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99年2月4日経済港湾委員会請願審査

「ハゼの海、埋め立てをやめて」釣り舟店主の請願採択を主張

◯曽根委員 では、特に簡潔に何点かお聞きしたいと思います。  この陳情は、釣り船店主の方々が中心になって、地元の江東以外にも、江戸川、港、品川、中央、墨田など各区に船を置いております店主の方々が、この有北の貯木場跡地を利用しているというふうに聞いています。それが大部分埋め立てられるということになると死活問題だということで、埋め立ての抜本見直しを求めているわけです。ここが埋め立てられてしまうと、あとは、船からハゼ釣りを楽しめるいい場所がなくなってしまうというふうに聞いております。

 実際に有明北は、都が管理する東京湾内の水面で、もうこれ以上まとまった埋め立てはできないという最後の埋立免許でありますよね。それだけに慎重な検討が必要だということは、申すまでもありません。  私は二つの角度からお聞きしたいのですけれども、一つは、臨海副都心の一部であるという点で、ここには親水公園のほかに高層住宅街や商業施設などが計画されているわけですが、もちろん、我が党は開発全体に抜本見直しを求めております。その重要な理由の一つが、この有明北の埋め立て問題なのです。

 ほかに処分予定地が、見通しが不透明なまま半分以上あいているのに、なぜその新たな用地をつくって高層住宅街をつくる必要があるのかと。これは陳情者もいっているとおり、私、本当にむだだと思うのです。何よりも費用の問題ですが、有明北を実際に埋め立てて建物が建てられる状態にするまでに総額でどれぐらいの費用がかかるのかをお示しいただきたい。

◯小池臨海部開発調整担当部長 有明北の貯木場の埋立事業につきましては、これまで地権者に対する水面占用の水質にかかわる損失補償や環境影響調査等、また、埋立護岸の設計調査などを実施しておりまして、平成四年度から平成九年度までの支出金額といたしましては百九億円となってございます。また、今後の事業費といたしましては、工事費等に約四百二十億円程度を見込んでございます。したがいまして、この埋立事業に係ります総事業費といたしましては約五百二十九億円と見込んでございます。

◯曽根委員 私は、五百二十九億円だけでは済まないのじゃないかと思うのです。住宅中心のまちづくりということで、それに必要な基盤整備。これは道路や公園、ライフラインなどで、またさらに埋立地をつくってからかかると思うのですが、これをどれぐらい見込んでいますか。

◯小池臨海部開発調整担当部長 埋立地におきます整備の中身でございますけれども、基本的なプランニングは、マスタープランを地権者の方々も含めまして現在策定中でございます。したがいまして、上物にどれだけ事業費がさらにかかっていくかということついては、これからさらに詳細に詰めていくと、こういう状況でございます。

◯曽根委員 上物といっても道路や公園やライフラインですから、これは都市の基盤整備ですよね。それができなければ住宅を含めた建物は建てられないわけですから、この部分も住宅を建てる前の段階の基盤整備の一部として考えておかなければならないと思うのです。私、いろいろ計算してみたのですけれど、例えば臨海開発地域全体で四百四十二ヘクタール、これに今までかかってきて、これからも若干、有北も含めてあるのですけれども、道路や公園、共同溝などで一ヘクタール当たり大体十五億から二十億円ぐらいの基盤整備費がかかっているのです。

 まあ、そこまでいかないとしても、この有北にでかい共同溝などはつくらないとしても、一般的にいって、埋立地に、あとその都市に必要な基盤整備には大体二割から三割かかるというふうにいわれていますので、どんなに少なく見ても百億円程度は、その上物とおっしゃった道路その他の整備にはかかると思うのですが、大体それぐらいと見て間違いないのでしょうか。

◯小池臨海部開発調整担当部長 具体的に、どれほどその上物の整備費にかかるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、これから具体的な計画について煮詰めていくことにしてございますので、現時点では具体的な数字ということではお答えができない状況でございます。

◯曽根委員 はっきりしないというのですけれども、私、臨海開発全体については事業費を出しているわけですから、当然、一部である有北についても考えれば大体の数字は出ると思うのです。まあ、否定されなかったので、当たらずとも遠からずじゃないかと思うのですが、つまり、五百二十九億円では済まないと、それをかなり上回る費用がかかると。私、百億円は、やはり、どんなに少なく見てもかかると思うのです、親水公園も含めれば。したがって、トータルで見れば六百億円以上のお金が間違いなくかかると思います。そこで、できた土地を時価で売却するのだったら、それでも、六百億円ぐらいかかったとしても、一平方メートル当たり二十万円ぐらいですから、時価で売却すればこれはかなり埋立会計の収益になるのでしょうが、この場所は現物出資をされることになっているわけです。

 したがって、事実上無償で、でき上がった後、臨海開発に提供される予定なのですから、これは、六百億円程度はそっくり埋立会計の負担になっていくと、もしくは区画整理の事業の中で行う基盤整備の負担になっていくということになるわけで、私、そういう意味では、臨海開発の事実上の救済措置の一部だというふうにいわざるを得ないと思うのです。  簡潔にやりますので、これぐらいにしておきますけれども、そういう点で、地元で住宅がいいじゃないかという話もありますが、私があの辺を回ってみたら、結構、住宅はあるし、石川島播磨が今度移転すると、その後に大規模な住宅街をまた計画しているわけで、どうしてもあそこに埋め立てて住宅をつくらなければならないという事情は、私、率直にいってないと思うのです。したがって、大きく見れば、やっぱりあそこを埋め立ててわざわざ住宅をつくる必然性は、行政の側の計画からしか出てこないというふうにいわざるを得ないと思うのです。これが第一点です。  もう一つ、あそこの水面を埋め立てることが必要なのは「ゆりかもめ」を通すからだという話があったので、そのことだけ確認しておきたいのですけれども、その「ゆりかもめ」を、例えば埋め立てじゃなくて、道路橋などを渡して通すということは不可能なのでしょうか。

◯小池臨海部開発調整担当部長 有明北地区の埋立地につきましては、臨海副都心を、住み、働き、憩うという都市機能がバランスしたまちとして開発するために、都市型の住宅や商業施設を配置することとしておりまして、さらには、水際線に親水性のある公園を整備する計画としてございます。お尋ねのように、埋め立てを行わずに「ゆりかもめ」の軌道を建設することは、技術的には全く不可能とはいえませんが、ただいま申し上げました計画の達成ができなくなりますし、また、新交通「ゆりかもめ」の整備費の増大をも招くことになりますので、事実上困難であると考えているところでございます。

◯曽根委員 不可能ではないと。そして、「ゆりかもめ」の費用はちょっとふえるけれど……。私、やはり六百億円以上もかけて埋め立てする費用に比べれば、「ゆりかもめ」は確かにその橋脚の下が海になるから少しはその土台の部分は高くつくけれども、比べ物にならない程度だと思いますよ。  私、ここで強調したいのは、自然環境や有明の風物、風景を保全するという点でどうなのかという点もあると思うのです。この釣り船屋さんは何しろ商売にかかっていますから切実なのでしょうけれども、都民の一人として見た場合、親水公園をつくるというけれども、あそこでハゼなどが生息しているのは、要するに、そこに泥や原木が相当複雑に埋まっているからなのですね。それはかなりさらわれちゃうわけで、いろいろ工夫はするようなお話ですけれども、ハゼがまた戻ってくるかどうかという保証は必ずしもないと。ハゼはほかにも生息していると思います、確かに。釣れる場所もあると思うのです。

 しかし、この有明北というのは堤防や陸地に囲まれて、現在はかなり広々として、ハゼ釣りを楽しむだけではなくて、海に親しむ独特の風景ができ上がっているわけなのです。これはたまたま偶然できたものです、貯木場の跡ですから。しかし、江戸以来のハゼ釣りの伝統や文化も含めて、せっかくでき上がっている一つの風物、風景を、ささやかなものですけれども保全していくということは、私は、有明全体にとって決してむだではない、大事なことではないかというふうに思っておりますので、そういう点からも、商売の問題も含めてですが、あの地域のいわば自然やいろいろな風物を含めたものについてトータルに考え直していい時期ではないかと。六百億円かけて埋め立てて、臨海開発にビル用地で提供するというのはぜひ見直してもらいたいということを述べまして、発言を終わります。

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