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98年11月16日行財政改革特別委員会
財政緊急事態宣言を切る。清掃工場のコスト問題

◯曽根委員 今回報告をいただいた組織再編素案並びに行政改革大綱見直し方針、この問題について今回大きく審議をしていこうということなんですが、これに関連してどうしても避けて通れないのは、十月に出された都知事の財政問題の緊急アピールなんですね。  というのは、当初予算の発表に当たって知事自身が、財政健全化に大きな区切りをつけて、新しい行政ニーズへの財源を確保することが可能となったと胸を張ったわけであります。したがって、その上に立って、行革見直し方針も、それから組織再編素案も出してきたんだと思っていたら、今度は、都財政は破綻寸前の危機だということが発表された。そうすると、これはもうつじつまが合わなくなってくるではないか、当然の疑問だと思うんです。出発点が違ったのでは議論もできないし、この問題は、当然来年度編成にかかわる重大な問題を含んでおりますので、まず、この緊急アピール問題について疑問の点をただしておきたいと思うんです。  それで、四千四百億円の財源不足というのが、年度途中の十月になってなぜ緊急に出されなければならないほど意外なことだったのかという点なんです。当初予算で都は、他の府県に比べても、法人二税の税収の伸びを九・二%と非常に高く設定していました。東京都に次いで財政規模の大きい大阪とか神奈川、愛知、こういうところで年度当初に法人二税をどういうふうに設定したか資料をもらいましたら、軒並みマイナスで設定しているんですね。この三府県で、平均してマイナス五・六%になります。ところが、東京都はプラスの九・二%と、年度当初、法人二税が大きく伸びると想定してある。開きは一五ポイント以上あるわけです。余りにも大きく開き過ぎていると思うんですが、東京都が法人二税を九・二%伸びると想定した根拠はどういうところにあるんでしょうか。

◯鈴木財務局主計部長 平成十年度当初予算の法人二税の税収の見込みについてのお尋ねでございますけれども、この税収見込みにつきましては、担当でございます主税局におきまして、平成九年度の最終の見込み額を基礎といたしまして、国の経済見通しを初めとする今後の経済動向、そういったことを見通しますとともに、一連の経済対策の効果等も織り込みながら見込んだものであるというように承知をいたしております。

◯曽根委員 そういうことは、同じようにほかの府県も考えなければならない問題だと思うんですが、しかし、予算計上の中身は全く結果は違っていたと。どういうところに原因があるのか、今のお答えでははっきりしません。  平成九年度の最終補正、これは、たしか当初は一一%ぐらいに法人二税は伸びると見ていたけれども、最終補正では二・七%ぐらいに修正していますよね。それなのに、同じ時期につくった平成十年度予算で、なぜ九・二%とまた伸びると想定するのか。しかも、平成九年度はたしか不良債権の有税償却というのがあって、単年度で三千億円ぐらいでしたか、当初は伸びると。しかし、十年度になったら、有税償却じゃなくて無税償却になるんで、法人二税は今年度は伸びるけれども、来年度はそういかないと。これは財務局自身が──主税局だったのかもしれませんが、説明していたことであります。それなのに、何でこういう設定をしたのか、明らかにこれは判断の間違いがここに入っていると思うんですが、このことについて緊急アピールには一言も反省がないんです。これはきちんと、マイナスとはいわないまでも、少なくとも伸びをゼロに設定すれば、現時点での財源不足は、三千億円ぐらい修正されて一千億円程度にとどまるんじゃないかと思うんですが、そういうことについて一言も反省がないんですが、財務局自身はこのことについてどう考えていらっしゃるんですか。

◯鈴木財務局主計部長 税収見込みにつきまして、結果として、現時点で四千四百億円の減収の見込みである、そういう意味では、当初時点と比べまして見通しを誤ったということは、率直にその責任を認めるべきだろうというように思っております。ただ、当初、この税収を見込んだ時点におきましては、先ほども申し上げましたように、例えば国の経済見通しにいたしましても、名目で二・四%伸びるだろうと、こういうような見通しがされておりまして、その後、ご案内のように逆にマイナスの一・八%というような形で大幅に修正がされたわけでございますけれども、そういった経済見通し、その他の動向を踏まえた上で、主税局において独自の判断として見通しを立てたものでございます。  それから、ちなみに大阪、神奈川、愛知等の大府県の状況についても先ほど言及がございましたけれども、確かに私どもも資料をいただきましたところ、これらの府県におきましては、前年度と比較いたしますと、法人二税に関しましては、いずれもマイナスの見通しを立てております。しかしながら、結果といたしまして、これら三府県につきましても、そういう形で計上いたしました今年度の当初予算に対しまして、それぞれおおむね一千億前後、これらの団体はそれぞれ税収の規模が一兆円強ぐらいでございますので、大体税収の一割程度の減収の見込みに至っている。当初の税収の見込みの仕方がどういう考え方であったのかということは、私ども他県の状況なので詳しく知りませんけれども、結果として見れば、東京都も含めましたこれら大都市を抱えた大府県においては、いずれも法人関係税の落ち込みというのは大変大きくて、結果的には当初見込んだ税収のおおむね一割程度、現時点で減収の見込みになっている。こういった意味では、おおむね他府県と同じような状況なんではないかというふうに思っております。  もちろん、他府県がそういう状況だから東京都もやむを得ないと、そういうことを申し上げるつもりはございませんけれども、基本的にはそういう状況もあるということを一言申し上げておきたいと思います。

◯曽根委員 目くそ鼻くそを笑うということわざがありますけど、東京都自身がこれは伸びないというふうに昨年度までいっていたのが、当初予算でこうやって盛り込んで、実際に財源不足を大きくしたというのは事実ですから、責任を感じるとおっしゃいましたが、そういうことはちゃんと都民に対して、最後にお願いまでつけて緊急アピールを出すんだったら、一言の反省ぐらい書いたっていいじゃないですか。こういうところに東京都の今の姿勢があらわれていると思うんですよ。  しかも、政府の見通しに追随したこともおっしゃいましたけど、はっきりいって青島知事もこの間の答弁で、消費税を上げたことが国民を苦しめているという我々の指摘に対して、いや、下げたら地方消費税の東京都の実入りが少なくなるから影響が出るなどというふうな答弁をする、こういう姿勢も問題だということは指摘しておかなければなりません。  さて、ここで問題は、当初の財政の設定が、なぜわざわざ法人二税の伸びを設定して、財政再建に一区切りつけたかというふうな設定をしたか、私ははっきりいって恣意的なやり方だったと思うんです。こんなことをやれば、四千億円以上だということで、十月ぐらいに年度途中で財源不足がわっと出てくると。今度は大変だということで、年度途中の事業さえ執行停止というふうな話が出てくる。結局、その行き先は都民施策にも削減の矛先がいく、こういうようなやり方が最初から考えられていたんじゃないかと勘ぐりたくなるわけですよ。  問題は、東京都の財政構造が財政健全化で一区切りついたと知事はいったけれども、やはり区切りがついていなかった、財政構造は問題が解決されていないということは、はっきりしていると思うんです。都議会のほとんどすべての会派も、こういう知事の無責任な発言に対して厳しい批判をしています。そして、この四千四百億円の歳入不足のしわ寄せを都民に押しつけることだとか、都民生活に密接にかかわる施策を打ち切ることがあれば、それは都民の期待を裏切る行為であり、許されないという批判をしている、これは当然だと思うんですよ。これはきちんと受けとめていただきたい。  そこで、財政の根本問題はどういう点が今残されているのかということで、私は改めて、九五年に都が発表した財政白書を読み直してみました。ここでは、都税収入が大きく減少したにもかかわらず普通建設事業を積極的に伸ばしたこと、とりわけ単独事業は、この十年間で五倍以上の圧倒的な伸びを示してきたことが都の借金を膨らませたということを明確に書いており、これが都の財政悪化の最大の要因であることを率直に認めています。これがどうなったかということです。  バブル前の一九八五年と比較して、普通建設事業の特に単独事業費については、昨年度、九七年度はどれぐらいの高さであったでしょうか。

◯鈴木財務局主計部長 昭和六十年度、一九八五年度の普通建設事業費の総額は、普通会計決算ベースで申し上げますと、五千九百四十二億円でございます。このうち、単独事業の総額は三千六百八十一億円となっております。これに対しまして平成九年度、九七年度の普通建設事業費の総額は一兆二千三百三十六億円でございまして、このうち、単独事業費の総額は八千二百四十一億円でございます。平成九年度と昭和六十年度と比較をいたしますと、単独事業費の総額では四千五百六十億円の増、比率にいたしますと、約二・二倍となっております。ちなみに、普通建設事業費全体では二・一倍というような状況でございます。

◯曽根委員 都税の収入がバブル前の水準に落ち込んでいるのに、投資経費全体はこの間三割下げたといっているにもかかわらず、単独事業費、普通建設事業費ともに、八五年、バブル前当時のまだ二倍以上になっている。財政構造が改善されたとはいいがたいというのは、このことでも明らかだと思います。しかも、今見直し中の重点計画、どういう内容になるかまだ発表されていませんが、現計画の中でも、一兆九千億円余りの総事業費の中で一兆百三十二億円と、五二%を都市づくり分野の事業費で占めている。今後も投資的経費が重点的に進められていく、ふえていく可能性があるというふうにいわざるを得ません。  私は、これまで本委員会などで、単独事業を含む規模の大きな投資的事業の分野として、市街地再開発問題、大型幹線道路、道路橋梁の問題、新海面処分場などの問題を取り上げてきましたけれども、きょうは清掃工場の建設費について、単独費の問題を解明するために取り上げたいと思うんです。  清掃工場は、一九八〇年代に入って六、七年ほど建設がなかったんですが、ちょうどバブルの真っ最中の八七年ごろから続々と工事が始まりまして、この間、八カ所が建設されました。その中で、規模が似通った六カ所の清掃工場について私、ちょっと調べてみました。六カ所というのは、九一年完成の目黒工場、九五年の有明、九六年の千歳、九七年江戸川、九八年の墨田と北の各工場です。工場の規模は、有明が臨海部ですね、四百トン、それ以外は全部六百トンの規模です。  これらを比べてみて非常に興味深いのは、国庫補助のついている額というのは五十億円前後で、いずれもほとんど同じです。聞いてみましたら、清掃工場というのは国庫補助事業なんですが、二分の一補助がつくのはプラントの部分だけで、そのプラントを入れる器ですね、建物の部分は単独事業になるそうなんです。五十億円前後の補助がついているということは、プラントが大体百億円ぐらいかかっているということなんですね。これも非常に高い建設費がかかるものですが、九一年竣工の目黒の六百トンの清掃工場は、当初の契約金額、総建設費ですね、土地代を除きますが、百八十億円。ですから、プラント部分を除くと約八十億円が建物などの建設費ということになります。  ところが、九五年完成の有明の工場は、プラントへの国庫補助は目黒とほとんど同じで、五十億円程度ですが、四百トンのプラントですから、規模が小さいのにプラントの建設費は非常に高くついたというのも問題なんです。しかし、もっと極端なのは、全体の建設費が有明は四百億円以上かかっているわけです。したがって、プラントを除くと三百億円以上ということになる。目黒は八十億円程度で建物ができている。ところが、有明はそのプラント以外の部分が三百億円以上かかっている。どう考えても費用がかかり過ぎだというふうに私思うんですが、財務局はどうお考えでしょうか。

◯鈴木財務局主計部長 ただいま、具体的に目黒と有明の工場の事業費につきましてのお尋ねがあったわけでございますが、大変申しわけございませんけれども、今、手元に詳細の資料がございませんので、具体的な状況等はちょっと把握しかねておりますけれども、それぞれ同規模の工場でございましても、その立地条件、あるいはプラントの対応等もいろんな方式があるようでございますけれども、そういったことで、ある程度事業費が変わってくることは、一般論としてはあろうかというように思っております。

◯曽根委員 まず立地条件でいうと、これは土地代が入っていませんので、土地代は関係ないんです。それから、プラントの代金は全部、私がさっきいったように同じなんです、国庫補助が二分の一ついて、ほぼ同じですから。プラント以外の部分で値段が違うんですよ。行かれていないかもしれませんが、これは臨海部へ行くと主計部長もわかりますけど、あそこは煙突自体が建物みたいになっているんですよ。外側に時計がついているんです。ちょっとプロじゃないとわからないような、時間の読みにくい時計なんですけれど、そういうのがついていたり、清掃工場自体が船の形しているんです。私が見学したときは、清掃工場も文化性が必要なんだと、フランスの文化大臣が褒めてくれたそうなんですけど、そういうことがこの費用に反映しちゃっているんですね。  もう一つ原因があるのは、あれは管路式で吸引してごみを入れる工場なんですが、管路の部分が非常に高い。しかし、車で回収して工場に運ぶ費用が、その分節約になっているんじゃないかと一般的には思われがちですけど、聞いてみたら、昨年一年間、この管路で吸引して工場で処理したごみは三千六百八十トンで、一日十トンしかいっていないんですよ。あれは一日四百トン焼却できる工場で、一日十トンしか引いていない。したがって、大半の焼却ごみは臨海部の外から回収車で運び込んで燃やしているという状況なんですね。これは丸ごと、本当にむだ遣いだと思いました。工場の中は、いわゆる大きな電気掃除機のお化けみたいなものがついて、物すごい大仕掛けな機械になっている。こういうところで費用が膨らんでいる。私は、臨海開発だとここまでむだ遣いが許されるのかと、本当に怒りを持ちましたね。  私たちがこういうふうにいうと、臨海は特別なんだ、とにかくあれは別格であって、ほかの工場は必要最小限の費用でつくっていますというふうに清掃局の幹部の皆さんはいいわけしているんですけれども、ところが、有明工場より後に完成した工場を調べてみたら、軒並み高くなっているんです。千歳工場が二百四十六億円、さらに江戸川が三百三十九億円、墨田が三百三十三億円、北は三百三十四億円、これはいずれも六百トンの規模で、しかもプラントは百億円程度でできているんですから、建物は江戸川、墨田、北はほとんど二百三十億円以上かかっているわけです。プラントが清掃工場の本体で、機能ですよね、その周りの建物で二百三十億円ですよ。同じころに建った北区の百人定員の特別養護老人ホームの三つ四つ分ですよ、外側の建物だけで。(「それはちょっと対照にならないな」と呼ぶ者あり)なりますよ、だって建物ですからね。それで有明だけが特別じゃない、その後、建物が全部高くついていると。これが国の補助がつかない分、単独費部分なんです。  財務局は契約にかかわっていると思うんですけれども、ずっとこうやって高くついているんじゃないかというふうな指摘をしてこなかったんですか、どうでしょうか。

◯横山財務局長 今、清掃工場に関してるるお話がございましたが、清掃工場はその時々の機能等によって変わってきますし、すべて同額で建てなければならないという考えではございません。特に臨海の関係についていえば、全体の開発計画の中でつくった施設ですから、だからこそ着実な開発が必要なんだろうと考えております。

◯曽根委員 臨海は特別だというふうにおっしゃったんで、それはそのとおりですよ。あそこへ行くと本当に特別なんです。しかし、その特別さがその後もずるずると都内の各工場で続いているのが、私、もっと問題だと思うんです。その時々の機能とおっしゃいました。しかし、機能の部分はプラント部分ですから、百億円で変わっていないんですよ、この十年ぐらい。建物が変わっているんだ。そこのところの原因は何なのか。  私、たしか昨年十二月にコスト問題をお聞きしたら、財務局は九六年から公共建築物についてはコスト縮減に取り組んでいる、二割の実績が上がっているというお話がありました。この工場については、コスト縮減というのをやっていなかったんでしょうか。

◯横山財務局長 確かに、財務局としましてはコスト管理室を設けまして、すべての工事関係についてコスト縮減の努力を行っております。清掃工場についても例外ではございません。

◯曽根委員 それじゃ、この目黒以降、どうしてこれだけ高くついて、比較すればだれでもわかることだと思うんですが、チェックされなかったのか、その原因もお聞きしたいし、これからの工場建設は少なくともこういうことはないでしょうね、どうでしょうか。

◯横山財務局長 今、工場工事関係の明細の仕様書がございませんので、何ともいえませんが、当然のことながら財務局としては相当チェックをしているし、コスト縮減の努力を図っていると考えております。

◯曽根委員 余り説得力のある説明がないんですよね。今、建設中の豊島工場、これはもう建設にかかっちゃっていますよね、完成はもう間もなくですが、ここまでで、ごみ焼却能力という点では、都内で今発生している可燃ごみの一〇八%の焼却能力を持つというふうになっいるわけですね。しかし、さらに渋谷、中央が今まさに事業化されようとしている、もうされかかっています。少なくとも渋谷、中央について、例えば渋谷、二百トンで百三十三億円かかる予定だそうですけど、目黒は六百トンで百八十億円でできているんですから、私はやっぱりここを厳しく見直すべきだと思うんですよ。少なくともコスト問題では、後でこうじゃないかといわれないようにちゃんとやってもらいたいと思うんですが、これからつくる渋谷、中央について、コスト問題でもう一回ちゃんと調べて物をいうという気持ちはあるでしょうか。

◯横山財務局長 財務局としましては、当然のことながら各工事について行政コストの削減、あるいは建設工事の削減についての一定の努力をやっていますし、今おっしゃったような工場につきましても、当然財務局でやってまいります。

◯曽根委員 私たちは渋谷、中央の工場建設については、住民の反対もあり、また、もう既に焼却能力を上回って工場を建設されてきているということから、計画全体を見直しをすべきじゃないかというふうに申し上げておりますので、そのこととあわせて、コスト問題でもこういうことがあるんです。現に事実としてありますので、よく後で調べていただいて、検討していただきたいというふうに申し上げておきます。  十月二十九日及び十一月一日の朝日新聞に、大型の焼却炉の入札について長年にわたって談合が行われていた、ほとんど大手の五社が中心に落札していたという記事も載りました。私、ここまで来たのかなというふうに思いますが、そういう点からも、また豊島や渋谷でもやっぱり談合のうわさがありましたよ。したがって、今からでも遅くはないんで、正すべきことは正す、これは行財政改革の一つの問題として提起しておきたいと思うんです。  今まで投資的経費の、特に単独費問題についてただしてきましたが、我が党は、もちろん投資的経費だけを問題にしてきたわけではありません。経常経費も必要な見直しを行うのは当然だという立場であります。ところが、そこで緊急アピールが、わざわざこういうグラフを載せて、投資的経費は削減がかなり進んでいるけれども、経常経費は四兆円を超えて高どまりの状態だ、この見直しは不十分だという指摘をわざわざしているんですね。そして、その上で最後のページで、都民の皆さんにお願い、厳しい選択を、というふうに迫っているわけなんです。経常経費は高くなって下がっていない、下げるには都民の皆さんに我慢してもらわなければならないという雰囲気なんですね。都民施策をこれから切りますよという予告みたいな感じですよ。しかし、経常経費を押し上げたのは、本当に都民へのいろんな施策をやり過ぎたからなのか、そこが膨らんだのかということについてただしておきたいのです。  八七年度から九一年度、昭和でいうと六十二年から平成四年にかけて、この都のグラフを見て私が非常に不思議だったのは、それまで三兆円以下だった経常経費が、わずか四年の間に四兆円を超すところまで急速に上がったわけです。経常経費というと、大体人件費とかそういうもので、いわば物価上昇分とか人口の増加とか、そういうものに従って徐々に上がっていくというふうに常識的には考えられますよ。ところが、この四年間になぜこんなに一兆円も駆け上がっていったのか、ここを押し上げた原因というのは何でしょうか。

◯鈴木財務局主計部長 ただいまご指摘ございましたように、昭和六十二年から平成四年ぐらいにかけまして、経常経費がかなり大きく伸びております。具体的にはこの間、金額にしますと、一兆二千七百六十六億円、四四・五%の伸びでございます。その内容といたしましては、いわゆる補助費等が三千五百七十億円、この補助費の伸び率は八九・〇%でございます。それから給与関係費が三千百十九億円で、伸び率は二〇・九%、貸付金が二千七百三十二億円でございまして、伸び率にいたしますと二五四・一%、こういったような状況でございまして、こういった経費の伸びが、結果としてこういう形での経常経費の増につながっているというように分析をいたしております。

◯曽根委員 今、答弁の中に給与関係費というのがありました。この人件費も、確かに総額として経常経費の中に占める割合が大きいわけですから、伸びの中の大体四分の一ぐらいですかね、人件費の伸びです。しかし、伸び率を見ると、四年間で二割程度ですよね。だから毎年四%平均ぐらいでしょうか、これぐらいが、経常経費の物価上昇や何かを見込んで伸びていく率としては当時、大体常識的な範囲だと思うんです。さらに、施策の拡充があったなどを反映して、補助費なども若干伸びていますけれども、それでも二倍までいっていません。ところが、貸付金というのが四年間で二・五倍になっているんですよ。  その貸付金というのはどういうふうに使われたかというので、今回、資料として都市計画局の経常経費の内訳を出してもらいました。これは、このグラフのもとになっている予算ベースじゃなくて、普通会計のベースだそうですが、基本的には同じ傾向が見えると思うんです。都市計画局の経常経費の内訳を見ると、首都高への出資や貸し付けなどを含んだ投資、出資、貸し付けという部分が六百四億円で、局全体の経常費の六八%を占めているんですね。それから、建設局も資料をもらいましたけれども、道路橋梁などの維持補修費や道路公社などへの投資及び出資、再開発などへの繰出金、この合計が七百七億円で、経常費のうちの八〇%を占めているんです。二局だけでも、いわば投資的な事業の関連の経費ですね、これが一千三百億円あります。  このデータを、ちょっと過去にさかのぼって調べてみたんです。例えば、今、都市計画局で経常経費の七割がいわゆる首都高への貸し付けだとか、そういう投資の関連でついている経費だといいましたが、これは、私の資料では八八年までさかのぼったんですが、八八年には経常費の三二%にとどまっていたんです。それが九一年には、つまりわずか三年後ぐらいには七七%まで膨れた。それ以後ちょっと下がりましたが、七割前後をずっと占めてきているわけです。経常費の総額も八八年に二百八十億円程度だったのが、九一年度の千四百億円まで一気に都市計画局の経常費が拡大した。その後少し下がりましたが、昨年度も八百九十億円です。  私、このバブルの時期に、間違いなく都市計画局については経常経費の構造が変わったと思うんですよ。バブルのはじけた以降もそれが変わっていないで、ずっと変わったままになっている。そのことが、この局について見れば、経常経費を押し上げて高どまりになっている最大の原因であることは明らかだと思うんですが、いかがですか。

◯鈴木財務局主計部長 ただいま都市計画局の経常経費の伸びについてのお話がございました。先生が今指摘された部分については、資料に基づいてのご指摘でございまして、そのとおりだろうというふうに思っております。ただ、そういう形で、特に建設局、あるいは都市計画局のような場合にはそういう経費が伸びているということでありましょうけれども、例えば、貸付金等の伸びの中には労働経済局の方の制度融資の伸び、こういったものも含まれておりまして、おのずから各局の仕事の内容によりまして、それぞれ状況も異なっているのかなというように思っております。

◯曽根委員 都市計画局は首都高への貸し付けを始めていましたので、この傾向は非常にはっきり出たわけですよ。ほかの局はいろいろあります、今おっしゃったように、労働経済局は制度融資の貸し付けなんかも入っております。だから、細かくいえば、投資的な事業に伴って出ている費用と、もともと人件費や物件費などで、または扶助費だとか福祉関係の補助費だとかでついている部分と、私はきちんと分けて傾向を見なければならない問題だと思うんですよ。そういうのが一緒になって、この経常費ということで積み込まれていることが一つの問題だと思います。しかし、それにしても全体でどういう傾向があるか、都市計画局だけの問題じゃないということなんですよ。  ここで、パネルをつくってきたんですが、これは緊急アピールで出されたグラフに対応しています。あの中の内訳をとってみたんですよ。一番上にピンクの部分がありますが、これは緊急アピールのグラフに載っていない公債費の部分です。ここを外してあるようですね、あのアピールの中では。一番下の薄紫のところが給与関係費で、ここは大体常識で考えられるとおり、毎年少しずつしか上がっていないんです。その上の薄い小豆色の部分が物件費、クリーム色が扶助費で、これも全体に占める割合はわずかです。福祉関係の国の補助がつく扶助費ですね。伸びているのは、やはり補助費の水色の部分とその上の紫の部分、ここはその他の部分なんですが、その他の中には、私が今指摘した貸し付けが入っている。それから投資、出資関係が入っている。再開発への繰出金なども入っている。大体ほとんどが投資事業の関連経費です。ここが、私がいっている八七年から九一年の四年間で四千億円ぐらい伸びたんですよ。一兆円以上伸びたうちの半分とはいいませんが、少なくとも三分の一ぐらいはこの部分の伸びが占めている。大したことなかったんですよ、八七年までは。それがぐわっと伸びて、それがその後減らない。少し減っているようですが、これが高どまりになっている原因だと思うんですね。  そういう点で、このその他の部分には、例えば、これはちょっと確認しておきたいんですが、臨海開発の転貸債までこの中に入っているというふうに聞いたんですが、これは事実でしょうか。

◯鈴木財務局主計部長 ただいま先生がお示しになりましたグラフが何の数値をもとにしたのか、ちょっと私どもの方で把握しかねておりますけれども、一般会計の数値をもとにしたものであれば、転貸債は含まれておりません。

◯曽根委員 私が聞いたところでは、一般会計と今お話がありましたが、これは普通会計決算で内訳を出したもので、普通会計決算のいわゆる貸し付けや出資などの分野ですね、これをその他というところに入れているんですけれども、この中には転貸債ですね、臨海開発で、臨海開発建設株式会社が借り入れを行うために東京都を通じて銀行から融資を受けた、それが東京都を通過して向こうにいったわけですけれども、そういう転貸債もこの中に入っているというふうに、これは間違いないと思います。  そうすると、まさに投資関連の事業費が、全体の経常費を押し上げている原因になっていると思うんですよ。転貸債は毎年一千億円ぐらいずつ、多いときには借りられていったわけですから。そういう点でも、経常経費が膨らんだまま見直しが不十分だというふうにいわれるけれども、その中身がかつての経常費、人件費が半分以上を占めていた経常費の状態から質的に異なっている、投資事業が大きく膨らんだ分だけ経常費も中身が変わっている、そこが原因だということが明らかだと思うんです。  したがって、膨れ上がった経常費を本来のレベルに抑えていくためには、投資的な経費に連動する部分をいかに減らすか、これが今後の重要な課題だと。少なくとも投資的関連が大きく膨らんで経常費を高どまりにしているのに、それが最大の原因なのに、その見直しが進んでいないからといって、もともとそれほどふえてこなかった扶助費だとか、福祉医療関係の都民施策をやり玉に上げるというのは全く筋違いだと思うんですが、いかがでしょうか。

◯鈴木財務局主計部長 ただいま経常経費についての分析も含めましたご指摘がございましたけれども、ご指摘のように、そういったものが経常経費に含まれていることも確かでございます。しかしながら、例えば経常経費の中の補助費等も大きく伸びておりますけれども、一方で、この補助費の中には国保の交付金でございますとか、あるいは市町村に対します交付金、そういった経費、あるいは私学の助成費、そういったものも含まれているわけでございます。  私どもは、投資的経費と経常的経費をこのような形でグラフで示しまして、投資的経費についてはピークの平成四年から比べると約半減するまでに落ち込んできている、それに対して、経常経費が全体としてはほとんど四年の水準を保っている。この経常経費の中には、ご指摘のように実質的な投資的事業に性格的には類するようなものもございますけれども、そうでないものも当然ながら入っております。そういう両方含めまして、全体的な経常経費について今後見直しをしていかない限り都の財政構造の転換は図れないと、こういう意味でアピールで申し上げたわけでございます。

◯曽根委員 経常経費を全体として見直す、私たちも大賛成であります。したがって、その議論をきちんと正確に冷静に進めていくためには、今の経常経費の構造はどうなっているのか、その点をきょうは解明したかったんです。したがって、こういうことを踏まえた上で、本当に適切な経常経費の見直しというのはどうあるべきか、これは今後も議論していきたいというふうに思います。  いずれにしても、前半で投資事業の特に単独費問題をやりましたが、あの中でも有明工場に見られるように、臨海開発が聖域だ、別格だ、特別だというふうにしている問題を含めて、自治体が手を出すべきでない分野にいろいろ東京都がやってきたことが、一般に人件費や扶助費であればそんなに伸びるはずのない、四年間で四割も伸びるという経常費の異常な増大をもたらした。それにきちんとメスを入れることを十分にやらずに、年度当初で一区切りついたと、そしてまた重点事業が始まる、そこが財政破綻すれば都民の皆さん我慢してくださいと、こういうやり方は許されないということを最後に指摘して、私の質問を終わります。

◯大山委員 関連して。曽根委員が、ただいま投資的経費を中心に数百億円の単位で削減できるということを明らかにしたわけです。ところが、行革大綱見直し方針では、厳しい痛みを伴う選択ということが強調されて、財務局は都民が厳しい痛みをこうむるのだといってはばからないわけです。しかし、本来の財政再建の道は、曽根委員が明らかにしたような、むだにこそメスを入れていくことが本来の姿だというふうに思います。都民と滞在者の健康、安全、福祉を保持することが最大の仕事である東京都が、こうやってメスを入れなければならないところはそのままにして、都民に厳しい痛みを押しつけることは許されないと考えています。  そこで、まず私が最初にいいたいのは、シルバーパスとマル福のことです。これは高齢者施策推進室の今年度の事業概要で、この中に何と書いてあるか。この中に、今後の高齢者施策の方向として、予算の四三%が、給付的事業である老人福祉手当や医療費助成、シルバーパスで占められているというふうに述べ、現在のような少子高齢時代に応じたものに見直す必要があると、昂然と見直しを述べているわけです。  さらに、これは来年度の高齢者施策推進室の予算要求概要ですけれども、わざわざシルバーパスの交付と老人医療費助成を取り出して、今後、そのあり方について検討するというふうに書いてあります。  第一回定例会では、大きな都民の運動と全会派の反対で、シルバーパスの削減は、本年度の局の見積もりには載せたものの、予算原案では取り下げたものです。しかも、都議会議員選挙のときには七二%の議員が、シルバーパスは現状のまま存続、もしくは拡充と約束しているものです。老人医療費助成については、第一回定例会で全会派一致で否決して、現行どおり継続となったものです。都民と都議会の意思がこれほどはっきりしているものについて、所管局は名指しで見直すといっているわけです。財務局はシルバーパス、マル福についてどう考えているのでしょう。高齢者施策推進室と同じく、やはりあくまで見直すという考えなのでしょうか、局長。

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