トップページへ  議会質問目次へ  2期目質問リストへ

98年4月3日行財政改革特別委員会
福祉見直し、3セク破綻問題、臨海開発問題

◯曽根委員 先日、第一回定例会が終了いたしまして、この定例会の最大の特徴というのは、東京都の財政健全化計画に盛り込まれた、例えば老人医療費助成、いわゆるマル福の削減計画とか、公共料金の一斉引き上げ計画など、その大部分が否決をされまして、また、ひとり親家庭医療費助成についても後退させるべきではないと、すべての会派が要求したわけであります。既に予算案の段階でも、都民世論と都議会の要求を受けて、シルバーパス、また障害者医療費助成、いわゆるマル障、制度融資、私学助成など、財政健全化計画で代表的事業として挙げられた削減計画も、多くの部分が押し返されました。現行制度が継続となったこととあわせて見ますと、結局、財政健全化計画に盛り込まれた都民施策の見直しは、ことごとくその実施が阻止されたわけであります。  この経過が何を意味しているかということは、都の財政難の犠牲を専ら都民に押しつける、そして都民の切実な福祉、医療、教育、また、中小企業の制度融資を削ったり、公共料金値上げで追い打ちをかけるという財政健全化計画のやり方が、この不況で都民が苦しんでいるときに、これは許されないんだ、都民はもちろんですが、都議会でも、ほかの点ではいろいろ違いはあるんですが、すべての会派が一致して、きっぱりこれを拒否したということを意味していると思います。都は、改めてこの都民と議会の審判を重く受けとめて、二度と、みずから招いた財政赤字のツケを都民施策の切り捨てでしわ寄せすることのないよう、財政健全化計画の路線は根本的に改めるべきだ、初めに、この点を強く強調しておきたいと思うんです。  それで、これからの問題ですが、今までも我が党は、財政難の原因というのは、ゼネコン型公共事業の野方図な拡大にあり、財政を健全化するというなら、こうした浪費的な投資的経費にこそ根本的にメスを入れることだ、特に大規模な開発、広域的な幹線道路建設、高速道路への無限定な出資や無利子貸付、その他徹底的に再検討して見直しをするよう求めてきたところです。また、個別の事業についても、公共工事のコスト縮減、建築工事ではこれまで二割の縮減を実績として挙げていますが、これに安住することなく、さらに、土木分野ではまだ三%ちょっとという極めて不十分な水準から、国の提起している一〇%目標をさらに上回る目標を掲げて取り組むように求めてまいりました。  それで、今後、真の財政健全化を目指すということで、この特別委員会でもいろいろ検討していく必要があると思うんです。例えば、最大の浪費である臨海開発を初め、むだ遣いの公共事業にどうメスを入れるかという問題、あるいは国の地方財政への締めつけに対して、全国の自治体で力を合わせて押し返していくという必要もある。また一方で、今ほとんど税金を払っていない金融機関を初めとする大企業への適正課税、また、都の職員配置のあり方の問題などなどであります。  これから何回かにわたって特別委員会が開かれていくことになるわけですが、私はきょう、ことしの予算運営の中で、都民にとって一番批判も大きく、また第一回定例会の後も、新しい事態の変化が起こっている臨海開発に関連した第三セクターへの支援問題について、何点か質問しておきたいと思うんです。  最近、「週刊朝日」で自治体の破綻という特集記事が載りまして、この中に、岡山県と並んで東京都が、不名誉なことに、債務超過、臨海の第三セクターに税金二百七十億円投入の東京都、ということでやり玉に上がっております。こういう点で、既に今年度、八十億円余りの公的支援を含む予算は通過しておりますけれども、我が党がこの間指摘してきたように、銀行側の支援策については、結局、都議会として具体的に検討できる資料も提出されず、説明された内容も極めてあいまいなものに終始しました。  それから、今後十年間で臨海部のビル事業を軌道に乗せようと決めたやさきに、純粋な民間企業として唯一テナントビルを計画していた三井不動産が、契約を無期延期したことが明らかになったわけです。こうなりますと、東京都が前提としてきた支援スキームの前提が成り立つのかどうかという根本が問われることになりますから、このまま安易に予算執行は許されないという観点から、緊急に都にただしておきたいと思います。  初めに、銀行側がこの臨海関連第三セクターに対して、東京都の二百七十億円と同等の支援を合意したというふうにいわれていますが、これは具体的に実行されたんでしょうか。

◯木内財務局主計部長 臨海の第三セクター三社につきましては、一定の方針といいますか、一定の考え方に基づいて、三社の企業努力、金融機関の支援、そしてそれらを前提とした東京都の支援といいますか、そんな全体の枠組みの中で、関係者間でこの間協議を進めてきたわけでございます。そうした中で、一定の合意に達したのが現段階でございまして、具体的にそれらを進めていく中にあって、実行がなされていく十年間の計画といいますか、全体計画としては十年間にわたって行うわけですから、順次、それらについては計画にのっとり、かつ細部の協議を詰めながら実施をしていくべきものというふうに考えております。

◯曽根委員 結局、銀行側の支援というのは、総額二百七十億円程度だというふうに担当の港湾局はいっていますけれども、その中身の半分程度が、今後金利が上がっていくと想定される分を──現在の変動金利から固定金利に変更することによって、今後上がっていく分について上げないで支援するという分が二百七十億円の約半分だというわけで、これが、東京都が出資金も出し、無利子貸付まで出して、実際に予算から執行していこうとしている、これに同等の支援だと。これは予算議会が始まるまで出てこなかったものですから、改めて聞きますけれども、財務局はこれで同等の支援だといえると考えているんでしょうか。

◯木内財務局主計部長 先ほど答弁を申し上げましたように、関係者間において全体のスキームといいますか、枠組みを定める中にあって、この会社のいわば経営の安定化策として行うものでございまして、そうした意味では、それぞれの立場において必要な支援を行っていくものでございます。

◯曽根委員 そういうあいまいなことでは困るんですね。財務局の西念局長は、二月四日のこの特別委員会で私がお聞きしましたときに、都が臨海の関係、第三セクターに支援を行うに当たっては、当該三社の企業努力が明確となり、金融機関からの支援が確実なものになることが前提だ、また、それらのスキームが成り立つという状況の中で予算の執行を行っていくと述べられています。  金融機関からの支援が確実なものになるということが、今の発表されている中身でちゃんと担保されているのか、保証されているのか。それから同時に、三社で努力をして、両側から支援するという中身について、これがスキームが成り立つという状況になっているのかという点での見解をお聞きしたい。

◯木内財務局主計部長 せんだって財務局長が答弁を申し上げましたとおりでございまして、そうした会社側の内部努力、そして金融機関の支援ということを前提としながら、東京都として必要な支援を行っていくというのが全体の枠組みでございまして、そうした意味では、当然のことながら三者一体となって、この経営の健全化を進めていかなければいけないというふうに考えております。

◯曽根委員 これで同等であるといえる状況ではないと私は思うんですね。しかも、銀行の支援がどの程度になるのかということは、現段階では全く確認できない。何年もたって市場金利が本当に上がったらば、その分が支援だったということになるだけであって、現段階では確認できないと思うんですよ。しかも、議会の我々には、個別の金利はもちろんのこと、大阪府でさえ議会に提出した金融機関別の債務残高さえ出さない。これでは、議会としても判断の下しようがないと思うんです。  その点で、この確実性という問題でもう一つお聞きしたいんですが、この予算が通過するのを待っていたかのように、四日後の三十一日になって、三井不動産などの企業グループが、青海地区のA区画への進出の契約を無期限で延期するという通知を都に送りつけてきました。財務局は、このスキームの確実性ということに非常に関連がある一つの問題として、この三井不動産の契約延期通知というのはどういう内容になっているか、これをつかんでいらっしゃるでしょうか。

◯木内財務局主計部長 三社のペーパーといいますか、平成四年のときの基本協定書の取り扱いについてのペーパーが、三井不動産外三社の名をもって東京都に提出されていることは了知しております。

◯曽根委員 九二年の話を聞いているんじゃなくて、ついこの間、三月の末に延期の通知が港湾局に届いている、この中身について承知しているのかどうかをお聞きしているんです。

◯木内財務局主計部長 先ほど答弁申し上げましたように、平成四年三月の基本協定書の取り扱いについて、平成十年三月三十一日、三社から文書が提出されていることは了知しております。

◯曽根委員 これは、これから予算を執行していこうとしている東京都にとっては、このスキームが成り立つかどうかの重要な一つの論点になる問題なので、私、港湾局からの資料をいただきましたが、それによると、九二年の基本協定の取り扱いについて、三社から港湾局の開発部長あてに通知が来ていまして、この中で、今回契約を延期する理由について明確に述べられているわけなんです。九二年三月の基本協定締結時からの社会経済情勢の変化、不動産市場の変化及び臨海副都心開発事業化計画の見直しにかんがみ、現時点において、青海A区画の土地賃貸借契約を締結することは困難であることを確認すると、延期の理由が明確に述べられているわけです。  そして第三項には、東京都は当グループ以外の第三者と本土地の賃貸借について協議できるものとし、協議が調った場合には、東京都は当該第三者と本契約を締結できるものとする、この場合、当グループは異議を述べないものとするというふうにさえ明記されているわけです。  ということは、東京都は、ほかの企業グループが出てきたら、そちらと契約して結構です、本契約を結んでいいといっているわけです。したがって、事実上、これは進出辞退通知なんです。テナントビル管理のいわばしにせである三井が、社会経済情勢や不動産市場、また臨海開発の現状から見て、テナントビルは困難だと。何しろこの三井不動産が、今進出を予定している企業では唯一のテナントビル経営を計画していた企業グループが、こういう状況になっているわけです。この三井グループの判断というのは、非常に重い意味を持っていると思うんです。  私が問題にしたいのは、今回の三セクの救済スキームの中で、この三社の業務の統合による企業努力の中で、今後六年間でテナント賃料を平均一・五倍まで引き上げるということが想定されている問題です。我が党は、今回延期を通知してきた三井不動産のビルディング営業部という、いわゆるビル管理部門の専門家に取材に行ってまいりました。  今、オフィスビルというのは、そこそこ需要はあるそうです。ところが、需要はそこそこあるんだけれども、昨年暮れごろからぱったりと動かなくなった、景気の先行きが全く見えないために、入居している、また入居しようとしている経営者が、新たなテナント入居とか、賃料の引き上げの決断ができない状況だ、この状況では、テナント賃料を上げる交渉は非常に厳しいと。これは三井の話です。しにせである三井でさえ、二年に一遍の更新時期に、賃料を三%から五%上げるのがやっとだというふうに話をされていました。  臨海の第三セクターでは、これから六年の間に平均して五割、つまり、二年に一度の賃料改定で、今後二回ないし三回しかない更新時期に、平均しても一五%程度はテナント料を上げていかなければならない。これは、どういうふうに考えても難しいと思うんです。地下鉄が大崎に延伸した後、大幅に上げられるんじゃないかというふうなことが説明されていますが、じゃ、そこで一気に五割も上げられるのか。私は、そういう状況にないと思うんですよね。  ことし十一月には、台場フロンティアビルの賃料更新時期がやってまいります。このときに、賃料が上げられないとかいうようなことになると、結局は今後の収入増加の見通しが崩れ、救済スキームは成り立たなくなるわけですよ。都の支援策をまた練り直すというような事態になりかねないと思うんですが、今回の支援策がこの三井の問題で大きな根拠が崩れるという点では、財務局はどう受けとめておられますか。

◯木内財務局主計部長 それぞれ三井不動産等々のお考え方、一定の企業としてのご判断であろうかと思いますけれども、そのペーパーにもありますように、現時点においては契約の締結は困難で、引き続き協議をしていきたいというのがペーパーの基本的な趣旨だというふうに私どもは理解をしているわけでございますけれども、ただ、臨海開発につきましては、平成九年三月の改定後の推進計画に基づいて、暫定利用、あるいは二次公募等々を今進めているところでございまして、こうした開発については、着実に進めていこうというのが東京都としての考え方であろうと思っております。  そうした中にあって、三社の判断が、今後、日本経済全体の中でどういう意味づけを持つかというのは、後世判断すべきものというふうに私どもは思いますけれども、ただ、先生ご心配いただいているいろいろなことにつきましては、三セクの三社のビルの経営については、それぞれ景気動向、経済環境の変化というものが影響してくることは当然でございまして、三セクビルに限らず、日本経済全体がそうした影響、いわゆるバブル経済の影響等々がある中にあって、経営についての問題が生じてきたわけでございます。  そうした中にあって、企業の努力、金融機関の支援、そして東京都の支援ということで一定の枠組みをつくって、経営の安定化策を進めていこうということが現段階でございまして、そうした合意が形成されたことによって、一本となる三社の経営が安定化していくよう、私ども東京都としても、必要な支援、援助をしていくことが今の段階では必要なんだろうというふうに思っております。そうしたことによって、三セクの安定経営が図られるべきというふうに考えております。

◯曽根委員 今主計部長は、大きくいえば二つの点をおっしゃったわけですね。前半の方でおっしゃったのは、臨海開発が今、二次公募に入ろうとしている、着実に推進していくと。その中で、この臨海第三セクターのビル経営についての今回の支援スキームが、結果どうなるのかということは後世判断されるだろうと。この後世判断では遅いから私はいっているわけで、後で、やっぱりこれはこの時点が誤りの出発だったといわれかねないので、今ここでただしているわけなんです。  その臨海開発自体が、着実に進めなければならない、二次公募に入ろうとしているという──このスキーム、いわばまちづくり推進計画の枠組み、これについても私たちはもちろん反対ですけれども、ここで前提としているのは、臨海の地価が今後平成十二年、西暦二〇〇〇年までは上がらないだろうと。それから上がるけれども、大体三年ごとに二、三%程度、つまり、一年間に一%程度しか地価は上がっていかないだろうという想定で長期収支がなされているわけですよね。ご存じのとおりです。  ところが、臨海三セクのビルに関してだけ、底地の臨海の地価がほとんど上がらない状況の中で、あと六年で、なぜテナント賃料が五割も上がるというふうになるのか。この臨海開発全体の枠組みからいったって、これは異常な高さを設定されているわけですよ。この点についてはどう思われますか。今、臨海の開発の話をされたから、その点についてちょっと感想をお聞きしたいんです。

◯木内財務局主計部長 会社側の経営努力の一環として、会社としての賃料収入全体について、平成十六年度までに、九年度対比で五〇%程度の賃料全体の増収を見込んでいるところでございまして、現在、進められた「ゆりかもめ」の輸送力の増強であるとか、臨海高速鉄道の延伸であるとか、そうしたこの地域におけるアクセスの改善、さらには、先ほど申したようなさまざまな企業の進出といったような事態をとらえて、賃料収入全体の増収ということを見込んだものでございまして、そうした中において経営の安定が図られていくべきものというふうに考えております。

◯曽根委員 いや、そんな甘い状況じゃないというのは、木内さんだって、よくご存じのはずですよね。これまでも、私たちは何回かこの問題をただしてきましたけれども、東京都の入居している施設でさえ、家賃増額には応じられる状況じゃないということは、前にも繰り返し答弁されているわけですね。ほかにも、都心では今ビル開発が進んでいて、西暦二〇〇一年には丸の内の開発や、それから汐留の開発も完成してくる。そこのテナント賃料がどれぐらいで設定されるかによって、臨海なんかはもっとずっと不利なわけですから、影響を大きく受けることになるわけで、私は、この六年間で平均で五割上げるという、この想定そのものがもうスキームが成り立たないということは、今度の三井の延期、事実上の撤退の決定によって、ますます明瞭になっていると思うんです。  ここでちょっとお聞きしておきたいんですが、総務局は職員研修所などを入れていますよね。それで、ことし六月に、丸二年たって家賃の改定時期を迎えるわけですが、私は、こういう状況ですから、家賃の値上げ交渉なんか応じられる余地はないと思うんですが、これは念のため、まさかと思うんですけれども、総務局長さん、どうですか、これは応じる余地はないですよね。

◯今村総務局総務部長 株式会社テレポートセンターが大家さんでございますけれども、賃料の値上げ要請があった場合は、一般的には東京都の財産価格審議会に諮るなど、近傍類似の賃料等との均衡などにも配慮することが必要だと考えております。都の監理団体たる株式会社テレポートセンターの窮状もよくわかっておりますので、よくよくお話を承った上で慎重に検討してまいりたいと思います。

◯曽根委員 そういう温情があるかのような発言ができる余地はないんですよ。公共施設ですよ。東京都は底地を持っている地主さんになるわけですが、しかし、入居するとすれば借家というんですか、今の借地借家法三十二条では、土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、借賃を増額できる法的な根拠となるというふうに述べられている。この場合、租税はないから、したがって、土地もしくは建物の価格の上昇、これも設定そのものが当分は上がらないという設定ですよ。そうすると、近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となった場合以外は、法律上も上げる根拠はないんですよ。  しかも地財法では、第四条で「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」という、これは明確ですよ。これでもって温情も多少働かせて、よく事情を承って、結果として周りのビルが上がっていないのに、東京都の施設だけ家賃を上げるとなれば、これは地財法違反になるんですよ。どうなんですか、もう一回きちっと答えてください。

◯今村総務局総務部長 財産価格審議会に諮るなど、適正な価格になるよう慎重に検討してまいりたいと思います。

◯曽根委員 慎重な検討ということで財産価格審議会にかかるんでしょうけれども、私は、どう考えても、この六月、賃料が上がるような余地はないと思うんですよ、客観的条件がないわけですから。  こういう現在の第三セクターの状況、しかも今後十年間、スキームがこれで確定されて進むという、その中身のスタートの時点でこういう状況になっている。もし賃料が上がっていかなければ、当面の資金繰りは、今回東京都がお金を入れましたから仮についたとしても、三千八百億円という多額の負債を返済していかなければ、最終的にはこれは焦げつくわけです。この返済に手がつかないということになりますと、これはずるずるいけば、この借金もすべて東京都にかぶってくることになると思うんです。こういう不安定なスキームになっている原因というのは、私は、やっぱり東京都の銀行などの金融機関に対する姿勢の甘さにあると思うんです。  今回の銀行側の支援というのは、先ほどいいましたけれども、半分は固定金利に変更するだけであって、これは、いわばちょっと大変だから、企業に対して銀行側がもうけを少し減らしてやるよという程度のもので、東京都がわざわざ出資までふやして、無利子貸付までやって支援するのに比べて、それから、今までもいろいろと事実上経済支援してきたというのに比べても、極めて甘いものです。銀行は、生命保険会社とか損保も入れまして全部で四十五行。四十五社で割ってみれば、一つの金融機関の負担はもうほとんど大したことじゃない。痛みを感じない程度のものです。  そういう点では、我が党が主張してきたように、これまでも都は、権利金返還とか、都の施設入居で、事実上多額に財政支援を行ってきているわけですから、これに匹敵する支援を銀行側に行わせれば、都の新たな二百七十億円などは必要ないし、三千八百億円の元本返済にも、これで手がつけられるはずだということを申し上げておきたい。  それで、大阪府が例の泉佐野コスモポリスの第三セクターの処理に当たって、裁判所の調停で出された府の財政負担について、府議会の合意が得られない見通しとなったために、結局、財政支出の議案を取り下げた。第一回定例会の中でのことですが、この事実について財務局は把握しておりますか。また、その受けとめについてもお聞きしておきたいと思うんです。

◯木内財務局主計部長 株式会社泉佐野コスモポリス、大阪府等々が出資している第三セクターでございますけれども、それについて、大阪簡易裁判所の調停案について府議会に議案として提出されましたけれども、議会情勢を大阪府として判断した結果、議案を取り下げたというふうに聞いております。これらにつきましては、大阪府は大阪府としての必要な判断を下したものであって、東京都として、これについてコメントする立場にはないのではないかというふうに私どもは考えております。

◯曽根委員 主計部長はそうおっしゃいますけれども、大阪がこういう決断を下したということは、私は全国に大きな影響を与えていると思うんです。  東京都も、今回のスキームをつくるに当たって、盛んに担当の港湾局などがいうのは──今回、東京都の第三セクターに対する財政支出ですよね、こういう支援のあり方は、全国の見本になってしまうんだ、だから、銀行側を追い詰めるようなことはなかなかできないんだと盛んにいいわけをするわけですけれども、この大阪の場合は、第三セクターへの対応については、むしろ東京よりもきちんと対応しているというふうにいえると思うんです。  大阪の府民と府議会は、結局、第三セクターの経営破綻に対して、府の財政投入はまかりならぬ、これをきっぱりと拒否するという意思を示したわけで、これを受けて、議会に上程はされていたけれども、府もこれを取り下げて、財政投入を断念して再交渉に入った。このままいけば、恐らく清算ということになっていくでしょう、出資金以外は出さないという姿勢になりつつある。このとき調停で合意された金額というのは、銀行側の負担は大阪府の二倍出すということになったんですよ。四百十七億円の貸付債権を放棄するというもので、東京なんかで計画されている銀行側の予定額に比べても、はるかに大きい。しかも貸付債権の放棄ですからね。  こういうことが大阪でもう合意までされているのに、なぜ東京ではこの程度なのか。銀行といえば、もう庶民泣かせの超低金利で、この間もうけを上げているわけですよ。六年間で約二十七兆円の空前の利益を上げている。にもかかわらず、不良債権処理に回すということで、法人事業税は、九七年度、九八年度とも予算計上は東京都に対してゼロですね。社会的責任さえ果たしていない。こういう銀行に対して、なぜこんな甘い支援をするのか。これはもう都民の納得を得られませんよ。もちろん全国の自治体にとっても、東京都があしき前例をつくることになってしまうということを指摘しておかなければならないと思います。  先ほど取り上げました「週刊朝日」の特集記事で、経営見通しの立たない第三セクターに、財政危機に直面している東京都が二百七十億円も税金を出すというのは、どぶに捨てるという感じが強いと、かなりきつい論評をしています。  また、これからの再建策についても、オフィス賃料というのは、GDP、つまり国内総生産の成長に比例するといわれているのに、今後六年間でそれが五〇%も成長するというのには、かなり無理があるという不動産アナリストの見解を紹介して、都が提示している再建策全体が机上の空論のように見えると。将来これが破綻して、また税金投入という可能性もあると指摘しているわけですけれども、これは極めて常識的な見方だろうと私は思うんです。この予算議会の中でも、この支援策に賛成した会派からも、今回の支援が今回限りで済むのかという疑問の声も出されておりました。二〇三六年に黒字転換するといっても、支援スキームは確実なものかどうか、検証していく手がかりが全く私たち議会には示されておりません。  私、先ほどもちょっといいましたけれども、臨海開発全体の長期収支試算は出されたわけです。したがって、この第三セクター経営についても、長期収支の試算を本委員会に財務局として責任を持ってつくって提出してもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。

◯木内財務局主計部長 臨海の三セクについてご意見をるる承りましたけれども、現段階においてそうしたスキームが全体としてまとまり、それぞれがみずからの役割を確実にこれから実行していく、そういう中で経営の安定化を進めていきたいというのが基本的な考え方でございます。再三申し上げて申しわけないですけれども、そうした点において見解を異にするのは残念ではございます。今先生がいわれた収支についての見通しということについて、財務局として本委員会に提出するのはいかがかというふうに思います。

◯曽根委員 いかがかって、第三セクターの問題というのは、これは第三セクターを含めて都の財政監理団体のあり方、それから、それに対する指導監督のあり方というのは、この委員会でも既に話題になっているように、行革の一つの大きなテーマです。したがって、この委員会としても、私は集中審議を前回求めたところなんですよ。議会で判断するのに、例えば一年後、二年後、三年後と、このスキームが成り立っているかどうかを一体どうやって検証するのかというと、長期収支試算がなければ、結局はわからないわけですよ。  したがって、私は、この長期収支試算の資料、それから先日、予特でも我が党が求めて、出せるかどうか検討するということでそのままになっている資料があるんですね。金融機関別の債務残高、それから東京都から銀行などに出した念書、いわゆる協力依頼書の写しなどとあわせて、可能な限りの資料を出させて、今後何回か予定されていると思いますので、ぜひこの委員会で集中審議をやってもらいたいと改めてお願いしたいんですが、委員長、いかがでしょうか。(発言する者あり)  前回も理事会で検討するということでありましたので、ぜひお願いしたいと思うんです。二月四日の委員会で私が求めたときに、検討するということだったので、ぜひ理事会でご検討をお願いしたいと思います。  最後に、今回の支援策については、議会としての十分な検討がなされるまでは、予算執行はすべきでないということを強く指摘しておきたいと思います。また、財政投入の背景として、とにかく臨海副都心開発を推進させるためには、その先導役である第三セクターのビル事業を、公的財政をつぎ込んででも続けさせなければならないという都の姿勢、これが都民から見れば逆立ちしているわけですから、この姿勢を改めることこそが、都民本位の財政の健全化の第一歩だということを申し上げておきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。

トップページへ  議会質問目次へ  2期目質問リストへ