に苦しいときにはあり得るわけですよね、これから。しかし埋立会計は、これまで三千億円以上臨海会計に貸し出して、ほとんどすっからかんという状況でありますから、そういう点でも、都民の財政負担をこれ以上、一般会計がいわば依拠できる特別会計が開発に投入されていくことを認めるわけにはいかないということを申し上げておきたいと思うのです。 これだけならまだしも、このほかに、広域幹線道路を通すことと一体として整備される豊洲・晴海の防潮護岸の整備もあるわけです。これも埋立会計と一般会計で負担をして、大体四百億円ぐらいは負担するんですよね。それから、国際展示場も、私は現物出資に切りかえたときに、現物出資から外しておけば埋立会計の土地に残すことはできたわけですから、そういう意味で、地代総額を何も開発者に払う必要はなかったという点でも、国際展示場の地代負担総額、それから、第三セクターのビルに入居している東京都の施設の家賃、これも全く行く理由のない形で入って、わざわざ三セクビルの経営破綻を助けてやっているという点で──これらの合計が約六千億円ぐらいになるんですね。こういうところからも開発にお金が投入されているということで、これらをすべて合計すると、約二兆円になるわけです。 改めてお聞きしたいのですが、この二兆円投入を続けるのかということが今問われていると思うのですが、都民の負担として、これが臨海会計にこれから投入されていくんだ、これをどうするのかということを問われているという点で、港湾局はどのようにお考えになるか、お聞きしたいと思います。
◯渡辺開発部長 今後の臨海副都心開発への投入額が二兆円であるというご主張でございますけれども、これまでご説明申し上げましたように、ご指摘の額の中には、本来一般行政経費として算定すべきもの、あるいは他会計の借入金などの事業費として計上することが適当でないもの、その他多く、二兆円の中に含めるのが適切でないと考えられるものが入っているというぐあいに考えられます。臨海副都心まちづくり推進計画におきましては、広域交通基盤整備及び地域内都市基盤整備を含めた臨海副都心の開発の総事業費は二兆四千億円と試算しておりますので、これまで投じた事業費を差し引いた今後の事業費は、約一兆円でございます。このうち一般会計の負担分は、約二千五百億円と私どもは推計しております。
◯曽根委員 最後に、これは意見として申し上げますが、今港湾局のこの開発に携わっている方々の中に、私が申し上げたお金、実際には、いろいろな形でこれから入っていくレールは敷かれているんですよね、その解釈もそれぞれ違いがあることは当然だと思います。しかし、それを全部つぎ込んでいいと思っておられる方はほとんどいないと思うのです。そして先行きも全く不透明です。しかし、レールは敷かれているんですね。 したがって、このレールの上を走り続けるのか、それとも、先日の委員会では、きょうはいらっしゃらない委員の方から、もう事実上観光地化しているじゃないか、それを認めてそっちの方向に進めという話もありましたし、今進出してきている施設というのは、どちらかというと、副都心開発というコンセプトよりは少し別の方向のいろいろなものが出てきているということもあります。実態はそうなっている。レジャーランド化しているという面もあります。三月十九日には、観覧車を含む施設がオープンするというステッカーがきょう電車の中に張ってありました。 そういうさまざまな動きがある中で、私たちは、東京都自身が開発事業者として、ここでやはり都民のために、都民の立場に立って、改めてコンセプトから見直すべきなんだ、ここに踏み切るかどうかが、今度の都知事選挙も含めて、大きな争点になるだろうということを申し上げておきたいと思います。 以上です。