文書質問趣意書 2009年3月25日 都議会議員 曽根はじめ 一、 東京北社会保険病院について 東京北社会保険病院は、国立王子病院廃止後の後継病院として、2004年4月に開設され、現在、280床、18診療科目の、北区最大の総合病院です。 24時間小児救急体制も整えられた、北区でゆいいつ産婦人科が置かれた医療機関でもあります。 しかし、同病院が開設された当時、厚生労働省による社会保険病院などの「見直し」・民営化の動きの中で、同病院を運営する予定だった社会保険都南病院が、当初の開設予定の2003年になって厚労大臣から突然廃止を宣告され、病院長はじめ全職員の不当な解雇・配転騒ぎが起こり、北社保病院は、新たな運営主体を決めるまで1年間開設が凍結された経過もありました。 それだけに、北区民にとって、社会保険病院の存続と更なる充実は地域医療の中心的課題の一つです。 こうした時、政府が社会保険庁解体の方針を決定したことにより、同庁が所有する社会保険病院の今後のあり方が問題となり、昨年十月に、他の保有施設と同様、施設売却のための組織であるRFOに移管されて今日に至っています。 今年になって、政府は全国63箇所の社会保険病院と厚生年金病院については、地域医療を確保する観点から存続を図るとしながらも、自治体など公的団体または医療法人に譲渡を進めるとの姿勢を変えていません。 しかし、もともと厚生省が所有していた社会保険病院・厚生年金病院を、社会保険事業の切り離しの際に、社会保険庁に移した経過からも、また、今日、民間医療法人の病院経営がのきなみ赤字で、産婦人科など不採算医療を打ち切る事態が相次いでいることなどをみても、安易な民間売却は、地域医療確保の方針にも逆行するのは明らかです。 そこで、都として、東京北社会保険病院を含め、都内の社会保険病院・厚生年金病院を、政府の責任において公的に存続させ、地域医療の中核として拡充を図っていくよう、政府への働きかけをふくめ力をつくすことを求める立場から、以下、質問します。 Q1.都は最近、東京北社会保険病院を、災害時の拠点病院として、また周産期医療における連携病院として指定しましたが、都として、都民の切実な医療要望に応えるためにも、同病院が国によって公的に安定的な存続が図られることは重要な課題と捉えるべきと思いますが、どうか。 Q2.またこの立場から、同病院および、他の都内3箇所の社会保険病院・厚生年金病院について、国が責任を持って存続・拡充を図るよう、都としてはたらきかけるべきと思いますが、どうか。 Q3.東京北社会保険病院は、周産期母子医療センターをめざして、今後100床ほどの増床をしたいと希望しており、都に対して申請をする意向と聞いていますが、このことについて都は積極的に受け止め、支援すべきと考えますが、都の所見を伺います。 Q4.北区内で、2007年10月に350床を標榜する東十条病院が廃止されたが、今年中に、板橋区の医療法人が、東十条病院跡地に総合病院を開設する計画があると聞きます。都はどういう認識を持っているのか、伺います。 Q5.北区を含む区部北部医療圏は、現在、入院病床数が基準を下回っていますが、北区の病床増加計画を含め、練馬区などでの病院開設の動きなどを合わせると、今後、病院病床数が、基準を越えてしまう可能性を否定できません。 その場合、各区の医療計画を尊重することを基本に、医療圏のベッド規制を見直すべきではありませんか。 少なくとも各区の人口対比の病床数が、医療圏全体の平均を下回っている場合は、増床を認めるなどの措置が必要ではありませんか。見解を伺います。 一、JR王子駅の汚水たれ流し問題について 王子駅南口トイレからの汚水が下水道局の汚水管の越水を石神井川に放流する雨水管に接続されていた問題は、3月上旬に都の職員が点検中に発見したということですが、40年以上にわたる石神井川周辺住民の悪臭被害の原因の一つとも考えられることから、徹底した原因の究明と、住民へのていねいな説明、実効ある対策が急がれています。 また、この事実が2年前に下水道事務所で認識されていた事も重大です。 この問題について、私自身がこの間、調査や申し入れなどを行ってきた中で、都に質すべき問題について、いくつか質問します。 Q1.当該地域については、昭和39年ごろに公共下水道が敷設され、当時の国鉄にとっては、下水道法に基づいて早期に下水道管に接続するよう求められていた地域です。 予算委員会で知事は、40年前当時の国鉄が、黙って工事をしたとの発言を行いました。しかし関係書類が残っていない以上、知事が答弁したように国鉄がだまって工事したという根拠はないはずです。3月19日の記者会見でも知事はいったん同趣旨の発言をしたのち、記者から根拠を聞かれて示せませんでした。議会での発言は、訂正する必要があると考えますが、どうか。 Q2.都の職員が今年の3月2日に発見した際に、JR王子駅を訪ね、事実を確認してトイレの使用を中止した時点で、直ちに直接もしくは北区を通じて近隣住民に広報し説明する必要があったのではないかと考えますが、私が申し入れるまで、JRからも都からも外部に連絡がなかったのはなぜか、伺います。 Q3.都の当該下水道事務所が、2年前に事態を発見していたことが明らかになったが、今回のようにすぐJRに連絡し、トイレの使用を中止させなかったことは、その後の引継ぎの不手際は別としても、河川の汚染拡大を放置した点で、明らかに河川法に抵触する行為と言わざるを得ませんが、認識を伺いたい。 Q4.都は、当該地域について、豪雨時の汚水が一部河川に放流される合流方式の矛盾を緩和するため、改良工事を急ぐとしていますが、問題の本質的解決にはなりません。 都として、時間をかけても分流式をめざす方針を立て、技術開発を急ぐとともに、当面、王子駅はじめ鉄道駅や公共施設など、不特定多数が利用するトイレからの排水を、優先的に合流方式から分離し処理場まで到達させるよう、逐次改善を進めることを検討すべきではありませんか。 Q5.地域住民からは、王子駅付近から石神井川が隅田川に合流する地点までは川床に傾斜がなく、途中に滝つぼのようなくぼみもあることから、汚泥がたまりやすい構造であり、川床の構造改善を求める声も出ています。真摯に要望を聞き、検討すべきはありませんか。 |