臨海開発2次公募、都民提案制度問題を質す
◯曽根委員 それでは、私からも、臨海副都心開発第二次公募に向けて、主に企業登録の状況の報告について質問させていただきたいと思います。角度は大きく変わるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。 今回、第二次公募の対象の十区画に対して八十件九十五社が、登録要項を見ますと、この登録が公募に応募するための資格となるものですが、応募の義務を伴うものではありませんという形で、つまり、応募することを義務づけてはいない形で登録されました。予想を上回る登録があったと強調されておりますが、港湾局としてはかなり厳しい予想をしていたらしいのですけれども、では、客観的に見てどうかという点で、やはり前回の第一次公募と比べてみる必要があると思うのです。そこでお聞きしますが、第一次公募のとき、事前の登録は幾つの企業が登録したのですか。
◯前川開発部長 今回は、今先生のお話がありましたとおり、十区画で八十件九十五社でございますが、前回の第一次公募時は、今回の登録方式とは手続が異なっておりますけれども、応募登録を行ったのは十八区画に対し百八件、延べ三百七十八社でございます。
◯曽根委員 前回に比べて、登録の企業数で見ると四分の一になっております。今の答弁の中で、登録件数について、前回の第一次公募に先立っての登録が百八件だというお話がありましたが、これは今回の登録が、先ほど私が申し上げたように、必ず応募するということを前提とせず、登録した後に前回のような企業グループをつくるためのヒアリングや企業同士の協議が行われることを想定したものであって、前回の、いわば応募を希望する企業という前提に立った登録よりもかなり前段階の登録という形になっていることをあらわしているのだと思うのです。 先ほど来の港湾局の説明では、経済情勢が非常に大きく変化したということがいわれていますが、問題はやはり、こういう厳しい経済情勢、特にこの大型開発については、財政難までこの間指摘されていたにもかかわらず、見直すべきところを、あえて開発を続行してきたことこそ問題だと思うのです。そして、さらに問題なのは、まだ応募するかどうかも確定していない、いわば前段階の登録であるにもかかわらず、その企業名すら都議会の資料要求に対して明らかにしていないことであります。今回、委員会要求資料で出されているように、私もお願いしたのですけれども、企業名が出されませんでした。私のお願いは、名前を秘匿するということを申し出た企業は除いていいと、しかし、そういう申し出がなかった企業についてはこれを公開しない理由はないではないかということで、名前を出すようにお願いしたのですが、資料に出ませんでした。前回、第一次の登録のときには、これは当然のことですけれども、企業名はすべて公開されたにもかかわらず、今回の登録で名前が出せないというのは、どういうわけでしょうか。
◯前川開発部長 前回の第一次公募におきましては、公募要項にあらかじめ応募企業名を公表することを明記しておりまして、その上で募集をして、結果として事業者名を公表したわけでございます。 今回の第二次公募についても、私どもは、事業者の選定に当たっては、これは当然、できるだけ透明性を確保することが望ましいと考えております。しかしながら、社会経済状況が第一次公募の時期とは非常に大きく変化をしている、それを受けまして、そういう中で企業の経営行動が極めて慎重になるとか、公募をめぐる環境が大きく変化をしているわけでございます。こうした観点から、今回の登録におきましては、企業名を秘匿する登録であるとか、あるいは、そうでない場合、秘匿を希望しない事業についてもその名簿の閲覧は登録事業者に限るとか、そういった制度を設けている次第でございます。したがいまして、今回は事業者名を公表しないことを前提に登録を実施しているものでございまして、私どもとしては、公表は適当でないというふうに考えているわけでございます。
◯曽根委員 この港湾局の姿勢というのは、まさに登録する企業の側のことしか考えていないのですよ。前回は、これは公表するか否かを問わず企業が殺到したわけですから。前回は三百七十八社、これは公開されてもある意味では当然という中で行われました。今回、経済情勢が厳しいと、そのとおりだと思うのです。経済情勢が厳しい中であえて開発を続行し第二次公募を行うわけで、この開発には少なくとも都民の税金も含めて巨額の公的資金が投入され、都有地も出資で提供している。これが失敗すれば、当然、逆にいえば都財政を圧迫し、都民施策も圧迫する、これはだれが見ても明らかです。都民の側から見れば、だからこそ、きちんと透明性を確保するとおっしゃったように、やってもらいたいというのは当然だと思うのです。どうして都民の側の立場に立てないのか。私は、これは企業の側からいっても、別に名前を出されたって、こういう時期に臨海に乗り出そうというぐらい積極性のある企業だというのは、むしろ逆に宣伝してもらいたい企業もあるのじゃないかと思うのです。そういう意味で、当局は余りにも企業の側に気を使い過ぎているのではないかと思うのです。 前回、登録の企業は当然ながら公表されました。しかし、その後公募になったときに、どの企業がどの区画を応募したのか、そして、どの企業が当選し、ほかが落選したのか。この資料を要求したときに、これは出せないと、落選企業のレッテルを張るようなものだからできないというようなお話があったのですが、しかしその後、都民のある団体から開示請求があって、そのときに東京都は、この落選企業名も含めて開示せざるを得なかったのです。その後開示したわけですから、都議会に出さないわけにいかないので、私たちが要求すれば、第一次公募の区画応募の落選企業は全部発表されていますよ。今回だって、秘匿を希望する企業は明確にしてくださいと、それ以外の企業は、秘匿を希望するとあえていってないわけですから、もし都民から開示請求があったときにこれを拒否する理由は何もありません。もしそうした請求が出されたとき開示するのであれば、都議会にきちんと出すべきではないでしょうか。いかがですか。
◯前川開発部長 第一次公募時点での応募事業者名の公表でございますが、これについては、先ほど触れましたとおり、あらかじめ募集に当たって事業者名は公表すると約束していたわけでございます。その上で公表をして、ただし、当初、区画名は公表していなかったのです。それについて、今お話がありましたように、公文書の開示請求がございましたので、審査会へ諮問をして、その結果を受けて区画別を公表したわけでございます。 今回は、前回とは事情が全く違うと私どもは考えております。先ほど申し上げましたように、バブル経済を背景とした当時とは社会経済状況が全く違うと。そういう中で臨海副都心開発を推進するために、私どもとしては、登録に当たってはあらかじめ進出事業者の名前を公表しないということを前提にして登録を行い、かつ、これから公募を行うわけでございます。したがいまして、公文書開示の請求に当たりましても、これは全く状況が異なるというふうに考えていいと判断をしております。
◯曽根委員 東京都と、それから登録企業との間にどういうやりとりがあったかは知りませんが、しかし、登録要項には、企業名は公表しませんとか、そういうことは書いていません。ただ、名前を秘匿したい企業は申し出てくれということが書いてあるだけなのです。したがって、これは当然、開示請求が出れば審査会にかけられて、私はこれはもう開示されると思いますよ。そうするとまた都議会が後回しになるのです。そういうことが二度とないようにしていただきたい。 こういうふうに徹頭徹尾企業寄りの立場で第二次公募に突き進むとどういうことになるかという問題を、次にお尋ねしたいのです。 まず、お聞きしますが、第二次公募では、公募と契約は一番早い場合にはいつごろになると見通しできますか。 あわせてお聞きしますが、今回、登録企業は九十五社八十グループで、これは義務づけないわけですよね、公募に応じて、区画によっての競争率はどれぐらいになると想定しているのですか。
◯前川開発部長 公募につきましては、先ほどもご説明申し上げましたが、現在行っているヒアリングの結果等を踏まえて、早ければ年度内にも公募要項を発表したいというふうに考えております。その後、順次公募の手順を踏みまして、契約につきましては、これは当然事業予定者の決定後できるだけ早く締結をしてまいりたいというふうに考えております。 また、もう一つのご質問で、どれくらいが公募に応じるかという問題でございますが、これについては、これからのヒアリング等を通じて状況を把握した後でなければ正確なことは当然わからないわけでございますけれども、今回の登録に当たりましては、これはただ漠然と登録をしているわけではなくて、あらかじめ私どもに打診をしたりとか、状況を把握して登録をしている企業が多いわけでございます。したがいまして、私どもとしても、かなりの数の事業者が公募に応じてくれるのではないかというふうに期待をしている次第でございます。
◯曽根委員 まだ定かなことはほとんどわからないという状況かと思います。今回は、登録企業が今後グループをつくっていくことを考えると、十区画に対して九十五社ですから、前回は多いところは何十社もグループをつくったわけです。そういうことを考えると、ほとんど随契に近いような契約になりかねない、とにかく出てくれということで。何しろ、どこの企業が来ているか、我々、わからないのですから。本当にもう拝み倒して名前だけ出してもらったのかもしれない。我々はわからないので、何が起きるか本当に不安でしようがありません。しかも見通しも見えないという段階で、私は、こういうときだからこそ、これまで行われてきたような、第二次公募を何とか成功させようということで、また優遇措置、大盤振る舞いが出てくるのではないかということを大変危惧しているわけです。 そこでお聞きしますが、昨年の暮れに第一次進出企業に対して総額六百億円近い権利金の返還と地代の減額措置が行われました。第二次公募の進出企業に対して、公募に応じてくれれば第一次企業並みの優遇措置をとりますよ、というようなことは絶対にないといい切れますか。
◯前川開発部長 今後の企業への対応としての優遇措置はあるかというお話でございますが、今ご質問にございました、昨年とりました措置につきましては、当初の契約時と比べて社会経済状況が全く変わってしまった、そういう中で土地の処分方式等が変更になったと、そういったことを踏まえて対応したわけでございます。 今後につきましては、公共公益事業等については臨海副都心開発規則等に照らして減額をする可能性、これは当然考えられるわけでございますけれども、それ以外の一般の事業者については、現在見通し得る状況のもとでは考えられないというふうに考えております。
◯曽根委員 私が大変心配しているのは、昨年の権利金の返還、土地代減額措置をとったとき、今おっしゃったように、いわば契約内容が変わったということについて権利金の返還をやった。しかし、これすらも今まで前例のないことなのです。さらにいえば、地代の減額というのは、この契約方式の返還によるわけではなくて、まさにご褒美なのですよ。そういう点で、この措置について、前川部長さんは私たちの質問に対し、この措置が臨海会計に影響を与えることは事実だと、財政的な影響は必至だということ認めながらも、今沢港湾局長は、この措置は今後の臨海副都心の着実な推進にとって効果があるであろうということをお答えになっているので、そうすると、第一次進出企業にこれだけの優遇措置をしているのだから、第二次公募に応募すると何かあるのではないかと、期待を今後の進出を考えている企業に持たせるニュアンスが非常にあるのかなと、そういう危惧を持たざるを得ないので、ここのところをもう少し確認しておきたいのです。今後、第一次、第二次を含めて進出企業への優遇措置は一切ないということを改めて確認しておきたい。いかがでしょうか。
◯前川開発部長 先ほどお答えいたしましたが、今後、土地の処分等を進めていって、公共公益事業等が進出をする場合については法的な根拠に基づいての減額は当然あり得ると考えておりますけれども、それ以外の一般の事業者に対して何か特別な優遇をするといったことは、現在の状況下で予想する範囲ではまず考えられないというふうに考えております。
◯曽根委員 第一次進出企業の地代減額が三年間あるわけです。先ほどお聞きしたら、第二次公募が、早ければ年度内に公募要項を発表、すぐ契約が成立するというふうには我々は思っていませんが、しかし、早い想定では来年度契約成立ということもあり得るわけですね、想定としては。そうすると、片や第一次進出企業が半額の地代を払うことで済んでいる企業がある、一方で、新たな契約でスタートした企業は全額支払いになる。そのもととなる地価は、先ほどの話では、今下げどまりという状況ですか、上がってもいいのじゃないかという話もありました。そうすると、二倍以上の単位面積当たりの地代を払う企業、片や半額、割引、片や全額支払いで、差は二倍以上。場所だって今進出している企業で生き残っているところは一番いいところをとっているわけです。今度は第二次公募ですから、いろいろなばらつきがあると私は思っているのですが、これで第二次公募の企業が仮に公募に応じたとして、不公平ではないかという話が本当に出ないのだろうか、そういうものに厳しく対応できるかどうかという点で、私は、当局の姿勢について非常に疑問を持たざるを得ません。 さらに、この点もお聞きしておきたいのですが、第一次進出企業の中には第三セクターが入っております。第三セクターといえども株式会社であって、これは公共公益事業という形で今オフィスビルを経営しているわけではありませんね。したがって、臨海関連第三セクターについての優遇措置もないということについて確認してよろしいでしょうか。
◯前川開発部長 今後の対応につきましては、何度もお答え申し上げたわけでございますが、私ども、一次公募企業と今後の二次公募企業との間での不公平という問題は、むしろ逆であろうと。率先して進出をした企業が、いわば開発者として苦労した分というものは、それはそれでやはり正当に評価すべきであろうというふうに考えております。 それから、もう一点お尋ねの臨海関連三セクとの関係については、これは今回の事業者登録あるいは今後の公募とは全く関係がないというふうに考えております。
◯曽根委員 それはおかしいですよ。先ほど私、聞いたでしょう、第一次、第二次を含めて進出企業に対しての優遇措置は一切ないのですねと、公共公益事業以外はありませんというお話だったので。これは公募登録ということは別にしてですよ。そうじゃないと、大体、第三セクターは、第一次契約のときにわざわざ競争から外してもらって、自分で取り分をちゃんと確保できたという物すごい優遇措置があったわけです。だけれども、オフィスビル経営はまさに破綻直前の状況です。これを助けるなどということがあれば、やはり、臨海に進出する企業にはお金を出しているじゃないか、助けるじゃないかということになるわけです。そういうことをやれば、必ずこれは不公平だという声が上がるに決まっているのです。民間企業だって今オフィスビルを計画しているところがあるわけです、これはまだ出ていないけれども。こういう不公平といわれる問題が次々と生じているところに臨海開発の問題があるわけですから、この点を改めて、こういう優遇措置、それから、第三セクターについて、結局は救済して優遇措置をとるというようなことがないようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
◯前川開発部長 私の答弁が不十分で、ちょっと誤解を招いたかもしれませんので、明確にしておきたいと思いますが、先に進出した者が苦労した分については当然評価すべきだというのは、先ほど曽根委員がご質問になった昨年の措置について申し上げたわけでございます。それからまた、今後の減額の可能性については、先ほど申し上げたとおり、基本的に公共公益事業等以外は考えられないというのは変わっておりません。それからまた、三セクについては、今回の登録公募とは一切関係ないというわけでございます。
◯曽根委員 結局、港湾局の姿勢、これはもちろん東京都の姿勢になるわけですが、徹底して企業寄りだと。この開発について、最終的には、財政的には臨海会計で東京都が責任を持つわけですよ。失敗すれば、全部都財政、ひいては都民のほかの施策に影響するわけですから、そちらの側の立場に立って本当に考えてもらいたい。そう考えたら、今、第二次公募に突き進むことはいかに重大な問題を持っているかということは明らかだと思います。 先ほど、他の委員の質問に対して、都民提案制度についての報告があって、私は確信を持ったのですけれども、子供たちの応募の中で特徴的なものはといえば動物園、一般の方の提案の中でどういうものが出たかというと、自然、緑、福祉、医、健康、水辺の環境を生かしてもらいたいと。専門家の方の中身はよくわかりませんが、やはり都民の中で、一般の方、子供たちが求めている方向こそ、都民が臨海開発地域に対して抱いているイメージであり、希望なのです。先ほどイルミネーションの話もありました。結局、臨海地域でにぎわっているのは、オフィスビルが総体的に少ない台場地区、有明地区じゃありませんか。青海地区はまさに閑古鳥ですよ。こういうところにこそ都民が求めている臨海開発地域の今後の方向があるのであって、私は、そういう方向に東京都自身が見直しの一歩を進めなければならないということを改めて強調して、終わりたいと思います。