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99年2月24日予算特別委員会総括質疑
地方財政の危機の原因、打開の道、福祉予算削減のもうろう者への影響

◯木村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  曽根はじめ理事の発言を許します。

◯曽根委員 初めに、今、戦後第三番目の危機といわれます地方財政の現状、なかんずく、世界の大国に匹敵するほどの財政規模を誇り、富裕団体といわれてきた東京都がなぜ赤字団体転落直前という事態を迎えたのか、その破綻の真の原因を明らかにするという点で、質疑を行いたいと思います。それは、破綻の本当の原因を明らかにすることなしに、今日の危機の解決の方向を示すことはできないからであります。  ここにパネルを何枚か持ってきたのですが、最初に、これを見ていただきたいのです。  これは、全国の自治体の借金が折れ線グラフであらわしてあります。九〇年代に入って全国の自治体の借金は急速にふえまして、かつて六十七兆円、九〇年当時この額でしたから、現在の、今年度末の百六十六兆円見込みという巨額なものに上るとしています。約百兆円の借金の積み増しが行われました。百兆円の積み増しがあったわけです。実に二・五倍に膨らんできたわけです。この結果、自治体が健全かどうかを判断する一つの目安となります公債費負担比率、これが一五%の警戒ラインを超えた自治体が、全国三千二百七十九都道府県及び区市町村のうち半数以上、六割近くというふうになっているのが現状です。  問題は、この借金が国の主導で進められた公共事業の拡大によってもたらされたという問題なんです。このパネルを見ていただけばわかりますが、この同じ時期に地方が負担した公共事業費も、累積でちょうど百兆円ふえてきているわけです。つまり、全国の自治体は、借金を重ねながらこの公共事業を拡大し、今日の財政危機を迎えたことは明らかであります。この点について、国会でも、我が党の志位書記局長が、全国の自治体の財政を悪化させた重要な原因が公共事業の膨張にあったことと、その公共事業積み増し政策の責任が歴代の自民党政府にあることをただしたことに対して、小渕総理大臣は、これが一つの要因だったということと、国も責任の側面は持っているということを認めました。  そこで伺いますが、今日の地方自治体の財政破綻の最大の原因が公共事業の拡大であることは間違いないと思いますが、知事のお考えをお聞きしたいと思います。

◯青島知事 東京都を初めといたします大都市圏の自治体における財政状況の悪化が顕著となっていることは事実でございます。これらの直接的原因は、予想をはるかに超える景気の低迷による法人税収の大幅な落ち込みなどによるものというふうに私は認識をしております。  一方、数次にわたる国の景気対策に呼応する形で地方自治体が公共事業を実施し、その財源として発行した地方債によりまして公債費が増加したということも、地方財政の硬直化を招いた一因となっていることは、私も認めるにやぶさかではございません。

◯曽根委員 知事も、公共事業が地方財政の硬直化の一因であることをお認めになりました。しかし、一方で、知事は、大都市圏の自治体の問題として、法人税の大幅な落ち込みを財政問題の直接的な原因に挙げられています。確かに、法人税の落ち込みは、東京の場合大変深刻なものです。しかし、それが今日の財政危機の本質的な原因ではないということを正しく見ることが、今必要だと思うのです。  なぜならば、今日の地方財政の危機は、私が紹介しましたように、大都市圏だけの問題ではなくて、ほとんどの自治体、地方交付税の交付団体も含めて共通した問題になっているからです。したがって、法人税の落ち込みが全国の自治体の財政悪化の共通の原因とすることはできないわけです。共通する要因というのは、まさに従来型の公共事業で、これは全国どこの自治体でも拡大の一途をたどってきたというのが実態です。また、東京都に限って見ても、この間の法人税の落ち込みが確かに引き金にはなったかもしれませんが、同時に、過去の投資のツケである公債費の増大を抜きにして、歳入と歳出のギャップを説明することはできないはずであります。  そこで、東京都の公共事業のあらわれ方を見ていただきたいのですが、全国の投資的経費の推移と東京の投資的経費の推移を比べたグラフです。そして、上の折れ線グラフが投資的経費全体の動き、下の棒グラフは、この投資的経費の中の単独事業費の動きについて全国と東京都を比べたものです。  これを見ていただきますと、全国の場合、公共事業費の増大は、大体九〇年度ぐらいから膨れて顕著になってくるわけですが、東京都の場合はそれよりもずっと早くて、八五、六年から始まり、八七年ごろから急速に投資的経費が拡大をしています。全国より少し早く始まっているわけです。  とりわけ、単独事業費を見てください。紫色のものが全国の動き、水色のが東京の動きです。東京の場合には、八五年ごろから急速に単独事業費はふえているわけです。この八五年というのは非常に重要な年で、東京都の単独事業費が普通建設事業費の中で半分を超えた年です。全国はそれより三年おくれて半分を超えるわけです。  したがって、東京都は、単独事業費の大きな拡大というのが財政悪化の最大の要因であることは間違いない。九二年までの七年間に実に四・七倍に急増し、三千六百八十一億円の八五年度のレベルから、単独事業費は一兆七千三百八十億円まで拡大をしていくわけです。実に普通建設事業費の八五%に達したわけです。  全国の自治体の多くは交付税の交付団体であり、そのことが国の公共事業の押しつけを容易にしたというふうにいわれているわけです。現在の交付税の仕組みというのは、交付団体が国の政策に沿って進める公共事業について、起債の七割から八割が、補助金や起債分について支援などを何らかの形で受けられるわけですよね。したがって、制度上も公共事業受け入れの誘導策というふうに専門家からも指摘をされ、全国の自治体が先を争って公共事業を受け入れるような仕組みがつくられてきたことがあると思うのです。  ところが、東京都は不交付団体ですから、このような財源措置はなくて、全国の交付団体のように公共事業を拡大しなければならない財政的な理由というのはなかったわけです。ところが、逆に東京都は、単独費が国の補助がつかないということで歯どめがかからなくて済むということから、そこをもうどんどん膨らませていった。ここが大問題だと思うのです。  そこでお聞きしますが、東京都が地方交付税不交付団体、つまり富裕団体ということの扱いを受けているがゆえに、全国の自治体よりも大がかりに、しかも都単独事業を急激に膨れ上がらせることができたために公共事業が急速に増大し、結果として都財政を圧迫したというふうに考えられると思いますが、いかがですか。

◯横山財務局長 都としましては、バブル経済崩壊後に、都債や基金などの財政の対応力を活用しまして、都民サービスの水準の維持や景気対策に努めてきたところでございます。  そうした中で、投資的経費につきましては、都民にとって必要と判断した事業に財源を重点的に配分し、社会資本の整備を図ってまいりました。これに伴う都債の発行によって公債費が増加したことも都財政硬直化の一因ではございますが、経常経費の増嵩、地方税財政制度の問題、日本経済の状況など、さまざまな要因により今日の事態に至ったと考えております。

◯曽根委員 財務局長も、過去の投資的経費のツケである公債費の増加が都財政悪化の一因であるということは、これもお認めになりました。しかし、肝心の財政危機の原因が公共事業にあるということについて、はっきりお認めになっていないわけです。むしろ、財源を重点的に配分するなどといって、この期に及んでも、社会資本の整備、すなわち投資的経費の増大を合理化しようとしているのは問題です。  そして、重点化の一方で、都民のための施策の切り下げを実際に押しつけているわけです。法人税の落ち込みが本来の原因でないことは、例えば今年度、都自身の当初予算が、法人二税の伸びを前年比で九・二%と大幅な過大見積もりをして、税収不足を恣意的につくり出したのではないかとさんざん追及されたではありませんか。  しかも、経常費の増大についても、今お話がありましたが、何かというと福祉や教育、人件費などをやり玉に上げますけれども、経常的経費の中に潜り込んでいる投資関連経費、私たち、これまでも繰り返し明らかにしてきましたが、首都高速道路への無利子貸付金とか再開発や区画整理の補助金、さらに過大な上下水道の投資に対する補助、何とこれが毎年三千億円近いお金がつぎ込まれているわけです。これが経常経費を膨らませているわけです。首都高速への無利子貸付金は累積で約三千億円になります。毎年、その百億円近い利息を税金で東京都は払い続けているわけです。再開発とか区画整理の補助金も五百億円ぐらいの出費になるはずです。ここにメスを入れることが緊急の財政対策になるわけで、この点でも、経常経費の問題でも、投資関連の費用が問題になるといわなければなりません。  さて、知事にお聞きしたいのですが、国の景気対策に追随した従来型の公共事業が地方財政を悪化させる、それだけじゃなくて、景気対策としても効果に疑問が出されているということをご存じかどうか。  昨年の九月二十日の日経新聞に、竹内佐和子さんという、これは総理大臣の諮問機関である経済戦略会議のメンバーの一人なんですけれども、この方が、公共事業について、「新設より維持・活用に力を」と題して、景気対策に公共事業を使うのなら、雇用を直接生み出すような施策をすべきだと述べまして、例えば都市圏のインフラストラクチャー、社会基盤については、さらに充実させるためには、更新や維持管理など既存のインフラを生かすことにお金を使うのですと明確に述べております。さらに、地元への利益誘導を優先するような政治家、補助金を出す中央官庁、仕事をもらう建設業者という政・官・業の鉄のトライアングルがある限り、公共事業のむだはなくならない、だれがこれを壊せるのですかと問われまして、本来は都道府県の知事ですと、従来型公共事業にメスを入れるのは知事の仕事であると明確に指摘をしているわけです。その理由として、中央のさまざまな事業をまず知事が受けとめ、地元や住民にとって必要かどうかで取捨選択したり、ダブりを防ぎ、むだをなくすことができる位置に知事はあるからだとはっきり述べています。  知事にお聞きしたいのですが、公共事業の見直しのかぎは、知事に、あなたにゆだねられていたのではありませんか。そういうふうにお考えになりませんか。

◯青島知事 私が知事に就任いたしましたときも、十四くらいの、いわゆる箱物という公共事業と申しますか、建設が予定されておりましたけれども、それを、二つを残しまして、あと十二は凍結なり延期なり取りやめという格好で、建設費としての財政に及ぼす影響の大きさから、そうした処置をしてきたわけでございますけれども、そのことも財政圧迫につながらないようにという配慮からであったというふうに考えております。

◯曽根委員 確かに、青島知事になってから箱物行政については一定の削減がありました。しかし、実際には、知事は公共事業を根本から見直すという選択はされておりません。むしろ逆に、開発では大型の都心部の開発、それから大型の幹線道路の促進、これを国に要望するという、私たちからいえばあべこべのことをやって、今日の事態を招いているわけです。  知事は、本会議で、平成八年度以降実施してまいりました歳出の削減や都債発行の抑制など、都財政の健全化に向けた取り組みがなければ、今日の状況はさらに悪化したであろうというふうに考えておりますというふうに答弁されています。あたかも知事の裁量によって、最悪の事態を何とか免れているかのようないわれ方です。  しかし、事実は、知事が最もやらなければならなかった大型開発などの公共事業に手をつけることを恐れたために、投資の蛇口があけっ放しになって、実質的には赤字予算、財政破綻を二十一世紀までずるずる引きずっていくという最悪の事態を招いたのです。知事の本会議の答弁は、この点に全く触れていない。余りにも無責任だというふうに思いませんか。知事、いかがですか。

◯青島知事 財政が非常に逼迫していても、都市基盤の整備だとか、あるいは東京の産業の活性化というものも目に置いていかなければ、ますます逼迫していくような状況になることも目に見えておりますし、どうしてもやらなければならない東京都の基盤整備などにつきましては、これを着実に行っていくことも大事なことであろうかと考えたわけでございます。

◯曽根委員 知事の頭の中は、相変わらず公共投資の優先論なんですよね。しかし、もう私たちがいうだけじゃなくて、財界の多くの専門家の中からも、これまでの公共投資のあり方については疑問の声が出ているわけです。  例えばここに、富士総合研究所が出した「公共投資の景気浮揚効果を巡る議論についての再考察」という研究冊子がありますけれども、この中で、一九六五年以降の約三十年以上の景気対策について分析した結果として、過去の景気回復の主因を公共投資の呼び水的波及効果に求めるには疑問な点が多い、また、計量的検証を行っても、公共投資の波及効果は明確には検出されなかった、これまで公共投資自身が景気の下支え役を果たしてきたことは事実だとしても、民間への波及効果については、過去においても必ずしも大きなものではなかった可能性があるというふうに説明しています。つまり、これまでの公共投資の波及効果については、甚だ疑問であると分析しているわけです。これが今日の公共投資と景気との冷静な研究の到達だということなんです。  また、地方財政破綻とのかかわりでは、同じく富士総研の「公共投資の膨張を抑えるための方策」というレポートが出ておりまして、公共投資に対する需要は、極端にいえば無限である、たとえ国際的に見て社会資本整備が進んでいても、やれ新幹線や高速道路を日本じゅうに張りめぐらせたいなど、いい出せば切りがないであろうと述べて、公共投資について、九〇年以降、当初予算である程度規模を抑制しても、補正予算が一種の抜け道となって活用され、公共投資の規模が拡大したというふうに述べている。これはもうまさに知事にとって耳の痛い話じゃないでしょうか。  さらに、当面と将来の負担の軽さが、社会資本整備のおくれや景気対策といった名目の公共投資需要の多くを受け入れる役割を果たし、我が国の特徴である地方政府の公共投資の膨張をもたらしたと指摘しまして、この改革案としては、公共事業を求める需要が無限であっても、それに対してきちんと規律を働かせる制度の必要を提案しているわけです。  ことし二月に、「富士タイムズ」でも、国の財政対策を優先することは、地域経済にとって真に必要な財政支出が後回しにされることを意味するという指摘をしまして、地域自立のための産業基盤整備、介護保険制度導入に伴う医療福祉施設・サービスの充実、少人数学級や教室へのパソコン導入など教育の量的、質的な拡充といった新しいタイプの社会資本や行政サービスが必要なんだ、しかし、国レベルの景気対策が優先される現在の仕組みのもとでは、道路とか港湾整備とか土地改良といった従来型のインフラ整備に財源が行ってしまうという厳しい分析もしているわけです。  以上のように、都財政危機を考える上で、景気対策として進められている公共事業、この抜本的な転換の必要は待ったなしの課題であるということは、これ以上述べる必要はないと思いますが、今後の問題を考えていかなければならないというふうに思うのです。  それで、今後の都財政運営を考えていく上で、やはり避けて通れない問題である臨海副都心開発の問題に移りたいと思うのです。  臨海開発といいますと、都は、臨海開発については、一般財源の投入は基本的にもうないのだとしまして、財政破綻とは別の話ということで、開発続行の姿勢を変えようとしておりません。本当に都財政に影響がないのでしょうか。確かに一番資金がかかる基盤整備は基本的に終了しております。今後、引き取りが課題となるわけです。これも収支がとれての話であって、都の見直した計画でも、収支均衡は三十八年先という気の遠くなるような話で、いわばもう全くとらぬタヌキの皮算用というべきものです。これがもし三十八年の間にどこかでつまずけば、北海道の苫小牧東開発や大阪の泉佐野テクノポリスなどと同じように、一般財源を投入して救済することになりかねない。苫小牧東は約六百億円、泉佐野は新たに百三十一億円、それまでの出資金を含めると、二百億円も税金を投入する結果となりました。臨海開発の場合は、これらの開発と比べても規模も借金も莫大なわけですから、その意味するところは重大であります。  そこで伺いますけれども、今、第一次進出企業から地代などに関する要望が出されているというふうに聞いておりますが、この要望書をきちんと都民に公開し、また、都議会の私たちにも資料として提出していただいて当然だと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯今沢港湾局長 現在、第一次進出事業者とは、地代改定の時期に来ております。この交渉の過程におきまして要望も聞いておりますが、ただいまご要求のありました要望書につきましては、進出事業者と現在交渉中でございますので、現段階ではお示しすることはできませんので、ご了承いただきたいと思います。

◯曽根委員 これまで、この種の進出企業からの要望があったときには、きちんと都議会にも、私たちが要望すれば出してもらったわけですね。なぜ今回出してないのか、私は本当におかしいと思うんです。  情報公開の条例もできるわけですから、その趣旨に沿ってやはりきちんと対処してもらいたいと思いますが、中身について、どういう内容の要望が出ているのか、その点をお聞きしますので、お答えいただきたい。

◯今沢港湾局長 進出事業者の皆さんからは、臨海高速鉄道の大崎延伸の遅延に伴いまして、天王洲までの暫定開業を、当初計画どおり平成十二年十二月までに行ってもらいたい、それから、臨海高速鉄道にかわる臨海副都心への代替輸送対策を強化してほしい、さらに、現下の厳しい経済状況を反映いたしまして、貸付料率の見直しを検討してもらえないかという要望が主として出されているところでございます。

◯曽根委員 やはり世間に通用しない話だと思うんですよ。もうどこの企業だって、今、不況で厳しい。しかし、賃貸のこの条件というのはそう簡単に動かせるものじゃない。東京都だから、非常に虫のいい要望が出ていると思うんですよ。  前回は、この要望に東京都はやすやすと応じまして、九六年十二月、私も特別委員会におりましたから忘れもしませんが、権利金の特別な返済と、それから地代の減額をやったわけですよね。  今度は、まさかこの要望に乗るようなことはあってはならないし、もしこの要望を受け入れることになりますと、今後の地代収入がまた下がって、長期収支の計算が狂ってしまうわけですね。三十八年間になると莫大な金額になるということになると思いますが、どういうふうにする考えでしょうか。

◯今沢港湾局長 地代の減額をまたするのかという感じのお尋ねだと思いますけれども、平成八年度から実施するに当たりましては、この地代の減額は三年間の限定措置としているところでございまして、今回、減額を延長することは考えておりません。  また、収支のご質問ございましたけれども、今後とも、着実に土地処分を行うなど収入の確保に努めてまいりますので、収支均衡年度には影響ないというふうに考えております。

◯曽根委員 港湾局長、本当でしょうね。これでもって、後で減額に応じたなんてことになったら大変ですから、ここでお答えになったことはきちんと守っていただきたい。  それにしても、進出した企業も地代値下げを要求してくる、それから二次募集分も先行きがまだ見えない、こういう状況の中で、三十八年後に収支均衡といわれても、絶対間違いないと信用する人はだれもいないんじゃないでしょうか。しかも、その間、一般会計がどんなに苦しくても、他会計などから貸し付けたお金は戻ってこない。出世払いになっているわけですから。都財政のお荷物にほかならないということであります。  もう一つ、今後、資金が投入される予定の有明北の埋め立て、また、関連道路の問題です。  これは、一昨年の見直しの結果、むしろ一般財源の投入の道が開かれたことで、これは都財政の今後を考える上で重要な問題であります。このまま開発を続ければ、有明北や豊洲・晴海の埋め立て、また、広域幹線道路などの建設、ここに二兆円の都財政を投入することになるんじゃありませんか。

◯今沢港湾局長 現在のまちづくり推進計画におきましては、広域交通基盤の整備、また地域内都市基盤整備を含めました臨海副都心開発の総事業費は、二兆四千三百億円というふうに試算しております。これまでに投資した事業費を差し引いた今後の事業費は、約一兆円というふうに考えております。このうち、念のため申し上げますが、一般会計の負担は約二千五百億円でございます。

◯曽根委員 今いわれた数字は極めて控え目な数字じゃないかと思います。これ以外に、例えば、第二期の臨海道路など整備時期検討路線、それから、臨海会計から外したけれども開発に関連のある環状三号線、広域幹線道路のうちの埋立会計の負担分、一般会計負担とされた道路などの維持費など、今後の都財政の投入は二兆円ぐらいになってしまうんです。一般会計だけではなくて、いろいろな会計からお金が入るわけです。このうち、一般財源負担分でおおむね一兆円というふうに見られて、これも事態によってはふえる可能性が強いわけです。  例えば、放射三四号線とか環状二号線などの臨海部広域交通基盤整備、この総事業費が四千五百二十二億円ですよね。このうち執行されたのがまだ六十九億円ですから、大半が今後の支出です。現状では、この半分を開発者負担で臨海会計が持つことになっていますが、それでも二千数百億円の税金が必要になるわけです。しかも、開発者負担をやめて、全額一般会計が持たされるというようなことになれば、まさに泥沼、臨海のしりぬぐいに都民の貴重な税金が投入されることになるわけです。  しかも、都は既に臨海会計に転貸債など五千億円貸し付けを行っておりまして、一般会計の負担だけではなくて、いろいろなところに負担がある。これが、都民の財産やお金を使っていくことになるわけです。  今後、とりわけ幹線道路の見直しは避けられないと私たちは考えます。港湾局は、例えば警視庁から、臨海副都心地域を、自動車の乗り入れを規制し、域内交通に切りかえる交通需要マネジメントのモデル地域に指定したいという申し入れを受けているはずなんですが、こういう方法に転換していけば、何本もの幹線道路をつくる必要はなくなります。  私は、臨海開発については、今後の都財政の投入は最小限に抑える、今後の利用については、病院など公的利用と中小企業の産業拠点、都民の憩いの場として、都民参加で見直すことを改めて要望しておきたいと思います。  そこで、臨海を語るときに、ビル事業の第三セクターについて避けて通ることはできません。  東京テレポートセンターを初めとする臨海第三セクターについては、経営の統合を前提として二百七十億円の救済が行われ、今年度で減価償却前黒字を達成するとしていますが、しかし、これも、青少年センターや職員研修所など公的施設の移転による事実上の財政救済を差し引かなければ、正確に事態を評価したことになりません。また、減価償却前黒字といっても、実際は、減価償却費という形で資本を食いつぶしていることにほかならないわけです。  今後の見通しについて、収支改善の条件であるフロアはもう大体埋まってきておりますので、収入の改善の道は、賃料の引き上げ以外には大体なくなってきます。しかも、第一次進出企業が地代の引き下げを求めているように、三セクビルの賃料の引き上げを可能とする条件は、率直にいって見当たらないというのが現状ではないでしょうか。  最近、全国の第三セクターの破綻が相次ぐ中で、三セクの問題というのはさまざまな角度から検証されていますが、何よりも問題とされているのが、事業がほとんど借金で賄われているという問題なんです。  臨海三セクも、銀行の金利負担が既に五百二十億円、これは我が党の調査で、昨年の春までにもう支払っているわけですね。その金額というのは、銀行が、これらの金融機関が投資している資本金の二倍を超えていこうとしているわけです。つまり、ビル経営は赤字でも、ちゃっかり利息で銀行はもうけているわけです。これだけの資金が資本金として用意されていれば、利息に苦しまずに経営にゆとりが生まれるはずだ。公的な支援という泥沼のやり方でなくて、金融機関の責任で、それこそ民間の力で解決させるのが本筋だと思います。  それから、もう一つの問題として、この第三セクターが議会や都民のチェックを免れる仕組みになっている、このことが問題だと思うんです。臨海第三セクターを初め、第三セクターについては、その設立要件を条例できちんと定めるということが最低限必要ではないかと思いますが、この条例制定の問題についてどのようにお考えでしょうか。

◯木宮総務局長 第三セクターの設立につきましては、商法の規定のほか、東京都監理団体指導監督事務要綱や同要綱に基づきます基準において要件を定め、一般に公表しているところでございます。  基準におきましては、団体設立の意義が十分に認められること、団体の事業が都民福祉や都民サービスの向上に寄与すること、効率的かつ健全な運営が確保できることなどの観点から、設立の必要性を検討するように定めているところでございます。  さらに、第三セクターを設立する場合の出資等は議会の予算審議を経るとともに、都が二五%以上の出資を行っている団体につきましては、各常任委員会において、団体経営状況の報告を行っているところでございます。

◯曽根委員 いろいろお答えになったんですが、私が提案しているのは、要綱の行政ではなくて、やはり条例で決定する。そうすると、議会にもきちんと公開がされるようになる。あわせて情報公開についてもきちんと整備をするということが必要だということで、これは要望しておきたいと思います。情報公開条例がもうすぐできますが、この中にきちんと第三セクターも入れるべきであるということも、あわせて申し上げておきたいと思います。  この臨海開発については、財団法人東京市政調査会というところの研究員をされていました土岐寛さんという方が、著書の中で──この著書というのは「東京問題の政治学」という本ですが、要するに、財政的に明らかに破綻しているのに臨海開発は進行しているということを指摘し、その理由として、やはり開発が、非常にタブーになっていて、鈴木知事の号令一下、聖域化されて進められたということや、都民に実態が知らされないまま財政的に破綻していったということを挙げまして、臨海副都心開発は、行政主導の都市開発の問題と限界を象徴しているものだというふうに述べています。  これはやはり、臨海開発を単なる開発の手直しでなくて、抜本的に見直すことが、青島知事になって十分にできた、可能だったということなんです。財政危機という今日の事態のもとで、都財政の負担を回避し、都民本位の活用という意味からも、見直しは避けられないということを強調しておきたいと思います。  さて、これまで明らかにしてきたように、都の財政危機の真の原因、これは公共事業、とりわけ国の補助がつかない単独事業を野放図に拡大してきたことにあり、ここにきっぱりと削減のメスを入れて、単独事業を中心に公共事業の思い切った見直しをしなければ、都の財政の立て直しはできません。  ところが、昨日議決された今年度の最終補正予算、財政問題を解決していこうという都の姿勢が全く感じられません。例えば、景気対策では、金融安定化特別保証制度とか公営住宅の整備などが若干ありますが、景気回復策として提案された事業の中心は、例えば臨海道路、新海面処分場、市街地再開発関連、さらには国の直轄事業のスーパー堤防や国道整備、本当に従来型の政府の公共事業による経済対策の単なる受け皿事業になっているわけです。  そして、財政緊急アピールまで出した四千三百億円の財源不足に対しても、公営企業への繰出金の繰り延べとか減収補てん債などでやりくりしているだけで、肝心の、先ほど来いっている財政危機の最大原因、肥大化した投資的経費がまだまだ削減が足りないという点にはメスを入れない。それどころか、国の受け皿で、直轄事業まで含めますと七百億円以上の都債を増発して、減収補てん債と合わせると、今年度ついに八千億円以上に都債をふやしてしまったわけです。  あれだけ、五千億円台に都債を抑えないと大変だといっていたのに、みずからこれを破ったわけですから、財政破綻促進予算といわれても仕方がないんじゃないでしょうか。いかがですか。

◯横山財務局長 十年度最終補正予算案は、第一に、減収補てん債等の発行により財源対策を行いまして、財政再建団体への転落を回避すること、第二に、都民の暮らしを守り、中小企業の経営の安定化を図るという観点から、この二点を基本的な考え方として編成をいたしたものでございます。  これらの施策は、いずれも、深刻な状況の中で大変な思いをされている都民の暮らしを守るために必要なものでございまして、今後は、これらの施策を着実に実行することが、都民の期待にこたえるものと考えております。  確かに、おっしゃるとおり、最終補正予算には公共事業費を予算化しておりますが、これに関連しまして、先ほど公共事業のお話がございましたけれども、公共事業の景気浮揚効果、つまり乗数効果がどうであるかということは、いろいろな議論があるところでございます。  ただ、都が公共事業を行っておりますのは、単に景気浮揚効果がどうかという面だけで決してむだな公共事業をやっているわけではなくて、立ちおくれている社会資本の整備を図ることが広く都民の福祉の向上に資する、こういう観点から実施をしているところでございます。

◯曽根委員 財務局長の公共事業論もちょっと出てきました。それも含めて、この補正予算が、これしか都民の暮らしを守りながら対応する方法はなかったかのようなお話ですが、とんでもないと思うんですよ。それではスーパー堤防とか国道整備とか、こういう国の直轄事業、こういうものまで含めて、これは本当に町場の中小企業なんか仕事受けられませんよ、こういう大きな事業は。そういう事業も含めて都債を積み増しして八千億円、これは本当にどうかしていると思うんですよ。  だって、九二年度から都債発行額が八千億円を超えて、多い年は一兆円まで行ったわけですよね。このことが、これから償還時期を迎えるこれから何年間か、赤字団体転落の瀬戸際に私たち立たされるわけでしょう。それを、二の舞になりかねないじゃないですか、八千億円なんていう借金を単年度で行えば。反省がなさ過ぎると思うんですよ。ところが、これが今度の補正予算だけではない、今も一体だとおっしゃいましたが、来年度予算でも、性懲りもなくこの路線が続けられようとしております。  東京都は、九九年度予算が、暮らしを守りながら財政危機を回避しようと努力したとか、投資的経費はもっと大きく一四・三%も削減したんだと盛んに強調していますけれども、問題は、財政危機の真の原因に削減のメスを入れていないこと、投資的経費の削減を口実にして、都民の暮らしにかかわる生活密着型の公共事業を削減しているということなんです。特別養護老人ホームの整備、都営住宅、福祉や医療、教育などの都民施策は、軒並み削減もしくは凍結です。都営住宅に至っては、知事、あなたが知事になってから、もう五分の一、新規建設は四百戸にまで下がってしまったわけです。  そこで、私、このことを少し調べてみたんですが、大型の箱物その他個別の施設建設などは、ある一定の年限が来ると終わってしまいます。皆増、皆減があるわけです。しかし、例年継続的に続いている投資事業というのがあります。そういうものの中で、削減率の多かった主なものを、東京都が発行している主要事業という欄の中から拾ってみたんです。  まず、都営住宅の建設が削減率二五%、都立高校の老朽校舎改築や大規模改修が二三・七%の削減、応急給水槽や学校の避難所強化などの震災対策が二七・〇%の削減、道路補修が二〇%の削減、福祉のまちづくりが二〇%の削減、中小河川改修が一六・〇%の削減、交通安全施設や公園は一〇%の削減、こういうふうになっています。本当に生活密着型の事業ばっかりなんですよ、削減率の高いのは。その一方で、私たちがゼネコン奉仕といっている大型の浪費的な事業が多く含まれている開発とか幹線道路などはどうなっているか。  お聞きしたいんですけれども、九九年度予算案で、都市の骨格を形成する道路の予算はどういうふうになっているでしょうか。前年比大幅に削減をされているんでしょうか。

◯横山財務局長 都市の骨格を形成する道路の十一年度予算は九百三十七億円で、十年度予算の九百七十五億円に比べまして三十七億円の減、率にして三・八%の減となっております。

◯曽根委員 これらと比べて、はるかに削減率が小さい。三・八%の減ならば、ほぼ前年並みということになります。  臨海関連の東京港臨海道路も、やはり四%減にとどまり、事業量は今年度並みに確保されております。骨格道路事業は、単独費が、比率が下がったとはいえ、来年度予算で六六%、臨海道路は、国の補助というのはわずか一〇%しかありません。残り九割は都の負担です。こういう大規模で、単独費や都の負担の割合の大きい事業にメスが入っていないんじゃありませんか。  さらに、区部の中心部の整備は六四%の増額、市街地再開発も三・五%の増額など、大型開発事業はむしろふえてきているのです。これでは、来年度も財政破綻路線が延長されてしまいます。  さらに、今後三年間、都政の重点事業を定めた改訂重点計画ではどうか。皆さんにも資料をお配りしていますが、この円グラフのパネルを見ていただきたいんですが、これは、総額一兆五千三百四十二億円の改訂重点計画のうち、少子高齢化対策が、前の計画よりも一・六ポイント下がって一一・九%、産業支援が、実際には空港整備などを除けば中小企業支援ということでは二・七%、こういうのに対して、副都心づくりとか幹線道路などの都市づくりの分野、これが、前計画五二%から今回五六%と、本当に断トツの位置を占めております。  しかも、ここには図には載っていませんが、三年計画の年度ごとの変化を見ると、少子高齢化対策や産業振興は、毎年、今年度を基点にして三年間下がっていくのに対して、都市づくりは三年間上がっていくわけです、事業費が。  こういう状況になっておりまして、重点計画を聞いてみましたら、来年度予算でもまさに聖域扱いで一〇〇%予算化されている上に、各事業費もほぼ今年度並みに確保されております。一般経費全体では、制度的に削減ができないシルバーパスとか老人医療費助成などを除けば、一律一〇%カットが押しつけられているのを見ても、極めて対照的な扱いです。  こうしてみると、今年度の補正予算も、来年度予算も、重点計画も、ゼネコン型の公共事業優先の都政から抜け出そうという姿勢が全く見えないじゃないですか。これで本当に二〇〇〇年度に六千二百億円の歳入欠陥が発生して財源の手当てができなければ、財政再建団体転落のおそれが現実にあるということを本気で想定して、真剣に考えて予算を組んでいるのかと疑わざるを得ないわけであります。  しかも、今年度繰り延べた公営企業への繰り出し一千億円、これは来年度の財源の手当てが決まっていません。この財源はどこから持ってくるというふうに考えているんでしょうか。

◯横山財務局長 今回の公営企業への繰出金の繰り延べにつきましては、その財源を十一年度予算には計上しておりませんが、今後、都みずからの厳しい内部努力を行いますとともに、施策の見直しなど、健全で強固な財政基盤を確立していくための取り組みを計画的に行っていくことにより、繰り延べを解消するよう努めてまいります。

◯曽根委員 結局、来年度予算は実質赤字予算ということですよね。来年度繰り延べ分の財源が出てこなければ、また繰り越すしかありません。こうして、厳しい綱渡り状態が嫌でも続くことは避けられないのが都財政の実態です。  東京都は、来年度、八百億円の財政健全化債を見込んでいますが、これも、私、重大な問題だと思います。自治省がこの財政健全化債について出した財政健全化債の考え方についてという照会文書によりますと、この健全化債の八百億円に対応して、今後五年間でその分の財政負担の軽減を図ることとして、使用料、手数料の見直しなどによる歳入確保とか、人件費見直し、補助節減などによる歳出削減を義務づけております。  これ自体が、財政不足は、都民負担や都民サービスの切り捨て、もしくは職員の犠牲で穴埋めしろというとんでもない話なんですけれども、さらに、ここに注意書きというのがありまして、注意書きには、普通建設事業等臨時的経費の削減は歳出の削減の対象としないというふうに書かれておりますが、これは一体どういう意味なんでしょうか。

◯横山財務局長 財政健全化債は、地方団体の取り組みによって将来の財政負担の軽減が見込まれる場合に、その範囲内で発行が認められるものでございまして、経常的収入の確保や経常的経費の削減など、財政の構造的な改善に資するもので、効果が長期に及ぶ措置に限り対象とされているものです。  普通建設事業等につきましては、これは臨時的経費とされておりまして、財政状況等によって当然変動するものであることから、その削減が殊さら財政健全化債という特別な起債の対象にはならない、そう理解しております。

◯曽根委員 これは、先ほど知事も、その一因があるというふうに認めたように、臨時的な経費と自治省も呼んでいるこの公共事業の経費が、臨時どころか、毎年毎年膨らみ続けてきたことが、都政を借金漬けにしたわけでしょう。その膨らみ過ぎた部分を毎年削っていけば、投資的経費だって大きな削減効果は出るじゃないですか。それを、これは臨時的な費用だから削減効果を認めないなんていうのは、極めて恣意的な話ですよ。  結局これは、財政健全化のためには、公共料金の値上げとか都民の施策の切り下げはどんどんやりなさい、しかし投資的経費は削減してはいけませんよ、そういうものじゃありませんか。自治省の本音はそういうところにあるんじゃないんですか。

◯横山財務局長 財政健全化債は赤字債ではございませんで、あくまでも地方財政法上、第五条債で、投資的経費に充当されるものですから、そういった意味で、臨時的経費たる普通建設事業の財源としては考えていない、こういう意味だろうと思います。

◯曽根委員 そういう形式的ないいわけじゃ、だめなんですよ、もう。経常経費を切りなさいといっておきながら、肝心の投資的経費、普通建設費には手をつけちゃいけない、こちらは蛇口をあけておきなさいという露骨な要求なんですよ。地方交付税交付団体であれば、いずれほとんどが国で面倒見てくれる仕組みですから、やりくりもこれは可能かもしれませんよ。しかし、不交付団体の東京都は、この起債の償還が始まるときは、都民のための施策に、この借金の返済分がそっくりしわ寄せされるわけですから。しかも、少なくとも八百億円分の公共料金値上げとか、人件費削減などは義務づけられるわけですよね。夏にはそれを含めた財政再建策を出すということになるわけです。  例えば、都議会自民党の代表質問でも、本予算で財政健全化債を見込むということは、現在の地方分権、あるいは地方自治の流れに逆行するものといわざるを得ないというふうに述べていますが、私は本当にそのとおりだと思うのです。こんなものを利用しないでも、やり方は幾らでもあるだろうという話もありました。本当にそのとおりだと思います。  都政運営を国に明け渡すような、こういう財政健全化債の申請は、これは来年度の予算ですから、私は行うべきではないと思うのですが、いかがでしょうか。

◯横山財務局長 財政健全化債の計上につきましては、平成十一年度予算の段階で多額の財源不足が生じまして、一方、歳出を切るというのは大変な労力を要するといいますか、大変な汗を流す話でございまして、結果的に、都民の生活を守るために、歳出に見合う財源を確保せざるを得ない。そのために財政健全化債を計上したわけでございまして、財政健全化債につきましては、東京都の現在行っている行政について相当の見直しが必要であるという認識がございますので、それをもとに健全化計画を策定するものでございます。

◯曽根委員 自治権を侵されてまで国に従って財政問題のツケを都民の側に押しつけるということは、絶対に許すわけにはいきません。こんなやり方じゃなくて、都の財政を、再建団体への転落を回避しながら切り抜けていく方法、これはまだまだ残されているはずです。きょうは細かい問題はやりませんけれども、やっぱりそういう財政のやりくりの検討も、それとして非常に必要な段階に来ております。それと同時に、問題は、その中でいかに財政危機の一番の原因を取り除いていくかどうかということなんですよ。  二〇〇〇年度の公債費の見込みについて、ちょっとお聞きしたいのですが、この二〇〇〇年度の公債費の見込みのうち、減債基金の積み立て等、借入金の返済は、それぞれ幾らぐらいずつ見込んでいるのでしょうか。

◯横山財務局長 平成十二年度における一般会計の公債費の見込額のうち、通常のルールに基づきます減債基金積立金所要額は約二千八百億円、都債の元利償還額は約三千七百億円と試算されております。

◯曽根委員 そうしますと、平成十二年度、つまり二〇〇〇年度における実際の元利償還額は三千七百億円、それに加えて減債基金の積み立てが二千八百億円あるわけですよね。これは今年度予算についても私たちは減債積立金の過大な見積もりという問題を指摘しましたが、これは是正されたわけです。しかし、二〇〇〇年度、また過大な設定を行っているんじゃないのでしょうか。来年度に投資的経費をさらに抜本的に減らして、都債発行額をさらに大幅に下げれば、減債基金の積み立てもそれに応じて削減できるし、将来へのツケも少なくて済むわけですから、この点から見ても、財政危機打開の道は、第一義的に、ゼネコン型の公共事業を抑制し、どんな名目であれ、都債の増発による借金の積み増しを極力避けることです。  また、先ほどいいましたように、経常的経費の中で福祉や教育などの予算を圧迫している首都高速道路への貸付金などの投資関連経費についても、不要不急の事業は凍結、縮小するなども確実な財源対策になります。また、国の減税措置に伴う税収減についても、全額補てんさせること、また、新たな税源の移譲など、財源確保も真剣に取り組まなければなりません。既往債の低利の政府債への借りかえも急がれる対策の一つです。  それから、より根本的には、国の全国総合開発計画に基づいて進められているさまざまな開発計画、例えば区部中心部整備指針とか多摩の心整備指針など計画、八六年の再開発方針に基づいて設定された二十三区全域の再開発地区計画など、事実上、財政支出を自動的に行わせる仕組みとなっている上位計画についても、見直しが必要だと思います。  こうして対策を行って、この二十年間の都政のあり方を根本的に変えていく、そのためにも、どうしてこの財政危機をここまで深刻にしたかという真の原因にメスを入れる立場に立たなければ、本当のこの解決はあり得ないということを、繰り返しですが、改めて強調しておきたいと思います。  さて、次に、都民への痛みの押しつけ、とりわけ行政が一番大事にしなければならない人たちへの痛みの押しつけの問題について、一つの代表例として、私がどうしてもただしておきたい問題が、盲聾者通訳派遣事業の予算の削減問題なのです。  これは知事にも復活要求のときにお話しましたよね。盲聾者は、ヘレン・ケラーと同じように、視覚と聴覚の重複障害、見えないと同時に聞こえない障害を持った人たちです。知事、こうした障害を持つ人たちがどういう状態に置かれているか、想像できるでしょうか。あるその障害を持つ方は、深い井戸に落ちたようだと表現されています。真っ暗な音のない世界で、頼りになるのは触覚、物にさわる感覚だけです。通訳するのも、手のひらに一文字一文字、字を書いたり、また指点字を使ったり、大変な苦労を伴います。この人たちは、通訳なしには外へ出ることはできないわけです。周りの人とコミュニケーションをとることができないからです。通訳の派遣は、盲聾者にとって、人間として生きていくための最低限の条件なのです。  盲聾者のための福祉は、戦後長い間置き去り状態でした。しかし、関係者の努力がようやく実って、九六年に東京盲ろう者友の会への補助という形で通訳派遣事業が始まりました。青島知事になって初めて組んだ本格予算のときなんですね。  まず伺いますが、盲聾者にとって自立と社会参加のために重要な役割を果たしているこの派遣事業、通訳者派遣事業の意義、役割について、福祉局長、この意義、役割についてお答えいただきたい。

◯石川福祉局長 本事業は、盲聾者にとりまして、委員ご指摘のように、自立と社会参加のために重要な役割を果たしているというように認識をしております。

◯曽根委員 局長もそっけない答弁ですけれども、関係者の方の共通の声として、重要な役割というだけじゃ済まないんだ、これはなくてはならない事業なんだ、これなしには人間として生きていくことができない問題なんだというふうに声を上げておられました。  ところが、知事は、初年度一千万円の事業費で始めたものを、次の年に早速一律削減の対象としまして、二十六万二千円削減しました。出ばなをくじくというのは、まさにこのことであります。その上、来年度、またもや二十三万五千円の削減を計画しています。これはなぜ削減するのですか。

◯石川福祉局長 盲聾者の通訳派遣事業につきましては、委員ご指摘のとおり、大変都財政は厳しい、そういう状況下の中で、すべての団体補助の事業の予算額を原則として一〇%削るという全庁的な方針のもとで、今お話しのような額の削減をさせていただいたわけですが、この団体は、ご案内のとおり、設立して間もない、それから、大部分が東京都の補助金で賄われている、そうしたことを十分に考慮し、事業運営に支障のないということで、対前年度二・四%という形でお願いをしたわけでして、私の方は、事業運営上支障がないというふうに判断をしております。

◯曽根委員 まず、局長は、さっきの議論を全く聞いてないじゃないですか。都財政が厳しいのは、都民の福祉を多くしたからじゃなくて、公共事業のやり過ぎだった、知事もそれが一因だと認めたわけですよ。その厳しい財政状況を私が指摘したからということで、こっちに一律削減が来るというのは、全くこれは筋違いですよ。しかも、それは影響のない範囲だというふうにおっしゃいましたが、とんでもない話であります。結局、痛みは挙げて都民のところへ、この場合は、とりわけ行政が最も手を差し伸べなければならない盲聾者のところに行くわけです。  削減額は二十三万五千円、都全体の費用から見れば、本当にわずかです。しかし、この事業にとってどうか。さっき、影響の及ばない範囲とおっしゃいましたが、極めて深刻で重大な影響をもたらします。仮に削減がなくても、今の予算の枠では、四十人の盲聾者に年間六十時間、総計二千四百時間の通訳派遣が、どんなに頑張っても精いっぱいなのです。一人当たり月にわずか五時間です。月に一度ちょっと買い物に出れば、終わりです。その上二十三万五千円の予算が削減されたらどうなるか。通訳派遣の単価は一時間当たり千円ですから、ちょうど二百三十五時間分の派遣時間の削減に直結してしまうのです。そうならないように、友の会の人たちは必死になって今寄附金を集めていますけれども、この不景気のときに、思うように集まらない、何とか先の見通しができるようにしてほしいと、これが関係者の東京都に対する切実な要望なのです。  友の会の盲聾者に対するアンケート調査では、年間六十時間では足りない、平均して希望としては、十倍の六百二十時間の派遣を希望しているという結果が出ています。しかも、今は対象は四十人ですけれども、都内の盲聾者は九百七人まで確認されていますが、実際にはその倍はいると推定されているわけです。  要するに、重点計画にのせた事業は一〇〇%予算化するけれども、あとは一律削減というやり方じゃないですか。全庁的方針だといって、こういう事業まで削減の対象にする。これは本当にひどい話だと思うんですよ。盲聾者の通訳派遣事業というのは、九六年に始まったばかり、局長おっしゃったとおり、まだよちよち歩きの段階なんですよ。これから手塩にかけて育て上げなければならない。そのときに予算を削る。本当に赤ちゃんの上着を脱がして道端にほうり出すようなものですよ。  知事は、昨年末の行政改革プランのときに、こういうふうにおっしゃいました。限られた財源の中で都民にとって真に必要なサービスを安定的に供給する、そのためには厳しい痛みを伴う選択も避けられないというふうにお話しになりました。盲聾者通訳派遣事業は真に必要なサービスではないのでしょうか。知事、どうですか。

◯青島知事 陳情においでになった当該の方々にお目にかかって実情をお伺いしたこともありますし、大変に盲聾者にとりましては重大な事業であるということも認識しておりまして、でき得る限り削減の幅を狭くするようにという指示をしたところでございます。

◯曽根委員 削減の幅を小さくするといって、二十三万五千円になったわけですね。じゃ、本当はもっと大幅な削減が計画されていたわけですか。この金額を削減しなければならない理由は、財政上本当にあるんでしょうかね。私は絶対ないと思いますよ。どう考えたって、東京都の財政の力からすれば、これは何とかなる話じゃないでしょうか。東京盲ろう者友の会の事務局長さんが、本当はすべての盲聾者に必要な通訳派遣ができるようにならなければならないんだ、そうなって初めて、ただ生かされているのではない、生きていることへの転換が図れるのではないかというふうにおっしゃっていました。そして、この問題は、盲聾者の基本的人権の保障にかかわる問題だというふうに事務局長さんは力説しているわけです。  知事はどう考えますかね。盲聾者の通訳派遣事業を初め盲聾者に対する福祉施策、これは今までほとんど置き去りだったわけです。あなたが知事になって最初の予算で組んだわけです。初めて予算がついた。それを今からみずからの手で削減をする。本当は、今後充実させていく必要があるというふうにお考えになりませんか。いかがでしょうか。

◯青島知事 盲聾者に対する通訳の意味は非常に大きいということを認識しておりまして、当初一千万という金をつけたわけでございまして、それも他との整合性を図った上で、これだけを残すというわけにまいりませんでしたので、本当に胸の痛い思いで二%ちょっとを切らしていただいたわけでございます。

◯曽根委員 わかりました。結局、知事は、財政状況が厳しい、これをとにかく理由にして、重点計画などの優先的な事業は一〇〇%予算化する、しかし、それ以外は何が何でも一律削減なんだという適用をするということですね。その事業が、いかにそれぞれの対象者にとってかけがえのない役割を果たし、命の綱となっていても、すべての事業を見直していく、このやり方が東京都の方針だということなんでしょうか。だとすれば、これは極めて重大です。  昨年の暮れに東京都行政改革プランというものが発表されました。ここには「都民感覚から始まる都政の構造改革」というスローガンが麗々しく掲げられていますが、しかし、同時に、厳しい財政状況のもとでは、限られた財源を有効に活用するための厳しい痛みを伴う選択も避けることはできないとも述べております。先日、たしか本会議で、財務局長は、都の行っているすべての事業を、制度の根本にさかのぼって改めて見直していく必要があると述べられましたが、これは行政改革プランでいうところの、厳しい痛みを伴う選択ということを意味しておっしゃったのでしょうか。はっきりお答えいただきたい。

◯横山財務局長 今後とも厳しい財政状況が見込まれる中で、都民にとって必要なサービスを安定的に供給をし、都民の期待にこたえていくためには、限られた財源を有効に活用するための厳しい痛みを伴う選択も避けて通ることはできないと考えております。こうした選択の時代におきましては、明確な政策目標に基づき、優先順位を定めて施策の選択を行い、その実施体制を決定していく必要がございます。このため、都の行うすべての施策を制度の根本にさかのぼって見直すことが重要であると考えておりまして、そういう意味では、ご指摘のとおりでございます。

◯曽根委員 今、財務局長がお認めになったように、制度の根本にさかのぼった見直しというのは、一昨年の財政健全化計画で打ち出された都民施策の切り捨ての方針のことです。つまり、シルバーパスや老人医療費助成、私立学校助成など、制度として確立しているこれらの施策の切り下げは、都民と都議会によって否定されたものです。この財政健全化計画路線を都は断念していないどころか、行政改革プランという新しい装いで、より大規模に、より徹底して進めようとしていることは、断じて許されません。  盲聾者に対するささやかな通訳派遣事業への補助という、こういう行政サービスさえ切り刻んでいこうとする都の姿勢が、行革プランによる、あらゆる都民施策の根本的見直しによる都民への厳しい痛みを伴う選択の押しつけの第一歩であることは明らかであります。  さらに、今、この行革プランの一環として、一層全面的かつ大規模に、都民の、東京の福祉の大きな柱を破壊しようとしている問題について、これは吉田委員から関連質問を行わせていただきます。(拍手)

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