トップページへ  議会質問目次へ 質問要約記事へ  質問全文リストへ

減債基金の過大な積み立てを半分にせよ

◯曽根委員 さて、吉田委員、清水委員が具体的に取り上げたように、東京都が行政改革とか財政健全化の名でやろうとしているのは、本当にかけがえのない都民の必要な施策を削ってしまうことです。しかし、本当の行政改革というのは、むだ遣いの事業を見直すことなんです。これは私がいうまでもないことですが、それならば、最大のむだ遣いである臨海副都心開発こそ、行政改革と財政健全化の名をもって見直すべきではないか、私は、その立場から臨海開発問題を取り上げさせていただきます。  その前に一点だけ、過大な減債基金積み立ての見直し問題について、ただしておきたいと思うんです。既に明らかなように、都が試算している来年度の財源不足額三千百億円のうち一千九百億円は減債基金、すなわち都の借金の元利払いのための基金への積立金です。財務局は、この巨額の積み立てを前提にして、三千百億円の財源不足で深刻だといっているわけですが、したがって、この巨額の減債基金積み立ての是非の問題というのは、財政健全化計画とその実施案の土台、根本にかかわる問題です。我が党は、この立場から、第三回定例会で、今の積立計画は過大であり見直すべきだと指摘しました。ところが、前回の五日の本委員会では、減債基金積立額を見直すというのは机上の空論だとの発言がありました。しかし、我が党の過大な積み立て見直しという提起は、空論どころか極めて現実的な提起であります。  そこで、最初にお聞きしますが、東京都の想定で、今後十年間、九八年から二〇〇八年までの減債基金の残高は幾らになるのか、示していただきたい。

◯木内財務局主計部長 減債基金の問題につきましては、一定の条件のもとに推計をいたしますと、その残高、九年度予算ベースでは千六百八十二億、その後、三千六百億円程度、六千億程度、それから八千八百億円程度、一兆一千九百億円程度、そしてその後、一兆三千百億円程度、平成十五年には一兆一千六百億円程度で、その後、一兆一千億円程度、それから、約一兆円程度、その後、九千億程度、そして九千五百億円程度、平成二十年、すなわち二〇〇八年には一兆五百億円程度で推移するものと推計をされております。

◯曽根委員 それで、委員長、お断りして図を使わせていただきたいと思います。  私は、今お答えになった数字、これは資料でいただいたものですが、つくってみました。これによると、減債基金の残額は二〇〇二年まで急速にふえ、一兆三千億円に達します。二〇〇三年度末でも一兆一千億円以上残っており、その後も大体九千億円以上の、一兆円程度で推移をするわけです。かつて、バブル当時でさえ、都の用地会計を除く十八種類の基金残高の最高は、平成元年の一兆二千億円ですよね。したがって、それをわずか五年間で超えてしまうわけです、減債基金の積み立てだけで。この財政が厳しいといっているときに、こういう急速な積み立てをなぜやる必要があるのか。根本には、この間の浪費的な投資の重いツケがあるわけです。都債の元金は、起債を起こした年度から十年後にその四割を一括返済し、六割を借りかえをするという形になっておりますが、バブルに踊った浪費的投資のために、一兆円規模の巨額の起債が始まったのが九二年、それから十年たった二〇〇二年からその返済が始まるわけです。  二〇〇二年から本格的な基金の取り崩しが始まって、このラインの下が取り崩し額ですが、ずっとその後は取り崩しがあり、同時に積み立てがあって、ほぼ相殺されて、十年間を見ますと、この基金の額というのは大体一兆円程度でずっと続くという形になっているわけです。この巨額の取り崩しはなくてはならないということで、来年度が一千九百億円、九九年度が二千四百億円、二〇〇〇年度が二千九百億円、それから、二〇〇一年が三千二百億円、二〇〇二年以降は相殺されると。この時期の積み立てというのは、取り崩しがまだ始まっていないので、どんどん積み上げられていく。だからこそ一兆三千までいってしまうわけです。  我が党は、こういう重いツケを残した財政運営を一貫して批判してまいりました。改めて、関係者の厳しい反省を求めたいと思うんですが、借金返済自体は行わなければなりません。したがって、減債基金の適切な積み立ては否定はいたしません。問題にしているのは、この積み立ての規模が過大だということなんです。何しろ、起債返還のピークである二〇〇二年から二〇〇六年、この時期を過ぎても一兆円規模の基金残高は残るわけですから。  そこでお聞きしますが、二〇〇一年以前の段階でのこの急角度の積み立てをもう少しなだらかにして、二〇〇一年以降の残高水準を適切な範囲でレベルダウンさせることは十分に可能なはずだと思いますが、どうでしょうか。

◯木内財務局主計部長 起債残高が現在、普通会計ベースで約六兆三千億、そして、各会計すべて足すと約十二兆ということになっているのが都財政の現状でございます。六兆三千億の数字は、ほんの十年前には約一兆六千、七千億のオーダーで推移していたものが、今日六兆三千ということで、三千億円の現在高に至ったものでございます。  こうしたことがすべてよくなかったというお話もあったわけですけれども、この間の、都民に対するサービス水準を維持していこう、あるいは景気後退に対応していこうという都政としての課題にこたえるために、都債を発行し、今日の状況に至ったわけでございます。そうした状況に対応したような財政運営は、私どもとして与えられた課題だと思います。先生お話しになったようなツケを後年度に回していくということは、結論的なことを申し上げて失礼ですけれども、結果として、それは後になって膨らんだ形でもってはね返ってくるということが、通常いわれていることかなというふうに思っております。今日、税収が低い段階といいますか、伸びが期待できない段階にあって、ツケを先送りした場合については、結果として税をもって充てている教育であるとか、福祉であるとか、そうしたものを削ってでも借金たる起債を返していかなければいけないというのが、世の常でございます。  そうした意味で、今日の段階において、できる限り私どもとして、減債基金に積み立てをすることによって償還の安定性を図るということは、課題であろうというふうに思います。そうしたことがまた、都民に対するサービス水準というものに、低下を来すことなく都政を運営していくことにこたえることであろうという信念でございます。

◯曽根委員 我が党は、先ほどもいいましたように、減債基金の積み立てが必要ないとかいう立場ではない。したがって、基金の積み立てを適切に行って、少なくとも今お話のあったように、教育や医療の一般財源から借金返済しなきゃならないような事態は、もちろん私たちだって想定しております。  それで、私、仮定を置いてみて、試算をしてみました。先ほどご答弁があった都の計画が白いラインで、先ほどと同じ図です。それに対して、例えば、来年度一九九八年を、一千九百億円を九百億円減らして一千億円、その後、毎年の都の想定から五百億円ずつ積立額を西暦二〇〇二年まで下げて、この山をなだらかにしてみるとどうなるか。そうすると、返済のピークを迎える西暦二〇〇二年の段階では、一兆三千までは行かずに一兆円程度で抑えられ、その後も、基本的には大体七千億レベルで基金残高は推移するということになります。これで、返済のいわば十年ごとの一括返済に対応することが十分できるというふうに私は思うんですが、どうでしょうか。今、お話のあった一般財源をつぎ込む必要もないし、それから将来にツケを残すとおっしゃいましたが、将来も、別にこれで基金残高が急速に落ち込むというわけでもない。いかがでしょうか。

◯木内財務局主計部長 ただいまいろいろお話がございましたけれども、起債の償還ということについて、若干テクニカルにわたる部分があるわけですけれども、起債の償還は、元金と利子がございます。その元金について、先生からお話がありましたように、一定の借りかえということをルール的に行っているわけでございます。いわばそういう意味では、借換債と申しますけれども、それは元金、利子に対するマイナスの要素というふうになるわけでございます。  すなわち、元金プラス利子、そしてマイナスの借換債という数字の推移を申しますと、八年度ベースでは約三千億円の数字でございます。その数字が、先生からお話のあったピーク云々もありましたけれども、平成十四年度には六千億円、そして十五年度には八千五百億円、十六年度には七千三百億円ということで、確実に返さなければいけない数字が、そうした数字でもってふえていく、現在の三千億オーダーの数字が最大八千億、現在よりも五千億ふえていくということが、今の先生のご試算の中にも、私どもの試算とイコールだと思いますけれども、前提としてあるわけでございます。そうしたならば、その五千億をいかに生み出していくかということが課題であるわけです。その五千億を生み出すために必要な減債基金への積み立ては、適切に今後も行っていかなければいけないというのが、私どもの判断でございます。

◯曽根委員 答弁がかみ合っていないので改めて出さざるを得ないんですが、今、木内さんがお答えになったことも全部込み込みで基金残高は落ち込むのかというと、別にここから五千億さらに引かなきゃならないわけじゃなくて、計算しても、まだ六千億円以上七千億円オーダーで十分に残っていくということは明らかで、これについて否定できないのであれば、これで行けるじゃないか、そういうことを聞いているんです。これでだめだというなら、だめだといってください。どうですか。

◯木内財務局主計部長 ただいまいろいろお話がありましたけれども、残高ではなくて、残高を使うべき相手の、先ほど申したような数字がふえていくということがあるわけでございます。新たに積み立てをしなければ、基金というのは残高が減少していく、先生おっしゃったような九百億円あるいは五百億円が年々減といいますか、そうしたことによって、その分が減になると同時に、あわせて取り崩しといいますか、今の元利償還に使うべきものがあるということでございます。また、そうしたさまざまな仮定の計算があるわけでしょうけれども、今望ましい財政運営としてどうかといえば、先生もおっしゃったように、十年後に、元金の償還が一括償還という形でどかんと来るわけでございます。十年、二十年を見通した上、起債をするということは、トータルおおむね三十年で償還するということでございますので、短期的なことだけではなくて、中長期的に、十年、二十年、そして三十年を見通した上での判断を、お互いに議論しながら進めていくことができればというふうに思っております。

◯曽根委員 長期の見通しはもちろん必要です。しかし、今どういう段階かといいますと、一括償還方式が始まってまだ五年。したがって、十年一括償還ですから、あと五年間はこの基金というのは積まれっ放しで取り崩しがない。したがって、これは今土台をつくっているわけです。それがたまたま平成四、五、六、七、八ぐらいまでの大変なバブルで、起債をたくさん発行した時期の償還分積み立てが今入ってきているから、どんどんと毎年三千億円も積まなきゃならないという仕組みになっているんですが、それはなだらかにしても、将来その基金では残っていく。現在はそういう初期段階ですから、十分に対応ができる。  あの図を木内さんは否定できなかったので、これでやれるということがはっきりしました。三十年先、四十年先のことをいっているんじゃないですよ。来年から五年間の積み立てを少しずつ下げたらという話をしているので、それが二十年、三十年先に調整がどうこうという問題ではないのは明らかです。七千億円オーダーの基金残高で対応できないような事態が起きるとすれば、これは一年間の、いわば借金の返済を丸々やれるぐらいの金額なんですよ。しかも、ほかにも基金がまだ四千億円以上あるわけで、私はこれだって、一兆円を軽く超える基金の額ですから多過ぎるぐらいだと思うんですが、これで対応できないというのは、いってみれば、都政全体がもうおかしくなっていて、都財政のフレーム自体が壊れるという事態であり、まさにナンセンスだという話なんだ。したがって、この計画は十分に見直しができる。  大体、ことし平成九年度、基準からいえば千二百億円積まなければならなかったでしょう、来年千九百億円というのなら。それが、ことし積むのは六百億円と。東京都自身が基準を守っていないです、ことしは。来年からは絶対守ると、こんなばかな話はないわけです。東京都のいっていることには、まさに道理がない。道理がないのに、それを理由にして三千百億円が足りないということで、シルバーパスやマル福、障害者医療助成など、都民の命や健康にもかかわる施策を削るのは絶対に許されない。積立計画は練り直すべきだと強く要求して、時間がなくなるので、臨海開発問題に行きたいと思うんです。

臨海開発は問題があると、財政白書でも指摘

 さて、臨海開発には莫大な東京都のお金、物、人がつぎ込まれてきました。お金の面で、臨海開発に一体今まで都から幾らの投資がされたのか、どんなところに使われてきたのか、この点をお聞きしたい。

◯木内財務局主計部長 臨海副都心の整備に要した経費は、域内の道路等の基盤整備、あるいは上下水道、清掃工場等の域外の基盤整備のために要した経費は、平成九年度予算まで──この間というふうにいわれましたですね、平成九年度予算ベースの数字を含めまして約八千二百億円でございます。

◯曽根委員 おかしいですね。都の財務局自身が出した、これはおととしの財政白書の中に、臨海開発には一兆六千億投資してきたと書いてある。この金額は平成七年までですから、八、九と足せば出てくるじゃないですか。ちゃんと答えてください。

◯木内財務局主計部長 臨海関係の予算上の整理といいますか、計数の整理については、一つ目として、臨海副都心の整備という事項でもって整理しております。それが先ほど申しました八千二百億円、臨海開発それ自体の開発といいますか、促進する上で必要な事業、先ほど申したように、道路であるとか上下水道、清掃、あるいは鉄道といったような経費でございます。それに加えて、臨海関連の経費といいますか、例えば臨海の域内に都営住宅を建設するとか、そういった経費が関連事業費という形で整理をされております。その経費、及び臨海副都心建設株式会社が基盤整備を東京都にかわって行っているわけでございますので、そうした経費を含めれば、先生ご指摘になった平成七年七月の財政白書にある計数になるんだろうというふうに思っております。そうした意味で、臨海開発そのものに要する経費が本来的な意味では臨海副都心の整備という経費で、最初に答弁したものでございます。

◯曽根委員 八年、九年度の分はその後──決算がまだできていないから予算額になるかと思いますが、いかがですか。

◯木内財務局主計部長 八年度臨海副都心の整備経費については、八年度予算額が四百九十二億円、九年度予算額は四百十九億円でございまして、約七十億円の減でございます。

◯曽根委員 八年、九年合計で約九百億円ですから、この中で──ここに書いてあるとおりいってもらえばいいんです、財務局が一兆六千億出したってここに書いているんですから。それに九百億円を足せば、本年度までに一兆七千億円をつぎ込んだということになるわけです。大変な金額です。  しかも使われたのは、清掃工場とか、今お話にあった転貸債を使っての共同溝や道路など都市基盤整備、つまり大半が普通建設事業であり、単独事業。十年間で五倍以上に膨れ上がって、都の財政危機を招く原因になったといわれる単独事業が大半を占めている。しかも、中身も大規模施設が多いですから、我が党が明らかにしてきたように、臨海開発関連の事業の九割以上が大手ゼネコン向けの仕事ではありませんか。  そこで、臨海開発への都の投資や財政投入がこれだけかというと、そうじゃない。羽田沖埋立事業会計から臨海会計に貸し付けがあるはずです。この累計はそれぞれ幾らか。また、埋立事業会計からは現物出資で都有地が提供されている。これは金額にすれば幾らになるのか。この結果、埋立会計には今幾ら残っているのか。最高時は幾らから幾らに減ったのか。

◯木内財務局主計部長 臨海会計から埋立会計への貸付金は、八年度末の累計で二千四百八十億円、羽田沖会計からの貸付金は二百四十億円、そして埋立会計から土地という形で現物出資した額を金額で申しますと、六千七百億円、そして今、最後にお話があった埋立会計の資金残でございますけれども、平成三年度末、埋立会計の資金残のピーク時は三千百五十六億円、直近の平成八年度末現在高は六百八十三億円でございます。

◯曽根委員 埋立事業会計は、ピーク時三千億円以上あったのが、八年度末六百八十三億円、ことしの予算を見ると、ここからさらに五百億円ことしまた使うということで、年度末ほとんど空っぽになってしまうわけで、いわば都の深刻な財政難の中で、いざというときの頼みの綱だった埋立会計が、その三千億円近くを臨海に貸し出して、返る見通しもないと。六千七百億円の土地もつぎ込んで、合わせて一兆円分、埋立会計から貢いでいる。これだけ莫大な都の財政や都有地を投入している臨海開発こそ、都の財政をここまで深刻にした最大の元凶ではありませんか。  都が最近になってようやく都の財政の深刻な実態を認めて、先ほど紹介した都財政白書を発行いたしました。改めて私、読んでみた。都の財政状況悪化の原因として、こう書いてありました。歳入の根幹をなす都税収入が三年連続して前年度を下回ってきたこととあわせて、都税収入が近年大きく減少したにもかかわらず、普通建設事業費を積極的に伸ばすなど、拡大傾向にあったことにも原因がありますと認めて、さらにその次のページには、とりわけ単独事業費は、道路、街路を中心に、この十年間で五倍以上の圧倒的な伸びを示していますと。こういうことから、施策全体の徹底した見直しによるスクラップ・アンド・ビルドが必ずしも十分でなかったという率直な反省も述べられている。  その後にページをめくってみたら、今お話しした臨海副都心の話が「Q&A」という囲み記事で載っていた。これを見ると、Qは質問者ですね、臨海副都心開発は問題があって見直しを検討されるようですが、これまでどれだけの投資が行われたのですか、また、これからはどうなっていくのですかとQが書いてあって、アンサーとして、これまで約一兆六千億円投資がされたが、地価が下落し、企業の進出意欲が鈍って、予定した土地賃借料収入が見込めず、財政収支は厳しい状況である、今後見直しを進め、財政上の問題も検討していく必要があると書かれている。  この後を見ても、このパンフレットで、具体的な事業をわざわざ例示して問題を指摘しているのは、この臨海開発だけなんです。これを見れば、バブル崩壊後の地価が低迷する時代状況に合わなくなって、財政的にも収支が厳しい臨海開発こそ、財政問題も含めて見直しが必要だと財務局は認識しているんだなと。少なくとも都の財政状況を深刻だと訴えている後に書いているんだから、これ以上都の財政難を深刻にするような見直しはやらないだろうなというふうに私も思ったし、だれもが思うと思うのですが、この白書をつくった当時、財務局は、いわば都の財政難をこれ以上深刻にしないという方向で、臨海開発については見直しが必要だという認識だったということでよろしいんでしょうか。

都財政を圧迫したのに、なぜ推進か

◯木内財務局主計部長 臨海副都心開発につきましては、昨今の状況を踏まえて、平成九年の三月に推進計画の改定を行ったところでございます。そうした中にさまざまな方面の意見を踏まえて、事業費等の見直しを行うとともに、事業の中身の内容の一定の見直しを行うとともに、事業費の削減を図ったところでございます。また、投入すべき一般財源の額についても、削減を図ったところでございます。そうした必要な見直しを行った上、これら東京のまちづくりにとって必要な事業という認識のもと、その着実な推進を図っているのが今日の状況であろうというふうに考えております。  それが今日でございまして、先ほど来いろいろ話されていた平成七年七月のパンフレットの趣旨にも沿うような見直しがなされ、今日の段階にあるんだろうというふうに考えております。

◯曽根委員 今、主計部長は重大な答弁をなさいました。これを読めば、都財政は厳しいと、その原因は何だといえば、十年間で五倍に伸びた単独事業費、普通建設事業費が伸び過ぎたという率直な指摘があって、臨海開発は見直しが必要だと出ているにもかかわらず、その前段でいっていることと全く相反する方向が昨年の見直しじゃないですか。それがこのパンフレットに書いたことと基本的に一致しているというんだったら、最初から、平成七年の七月、まだ昨年の見直し基本方針やことしの推進計画が決められるはるか以前から財務局は、臨海開発は基本的に推進だという方向で考えていたということになるんですよ。  昨年の見直しが、一般財源の投入が少なくなったといいましたが、とんでもない話です。都民の税金はほとんど使わないんだ、財政で迷惑はかけないという仕切りで進められてきた臨海開発に、初めて税金投入を決めたのが、昨年の見直し方針なんです。これは我が党が昨年の臨海特別委員会でも明らかにしましたが、第一に、埋立事業会計から現物出資ということで事実上ただで提供してやった都有地のうち、有明の丘十六ヘクタールを今度は二千億円以上の金を払って買い戻す、一般会計をつぎ込む。第二に、国際展示場は公共施設だからということで今まで半額だった地代を民間並みに払わされる費用で、千三百二十億円。第三に、今までは臨海会計で持ちましょうといっていた道路、公園の維持管理費を一般会計の負担に押しつけて、千二百二十億円。今までなかったんです、この負担は。去年の見直し方針で初めて本格的に都民の財政、一般会計からお金をつぎ込むということが決められたんじゃないですか。  しかも、これから広域幹線道路の開発者負担は七割としていたのを五割に下げる。臨海会計から外してやって、しかし、いずれは整備が必要だという路線など、結局これからの税金投入が一兆六千億円に及ぶわけです。こういう方針をこの平成七年、九五年の七月からもう財務局は考えていたというんですか。どうなんでしょう。

◯木内財務局主計部長 まず、事実関係から申し上げさせていただきたいと思います。  平成九年三月に臨海副都心開発についての新たな計画を策定したわけでございますけれども、そこについて先ほど申したように、事業の内容と経費等についての一定の見直しを行ったものでございます。具体的な例で申しますと、そのときに、平成二年九月段階においては全体がいわゆる開発事業費ということで、基盤整備等々の経費について、東京都が行うもの、第三セクターが行うもの、あるいは国等の機関が行うものも含めまして、約三兆九千六百億円ですが、その数字が社会的に流布されていたものでございます。それらの中から東京都が行うものについて抜き出しますと、約三兆一千億円でございました。それを、見直しの中で約二兆五千億円ということで削減を図ったものでございます。  東京都が行うべきものについて、必要な路線ではあるけれども、整備の時期を検討するということで先送り等々を行った結果でございます。  また、そうした見直しの中での一般財源の投入額についても、当初六千四百億円といわれていたものについて、約四千億円ということで削減を図ったものでございます。お話があった有明の丘等々については、臨海開発ということではなくて、当時の状況、阪神・淡路大震災にかんがみて、東京都として、災害対策といいますか、震災対策を強化を図るという点で、防災拠点用地として必要な用地を取得していこうという視点に立って、そうした観点で有明の地域において防災拠点を整備する経費として計上したものでございます。  また、いろいろお話があった平成七年七月の財政白書につきましては、その当時における都財政の現状を述べ、かつまた、それに至った問題点を掲げているわけでございます。そうして、その後の方策としては、都政としての投資的経費の見直し、あるいはリストラという言葉がこの中に使われておりますけれども、そうした施策の見直しをあわせ行っていくということをメーンテーマにして掲げている白書でございます。いわば「Q&A」といいますか、そうした中で、臨海についてもいろいろいわれているけれども、こうした考え方で、東京都として必要な施策を行うという立場を前提としながらも、その当時における経済環境等を踏まえた見直しが必要ですねということを財務局として述べたものでございまして、目次をごらんいただくとわかりますように、大きな流れは、そうした、私どもが今取り組んでいるさまざまなものと全く同じでございます。

◯曽根委員 長々と答弁されましたが、今、財務局の考え、はっきりわかりましたよ。都財政は厳しい、伸びたのは単独事業費、普通建設事業費だと。それは事実としてここに書かれている。しかし、その中でも、大事な事業、重点の事業は今後もやっていくということで、いろいろいわれているけれども、財政事情も厳しいが、臨海開発については、見直しはそういう方向で考えているんだということがこのパンフレットの趣旨だったんだということですね。今お話しがありました。  そして、具体的には、昨年の見直し方針、ことしの推進計画で、一般財源を減らしたとさっき確かにお答えになったと思うのですが、結局、事業は縮小したといいながらも、都民の税金を本格的に導入することを決めたわけですよ。そうすると、そのしわ寄せはどこに来るか。今回財務局が出している財政健全化計画実施案じゃありませんか。こんな財政が厳しいとみずからいっているときに、そういうときに、しかし、その厳しさの原因をつくった臨海開発はやり続けるということなんですから、そのしわ寄せは逆に福祉や教育、医療に来る。それでも構わないんだというのがあなた方の考えじゃないですか。  本当にこんなことじゃ、東京都の財政健全化なんというのはあり得ないし、行政改革なんてあり得ませんよ。むだ遣いというのは臨海開発じゃないですか。それを見直さないで、どうして行政改革になるのか。この点をいっておきたいと思う。  それで、臨海開発がそれじゃこれでうまくいくのかというと、第二次公募がうまくいくかどうかの見通しもはっきりしない。第二次公募がうまくいって権利金収入があっても、せいぜい地代で掛けてみて、土地代で掛けてみて四百五十億円程度ですよね、収入は。二百億円くらいをずっと毎年利息で払っていかなきゃならない臨海会計が、この権利金収入なんか、あっという間になくなってしまう。だからこそ有明の丘というのが、買い取りでもってわざわざ二千億円以上お金入れるんじゃないですか。時間がないからその点についてお聞きするのはやめますけれども、防災とかいろいろ理屈をつけていても、結局借金の穴埋め、赤字の穴埋めじゃないですか。

開発財政に加えて3セクも破綻

 しかも、さらにことしになって、まだ見直しを決めてから一年ですけれども、この開発の根幹にかかわるといいますか、いわばオフィスビルをどんどんつくっていくという基本目標にかかわる重大な破綻が現実になっているのが、第三セクタービルの経営の破綻問題です。臨海関連の竹芝開発、臨海副都心建設、東京テレポートセンター、三社とも賃貸料収入でビルのランニングコストを出すのがやっとで、借金返済などおぼつきません。それを承知で、超低価格で企業に入居させているでたらめぶりです。最後のツケは、東京都が払ってくれると踏んでいるんじゃないでしょうか。こんなでたらめな経営に都民の財政をつぎ込むのは絶対に許されない。竹芝地域開発の、たしか四月の、半年の借金返済猶予の期限が十月で切れると。それまでにはこの三つの第三セクターの経営の対策について方針を出さなければならないというふうに聞いていましたが、いまだに出ていない。  財務局長にお聞きします。東京都の財政はこんなに厳しいときですから、この財政難の原因をつくった事業、そこにこの第三セクターの救済ということで、またまた新たな都財政の投入などは、いかなる理由でも認められないと思いますが、財務局長は、まさかこれ以上、都の公費をつぎ込むことは考えていないでしょうね。どうでしょうか。

◯西念財務局長 ご指摘いただきました臨海の第三セクターの問題は、私どもとしても非常に頭の痛い問題で、なかなか名案が出てこないというのが率直な気持ちでございます。しかしながら、株式会社の経営上の課題につきましては、会社みずからの責任において対応することが基本でございまして、いうまでもなく、出資者の責任は、基本的にはおのおのの出資額の範囲内に限定されているものでございます。今、非常に厳しい状況にございますが、その対応策について、監督局において検討中でございます。財務当局としては、関係局のその検討の結果を十分踏まえて、今後対応していかなければいけない、このように考えております。

◯曽根委員 我が党は、山一證券の問題などを初めとして、今、金融機関の破綻処理に公費を投入すべきだという議論がまたぞろ出てきていますけれども、この第三セクターの破綻に一円たりとも都民の財政をつぎ込むことは許されないと考えていることを明らかにしておきたい。都民にこの三セクに関するすべての情報を明らかにすること、そして、第三セクターの幹部も銀行も、みずから事業者として、また、貸し手としての責任を明確にさせることが何より必要ではないかと思います。  臨海副都心は、都が幾ら財政をつぎ込んでも、ますます破綻を深めるばかりで、これこそ凍結し、見直すべきだし、我が党は、都民が現に求めている憩いの場の方向への転換で、投入する税金を最小限の四千億円程度に圧縮できる、事業は縮小されるが、採算は合うという提案を行いました。これこそ行政の最大の改革だし、財政の再建にも貢献する道ではないでしょうか。  冒頭にも述べましたが、都が本気で都民のための行政改革、財政健全化をやるというなら、都民の福祉、教育、医療などにメスを入れるんじゃなくて、臨海開発や、前回吉田委員が取り上げた新たな幹線道路計画など、浪費的な投資事業こそメスを入れていくべきだと。今後も、この東京都のゆがんだ財政構造については、徹底追及をしていくことを表明して、質問を終わります。

トップページへ  議会質問目次へ 質問要約記事へ  質問全文リストへ