トップページへ  議会質問目次へ   

2009年3月17日財政委員会財務局質疑
「一歩前進だが、未曾有の不況に追いついていない都の予算」
「都営住宅用の貴重な都有地を大企業優遇で安易に売るな」


●前進あるが、大型投資優先変わらぬ予算

〇曽根委員 私からは、最初に二〇〇九年度、平成二十一年度予算案について、何点か聞いておきたいと思います。
 この不況のもとで、都民の暮らしや営業、雇用などから見ますと、東京都と、また、私は北区ですが、基礎的な自治体それぞれの存在意義が今こそ問われていると。都民の暮らしのために何ができるか、雇用確保で本来国がやるべきことを国が余りできてないという状態の中で、自治体が何ができるかというようなことが、課題は山積していると思います。
 その中で来年度予算は、私たちから見て、確かに一部前進はあるということは、今回、今までよりは特徴があるなというふうには思っております。制度融資についても、何度かの補正予算も含めてかなり拡充がされておりますし、来年度は、十月からですけれども、子どもの医療費助成についても東京都全体に大きく広げるという拡充が行われる予定ですし、公的雇用の創出や医師確保、周産期医療の対策、失業者への財政支援、加えて今回、住宅支援も入ってきましたけれども、幾つかの前進はあると思います。
 ただ、予算額で見ますと、これら前進面はまだまだ総体的にかなり少額ですし、内容的にもまだ不十分な点があると思っております。この財政委員会の中で質疑できるものについてこれから聞いていきたいと思うんですが、まず、全体の予算の重点がどこにあるかということです。
 平成十九年度までは重点事業というのがあって、当時、まだマイナスシーリングが続いていたか、ゼロシーリングになっていたかの時期ですが、その中で増額を認める部分として、重点事業が位置づけられていました。今年度、来年度については、「十年後の東京」実行プログラムがそういうことに当たるんだろうと思います。今年度が四千七百億円、来年度は五千九百億円ということで増額もされていると。
 この中を見ますと、やはり一番特徴と思われるのは、三環状道路などの整備の部門が金額的には四割を占めているということで、ここに大きな重点がかかっているのではないか。予算全体、いろいろ前進面はありますが、大型投資に偏っているのがやはり傾向としては変わらないんではないかというふうに見ているんですが、いかがでしょうか。

〇真田主計部長 ただいまお話しありました「十年後の東京」への実行プログラムでございますが、これは成長へのステージを経て成熟を遂げつつある東京を、さらに機能的で魅力的な都市に成長させるものでございまして、ひいては、これをやることによりまして都民福祉の向上につながるものと考えております。これを財政面から支えていくことは当然のことであるというふうに考えております。
 先生から、大規模開発優先の予算ではないかというようなお話をいただきましたけれども、大規模開発ということで、例で三環状道路などのお話をいただきましたけれども、三環状道路についていえば、東京の最大の弱点である渋滞を解消し、経済の活性化あるいは国際競争力の向上に寄与するものでございまして、これに必要な予算を措置するのは、全然問題ない、必要な予算であるというふうに考えておりますし、また二十一年度予算では、このほかにもいろいろ、先生も一部挙げて評価していただいたものもございますけれども、例えば学校、福祉施設の耐震化、あるいは公園の整備、集中豪雨対策、道路のバリアフリー化など、いろんな面に目配りして積極的に取り組んでおりまして、これらは、いずれも都民の生活の改善に寄与する投資的な事業であるというふうに考えております。
 そういうことで、私どもとしましては、この予算が大規模開発優先の予算であるというふうにいわれることは非常に心外ですし、この予算は、いろんな面に配慮した、都民に理解をいただける適切な予算であるというふうに考えております。

〇曽根委員 しかし、金額的には「十年後の東京」実行プログラムの中で大きな位置を三環状道路などが占めていることは、間違いない事実です。
 それから、誤解を与えないように私たちも断っておきたいんですが、「十年後の東京」のこの構想について全面否定をしているわけではもちろんありません。超高齢社会に備えた対策の中で、これは最初に出された二〇〇六年、平成十八年十二月の時点では、高齢社会対策の中心がアルツハイマー研究と生活支援ロボット、それから、施設でいいますと認知症高齢者グループホームぐらいが目玉だったんですが、その後、よく見ると、今年度の実行プログラムの中で、東京で全国最低レベルの特別養護老人ホームも新たに位置づけが入ってきていまして、来年度はもう少し特別養護老人ホームの都全体の水準を引き上げるというようなことも表現が入っています。そういう点は重要だなというふうに思っていますが、いかんせん、金額的にはまだまだ少額というふうにいわざるを得ないのが特徴だと思うんです。
 それから、道路橋梁費が大体二千億円前後、必ず入るんですね。その中で、半分もしくはそれ以上を骨格幹線道路が占めて、約一千億円程度を占めている。これは、年度によってでこぼこありますけれども。
 しかもその中で、三環状で今工事が行われている品川線が、四年間の間に七倍ぐらいに、事業が始まったということで、本格実施で膨らんできているわけですね。こういう点は、やっぱり特徴として指摘をせざるを得ないと思うんです。品川線は、首都高が株式会社化して、採算が合わないものはなかなかつくりにくくなったということで、東京都が街路事業として取り組み始めたという、先鞭をつけた道路です。
 このほかにも、羽田の事業に対しても、私たちは筋が通らない、やめるべきだといっている無利子貸付。この間、これは補正予算のとき指摘しましたが、債券まで、都債まで発行してわざわざ規模を確保するとか、そういった事業を行っているという点に、やはり大型の事業については極めて優遇というふうにいわざるを得ない点があると思うんです。

●国直轄事業に言いなりで負担するのか

 一つお聞きしておきたいのは、今問題になっている国直轄事業なんです。全国知事会で昨日も議論があったように、全国の多くの道府県では、国が一方的に計画を立て、負担だけを地方に押しつけてくるという国直轄事業の負担のあり方、これはやっぱり見直すべきだという声が圧倒的ですし、維持管理費はもちろんですけれども、やはり整備費の大きい部分についてもルールを変えるべきだと。
 必要な道路はもちろんありますが、必要な道路やいろんな公共事業はありますけれども、少なくとも仕組みとして、国が決めて負担だけは地方に押しつけて中身は地方が責任を持てないというような仕組みは少なくとも変えて、国が責任持ってやるべきなんだという声が多いと思うんですが、この点について、石原知事もかつては国のこういう押しつけは反対だという意見を述べたことがあります。
 改めて、都として、全国の多くの道府県と歩調を合わせて、国の直轄事業負担押しつけに対して、きちんと地方の利益を守るという立場で今後取り組むべきと思いますが、いかがですか。

〇真田主計部長 まず、国直轄事業負担金についての私どもの基本的な認識でございますけれども、東京の活力を維持し、日本全体を牽引していくためには、都市基盤の整備は重要な課題でございまして、国直轄事業につきましても、東京における社会資本整備におきまして一定の役割を果たしているという意味で、国直轄事業自体の必要性について、私どもは否定はできないというふうに考えております。
 しかしながら、一方で国直轄事業につきましては、運用面でいろんな問題があると。例えば、国が管理する道路などの維持管理費は、本来国が負担すべきであるにもかかわらず地方に一定の負担を求めていること、あるいは地方との事前協議が制度化されていないこと、あるいは、地方が負担する事務費の額につきまして明確な基準が定められていないことなどの問題があるというふうに考えております。
 都としては、現行制度がこうした課題を抱えていることから、国に改善提案を行っているところでありまして、今後も引き続き国に対し是正を強く求めていきたいというふうに思います。
 また、国直轄事業負担金につきましては、最近、廃止すべきという意見もいろんなところで出ているということは承知しております。私どものそれについての考え方でございますが、それぞれの地方自治体によりまして置かれている状況が違うだろうと。財政規模も違えば、投資的経費の割合や求められている社会資本整備の内容など、置かれている状況がさまざまでございまして、そういった状況に基づいていろいろな意見があることは当然であるというふうに考えております。
 ただ都としては、今私が申し上げましたとおり、制度そのものは必要なものであると。ただ、運用面でいろいろ改善の余地はあるというふうに考えておりまして、そういうスタンスでこれまでも国に主張してきましたし、これからもそういうスタンスで主張していきたいと考えております。

〇曽根委員 簡潔にこの点、意見だけ述べておきますが、維持管理費の問題だけに矮小化してはならないと思うんです。というのは、今、国全体の財政の運営として、道路財源については一般財源化という大原則が確立されつつある中で、この直轄事業の多くを占めている道路事業について、いよいよ公共事業、ハードの事業だけじゃなくて、都民の暮らし全般、福祉全般にもこうした財源を活用できる可能性が開けてきていると。国民は何を求めているか、ここに立脚して取り組む必要がある。そういう点では、先ほど来いっていますように、私たちは廃止を求めるべきだし、ある意味、今回協議が調わなければ、東京都もほかの自治体と足並みそろえて、場合によっては払いませんよというぐらいの強い態度で臨むように求めておきたいと思います。
 これも含めて、私は予算編成を、この不況の中、本当に都民の立場で乗り切るためには、大きく転換をすべきときだというふうに考えておりますし、いろいろ財源は、工夫すれば絞り出せると思うんですが、少なくとも東京都の場合、オリンピック基金など使い道の決まっていない、オリンピック招致がどうなるかもまだ先が見えない中で、四千億円たまってきていると。こういう点では、都民のために活用できる財源はあるじゃないかということを前から指摘しておりました。

●オリンピック基金含め、基金の有効な活用を

 今年度途中にはオリンピックの帰趨が決まるわけですので、そういう点ではこの基金も含めて、年度途中であっても、都民のために今使うべき財源は使うと。基金も取り崩し、もしくは基金の位置づけを変えて、財政を思い切った運用をするということも含めて取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇真田主計部長 今後の財政運営に当たっての基本的考え方のお尋ねかと思いますけど、先生、冒頭おっしゃいましたけれども、今、都民が置かれている状況は非常に厳しい状況にあると。そういう中で、どういった財政対応、予算対応するかというのは、まさに地方公共団体である東京都の役割、使命が問われているという認識をおっしゃいましたけれども、その認識につきましては、私どもも全く同じ認識でございます。
 だからこそ、私どももこの間、第三回定例会、第四回定例会における補正予算編成を初め、その第四回定例会の補正予算につきましては共産党様からも賛成いただきましたし、そういったような必要な措置については、私どもも、これまでも臨機応変に講じてまいりました。
 その中で、投資偏重だというお話もありましたけれども、私どもは、投資も必要なものであると思いますし、都民サービス、いろんなソフト面の施策も必要だというふうに考えておりますし、またオリンピックにつきましても必要なものだと考えておりますので、そういう必要なものにつきましては、さまざまな財源対策を講じて、その必要な予算を適時適切に措置しておるつもりでありますし、また、それについて都民の方の理解も得られているというふうに私どもは考えております。

〇曽根委員 基本的には都民の現状にリアルに対応していくという点では、まだまだ意見の相違はたくさんあることはおきながらも、私たちも積極的に提案をしていきたいと思うんです。これは、必ずしもお金がうんとかかる話だけではないと思っているんですよ。
 例えば、今度十月から始まる子どもの医療費助成、これは制度としては、都の財政負担二分の一というのは変わらないわけですね、制度の中では。それを小中学生まで広げる部分で、市町村が残り二分の一の財政負担が発生してくると。この部分の負担を軽減するためというか、都がカバーしますよということで、二十億円余りを総合交付金で今回入れるわけですね。
 私たちは、制度を安定的にしていくためには、こういうやり方よりも、二分の一からさらに都の負担分を拡充すると。そうやって、市町村には大きな負担がかからない形での制度の充実を図っていくべきだと。これはどちらかというと厚生委員会の話ですから、ここまでにしておきますが、そういった拡充だってあると思うんです。

●雇用を守る、踏み込んだ政策を

 もう一つは、公的雇用五十万人と、昨年の私たちも賛成をした補正予算で盛り込まれましたが、これは実際に事業をしている、二十万人の都の直接事業を担当している建設局にお聞きしますと、いや、二十万人というのは特に正確な数字じゃないんだと。要するに、中小企業向けの前倒し発注を二十万人分、早く出したんだと。ですから、二十万人という数字の裏づけがあるわけじゃありませんという話でした。
 これも都民的に見れば、二十万人の公的雇用の創出事業ですから、新たに仕事が生まれるんじゃないかという期待は間違いなくあったし、私どももちょっとあったんですよ。しかし実際は、二十万人分に相当するぐらいの小規模なものも含めて公共事業を出してやって、つぶれそうな建設の中小企業をつぶれないように、仕事を公的に出すということによって支えますよと、その支える雇用が二十万人ぐらいじゃないかということになるわけですね。これはこれで非常に重要なことだと思います。
 しかし、今、失業者が次々とふえている中で、本当に失業者に職を提供できるような、そういった面での雇用創出と文字どおりいえるような事業を、今後、来年度予算の中で拡充していっていただきたいということもつけ加えておきたいと思います。
 公的雇用に関連しまして、東京都が直接募集します臨時職員について、これは二百人ということが来年度予算に盛り込まれましたが、人数もさることながら、待遇改善も非常に急がれていると思います。昨年の秋に、臨時職員の時給がまだ八百円程度じゃないかということで、私たちは随分いってきましたが、これが大分改善されました。
 来年度、本格実施になりますが、どういった内容なのか、時給でどれぐらいで、職種としてどういう充実があったのかをお聞きしておきたいと思います。

〇真田主計部長 昨年九月に実施しました単価の改定でありますけれども、これにつきましては、賃金職員につきまして多様な雇用形態の一つというふうに位置づけまして、その職にふさわしい単価をそれぞれ設定した結果、単価改定につながったというものでございまして、先生がおっしゃるような、単純な処遇改善として行ったものではございません。あくまでも職の活用という考え方の中で、それにふさわしい単価を設定したものでございます。
 具体的には、これまで一般事務補助につきまして六千三百五十円、肉体労働につきましても六千三百五十円、特殊職種につきまして七千二百五十円だったものを、九月一日以降は区分をもう一回見直しまして、一般業務、簡易業務、単純業務と三区分に分けまして、単純業務につきましては六千三百八十円、簡易業務につきましては六千七百八十円、一般業務につきましては七千百九十円ということで単価の改定を行ったものでございます。

〇曽根委員 三区分それぞれ業務の名前が変わって、いってみれば六千三百五十円が六千七百八十円、ちょっと上乗せになった程度なのかなというふうに、いただいた今のお答えだけからの印象なんですが、実際は、今まで一般事務補助ということで一日六千三百五十円−−八百二、三十円ですかね−−で働いていた方が大多数だったわけですね、臨時職員は。それが今度は一般業務、一日七千百九十円が大多数の臨時職員の待遇になるということでいうと、働いている側からいえば、大部分の方が時給九百円近くになるということでは、大幅な改善といえると思うんです。
 同時に、私、ここで改めて強調したいのは、今までは一般事務補助ということで、これはあくまで一人前の職の補助であるということが、時給が低く抑えられていることの理由の一つに挙げられていたことがあると思うんです。今度は、ほとんどの方が一般業務というふうになりまして、先ほど多様な雇用というふうにおっしゃいましたが、いわば一人前の職種ということになるわけなので、そういう意味でいうと、この仕事についたことによって、ある意味では一人前の労働者として、ちゃんと暮らせるだけの待遇を保障すべきものなんだというふうに考えるべきだと思うんです。
 そうしますと、時給九百円程度ではどうなのかと。これはいろんな指標があると思います。最低賃金はもちろんクリアしているんですが、昨年でしたか、おととしでしたか、最低賃金を審議する東京の審議会では、東京都の生活保護課長さんが出席をして、東京で暮らすひとり暮らしの方が、生活保護を受けないでアパート暮らしができるための最低限の時給は、大体千百三十円ぐらいということを発言しているわけです。
 そうしますと、少なくとも生活保護以下にはならないというぐらいの賃金、待遇を保障するという立場に立って、さらにそこに向けての改善が求められているんじゃないかなと思うんですが、この辺の認識はいかがでしょうか。

〇真田主計部長 先ほどもお答えしましたけれども、都の臨時職員は、一時的、臨時的な行政事務の増加に弾力的に対応することを目的に各局で雇用されるものでありまして、その臨時職員につきまして、先ほど申し上げましたけれども、多様な雇用形態の一つというふうに位置づけまして、その職にふさわしい単価をそれぞれ設定し、私どもとしましては、そのふさわしい単価として、適切に算定した額を参考単価という形で局に通知しているものでございます。
 臨時職員の雇用につきましては、改めていうまでもなく、これは各局で雇用するものでございまして、具体的な業務内容と、それにふさわしい賃金を幾らで実際に雇用するかというのは、基本的には各局がそれを参考に決めるという仕組みになっております。

〇曽根委員 各局で雇うものです。しかし実態として、これまでもそうだし、現在も財務局が設定をした予算上の賃金単価が実際上は各局で使われているというのが実態ですので、さらなる改善を−−もちろん単純なやり方でないことはよくわかっていますが、実態としては改善が一歩進んだと。目指すべき指標として、先ほど申し上げたように、生活保護水準などを参考にして、改善を改めて求めておきたいと思います。

●八王子の都有地売却計画は、経過も金額も今後の開発も極めて不透明

 最後に、議案の滝山の土地売却について、私からも何点かお聞きしておきたいと思います。
 何人かの方がもう既に質問されていますので、ダブりは避けたいと思いますが、入札の経過について、たしか二者が応札しているということですよね。しかし、予定価格は事前公表されていて、その価格自体が、地元の方にお聞きしますと、えらい低いんじゃないのと、あんな価格で売るのかねというような声が一般的でした。
 応札した人の札を見ますと、金額は若干予定価格よりも高く買った合同会社の方が落札しましたが、もう一つの地元の不動産屋さんですかね、その方の方は、予定価格よりほんのわずか上回っただけと。最初から落札する気があるのかなという印象をどうしても受けるわけですし、もともと予定価格が非常に低いものですから、しかも規模は大きいですから、本当に落札した後に、そこを開発するだけの力や条件を持っている業者なのかということも含めると、ちゃんとした競争になっていなかったという面があるんじゃないかという疑問を私は抱いたんですが、その点はいかがでしょうか。

〇松本財産運用部長 本用地の売却につきましては、入札参加条件に合致した者により適正に一般競争入札を実施し、その結果、落札者が決定したということでございます。一般競争入札の実施に当たりましては、入札公告を行った上で一定の参加申込期間を設定しておりますし、不特定多数の参加の可能性があるということでございますので、十分競争性は確保されているものというように考えております。
 なお、最低売却価格でございますけれども、これは複数の不動産鑑定士の鑑定評価をもとに、不動産価格に精通した学識経験者等により構成される財産価格審議会の評定を経て決定したものであり、適正なものであると考えております。

〇曽根委員 多摩の都有地の売却や処分については、昨年も私、府中、調布にまたがる福祉施設用地の貸し付けについてちょっと質疑したことがありますが、そのときは財産価格審議会なんかが−−土地が、この間大きく変動しましたよね。その地域が全体としては四割ぐらい下がっているときには、その福祉施設用地は、二割ぐらいしか財産価格審議会では下がらない。しかし、全体が二割ぐらいしか最近上がっていないのに、今回四割上がってきたと。下がるときはわずかで、上がるときは周辺の実態よりもうんと上がるという、この財産価格審議会の審議は本当にブラックボックスになってないだろうかという問題提起をさせていただきましたが、今回も、坪七万円台ですね。
 相続税の計算でも、これは近隣の方にお聞きしたんですが、坪二十万円ぐらいはするんだと。そういう計算になっているというときに、坪七万円台で本当に適正な価格なのかという疑問はありました、率直に。私、土地の人じゃないのでわからないんですけれども、そういう疑問があったということは申し上げておきたいんです。
 それともう一つは、この土地は、もともと都有地として購入した際は都営住宅用地として買ったわけです。一般的に考えますと、最近インターチェンジもできてきて、都営住宅の用地としても、以前に比べればはるかに適地になってきたんじゃないかと。
 そういうときに、三十年前から財務局が持っているといえば持っているんですが、改めて、かつて所管した、今、都市整備局ですけれども、住宅部門やそのほかの各局で活用することはないのかということを、都有地である段階で問い合わせなり照会をされたのか、それとも、そういう引き合いはなかったのかを確認しておきたいと思います。

〇松本財産運用部長 未利用地につきましては、各局への利用照会等行い、都の施策への活用を検討しております。しかし、本用地につきましては、都営住宅用地としての再利用希望も含めまして、庁内から具体的な利用希望はございませんでした。

〇曽根委員 ほかの用地で、こういうことで、本当に都庁内の知恵が、この土地利用などについて、土地活用というのであれば、もう少し集められていいんじゃないかということを私は強く感じているんです。
 もう一つは、地元にとってどうかという問題があるんですね。これはいろいろ意見が出ていますよ。地元の市議会議員さん、共産党の議員さんなどが商店街など回っていろいろ意見は聞いていて、ほとんど賛成する人はいないんですね。これがイオンに買われるということはわかっているものですから。イオンの開発になるということはわかっているものですから。
 特に、地元の恐らく最有力の産業団体である八王子商工会議所でさえ、一昨年、見解書を出しているわけですね。私、それを見させていただいたんですが、この商工会議所の見解書によると、まちづくり三法がせっかく改正されて、中心市街地を活性化していくという方向が法律として出されたと。しかし、残念ながら、八王子はその除外区域になっている。しかし、この法の考え方からいうと、今後のまちづくりの方向は、このインターチェンジ北側の土地についていえば、二者択一になるだろうと。
 一つは、八王子の中心市街地をもう一度活性化するということで、そこを中心に考えていくのか、それとも、郊外型の大型店が出てくることがはっきりしているこの土地の開発に踏み出すのか、これは中心市街地の活性化とは両立しませんということをはっきり見解の中で述べていて、商工会議所の立場は、従来どおり、中心市街地を重点に活性化事業を推進するべきものと考えると。
 この見解が、私、余り変わったとは聞いてないんですけれども、そうまで見解が出ているにもかかわらず、これは主に八王子の方で検討したんだと思いますが、ここに、開発を認めていく土地の売却に東京都も乗っていく、本当にこれでいいのかということを、この不況の時期だからこそまた痛感するわけです。
 商店街に行きますと、イオンが来る前から大変だけれども、これでイオンが出たらもう終わりだと。しかし、終わりになった後に、イオンもいなくなるんじゃないかと、そうなったら本当にどうなるのかという意見が結構出ているわけです。
 そこで、国の方でも鳩山大臣も随分動いているようですが、この土地の売却についての価格の問題や、地元にとって本当に役に立つ土地売却になるのかということを含めて、改めて活用のあり方を協議する場があってしかるべきなんじゃないか。せめて現地の声をもとに、もう少し時間をかけて検討する余裕があっていいのではないかというふうに感じるんですが、いかがでしょうか。

〇松本財産運用部長 何度かご答弁申し上げましたけれども、当該土地につきましては、市の方でもいろいろご意見がございました。先ほどの八王子市中心市街地等活性化検討委員会、これはお話の商工会議所の代表等も入った会議でございまして、こちらが昨年、二十年四月に検討結果をまとめております。
 その内容は、ご案内かもしれませんけれども、広域集客施設を使って複合的な機能を集積させると、この地区につきまして。それによって、中心市街地との間で補完的な役割を果たすというような方針が決められております。そういったことで、市としても一日も早く売却をし、そういった開発にかかりたいということでございましたので、今回の売却に至ったということでございます。
 今後ですけれども、先ほどもご答弁いたしましたけれども、今後、落札者が事業者として当地区を開発するに当たりましては、入札参加条件や法令などに基づきまして、市との間で、用途地域や地区内にある市の所有地の取り扱いなどにつきまして密接に連携をとり、協議、調整を行うということが必要になってございます。こうしたことも見据えた売却でございますので、ご理解をいただきたいと思います。

〇曽根委員 イオンが本当に出てこれるのかと。今でも八王子の中心市街地、駅前でも余り物が売れなくなっちゃっている、時期が悪いんじゃないかという声もあります。そういう点で、後でこれが本当に大きな−−これは八王子の責任は大きいと思いますよ。しかし、これが失政と、失敗ということに万が一なった場合には、東京都の責任も免れない、大きな禍根を残すことになる可能性も私は否定できないと思います。その点では、改めて慎重な検討をやるべきだと、今回の議案決定については踏みとどまるべきだという意見を申し上げて、きょうの質疑は終わりたいと思います。

トップページへ  議会質問目次へ