東京港「ハブ化」批判、内貿埠頭耐震補強、総合保税地域の弊害。
◯曽根委員 私からは、東京港の抱えている課題について何点か質問したいと思います。 最近、国際的に見て取扱貨物量の多い港を国際ハブポートと呼ぶようになりました。その代表例が香港、シンガポールなどだということは、衆目の一致するところだと思うんです。これらに共通の特徴というのは、国際的な中継貨物量が取扱量の大半を占めているということですね。 今回初めてだそうですけれども、ちょっと調べてもらって、資料の6に、中継貨物の国際比較を出していただきました。東京港の中継貨物量は一三%というのをわざわざ調べていただきまして、ありがとうございます。香港、シンガポールは、その八割以上が中継貨物なんですね。なぜなら、背後に大規模な消費地を持たないという点から、当然のことながら、そこに入ってまた出ていく、こういう港として機能しているわけですが、最近、東京港もこうした国際ハブポートを目指すべきだとか、香港やシンガポールに負けるなという議論があるわけですけれども、東京都は今度の第六次改訂港湾計画の中で、メーンポートを目指すというふうに書かれています。このメーンポートというのはハブポートと同じなのか違うのか。違うとすればどこが違うのか。特に、国際中継貨物の扱いが大半を占めるようなシンガポールや香港などと比較した場合に、どういう方向を目指そうとしているのか、この点を知らせていただきたい。
◯永井港営部長 メーンポートとハブ港は、基幹航路の大型船が直接寄港する中枢港湾という点では、内容的に違いがございませんが、強いて違いを挙げてみますれば、メーンポートは港の背後圏の貨物が中心でありまして、ハブ港は中継貨物の比重が高いという違いがございます。 当面、東京港は大都市生活港湾として、世界の港と基幹航路で結ばれた中枢港湾としての地位を堅持してまいりたいと思います。
◯曽根委員 当然のことだと思うんです。国際的な中継貨物港として、もし香港やシンガポールと張り合おうなどと考えたら大変なことになります。今の東京港の利用料金や開港時間などの条件で、香港やシンガポールと互角に太刀打ちすることができるかどうか、この点をお聞きしたい。
◯永井港営部長 近年、日本の港湾の国際競争力は、諸外国、特にアジアの諸港に比較しまして衰退しているといわれております。 その要因といたしましては、我が国製造業の海外への移転、あるいはアジア諸国の急速な経済発展が挙げられます。また、港湾自体の要因といたしましては、これらアジア諸国での船舶大型化に対する施設整備が順調に進んでいること、また日本の港湾のコストが割高であること、さらに、日曜日や夜間における荷役体制の違いなど、港湾サービスの違いの問題が挙げられます。そこで、国際競争力を回復するためには、これら港湾自体の問題の解決が必要となります。
◯曽根委員 現状での東京港の利用料金、そのほかの仕組みからいって、シンガポール、香港と太刀打ちするのは極めて困難だと思うんです。日本の港のコストが高いというのは、別に東京港だけが高いわけじゃなくて、これは明らかに人件費の違いですよ。確かにアジアの方が港湾設備は更新されてきていますけれども、東京港も今一生懸命大型のバースをつくっている、コンテナふ頭をふやしていますよね。後からつくる方が最新の設備ができるわけですから、これは抜きつ抜かれつの関係になります。したがって、差ができるのはやっぱり人件費なんですよね。それがもう十倍から二十倍の違いがある。 これは、別に日本の労働者が高過ぎる賃金をもらっているんじゃなくて、為替の相場がもう違い過ぎるわけで、根本的な解決がない限りは、この人件費の違いをそのままにして国際競争に乗り出そうとしたら、例えば今、東京港で働く労働者を半分に減らしちゃうとか、半分に減らした後、働いている人の給料を半分カットするとか、そしてそのままの人数の体制で二十四時間、日曜日も全部開港するというぐらいのことをやっても勝負にならない、それぐらいの違いがあるわけです。実際、日本の今の労働者の実態から見て、そんなことができるはずがないというふうに私は思います。 今回の六次改訂港湾計画の基本方針の中で大変大事だと思ったのは、東京港の役割と課題というところで、第一の東京港の特徴としてこう書いてあるんですね。東京港は、大都市東京を核とする三千万人という巨大な消費生活と経済活動の場である東京圏を直背後に有し、大消費地に最も近い港である、これを第一の特徴として挙げているわけです。つまり、世界一の消費地を直背後に持っている港なわけで、そういう点ではまさに世界一の条件を東京港は持っているといっていいと思うんですね。したがって、東京港がメーンポートを目指すというそのメーンポートの中身は、国際中継貨物の扱い量でアジアの各港と張り合うことではなくて、これは都民の立場から見ても基本的にはメリットがないことですから、逆に、世界最大の消費地にしっかりと生活、産業を担う物資を供給し、また商品を積み出す機能を果たすという意味でのメーンポートを目指すべきではないか。この点を申し上げておきたい。これが第一です。 それから二つ目に、日本の物流を、今はもうほとんどトラック中心になっていますけれども、トラック中心から海へのモーダルシフトを図るという点で、例えば、外貿に入った貨物を今度は内貿のふ頭から近辺の各地に、まさに外国から入ったものを国内に中継貨物的にまた分散していく、こういう機能を果たす点での中継貨物機能というのは、これはこれで大いに環境的にも好ましいことであって、この方向はやっぱり目指すべきじゃないかというふうに私たちは考えているわけです。 そういった観点から、東京港の整備について何点かお聞きしたいんですが、この数年間、東京港の港湾整備費がどういうふうに金額の上で推移しているか。その中で、外貿ふ頭と内貿ふ頭がありますが、外貿ふ頭関連と内貿ふ頭関連の予算の振り分けは、パーセンテージでいうとどれぐらいの割合で推移をしてきているのかを知らせていただきたい。
◯高見港湾整備部長 港湾整備費のお尋ねでございますが、平成五年から七年までのデータで申し上げたいと思います。 港湾整備費の平成五年から七年までの推移でございますけれども、ふ頭の整備費用を岸壁整備、上屋整備、岸壁の前面水域のしゅんせつ、野積み場整備について、その費用を見ますと、平成五年は二百十一億円、平成六年は百八十一億円、平成七年は百五十三億円でございます。また、そのうちの内貿ふ頭の割合でございますが、平成五年は一九%、平成六年は二九%、平成七年は二四%となってございます。
◯曽根委員 まず、港湾の整備費自体が、この三年間というか、決算が出ている三年間で見ると、連続して落ち込んでいるという大枠の整備費の落ち込み──これで間に合っているというんなら文句はいわないんだけれども、後からいうように、ちょっとこれはやっぱり問題じゃないかと。しかもその中で、力を入れるべきだと思う内貿ふ頭が、一番新しい七年度決算の資料では二四%ですよね。そうすると、残りが外貿ですから、三対一の比率になっている。 もちろん、外貿も、外国からの物資が入ってきて、東京の消費者に提供されるという意味では、当然なくてはならない施設であることは、そのとおりなんですけれども、しかし、近年、大井の再整備が始まってからなおのこと、外貿ふ頭整備に予算がシフトしているというふうに見えるんですよね。外貿ふ頭は必要ですけれども、例えば六次の港湾計画の中で、外貿の貨物量の扱いを、現在、大体年間二千五百万トンですか、それを五千万トンぐらい、二倍ぐらいに引き上げようというようなことが出されていて、それにふさわしいふ頭をつくるということで、今出ているのでいうと、中央防波堤外側の現在のその一の西側、さらに今つくっている新海面処分場の西側の岸壁も大型バースとして使っていくというようなことが出ているわけです。中央防波堤の外側ですから、いわば東京湾に直接面していて、波も直接かぶるという点では、ガントリークレーンのようにコンピューターで動かして、ミリ、センチ単位でぴしっと作業をしなければならないものを、船が波で本当に大丈夫なのかという心配をあえてしてまで外海に出す必要があるのか。これは膨大な費用が一個一個のバースにかかりますから、こういう点では、私は、計画の見直しはしかるべきときにやらなきゃならないだろうというふうに考えているわけです。 かつて、見直しといいましても、臨海副都心計画が決まったときには、青海の南北の西側の岸壁の上から約三分の一、六百メートルぐらいが臨海副都心の青海地区ということで、南にせり出してきて副都心用地になったわけですよね。三年ぐらい前でしたか、決算の委員会で港湾局さんに、副都心計画ができるまでは、ここの岸壁は何のために使う予定だったんですかと。そうしたら、これは多目的のふ頭にする港湾用地として計画されていました、それが副都心計画が入ったために、この貴重な岸壁、大型バースをつくれる岸壁が副都心用地に持っていかれたと。六百メートルというと、大型バース二つつくれるわけですよね。十五メートルの水深がとれる場所なんです。これができないから今度は中央防波堤の外側に出さなきゃならない。こういう計画の変更じゃ私はまずいだろうと思うんです。 港湾機能の本来の発展という点で、私は外貿ふ頭もさることながら、内貿ふ頭の役割をもっともっと重視してもらいたい。その点で、特にモーダルシフトしていくという意味では、中継貨物が東京港から全国各地の港にどんどん行くという役割を担う内貿ふ頭は大変重要じゃないかと思うんですが、この点の位置づけをまずお聞きしておきたい。
◯永井港営部長 近年の物流におきましては、輸送の効率化の観点から、内航の海運、鉄道及びトラックといった多様な輸送手段のそれぞれの特徴に応じての適切な役割分担がなされる、いわゆるマルチモーダル化が求められております。 そのためには、船舶の大型化に対する岸壁やフェリー、コンテナ船、ローロー船に対応できる荷役ヤードや駐車スペースを有するターミナルが必要ですので、既存のふ頭の再整備を進めますとともに、新たにユニットロードターミナルの整備を計画いたしております。
◯曽根委員 今お答えになったような新しい設備をつくっていくことも大変重要なんですけれども、しかし、大正時代からの内貿ふ頭──日の出、晴海、こういうところの傷みがひどいらしいというんで私どもも調べに行ってきました。これは日の出の桟橋のところなんですよ。(写真を示す)けさ撮って、たまたま満潮だったものですから、海面がせり上がっちゃっていて、ちょっとわかりにくい面もあるんですが、日の出桟橋の場合は岸壁ではなくて、桟橋方式なんで、大体十メートルぐらい岸壁部分から桟橋がせり出して、それを下から柱で支えているわけですよね。この柱は大正時代の柱がそのまままだ残っているわけです。それがかなりもう細まっちゃって、一部コンクリートの剥落だとか、鉄部がむき出しになっているとかいう状況がわかりました。 これはちょっと大きく撮ったんですが、鉄部がむき出しになって、下の柱が細まっちゃっているんですよね。この写真は、この部分が剥落しているわけなんです。ですから、通常、三十五トンぐらいのクレーン車がこの上には乗せられるんですけれども、やはり作業上注意が必要で、余り重みをかけ過ぎると危ないというふうに現場の人はいっておられました。 こういうふうな、傷みがひどいところは、日の出だけではなくて、晴海なども含めて何カ所かあるというのが昨年調査されてわかったそうですけれども、こういう点についての対策をどういうふうに考えているんでしょうか。
◯永井港営部長 内貿ふ頭には、築造以来、長い年月がたっているふ頭がございます。そこで、十号その一ふ頭は、岸壁の液状化対策工事を既に一部実施しておりまして、今後順次工事を進めていく予定であります。品川内貿ふ頭につきましては、来年度より岸壁補修工事を実施する予定であります。その他のふ頭につきましても、緊急性のあるところから対策を進めてまいります。
◯曽根委員 日の出や晴海など、急ぐところは直ちに対応していただきたい、来年度予算もぜひつけてもらって、安全のために手を打っていただきたいと思います。 それから、港の機能を守っていく上で、阪神の震災の経験から、地震の場合に二つの点で考えておかなきゃならない。それは、港の機能を地震から守ることと、同時に港の機能を守ることによって、陸路が絶たれたときの海路の救援物資の受け入れ態勢をしっかりととっておくことという点。考えてみると、救援物資はどこから来るかといいますと、外国から来るというよりは、地震が起きるのは局所で起きるわけですから、海路を使った場合、救援物資は圧倒的に国内各地から来るんだろう、したがって、内貿ふ頭の耐震性を強化しておいて、国内の救援物資の受け入れができるようにしていくということが大事じゃないかと思うんですけれども、内貿のバースの中で耐震バースはどれぐらいあって、全体の中ではどれぐらいの割合になっているのか。
◯永井港営部長 阪神・淡路大震災クラスの地震を想定した耐震バースは、現在、内貿ふ頭では芝浦ふ頭を中心に六バース整備されておりますが、今後さらに五バース整備する計画をいたしております。
◯曽根委員 私、ちょっと調べてみたら、内貿で、専用、公共、合わせて東京港大体百近くのバースがありますよね。ですから、六バースということはまだ一割に達していない。次に五バースやってやっと一割ですよね。これはもっと重視して、率直にいって、日の出なんか耐震強化バースに早くする必要があると思うんです。たしか竹芝と芝浦は両方岸壁がつくられていて、あそこだけへっこんでいましたよね。早く岸壁をつくってそろえることが必要じゃないかと思いますので、これは要望しておきたいと思うんです。 それで、東京港が持っているもう一つの役割として、東京港の港域内の海面の清掃とか水の供給とか、汚物の処理とかしゅんせつとかがある。そういうものの船舶についてはかなり古くなっているようなんですが、法定年限というのがあるのか、それを超えている船は何隻ぐらいあるのか、また、二十年以上たっている船は何隻ぐらいあるのか、お願いします。
◯高見港湾整備部長 港湾局では、しゅんせつ船団のほか、清掃船、警備艇などおよそ六十隻の船舶を所有しておりまして、直接事業を執行しているわけでございます。製造後三十年たった船は、清掃船や指揮艇など五隻ございまして、二十年たった船は土運船、台船など二十七隻でございます。 なお、東京都公有財産台帳等の処理要綱では、財産上の耐用年数は、船の種類によって十五年から三十年とされておりますが、これについては、必要な船の修理を行っておりまして、定期的に監督官庁の検査も受けておりますので、耐用年数を超えて使用することも可能でございます。
◯曽根委員 聞くところによると、車検みたいなのがあって、エンジンなんかは何年かに一ぺん取りかえるんで結構使っているんですという話で、きょうも二十年ぐらいたった「しおかぜ」という船に乗せてもらいまして、結構それはしっかりしていました。 ただ、一応耐用年数があって、三十年を超えているものは五隻あると。土運船というんですか、こんな話を聞いたんです。しゅんせつ土を積み込むと、船体全体がきしんでというか、かしいで、泥を入れる入り口が閉まらなくなって、すき間があいたところから泥がぽたぽたと落ちながら走っているという状態で、これは海洋汚濁にもなるといわれているということで、作業をしている方からの話がありました。これは直ちに直していただきたい。 それから、二十年以上たったものが全体の半分になっているわけですから、これが十年の間にどんどん三十年たっていくわけで、計画的に年次計画を立てて、修理もしくは新造していかないとならないんじゃないかと思うんですが、今後の計画についてはいかがでしょうか。
◯高見港湾整備部長 船舶の更新についてでございますが、耐用年数、それから財政事情を勘案しながら、局の事業に支障のないよう整備を行っているところでございます。 ◯曽根委員 整備に支障がないようにやっているということですが、もう一つの例をいいますと、モーターボート形式の監視船ですか、連絡船ですか、部分的に甲板のところに重みをかけちゃいけない場所があると。FRP、強化プラスチックが傷んでいて、思い切って岸壁からぼんと飛び乗るとべりっといくかもしれないので、そこは飛び乗らないようにという場所が決まっている船もあるというんで、やっぱりよく調べて、必要なものはどんどんと更新していただきたいんです。 そのための予算をつけるということは、東京港の本来の役割、港としてのトータルな役割を守っていく上では必要不可欠な分野ですから、片隅に押しやらないで、皆さん耳にたこができているでしょうけれども、むだなところにお金を使っているようなことをしているぐらいだったら、東京港の本来の業務に本当にお金をつけさせる努力をしてもらいたいんです。 むだ遣いのもう一つの例を最後に質問したいんですが、昨年のレインボータウンの基本計画がつくられた中で、国際貿易ビジネスゾーンの形成ということで、総合保税地域制度の適用のための条件整備というのが掲げられました。この総合保税地域、全国各地でいろいろと今始まっているようなんですが、東京港の中での総合保税地域として主に考えているのはどこなんでしょうか。
◯永井港営部長 総合保税地域制度の導入に際しましては、制度のメリットを生かすとともに、周囲の状況を考慮いたしまして、臨海副都心地域を含む東京港内の適切な地域を選んでまいる考えでおります。
◯曽根委員 総合保税地域として条件を整備していくというふうに公式に出されている計画は、この副都心地域だけですから、当然ここが中心になって、そのほか適切なところをというふうになっていくんでしょう。既に先例がありますよね。私も、おととし以来調査もし、質問もしてきましたが、大阪の南港地区のアジア太平洋トレードセンター、ATC、それから最近、横浜、川崎と次々とオープンし、またその準備に入っているようですが、それぞれの入居状況はどうなっているでしょうか。
◯永井港営部長 大阪のアジア太平洋トレードセンターの入居率は、床面積の比率で見た場合、現在のところ六〇%と聞いております。また、横浜の横浜港国際流通センターは、現在一〇〇%入居していると聞いております。さらに、川崎の場合でございますけれども、来年四月に、川崎ファズが開業予定でございますが、開業までには八〇%の入居が見込めそうだと聞いております。
◯曽根委員 総合保税地域を進めようとしている人は喜びそうな数字が出ていますよ。たしかおととし私が大阪に調査に行ったときには、四割程度しか入ってない。去年の臨海特別委員会のときにも、調べたら四割程度だというふうにいっていましたから、六割にふえたということは、何年もかかりましたけれども、じわじわふえているなと思って聞いてみたら、前は小売をやっていなかったんですが、ついに小売をやらないとだめだということで、一部小売も導入したと。もちろん、保税地域の中では小売はできませんが、そこを出れば関税がかかりますけれども、その段階で、要するに運送費をかけないで物が売れるということですから、その分安くなるという小売販売ですね。横浜、川崎は最初から保税地域に小売を隣接して、大型の輸入品、マーケットを設定して入居者を募集していたわけです。これやると、今やっぱり入るらしいんですよね。 しかし、これは大変危険な道なんですよ。川崎が八割見込めるというから、これはどうなるかわかりません。横浜は港の歴史もあり、商売がうまい港だといわれていますから、一〇〇%今スタートできたと思うんですが、一つは、東京湾の湾岸、首都圏の商業需要の中で、こうした輸入物資の大量の小売マーケットがどの程度の消費を見込めるのか、購買を見込めるのか。これはこれからの話なんで極めて不安定だ。横浜だけでいっぱいになっちゃうかもしれないんです。東京が後発で何年か後にもしスタートしたら、そのころにはもう大体取られちゃっているかもしれない。これは第三セクターが基本になっていますから、赤字の三セクをまたつくることにもなりかねない。これは前にも指摘しました。 逆に、うまくいった場合も大変だということも前から指摘をしているとおりなんですね。実は、私は、おととい、この同じ委員会で労働経済局の方に、豊島区のJR板橋駅前に公共交通機関であるJRが自分の土地を使って、子会社であるキオスクに商売をさせて、黒潮市場という生鮮品のマーケットを出そうとしている問題を質問させてもらったんですが、JRは自分の土地、駅前に一等地を持っている。それをほとんどただ値で使えるわけです、簿価で使えるわけですから。それで商売をやる。駅前の商店街はもうばたばたとつぶされる。これはもう既に前例があります。板橋もそうなるんじゃないかということで、地元の商店街は大変心配をし反対の声を上げている。 東京都が第三セクターをつくって、輸入の商品の安売りマーケットを──大型店と同じですよね、つくったら、前にもいって中山さんに怒られましたが、輸入関係を扱っている中小零細の浅草あたりのお店はどうなるのか。それを東京都が出資した会社がやるんですから、これはJRの二の舞になりかねないです。こういう危険な道に東京都が踏み出していいのか。私はそういうのはやるべきじゃないと思うんですね。 もし、この総合保税地域に隣接して大型の小売マーケットができた場合、この影響から都内の輸入業者などを守る仕組みは大店法以外にあるのか、その点をお聞きしたい。
◯永井港営部長 総合保税地域制度は、地域内で外国貨物の蔵置、仕分け、加工、展示、そして通関までを行うものでございます。小売販売につきましては、通関後に行うこととなります。また、隣接地におきまして、小売店舗の面積が大規模小売店舗法が規定している店舗面積を超えた場合、同法が適用されることとなります。
◯曽根委員 つまり、大規模小売店舗法しか東京の商業者を守る道はないんです。しかもこれは広域に影響が出ることは間違いありません。失敗すれば、東京港の貴重な港湾機能を持たせるべき土地がまた奪われるし、成功したとしても、都内の中小商業者に大打撃を与えるというものですから、私はこんなのやめるべきだというふうに思います。そういう点で、本来の東京港の役割は何なのか、三千万の消費者を抱えている港として、本当にあるべき姿を追求してもらいたいということを申し上げて、質問を終わります。