2009年3月18日財政委員会(主税局)質疑 「住宅についても本格的な環境減税を」 〇曽根委員 最初に、減税の問題について何点かお聞きしたいと思います。 まず、一昨年来私たちが主張しております個人都民減税の構想をもう一度ということについては、これは意見として申し上げておきたいんですが、この不況のもとで、東京都が一たんは構想し、また具体的な対象も明確にした個人都民減税については、改めて光を当てなければならないときに来ていると思うんです。というのは、生活保護以下の実質的な収入しかない世帯が都内に少なくとも八十万世帯ぐらいあって、しかも一方で生活保護世帯が急増している。やはり、汗水流して税金を納めていながら、実質生活はそれ以下になっているという方々が現に七%ぐらいの人口比でいるということは、私は非常に問題があると思うんです。 それを一たん認めているわけですから、そこに対して、たとえ個人個人に減税される額は年間に一万円に満たないかもしれませんが、しかしそういう方々からは、つまり生活費まで税金が食い込んでいるわけですから、生活非課税という憲法の原則にのっとって、税金は、少なくとも東京都の税金はいただきませんと、この一たん確立した考え方をぜひ復活させていただきたい。財源的には七十億円という推計が出ています。東京都の全体の財政から見れば、確かにそんなに楽じゃないにしても、可能な額であるというふうに申し上げておきたいと思います。 それから二つ目に、請願陳情でも出されております固定資産税、都市計画税の減免の継続については、私どもは大いに賛成です。これは先ほども質問がありましたので、多くは申し上げませんが、現在の減免制度でも、都心のみならず、私の地元北区の方々、とりわけこの中で頑張っている中小商工業者の方々からは、現在の減免制度でもまだ苦しいという声が聞こえております。 というのは、昨年秋からの急激な景気の悪化で、本当に仕事がない。半分以下もしくは全く注文がないなど、今までにちょっと考えられなかったような事態が中小企業の中に広がっていること。しかも、昨年秋までは、八〇年代のバブルほどではないにしても、地価の上昇がずっと続いておりまして、固定資産税にはこれからその地価上昇の影響がおくれて出てくるということで、ますます深刻さを増している状況ですので、ここについては改めて負担増を抑えるような努力、先ほどもありましたが、国への働きかけも含めて充実を求めておきたいと思います。 それで、お聞きしたいのは、環境減税で、今回自動車について出されました。これについては私たちも大いに歓迎するんですが、私も都税調の一員で、税調の、環境税制についてはかなり積極的な答申が出たわけですね。政策減税として、エコ住宅、住宅に関する環境減税についても前向きの考え方がやはり示されていると思うんですが、この住宅に関する環境減税についても積極的に検討していっていいんじゃないか、一般論としてはどうかという点をまずお聞きしたいと思います。 〇目黒税制部長 政策減税は、いわゆる減税ということで、例外的な措置を講じるものでございますので、政策目的をにらんだときに、どういう形で実施するのが一番効果的なのかといったこと等を、いろんな観点を踏まえて、できるだけ効率的な措置が講じられるようにというような視点で臨むのが基本的なスタンスというふうに認識をしてございます。 〇曽根委員 それで、先ほどもちょっと出ていましたけれども、つまり、固定資産税の減額措置は非常に助かっているんだけれども、まだ決して十分というわけじゃなくて、六割ぐらいの方が一〇%以内の範囲ではやはり増額になってしまうわけですよね、今度の制度が実施されても。この増額自体だって相当重いわけです。 そういうことに対して、さらなる固定資産税の何らかの減免措置ができないかということと、あわせて、東京都が今喫緊の最重要の課題の一つとしている環境問題での対策で、例えば環境確保条例の改正に伴って、太陽光パネルの設置に対して助成の制度が今度本格的にスタートするわけですが、それでも自己負担は出るわけですよね。この自己負担が出ることについて、今非常にやはり需要にブレーキがかかっているわけなんです。購買意欲が減退している。 それで、この不況の中で、昨年環境確保条例を改正したときにはなかった事態として、この不況での、環境に非常にプラスになるとわかっているんだけれども、そういう設備を新たに導入することに対するブレーキがかかっていることを、もう一つ後押しすることによって、インセンティブを与えることによって促進できないかということが一つ。 それから、私もマンション族の一人なんで痛感をしているんですが、マンションのように都内の世帯の四割以上を占めている集合住宅にこういった太陽光パネルなどの環境の設備を導入しようとすると、自己負担が伴うということについて、区分所有者が多数いるわけですね。なかなか足並みがそろわないというのが現実で、今の制度のままでは、確かに前進しているんですが、なかなか集合住宅への普及がまだまだ難しいんじゃないかという実感を持っています。 そういう点で、もし固定資産税の一定期間でも減税が実現をすると、区分所有者がそれぞれ払う固定資産税のところで減税が行われるという意味では、非常にインセンティブになるんじゃないかというふうに思うんですが、具体的に例えば太陽光パネルを設置する上で、助成制度もありますけれども、残った負担をさらに軽くするための減税措置を、限定期間、いろんな条件をつけてでも導入するお考えはあるかどうか、お聞きします。 〇目黒税制部長 固定資産税に限らず、政策税制といいますか政策減税につきましては、先ほども少し申し上げましたが、都の政策課題の実現を支援するために、事業部門における施策を補完するものだという認識が基本的なところなわけですが、せっかく太陽光パネルの話が出ましたので、それに当てはめて申し上げますと、家庭における太陽光パネルの設置につきましては、標準的な三キロワットの太陽光パネルを例にとって申し上げますと、平成二十一年度におきましては、国が二十一万円、都が三十万円、合わせて五十一万円の設置費補助が行われることとされておりまして、このほか、多くの区市町村におきまして設置費補助等を実施または検討中とされているものが結構ございます。 また、国におきましては、電力会社による電力買い取りの義務化を盛り込んだ法案を今国会に提案しておりまして、買い取り価格につきましても、現行の二倍程度に引き上げる方針というふうに聞いてございます。 さらに、こういった設備を設置いたしますと、電気料金の削減効果が生まれますので、そういったもろもろのことを考えますと、既に一定の環境は整っているのかなというふうに考えております。 〇曽根委員 これから実施されるので、これでどの程度普及が進むかということも見ながら、政策減税については、先ほどもお答え、積極的に前向きに取り組むという姿勢も示されているので、引き続き、このパネルに限らず、今後新たなまた環境技術が恐らく開発されてくるでしょうし、開発されてこないと困るわけで、そういう点も含めて検討をお願いしたいと思います。 次に、増税の話をします。 東京都が行っている大企業などに対する法人事業税の超過課税は、たしか区市町村税の方は目いっぱいかけているということでしたよね、企業に対する。それで、法人事業税の方が、限度額が二割超過までかけられるんだけれども、現在五%ですか、やっている。それで、ここに国への法人事業税の国税化というのが入ってきて、やはりこの超過課税の仕組みも大きな影響を受けることになったわけですが、現在、制限税率いっぱいまで超過課税を行ったとしたら、どれぐらいの課税ができて、増収が可能なのかをお聞きしたいと思います。 〇目黒税制部長 仮に制限税率で法人事業税の超過課税を行ったとした場合の、現行の超過課税による税収との差額につきましては、平成二十一年度当初予算ベースで申し上げますと、六百五十億円の増収になるものと見込まれます。 〇曽根委員 これは、国税化されていなければ、法人事業税というのは来年度、東京都にどれぐらい見込まれたんでしょうか。 〇目黒税制部長 法人事業税の一部国税化というものがなかった場合の状況を想定して試算をいたしますと、超過課税を目いっぱいやった場合の、今の超過課税をやっている水準からしてどれぐらい増収になるかというのを仮に試算いたしますと、千五百八十億円程度の増となると思います。 〇曽根委員 国税化というのは影響がいろいろ出ているわけですが、これは仮にの話であって、まだ目いっぱいかけていないわけですが、やはり私たちは、国の問題が大きいですけれども、雇用破壊をもう率先して大企業はやっている。最初はやはり大企業が、経団連も持っているし、もう少しモラルを発揮していいんじゃないか、経団連としてもということを、経団連に乗り込んで申し入れもしたわけですよ。しかし、全然モラルを発揮してくれない。引き続き三月いっぱいまで、物すごい数の大量解雇、それから正社員まで今度は手をつけるという動きですよね。 ですから、それでもって一方で内部留保があるということもはっきりしているわけですので、それをきちんと、法の範囲内で可能な課税でもって国民に還元させる。東京都でできることはこの超過課税がまず第一ですので、独自に課税できるわけですから、法人事業税の方で二割の限度額までかけて、少なくとも今の制度でも六百五十億円、国税化をなくせば千五百八十億円ですか、かけられるわけですので、これは本当にやるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。 〇目黒税制部長 法人事業税の超過課税は、大都市特有の財政需要に対応するため、一定の法人に対し、標準税率による通常の負担を超えた特別の負担を求めているものでございます。 法人事業税の暫定措置の導入に伴い、都においては、各法人の法人事業税と地方法人特別税とを合わせた税負担に変更が生じないよう、超過税率を設定しているところです。 お尋ねの超過税率の制限税率までの引き上げにつきましては、景気が急激に悪化している我が国経済の状況や法人の国際競争力の維持の観点から、適当ではないというふうに考えております。 〇熊野主税局長 少し補足をさせていただきます。 そもそも税については、税収が減ったから、税を取れるところから取ればいいという話では、そういう単純な話ではないというのはまずご理解いただけると思います。 それで、大企業の場合には、大勢の従業員を抱え、その人たちの給料を払い、その人たちがまた消費に回し、また大規模な設備投資をして、それを請け負う業者がいて、また下請もたくさん抱えて、そこにはたくさんの従業員がいるというふうなことで、社会経済というのは非常に有機的につながっているということをまず忘れてはならないんだろうと思っております。 そうした意味で、大企業の税負担がふえるということは社会全体に大変大きな影響を与えることになりますので、個人の増税と同様、やはり増税については慎重であるべきであろうというふうに基本的には考えておりますし、また、大企業といえども、やはり税負担についてはご理解をいただいた上で納税していただくというのが税の原理だと。そこが重要であろうというふうに考えております。 〇曽根委員 今まで、目黒部長がお答えになったように、国際競争力の維持の観点から適当でないというのを、私、財政委員会になってからもう何年になるんでしょうか、四年か、ずっと聞かされてきて、まあそういう面もあるかなという感じはしていたんですよ。 しかし、今日、国際競争力とは一体何ぞやと。輸出でもって大きく伸ばしてきた日本の産業が、今輸出に頼り過ぎたということでへこんでいるというときに、じゃ内需拡大じゃないかとみんながいうわけですよ、口をそろえて。しかし、その内需拡大は全然耕してこなかったというところに、やはり大企業にも社会的責任を持って目を向けてもらう、その何らかのインパクトのある政策が必要だろうということが一つです。 それから、局長もお話しになりましたが、当然、税制をかける上では、それをちゃんと負担してもらうだけの適切な担税能力やそれから社会的な合意、それは当然です。それで、社会的合意という点では、私は、かつてに比べてもはるかに大企業の持っている内部留保についての国民的な認知が進んで、しかも株主優先的な経営のやり方など、国民の批判も非常に強いということで、ここの課税の条件は、環境は非常に整ってきているということは強調しておきたいと思います。(発言する者あり) いろいろご意見はあると思いますが、私どもは、やはり大企業はちょっとやり過ぎている。国民、特に非正規でさんざんもうけさせてもらって、不安定雇用の人を雇用してきた。このことに対する今の仕打ちは何だということは、私はいわせてもらいたいと思います。 それで、最後にもう一つ、やはり都が持っている税制の仕組みの中で、大規模な企業の社会的責任を果たしてもらう方法がもう一つある。それは、法人事業税のいわゆる外形標準課税部分の拡大なんですね。これはやはり、何といいますか、東京都としても、大規模な事業展開をしている都内の企業が使っている公的なサービスなどに見合った課税がされていないということから、たしか課税のあり方の中で外形標準部分をふやしてきたんだと思うんです。こういう点からいうと、今日改めて外形標準課税部分の拡大充実を考えていくということも必要かと思いますが、いかがでしょうか。 〇目黒税制部長 外形標準課税は、長年にわたる地方自治体の悲願が平成十五年度税制改正で実現をしたものでありまして、導入後約四年間経過をいたしまして、制度として定着してきたところでございます。地方税収の安定化を図り、税収の偏在を縮小するという観点からも、将来的には外形標準課税の割合を高めていくことが望ましいと考えております。 しかしながら、現下の厳しい経済状況におきましては、現行制度を維持することが適当であると考えておりまして、今後、社会経済状況等を見据えて検討されるべき課題であると認識しております。 〇曽根委員 現在のところは現行制度でと、しかし拡大をしていきたいというお考えのようなので、積極的にその方向での検討をお願いして、質問を終わります。 |