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98年12月17日行財政改革特別委員会
交通局の民営化問題、土地信託、PFIについて

◯曽根委員 東京都の行革大綱、新大綱が近く発表されていくわけですが、これに先立って出されました見直し方針を見ますと、新大綱は重大な問題を含んだものになるというふうに考えられます。  私たちが本会議などでただしましたように、都の行革大綱の見直し方針、ここでは、財政健全化計画路線が都民と議会から否定されたことへの反省が全くない。知事は、財政健全化計画について、選択を誤ったという認識はないとして、引き続き都民への厳しい痛みを伴う選択を行うことも避けられないと、繰り返し強調しております。あくまで財政健全化計画の路線を推進するという流れの中で、行革大綱が出されようとしている。  そこで、きょうは、この大綱の見直しの方向として提起されている問題のうちから、企業経営の視点の導入の問題と、民間活力の活用の新しい方向の二つの問題に絞って私は質問させていただきます。  というのは、この間、行政改革ということで、繰り返し民活方式というのが打ち出され、また実際に持ち込まれてきたわけですが、その実態というのは、鳴り物入りで宣伝したのとは裏腹に、大変都政をゆがめるものになってしまったからであります。今度の見直し方針には、企業経営の視点というのが──多分、現在の行革大綱の中には、この企業経営の視点というのは、言葉としてもないと思うのですけれども、今回、見直し方針で、新たな改革の視点ということで、基本的な問題の一つに盛り込まれました。企業経営の視点というのを行革全体の基本的な視点にするというふうになったら、どういう問題が起きるのか、私は、具体的に都営交通で起きている問題を例に取り上げたいと思います。  最近、私の地元も含めて、都営バスの路線がいろんな理由で、乗客が減ったといったり、また地下鉄が通ったからということで、どんどん便数が減らされているわけです。もしくは路線が廃止になっている。例えば、最近の例でいいますと、都営地下鉄十二号線の練馬―新宿間開通に伴って、同じ路線を走っている都営バスが途中までで切られてしまいました。採算が合わなくなるというのが理由なんですが、しかし、多少の乗客が減ったからといっても、路線を廃止したのでは、そのバスを日常利用している都民はたまらないわけです。そして、バス路線しかない──例えば、最近これも足立区で、区役所が移転した、区役所に通うバスの乗客が減るということで、その区役所があった地域のバス路線そのものがなくなってしまう、こういうことも起こりましたけれども、これでは、日常、買い物とか通勤、病院通いで利用している都民にとっては大変不便が生じることになります。地下鉄ができたから減らしてよいということにももちろんならないわけで、高齢者などにとっては、地上から乗れるバスに比べて、地下鉄というのは、階段やエスカレーターやエレベーターがあっても、上りおり、非常にハンディも大きいわけです。  私は、都営バスが公営企業だからといって、採算を重視するという企業の論理を徹底していったら、二十三区内のバス路線というのは大半なくなってしまうんじゃないかと思うのです。こういうことを許していいのかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

◯森澤総務局行政改革推進室行政改革担当部長 都営バス路線の見直しは、公共交通としての都営バスのあり方や利用者の利便、経営面などを総合的に勘案しながら行うものと理解をしております。

◯曽根委員 そういうことで、まさに経営の視点で切られていこうとしているわけなんです。現に切られてきた。  それがどういうことを意味するかというと、結局、東京都自身が、公営交通をやりながら、交通不便地域を新たにつくり出しているわけですよ。もう足立とか新宿線関連なんかは、本当にバス路線しかないところもあるわけです。そういう人のところは全く放置されてしまうということが起きるわけです。  しかも、きょうの日経新聞では、都営交通の民営化を検討と、都の行革大綱見直し案で出てくるぞという報道がありました。読んでみたら、大変な問題なんですよね。都営交通、水道など公営企業の民営化に向けた検討を、今度の行革大綱見直し案の柱に据えることを東京都は決めたと。今後、関連各局との協議を進め、二〇〇〇年度をめどに民間企業との提携、運営委託、一部廃止などを含め、民営化の具体策をまとめる予定だというふうに報道されていますが、これをもし行ったら、この新聞でも報道されていますが、現場の方は大変な騒ぎになりますよ、これは。本当にこれを事実やろうとしているんですか。

◯浪越総務局理事 民間との役割分担という問題であろうかと思いますが、私どもは、民間でできるものについては民間に任せるという基本的な考えに立って、行政改革大綱の見直しの中で取り組んでおり、新たな大綱において実施策を明らかにしていくとしております。  また、継続的に民間との役割分担等の見直しや業務の効率化を進めていくため、今後、幅広い事業を対象とし検討することとしており、その中で、公営企業等も含め、現在担っている行政の役割を検証しつつ、有効な方策について検討してまいりたいと考えております。

◯曽根委員 公営企業のあり方も含めて今後検討と今おっしゃいましたけれども、浪越さん、この新聞によると、都営バスの民営化をめぐっては、都の総務局と交通局がことし初めから協議してきたというふうに書かれているんですよ。これが事実ならば、都議会にも何にも知らせず、年末の行革大綱に間に合わせるということで、準備をこっそりやってきたということになるんじゃないですか。これは事実なんですか。ことし初めから、総務局が入って、交通局とこっそり民営化を相談してきたというのは事実なんですか。

◯浪越総務局理事 こっそり検討してきたとか、そういうことはございませんが、そもそも行政改革大綱を見直す中で、いろんな事業のあり方そのものについて、私どもと局の間で議論してきたことは事実でございます。

◯曽根委員 もう、やってきたわけですよね。  都議会に対して、こういう大問題を何で報告しないのか。私、そういう問題は本当に都議会に対して失礼だと思いますよ。  しかも、この中を見ると、私がもう地元でもひどい目に遭ってる、この路線の廃止というのは、もう具体的検討項目に上がっているんですね。完全な民営化と、民間企業との提携、委託、将来性のない路線の廃止などを検討課題とし……。これ、本当に突き詰めたら大変なことになると思うのですよ。なぜならば、今も民間バス走ってはいますが、大体もう二十三区内、交通渋滞もあって採算が合わないということで、民間バスは三多摩の方が中心になりましたよね。二十三区内は、都営バスが採算の合わない部分を引き受けてきたという経過が、大きくいえばあると思うのですよ。それを民営化して、不採算の路線は廃止ということになったら、本当に半分以上なくなっちゃいますよ。  私、東京都がこういう方向を目指していこうとしている一方で、国際的にも、国内的にも、自治体は交通問題については全く逆の方向を目指していると思うのです。欧米では、私がいうまでもないですが、都議会でもたびたび話題になりますけれども、交通弱者対策なども含めて、LRTとか、ミニバスなどの運行というのが、域内交通を支えるということで自治体がやっていますよ、本格的に。  都内でも、日野、武蔵野、それから葛飾区でもミニバスを走らせて、やはり高齢者に非常に喜ばれています。もちろん採算は合わないわけです。しかし、もともと自治体が担う公共交通は不採算はある程度覚悟しないと、都民の足は確保できない。こういう自治体は、都に比べてはるかに財政力は小さいんですが、その負担に耐えて頑張ってやっている。東京都が、この補助金を出さないために民営化を考えるなんていうのと大違いだと思うんです。本来の自治体の役割というのは、私はこういうところにあると思うんですが、これが行政の感覚だと思うんですが、いかがですか。

◯森澤総務局行政改革推進室行政改革担当部長 行政は公共の福祉の向上を目的としておりまして、民間企業とは、その目的とするところは異なりますが、都民サービスをより効果的、効率的に提供していく上で有効な、企業経営の基本であります費用対効果の検証、市場原理、競争原理の活用、それから事業成果の検証など、いわゆる企業経営の視点を行政運営に反映していく必要があると考えております。

◯曽根委員 例えば、都バスでいうならば乗客に対するサービスのあり方とか、それぞれの面では、民間のバスを見習うことはいっぱいあると思いますよ。しかし、問題は、都民の公共交通としての足をどう確保するかという最終的な責任は、私はやっぱり自治体にかかっていると思うんです。  これは一例ですけれども、北区で、かつて地下鉄南北線の開通のときに、北区に豊島五丁目団地という大きな団地がありますが、そこから赤羽駅に通じているO57系統というのが、南北線が開通したということで、一日百十八便あったドル箱路線が六十八便に減らされたんですよ。ところが、これが高齢者に日常使われる路線なんです。お年寄りは怒りましてね。しかも、都営バスというのは、一回路線を廃止すると、もう二度と復活しないといわれたんです。それが、一年半粘り強く交渉したあげくに、やっと、お年寄りが一番使う時間に一日九便だけ復活したんです。大喜びしましてね。しかし、実際はもう三分の二ぐらいに、それでも減っているわけですよ。  しかし、採算が合わないというだけでは済まないということを、都営交通、都営バスは認めたわけですよ。そういうものだということなんですよ。こういうことが、民間バスになったら、民営化されたらどうなるのかと。企業経営、採算、先ほど部長さんがいわれたとおり、どんどんその論で押しやられたら、押しまくられたら、これは本当に公共交通としての役割を大きく失うことになるということを指摘しておかなきゃならないと思うんです。  それから、民間委託、民営化問題も今出ましたけれども、民間委託の推進という点でも、民間でできるものは民間へという原則が今回はっきりと書き込まれたわけで、これも前回の大綱にはなかったものです。  ある事業について、公共でやるべきか民間でやるべきかという判断じゃなくて、民間でできるかどうかを第一義的な判断基準にするというのは、やっぱり今度の大綱が本格的には初めてです。果たして、これまでの民間活力の導入とか民間委託などの経過を、本当に東京都はまじめに総括して、これを打ち出してきたのか、大変疑問です。  これまで、民間活力を生かすということで、例えば土地信託、第三セクターの活用などを強引に進めてきたわけですけれども、どうなったかと。七月の本委員会で、渡辺副委員長の方から、土地信託の現状については質問させていただきました。東京都が底地を信託して、あわよくば配当でもうけまで上げようとしたわけですが、信託した五つのビルは、いずれも信託配当が当初予定額を大きく下回って、しかも、東京都は、民間の入居者より四割も高い単価の家賃を払って都の施設を入居させて、その信託配当よりもはるかに負担を重く負っていると。一方で信託銀行は、信託料は確実に保証されて、ビル建設への貸出利息でがっぽりもうけている。こういう実態が明らかになりました。  委員会では、財務局長も、民活のルールに沿って、土地信託の破綻解決にこそ銀行の知恵と力と責任が発揮されるべきだという渡辺副委員長の問いに、ご指摘のとおりだと思うと答弁して、借入金の金利の縮減などを求めて今後働きかけていくというふうにお答えになりました。  これ自体は、その後、経営は好転しているのかどうかということと、私、もう二度とこの土地信託なんていうのは手を出すべきじゃないと思うんですが、いかがでしょうか。

◯立花財務局経理部長 土地信託事業は、土地の有効活用の手法といたしまして、財政負担を最小限で抑えました上、民間の知識、経験を活用し、都の施策に沿った建物建設を図れる、こういうメリットがあるというふうに考えております。  都におきます土地信託につきましては、議会の議決をいただき、受託者と二十年間の土地信託契約を締結しているものでございまして、この基本的枠組みの中で行うわけでございますが、この中におきましても、借入金の利息等につきましては、市場金利が低下しておりますものですから、受託者であります信託銀行と協議の上、契約を変更し、固定金利を有利な変動金利にするなど、可能な範囲で収支の向上に努めているところでございます。  また、土地信託につきましては、先ほど申しましたように、経済状況の激変等によりまして、当初想定いたしました信託配当が予想どおりには得られないという点もございますが、土地の有効活用の手法といたしまして、民間の知識、経験を活用いたしまして、都の施策に沿いました建物建設を図るというような多くのメリットを有している、こういうふうに認識しております。  したがいまして、今後も、その時々の経済環境を十分に見きわめまして、土地の地域特性、立地条件あるいは利用目的等を勘案いたしまして、未利用の都有地につきましては、売却、貸し付け、あるいは民間活力を活用する一手法としての土地信託など、最も適切な土地活用方法を選択していきたいと考えております。

◯曽根委員 余り反省がないですよね。  土地信託でどこをどうやるというふうにはいわなかったけれども、予想配当は、この五つのビルで五千六百六十億円で、まだ事業の途中ですが、少なくとも今日までに千二百億円ぐらいは配当が予想されていたのが、現在三百三十億円ですよ。もう赤字になりかかっているビルもあるという状況ですから、こういう段階に来てまで、なお土地の有効活用のためにあり得るというようなお答えでは、私、本当に、民間活力の導入で事態はどうなったかということについて、厳しい反省がないと思うんです。  もう一つ、第三セクターについても私ども取り上げてまいりました。現状はどうなっているのか。東京都の主な第三セクターで抱えている昨年度の経常赤字はどれぐらいでしょうか。

◯田原総務局総務部長 今お話がありました三セクのうち、特別監理団体と一般監理団体に位置づけられております団体の赤字団体は、十五団体中九団体、赤字額の合計は二百十五億八千三百万円でございます。

◯曽根委員 毎年ふえ続けているわけですよね、赤字が。しかも、その中で債務超過がもう既に出ております。債務超過の団体名と、その経常赤字の合計はどれぐらいでしょうか。

◯田原総務局総務部長 九年度決算におきます債務超過団体は四団体ございます。まず、株式会社東京テレポートセンター、経常赤字が四十三億一千六百万円でございます。それから、竹芝地域開発株式会社、経常赤字が二十九億七千九百万円でございます。それから、東京臨海副都心建設株式会社は経常赤字八十一億九千五百万円でございます。それと四番目、株式会社多摩ニュータウン開発センターでは、経常赤字が十三億一千五百万円となっております。

◯曽根委員 この四つの団体、そのうち三つは臨海関連ですが、この開発のための第三セクターの昨年度の経常赤字の合計が百六十八億ですね。つまり、先ほどの第三セクター全体の赤字、二百十五億八千三百万円の八割は、八〇年代の後半に急速に出されてきた民間活用ということで、三セクによる開発という中でつくられた第三セクター、特に臨海開発が占めていると。これがどんどん膨らんで債務超過に陥っている。このほかに、特別監理団体、一般監理団体ではありませんが、東京ファッションタウンとタイム二十四も債務超過に陥っているわけですよね。  こういう現状を見ますと、行革で華々しく打ち出された開発関連の第三セクター、これが現状はこういう惨めな状態だということです。土地信託についても、この第三セクターのやり方についても、かつては鳴り物入りで大宣伝をして登場したものですけれども、民間活力、こういうありさまなんですが、どういうふうに総括されているのでしょうか。

◯田原総務局総務部長 お話の三セクの件でございますけれども、都はこれまで、民間の資金や人材、それからノウハウの活用ということで、直接都が実施するよりも効率的、弾力的なサービスの提供や事業展開などが可能と見込まれる場合に三セクを設立し、活用してきたところであります。  経済状況が激変をする中で、厳しい経済状況に陥った三セクがございますけれども、それぞれ経営安定化策に取り組んでいるところでございますので、今後とも、団体の設立趣旨に的確に沿うべく、経営評価制度などを通じまして、より一層適切な指導、監督に努めてまいります。

◯曽根委員 経済状況の見通しが、激変だとかバブルの崩壊ということが絶えずいいわけになるんですけれども、それなら、バブルが崩壊したら、根本的に見直して、事業を白紙に戻すとか、やめるとか、凍結するとかということをやるかというと、相変わらず続けているわけですよ。ですから事態は好転しないし、やめる気もないと。全く反省がないと思うんですね。まさに泥沼の状態ですよ。  この第三セクターも土地信託も、自治体の資金だけでは公共事業を拡大するのは困難だから、民間の活力と、そして資金も投入してやるということで持ち出されてきたものです。特にバブル型の不動産事業というのは、このことの典型だと思います。それが破綻して、こういう現状だと。そこでまた登場したのがPFIなんですけれども、このPFIも、都議会でもいろいろ議論されてきていますが、これはイギリスで始まったということですけれども、どういう仕組みのもので、そして、東京都にとって導入のメリットというのはどういうことを考えられているんですか。

◯川崎政策報道室政策調整部長 このPFIの事業でございますけれども、先生、先ほどからお話しになるとおり、三セク、それから土地信託と同じように、その時々の社会経済状況の中で考えられてきた事業でございます。このPFIにつきましては、税収が上がらないという中で、財政が逼迫しているという状況で導入が考えられてきているわけでございます。  内容は、従来、公共部門におきましてほとんど任されてきました社会資本の整備、それから運営、この分野に、民間の資金、ノウハウを導入していこうというものでございます。これにつきまして、財政支出の削減、それから経済の活性化などにつながる可能性のある一つの事業手法だというふうに我々は考えておりまして、現在、研究を進めているところでございます。

◯曽根委員 今のご説明ですと、財政難の折に、政府や自治体の方では、民間の資金で公共施設などをつくってくれるということで、当座のイニシアルコストが要らない。本当に飛びつきたくなるような宣伝文句だと思うんですね。しかし、これは実態としてどうなのか、どういうふうになろうとしているのか、日本では、そこが大問題だと思うんですよ。  例えば、日本版のPFIとして、既に法案が出されています。二回継続審議になっていますが、その内容を私もちょっと読んでみたんですけれども、今お話しになったようなことでは済まないような中身がいろいろ書き込まれているわけですね。詳しくは立ち入る時間はありませんが、例えば、PFIにかけようとしている公共事業に民間が出てこれるように、さまざまな優遇措置がとられると。  例えば、国公有財産の無償使用、政府出資、政府や自治体の債務保証、国の無利子貸付、国、自治体による資金の確保や融通、あっせん、地方債への特別の配慮、土地収用法の運用の配慮、また、法制上及び税制上の措置を講ずるとともに、選定事業者に対し、必要な財政上、金融上の支援を行うものとすると、ありとあらゆる支援をやられる仕組みが法案の中に書き込まれているわけです。これじゃ、一体、第三セクターとどこが違うんだというふうに専門家から指摘されて当然だと思うんですが、こういう法案が現にもう出されている現状のもとで、次の国会にかかるかもしれませんが、その進んでいこうとしているPFIの構想について、本当にこれで、先ほどご説明があったように、東京都にとってメリットがあり、研究の課題となり得るのかどうか、この点について、法案の関係ではどうお考えですか。

◯川崎政策報道室政策調整部長 この法案は、五月に議員提案で出されておりまして、現在は継続審議中でございます。  今、先生のおっしゃいました法案の概要、大体そのとおりでございますけれども、私どもといたしましては、このPFI事業手法につきましては、これが国の公共投資の地域配分にいかなる影響を及ぼすか、簡単にいいますと、大都市がPFIで地方が公共投資だというようなことがあってはならないという視点、もう一つは、ほかの事業手法との優位性の問題、つまり、先ほどの三セク、それから直接行う公共投資、これらとの比較をまず考えなくちゃいけない、もう一つは、行政改革の視点から果たして効果があるものなのかどうかという、この三つの視点を中心に今研究を進めているところでございます。

◯曽根委員 本会議でも、佐々木室長さんの、今の三つの点を考慮しつつ検討し、研究しているというような話がありましたよね。私、今の三つの点も含めて、やっぱりこれは慎重に扱わなきゃならないし、そんなに簡単にどんどん実行できるような事態になっていないだろうと思うんですよ。  ところが、もう既に東京都で水道局が、あくまでモデルといいながらも、PFIで金町浄水場の施設を年度内にもスタートさせようとしているわけです。公営企業なら先走りしてもいいのかと思うんですが、政策報道室は勝手にやらせているんですか。

◯川崎政策報道室政策調整部長 今のお話は、水道局の金町浄水場におけます常用発電設備の建設事業について、この事業を導入するというお話でございますけれども、私どもの研究会、九月に始めたんですけれども、いち早く水道局の方では研究を進めていまして、先ほど私が申しました三点の視点を中心に、さまざまな角度から水道局は検討いたしまして、今回の金町浄水場の件につきましては、それらをクリアするという意味で、事業としてスタートを切ったということでございます。

◯曽根委員 さっきの話と大分違うと思うんですよ。さっきは研究、検討だった。しかし、実際もうスタートされかかっているわけですよ。先日、公営企業委員会でもこの問題、私たちの会派の議員さんもやりましたけれども、ほかの会派からもいろいろ質疑がありましたよね。自民党の議員さんも、民間お任せになっちゃって、東京都の方が、もう全部民間でやってくれるんだから、こういう施設のノウハウを失うことになりはしないかという心配も出されておりましたし、それから、今度のこの金町浄水場の施設は反対ではないけれども、公共事業の基本方向にかかわる重大な選択、問題だと。だからもっときちんとした論議が必要じゃないかという問題提起も、私たちの会派以外の委員の方からありましたよ。私、もっともだと思うんですよ。推進の立場に立っていても、検討、研究といっているうちにどんどんスタートしてしまうと。この施設だって、規模は水道局でいえば小さいかもしれませんが、二十億円ぐらいの施設ですから、普通の区市町村じゃ大変な問題になる事業ですよ。こういうのは私は先走りで進められてよい問題ではないと思う。  この水道局の施設も、非常時の電力を供給するという発電設備ですが、それを、資金づくりから設計、施工、運営までのトータルプランで公募にかけちゃうわけですよね。そして、これまでの入札と違って、トータルプランですから、総合的な判断が必要になるということで、判定は民間のアドバイザーに依拠して行うと。この民間のアドバイザーを、既にもう年内に随契で依頼しようとしているわけです。自治体としての事業化は初めてですから、確かにこういうアドバイザーの力をかりなきゃならないことになりますよね、どうしても。契約の方法も全く新しいんですから。しかし、それを年内にもう決めちゃって来年にはスタートだと。行政の側、公共の側で、その中身が適正かどうかをどうやってチェックするんだ、そういう点も全く検討らしい検討もないまま進んでいるんじゃないかというふうに心配でならないわけです。これは本当に異常だと思いませんか。どうですか、佐々木室長さん、これ、本会議の答弁の立場からすれば、こういう先走りをもう少し待てと、よく検討すべきだというふうに物をいうべきじゃないでしょうか。

◯川崎政策報道室政策調整部長 これはあくまでも、先生先ほどおっしゃいましたけれども、モデルの事業でございます。それと同時に、浄水場でございますので、同じような施設が水道局には幾つかあります。直近には、東村山の浄水場で同じ常用発電設備が完成しています。そういう意味からいって、比較の対象があるということも一つ、水道局がこれにこの事業方法を導入した経緯でございます。この後、このモデル事業をほかの事業に拡充していくかどうかは、このモデルがどうなるか、この判断をまってやるということでございますので、あくまでもモデルとしてとらえていただきたいというふうに思います。

◯曽根委員 やっぱり民間お任せになってしまう危険が高いと思うんですよ。仕組みづくりだって、国の方だってまだこれからなんですからね。法案だって継続審議の状態でしょう。非常に危険なところに乗り出していると思うんです。しかも全国の自治体で、事業化といったら東京都が初めてになるわけで、この間、図もいただきましたけれども、このプロジェクトカンパニーが公募に応じて出すわけですが、これが施設をつくるメーカーがなるか、それとも金融機関が出てくるのか全くわからない。そして、民間のアドバイザーというのも日本ではまだ確立されていない分野ですから、新しい、だれがどういうふうな形で出てくるのかもわからない。しかし、これでうまくいけば、そういうところで名を上げた企業なり企業グループが、次のPFIをねらうわけでしょうね。そういうものの踏み台に東京都が使われるんじゃないかという危険も非常にあると思うんですよ。これがうまくいく事業だ、公共事業の適正化にとって本当にメリットがあるというんだったら別ですよ。しかし、先ほどの法案の中身を見ても、第三セクターの失敗を繰り返しかねないというものがいっぱいあると思うんですよ。  余りくどくど議論してもしようがないですけれども、イギリスでもまだ事業規模もそれほど大きいのはやっていませんし、いってみれば実験途上という段階だと思います。失敗もかなりあります。これはもう委員会でもいろいろ出ているようですが、例えば、ある場所にどうしても橋梁なり道路なり、公共施設が必要だとしても、それを担ってくれる民間が出てこなければ、その必要な公共施設もできないという矛盾も、イギリスでは既に生まれているわけです。なぜならば、イギリスというのは公共事業費が国や自治体の財政難で大幅に削られちゃったんで、やむなくというか、こういうPFI方式で民間の資金を導入して事業量を確保するという形でイギリスでは出てきたわけ。ところが日本はどうかというと、今、政府は公共事業を減らすどころか、景気対策だといって、借金してでも従来型の公共事業を目いっぱい上乗せしているわけですよね。さらに、その上に公共資金以外にも事業を広げるということで、PFIに飛びついているわけです。  そういう点で、民活とか企業経営の視点とか、とにかく公共よりも民間の企業の方がノウハウがすぐれているんだから、それをお手本にしていけばいいんだという幻想をいまだに東京都が持ち続けていることは、私、大問題だと思うし、第三セクターや土地信託を見ても、結果はもう明瞭なんですよ。民間企業の方も、例えば大和銀行あたりが皮切りだと思いますが、拓銀、山一、最近は富士通やNECの防衛庁との問題、今回の長銀の問題も含めて、日本の金融機関を初めとする企業の経営のトップが、いかに政・官・財癒着の利益誘導型の政治によって守られて、ぬくぬくと国際的にも通用しない経営をやってきたんだというのは、もう暴露されているわけですよね、実態が。こういう癒着の構造をそのままにして、しかも公共が泥をかぶる式のPFIの導入をしても、全く第三セクターと同じ失敗を繰り返すことになるというふうにいわざるを得ないと思うんです。  きょうの読売新聞で、東京都が二百七十億円で支援を始めた臨海三セクに続いて、東京ファッションタウンとタイム二十四も、東京都がまた百億円の無利子融資を行うなど支援をする方向だということが報道されました。また税金投入になっていくということで、私は、こういう民活の導入、民間活力の活用ということを無制限に無定限にやってきた、またそれを無反省に続けようとしているという中でのPFI、こういう問題については、当然、行革の論議の中で、我々もこれから物をいっていきますけれども、やはりこれまでの反省と総括をきちんとすべきだと。その上に立って、本当に公共事業のあり方を都民本位に見直すべきだということを前提にしなければ、こういうものに安易に飛びつくのは許されないということを申し上げておきたいと思うんです。  後の質問者に譲りますけれども、やっぱり大手のゼネコン優先の公共事業のあり方、開発のあり方、こういうものを抜本的に見直して、予算編成や行政のあり方も、都民の暮らしとか営業とか、そういうものを支えるという目線に切りかえないと行革は進まないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

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