98年12月20日公営企業決算委員会
水道局の過大な給水計画見直し、水道料金値下げを要求
◯曽根委員 私からは、この水道事業の運営方針の一つでもあります節水型の都市づくり、それを大きく目指していくという観点から、二つの点についてお聞きしたいと思います。 一つは、節水型都市を本当に目指していくという上での限られた資源である水の節約、これを実際に今後の将来の計画においてどう具体化するかという問題です。これは主に需給計画としてあらわされるわけですが、この決算を行っております九八年度、平成十年度というのは、私も記憶に鮮明なんですが、九三年に私、初めて都議会に出てきて、その年の暮れに料金改定が提案されました。九四年度から九七年度、四年間で一千七百七十一億円の累積資金不足が生じると。これを埋め合わせるために、一六・一%の平均値上げを行いたいという提案がされました。我が党はもちろん反対しましたが、これが可決されまして、確かに四年間で資金不足は解消されたんです。その翌年が九八年、平成十年なわけです。新しい財政計画のスタートというふうな形になったのかと思います。 そこで、昨年度、つまり十年度の予算を考えるときに必要だったのは、九四年の値上げの影響、そしてその値上げの根拠とされたいろんな事業計画、これが四年間で現実とぴったり一致していたのか、過剰な部分はなかったのか、むだ遣いはなかったのか、本当に都民に痛みを与えることになりますので、その負担をお願いするにふさわしい事業が四年間行われたのかということを、いろんな角度から検討すべきだったのではないかと思います。 それで、ちょっと振り返る形で見ていきたいんですが、九四年に値上げが計画されたときに、水の需給計画というのは、西暦二〇〇〇年までに六百七十万トンの一日の最大配水量を確保するという計画でありました。きょう、いただいた資料の一ページに、現実に、これは昨年度までですが、平成十年度、九八年度の一日最大配水量は五百四十九万七千トンと出ております。六年間で一三%ぐらい、当時は、平成五年ですから、五百九十万トンぐらいの一日最大配水量だったものを、西暦二〇〇〇年には一三%ふえるだろうというふうに見ていたけれども、実際は、十年度までのデータですが、五年間で逆に七%ぐらい減っているということで、当時の予測との開きを見ますと、現実は二割の開きが、もう需給計画上出ているわけです。ですから、値上げの根拠とされた需給計画、それに基づいて当然投資事業が行われてきたわけですが、この計画の根本が現実と合っていない過大なものだったことは、この数字からも明らかだと思います。 この需給計画については、その後、修正がどのように行われたんでしょうか。
◯甘利経営計画部長 平成十年一月に生活都市東京構想の指標が出ましたので、改定を行いまして、平成十二年度には、先ほどご指摘ございました六百七十万立方メートルから六百二十万立方メートル、平成十七年度は六百三十万立方メートルと修正してございます。
◯曽根委員 西暦二〇〇〇年、平成十二年度までには六百七十万トンを確保しなければならないとされた計画が、九七年二月の生活都市東京構想の段階で、西暦二〇〇〇年までに六百二十万トンというふうに修正されたと。しかし、これすら現実に、昨年度のデータで約五百五十万トンですか、ずれが既に生じているわけで、これが急に西暦二〇〇〇年になったら六百二十万トンになるというような流れでないことは、この数字からも明瞭であります。修正を繰り返しながら、これまで何度も水道局は需給計画を見直して、しかし現実と乖離して、また下げる。下げた目標が、また現実と乖離して、また下げるということを、何度も繰り返してきている。しかし、現実にやっぱり合わないという点は、私は反省が足りないんじゃないか、なさ過ぎるということは、厳しく指摘せざるを得ません。 この平成九年二月、九七年二月に修正されたというものの、つくられた需給計画で、今後、水需要は二十一世紀にわたって、どの時期にどれぐらいまで伸びていくというふうに考えられているんでしょうか。
◯甘利経営計画部長 今後の需要の伸びの見込みですけれども、平成十七年度で六百三十万立方メートル、それから四半世紀後には六百五十万程度にはなるものと見込んでおります。
◯曽根委員 四半世紀後というと、大体西暦二〇二〇年か二五年ぐらいでしょうか。そのころに、現状から見て百万トン以上の伸びがあるだろうというからには、それなりの伸びの要因というのを考えておられると思うんですが、長期に需要が伸びていく要因というのはどういうものが考えられているんでしょうか。
◯甘利経営計画部長 現在の水需要につきましては、いわゆるバブル経済崩壊後の景気回復がおくれていることと、平成七年度の冬、あるいは平成八年度の夏季、冬季と続きました渇水時に節水をお願いしたことなどから、需要は一時的に減少した状態になっているものと思います。 しかし、水需要は個人所得、あるいは平均世帯人員、経済成長等に密接な関係がございます。需要の約七割を占める生活用水につきましては、経済の成長による個人所得の増加や世帯数の増加による平均世帯人員の減少から、一人一日当たりの使用水量の増加が見込まれます。全体の使用量も、緩やかでございますが、増加を続けるものと推定しております。
◯曽根委員 今のお話は、私は説得力がないと思うんです。水の使用の七割は家庭で、生活用水、残り三割がいろんな施設や企業などの使っている水だというふうに、先ほどもお話がありましたが、企業の方についていえば、確かに景気は回復するかもしれないけれども、今、企業も経費削減に必死になって取り組んでいるという状況ですから、しかも低成長が続くだろうといわれているわけですから、景気はたとえ回復したとしても、水の需要が大きく伸びるという保証は私はないと思うんです。現に平成元年、二年ごろの推移を見ましても、現状とさほど大きな配水量の違いはないわけです。バブル経済が再燃して、とんでもないことにならない限り、大きく伸びるということは考えにくい。 一方で、生活用水で一人当たりの水の使う量がふえていくだろうと見込まれるというふうにお話ありましたけど、私、水道局の事業概要、隅から隅まで読ませていただいたんですが、そういう傾向が、何かの統計資料がデータで出ているということは、少なくともこの方には一切載っていないんです。載っていたのは、とにかく総配水量に対して、給水人口で割り返せば、これは企業も生活用水も含まれますけれども、要するに都民一人当たりの年間平均使用量です。これを見ますと、この六年間、ずっと下がり続けているわけです。九二年の十六・三トンをピークにして、九八年度は十四・九トンと、ずっとじりじり、着実に下がっている。ですから、節水意識が高まったと、先ほどおっしゃったのはそのとおりであって、これはむしろ水道局の運営方針から見れば、非常に結構なことじゃないかというふうに私は思うんです。 それで、もし仮に生活用水の一人当たりの量がふえて、今後、本当に六百五十万トンに四半世紀のうちに到達するとすれば、一人当たりの使う量がどれぐらいふえなければならないかと、私、ちょっと計算してみたんです。そうすると、先ほどお話に出た生活都市東京構想では、二〇二〇年、二五年ごろには、人口は大体一千百万を割るんじゃないかといわれているわけです。つまり、今から八十万人ぐらいは減るだろうという、片や八%ぐらいずつ人口は減っていくという一方で、一人当たりの量がふえると──大体四割ぐらい、一人当たりの使う水の量がふえないと、六百五十万トンにはいかないわけです。だから、これは本当に荒唐無稽な数字になると思うんです。都民のみんなが平均して四割ぐらい水を多く使うようになるだろうということを、本当にまじめに水道局が節水型都市といいながら考えて、この需給計画というのを立てておられるのかどうか、この点をもう一回確認したい。
◯甘利経営計画部長 需給計画を立てる場合、生活用の場合につきましては、一人どのくらい使うかという原単位ごとの実績を見てやるんですけれども、平成元年、一人当たり日量二百三十三立方メートルございましたけれども、平成十年になりますと二百四十九になっております。一人当たりの使用水量というのは、四人家族から三人家族、あるいはもう少し少なくなれば、一人当たりの使用水量は多くなってまいります。同じふろを使うにしても、三人で使うのと二人で使うのとは違いますので、一人当たりはふえていくということでございます。
◯曽根委員 そういう傾向が、人数が少なくなれば出るだろうというだけで六百五十万トンの需給計画を立てて、しかもそれに伴う投資を膨大な額でだあっとやっていくわけですから、その根拠としてはいかにも希薄だというふうに、私はいわざるを得ないと思うんです。 それで、この需給計画と、それに基づく過大な投資事業の計画を、私はこの際、やっぱり抜本的に見直すように、これは時間の関係で要望にとどめますけれども、改めて求めておきたいと。今、また新たにこういう需給計画があるから、資金不足が生じるんだといって、都民にまた負担をお願いできるような、そういう状況じゃないということもあわせて申し上げておきたいと思います。 次に、その四年間で値上げもありまして、千七百億円以上の資金不足が解消されて、新しいスタートとなった九八年度なんですが、この九八年度を真ん中とする九七、九八、九九の、今年度までの三カ年計画、この中で私は注目すべき動きがあったというふうに見ています。それは、当初三百二、三十億の資金不足が生じるというふうに三年間で見られていたのが、企業努力によって、これはほぼ解消されたというふうに、先日パンフレットをいただいたときにご説明がありました。その企業努力、いろんな努力がされたんじゃないかと思うんですが、主な内容を示していただきたい。
◯石山総務部長 水道事業三カ年計画におきます企業努力でございますが、計画におきます収支改善策は三百二十億円でございまして、現在、おおむね三百四十六億円程度を見込んでおります。その内容でございますが、事務事業の効率化による職員定数の削減で約七十一億円、水道業務手当の削減で約五億円、工事施工時の機械土工範囲の拡大等、工事コストの縮減で約九七億円、それからメーター購入契約方法の改善など、諸経費の節減で約九十九億円、未利用地の売却などの収入の確保によりまして約七十四億円でございます。
◯曽根委員 諸経費が九十九億円ですか、それを除けば、やっぱり大きいのは工事コストの縮減という方法による財政対策が九十七億円で、かなり多くを占めていると思います。これはたしか九七年当時、建設省の指針が出まして、各事業局で取り組まれてきたものです。水道局の場合、この三年間の取り組みで、工事コストはどれぐらい縮減率を上げたんでしょうか。
◯甘利経営計画部長 水道局における工事コストの縮減額でございますけれども、平成九年度十億円余、それから平成十年度約三十五億三千万円、平成十一年度五十一億六千万円でございます。平成十一年度は予定でございます。
◯曽根委員 縮減率はトータル幾らになっているでしょうか。
◯甘利経営計画部長 平成九年度目標に対しまして一%、平成十年度三・四%、平成十一年度につきましては四・七%を予定しております。
◯曽根委員 これは毎年積み上げていくものですから、三年間で、年間の一定の事業の量に対して、工事コストの縮減という形で四・七%の縮減ができるところまで来たということですよね。これは、経常的にこれからもその効果が生きてくるというふうに見られる費用ですから、非常に貴重な努力だと思うんです。ただ、この四・七%のコスト縮減という、成果は、東京全体の建設関係、土木関係の平均程度だと思うんです。例えば、港湾局では三年間で一〇%と、国の建設省の指針の到達を目指すという目標を掲げておりますし、下水道局なども同様だと聞いています。それから、財務局が管轄している公共建築物の方ですが、これは二割以上の削減ができていると、建築物という特殊性もあるかもしれませんが。そういう点で水道局としても、これで終わりにするのではなくて、さらにコスト縮減を目指すべきだと思うんですが、何か目標とか、そういう形で今後取り組む方向は出ているんでしょうか。
◯甘利経営計画部長 平成十一年度等の削減率につきましては、下水道局の一〇%という話がございましたけれども、東京都全体としては四・五%、当局は四・七%を目標にしております。今後につきましては、オール都庁でコスト縮減に取り組んでおります。そういった経過を見ながら、さらにやっていきたいと思います。
◯曽根委員 水道局として、私は目標をきちんと定める必要があると。建設省が指針で三年間で一〇%、これはなかなか大変だとは思いますが、これは早急に一〇%というのを目指すべきだろうと。さらに、水道局は建物もいろいろつくるわけですから、そういうものも含めれば、一〇%以上は、私は可能ではないかと思います。 それで、前向きな立場から、一例だけ申し上げますと、臨海部に九七年の春に水の科学館というのがオープンしたんです。私たちは、臨海副都心がオフィスビルを林立させるという企業都市という形でのコンセプトには反対していますが、都民の憩いの場として活用していくべきだという大きな流れの上で、水の科学館のような施設があることは、むしろふさわしいのかなというように思います。ただ、この施設が建設費八億七千万円に対して、これは毎年のランニングコストだと思いますが、お聞きしたら、一億二千万円ぐらいかかっていると。建物の建設費に比べて、年間のランニングコストがそれの八分の一か七分の一ぐらいですか──というのは、都庁なんかに比べても、非常にランニングコストが、年々の分がかかっているなという印象を得ました。それは、設計のあり方や、中での設備のメンテナンスの費用だとか、いろいろあるんだと思いますが、こうした中身も設計段階から、いわゆるVE方式といいますか、バリューエンジニアリングなどの方式を活用して、できるだけつくった後のコストも節約できるような方法を工夫していくということが必要じゃないかと思いますので、これはこういう施設をつくる場合の考え方として、ぜひ参考にしていただきたいと思います。 それで、建設省の指針の一〇%を達成するということになれば、さらに百億円ぐらいの財源を節約することが可能になるわけですよね。私たちは、今までのやり方といいますか、少なくとも前回の値上げのときにいわれたような、料金収入以上の毎年の、過大だというふうに私たちは思いますが、投資額がどんどん計画されて、資金不足が累積されていくと。それで何年かに一遍値上げして、それを解消しなければならないというような、やっぱり都市計画を、収入に見合ったものということで適切に見直していくこと。それから今申し上げたように、コスト縮減などに取り組むことによって、私はかなり水道局の事業も、水も節約しなければなりませんが、お金も節約して、そして財政的にもゆとりを持たせる、都民にも利用者にも、何らかの形でその財源的な余裕の中で還元をするというふうに考えてもらいたいと思います。 もう一つ、その還元の一つということでもあるんですが、水の節約を進める節水型都市をつくる上で、私は最近よく都民の方から相談を受けるのは、料金体系の問題なんです。それは、要するに小口の利用者の場合、月に十トンまでは基本料金なんです。ですから、例えば一番普及している二〇ミリの口径の給水の世帯では月に千二百三十円、二カ月単位で振り込みとか、払いますので二千円以上になるんですが、これは十トン使うまでは何トン使っても同じ料金なんです。だから節水、節水といわれるけれども、節水しても料金は変わらないと。これはもう少しちゃんと、使う量を節約すれば、その分料金にもはね返るような仕組みにしてもらえないかという声をよく聞くようになりました。これは、なかなか生活も厳しいということもあるんだと思うんです。 そこでお聞きしたいんですれけども、いわゆる十トン以下しか使っていない基本料金だけの世帯というのは、全使用者の中でどれぐらいの割合を占めているのか。またさらに、その中でも月に五トン以下しか使っていない世帯というのは、どれぐらいの割合なのか。こういう少量しか使わない世帯というのは、大体どういう特徴があるのか、その辺をお聞かせいただきたい。
◯二階堂営業部長 口径一三ミリから二五ミリの、いわゆる小口径のお客様のうち、一月当たり使用水量が十立方以下である割合は、平成十年度において四一・七%になります。そのうち、さらに五立方メートル以下のお客様の割合ですが、これは九年度の数字でありますけれども、十立方メートル以下のお客様のうちの約五一%に当たります。さらに、小口径利用者全体においては二一%という割合になっています。 また、そのような使用者の特徴といいますか、どういうお客様になっているかと申しますと、直接水道局で調査は行っておりませんけれども、各種統計資料によりますと、単身者の世帯、あるいは夫婦のみの世帯が増加しておりますので、主にこうした世帯が該当しているんではないかというふうに推測しております。
◯曽根委員 全消費者の四割を超す世帯が十トン以下で、基本料金しか徴収されていないと。基本料金しか徴収しないということは、使った量に応じた従量料金は取っていないという意味で、かつては小口利用者に対する、そういう非常に大きなサービスだという形で行われてきたんだと思います。ただ私は現実に、二〇ミリで月千二百三十円の基本料金そのものが、決して軽い負担ではないと。今、ひとり暮らしや夫婦のみというようなお話がありましたが、やはりお年寄りの世帯などにとっては、場合によっては国民健康保険料よりも高いという場合もあります。したがって、その負担感です。やっぱりこれは下げる方向で考えるべきじゃないか、また、節約すれば、その分だけ料金が安くなるということを考えるべきじゃないか。 その点でお聞きしたいんですが、近隣の神奈川県で、横浜や川崎、こういうところの基本料金はどういうふうになっているんでしょうか。
◯石山総務部長 横浜市の一カ月の基本料金は七百四十円、川崎市につきましては七百二十円というふうになっております。
◯曽根委員 今の東京の水道料金の基本料金を、全部一遍にこの川崎、横浜のレベルまで下げるとなると、相当な財源が必要になります。そこまで行かないにしても、いわばこれを参考にしながら、現在の十トン以下の世帯に対する、節約に応じて料金が低減されていくというシステムをつくることは、今の財政的な事情の中でも何とか工夫してできるんじゃないかという気がしているんですが、この基本水量制というんですか、十トンまでは料金は同じというやり方を再検討するという動きは、例えば日本水道協会の方ではされていないんでしょうか。
◯石山総務部長 現行の十立方メートルまでの基本水量につきましては、公衆衛生上の観点、また生活用水としての特別な配慮から従量料金は徴収していないと、こういうふうになっております。この制度は、節水のインセンティブが働きにくいと、費用負担上問題があることから、日本水道協会では平成八年の八月に、水道料金制度にかかわる諸施策につきまして検討を行うために設置されました水道料金制度調査会におきまして、今後は原則として基本水量制はとらないものとするという答申を出しております。また、その答申を受けまして、同協会は平成九年十月に水道料金の算定要領というものを改定いたしまして、基本水量制は多くの事業体で採用しており、社会的にも定着していることから、同要領の中では、基本水量を付与する料金は料金の激変を招かないよう漸進的に解消するものとし、経過的に存置することはやむを得ない、このようにしているところでございます。
◯曽根委員 私は、今の基本料金をそのままにして、一トン刻みで最初から料金を従量料金で乗せていくというようなやり方にすると、大変な値上げになりますので、そんな状況ではないだろうというふうに思いますので、一つの案を考えてきました。 (図を示す)現在は、ごらんのように、基本料金は千二百三十円でベースにありまして、十トンを超えたところから一トン刻みで従量料金が乗っかっていくわけです。この部分が、いわば使う量に関係なく同じ料金だと。これを、基本的に基本料金のベースを下げてみたらどうかと。これは一つの考え方として試しにつくってみたんですが、このように、基本料金をあるレベルまで下げまして、十トンのところからゼロまで、トン当たり五十円ずつ、千二百三十円からさかのぼって料金を下げていくというふうに仮にしますと、ゼロの料金は七百三十円ということになり、たまたまですけれども、横浜、川崎のレベルになるわけです。基本料金制はベースとして残りますが、あとは一トン使うごとにずっと料金は上がっていくと。逆に、節約すれば料金は下がるということになります。このためには、もちろんこの部分の金額を下げるわけですから、財源が必要です。一三ミリ、二〇ミリ、二五ミリ、三種類の口径についてこういう措置をとりますと、約六十七億円の財源が必要になるというのが私の試算です。 もし六十七億円の財源が確保できるという見通しがあれば、私はこの方法は、日本水道協会が提示している、今後、基本水量制はとらない方向でいこうという方向とも合致するし、しかも値上げではなく、一番世帯としては収入が少ない方が多い小口の利用者に対して一部値下げもできると。かつ、節約すれば料金も下がる、節水の意欲も高まるという点で、非常に喜ばれる制度じゃないかなと思うんですが、そういう点ではいかがでしょうか。
◯石山総務部長 先ほど述べましたように、平成八年の水道料金制度調査会におきまして、今後は原則として基本水量制はとらないとの答申がなされております。ただ、この答申においても、水道料金によって全体の経費を賄うという、それから個別の使用者の原価に着目するという、いわゆる総括原価、水道料金全体によって全体の総括原価、トータルを賄うという、そういう考え方を変えるということではございません。基本水量制の見直しは、料金体系全体にかかわる問題でございます。十立方メートルまでの基本水量の部分だけをとらえまして料金水準を引き下げることは、総括原価を賄うことが困難というふうになり、協会の答申とも合致しないのではないかと考えております。
◯曽根委員 石山部長さん、ちょっと誤解があると思うんで、私も事業全体の費用を料金収入で賄うことを決して否定はいたしません。先ほど前半のときに質問をいたしましたように、事業の費用が料金収入を毎年上回って資金不足、資金不足ということで累積されて、また値上げというのを繰り返すのではなくて、全体の事業を適切に圧縮する中で、料金収入で十分賄える、さらには料金を下げられる財源の余裕をつくる中で、こういうことは可能になるんじゃないか。つまり、総原価を収入で賄う中で、こういうこともできるんじゃないかと申し上げているわけです。 それで、確かにこれは私の一つのアイデアであって、しかも十トン以下の方にしか、これは還元がないわけですから、そういう意味で、もしもっと財源を確保して、すべての利用者に対して公平に、全体の料金を下げていくという努力は、当然私はあっていいと思います。その中で、基本水量制をとらないとした水道協会の方向とも合致して、こういう検討もできるんじゃないかというふうに申し上げているわけで、今後、私の案は一つの案にすぎませんので、これも含めて、この基本水量制をなくして、基本的には、節約すればどんどん料金も下がるよと。節水意欲を一層高めるような、何しろ全使用者の四割以上ですから、一般家庭の中でいえば半分ぐらいを占めるんじゃないでしょうか。そういう方を対象とした問題として、一つの重要な問題だと思いますので、検討いただく余地はあるでしょうか。
◯石山総務部長 水道料金は、水道事業におきます全体経費を水道料金で賄う総括原価の考え方、また料金を個々のサービスの供給に必要な原価に基づいて設定いたします個別原価の考え方による、二つの考え方によりまして適正な原価計算がなされた上で、その水準と体系が定められております。現行の料金体系におきます基本水量制につきましては、節水へのインセンティブが働きにくいという面があるものの、全体としては節制型の料金体系となっております。 現在、公共料金制度につきましては、総括原価主義に対するヤードスティック査定とか、プライスキャップ制などの多くの議論がございます。水道料金のあり方につきましても、これらに加えまして、基本水量制や逓増制などさまざまな議論がなされておりまして、このような状況を踏まえて、今後とも、より合理的で均衡のとれた料金のあり方について検討してまいりたいというふうに考えております。