2008年12月11日財政委員会質疑 補正予算のあり方について 今度こそ都民に役立つ予算にするために ○曽根委員 私からも緊急対策Uに基づく補正予算について何点か質問させていただきます。 今回の補正予算についての基本的な考え方は、何人かの方がお聞きしましたので省略をいたしますが、今ちょっとため込みの話で、私ども(共産党)と思われるんですけれども、「(基金積み立てに)否定的である」というようなお話があったので、誤解を招かないように、そのことも含めてちょっと、はっきりさせておきたいと思うんです。 私ども日本共産党は、基金積み立てについて、一概に否定をしていないのは前からいっているとおりで、特に財調基金などは使い道についてはかなり幅広く使える財源ということで、基本的には大事な基金だというふうに思っているわけです。 問題は財調基金の外にも三千億円に上りますオリンピック準備基金、それから二千億円を超える今回の特別対策基金、また社会資本整備基金も四千億円を超えていると思うんですね。合計で一兆六千億円。これだけの基金があるわけですから、計画的に活用すれば、都民のためにいろんな仕事ができますよということを繰り返し申し上げているということを、まず申し上げておきます。 それで、今回の補正の基本的な考え方は、先ほどお話ありましたが、ずばりお聞きしますけれども、前回九月の補正のときも、例えば都民の不安にこたえるとか、景気後退にも対処していかなきゃならないというようなことはいわれていたわけです。にもかかわらず、そのときには九百三十億円余りの財源の半分以上、五百四十億円は新銀行の処理に使われました。 これについても、知事みずから、これは前倒しであると。年度末処理すればよいものを、必要なときに早く処理をしておきたいということを所信表明でもおっしゃって、優先的に新銀行の処理の基金積み立てを行ったと。 都民施策については残り四百億円弱・・。さっきいったような趣旨であっても、「十分である」というようなことは、前回の財政委員会で私の質問に主計部長がお答えになっています。 それが決定されてからわずか一カ月、たしか十月二十四日の定例記者会見で知事は、国も第二次の補正を考えているようだし、東京も憂慮すべき状況なので、積極的に検討しなきゃならんということをおっしゃったと。 率直にいえば、前回五百四十億円の新銀行のための積み立ては年度末に間に合うわけですから、優先的に都民の景気対策に使っていれば、少なくとも今回の金額、財源的な規模は賄えることができたわけで、率直にいえば、都民の景気対策よりも新銀行が優先していたという考え方があったということについては、事実経過として明らかだと思うんですが、いかがでしょうか。 ○真田主計部長 九月補正予算をご審議いただいたときにもお話し申し上げたかと思いますけれども、私どもは九月補正予算を提出いたした時期におきまして、都が対応しなければならない課題については、想定されます都民が抱えている不安の早期解消に向けて、当時必要なものについてはすべて対応させていただいたというふうに考えておりますし、また、その中で新銀行のお話ございましたけれども、それにつきましても義務的経費でございますし、早期に対応することが財政的にもメリットもあることから、九月補正に同時に出させていただいたところでございますし、それにつきましては都議会のご審議でご了解もいただいておりますし、そういう意味では都民の方の理解もいただいているところだというふうに思います。 それから、その後、わずか一ヶ月というようなお話ございましたけれども、そのわずか一カ月の間にこれほどドラマチックに社会経済状況が大きく変わるというのは、例えば百年に一度の未曾有のというようなお詰もございますけれども、まさにこの一カ月間において非常に大きな社会経済状況の変化がございまして、そういった変化を踏まえまして、都民の方々はさらにいろんな厳しい局面を今、迎えているという状況になっておりまして、そういったことに対しても、都民生活の安全を守る東京都としては、やっぱり迅速な対応をここでしなきゃならんということで、今回のさらなるタイアップをお願いしたものでございまして、九月の時点においては九月の時点において考えられる対応を速やかに講じたものでございますし、それから、その後の余りにも大きな財政経済環境の変化を踏まえた、また、今時点において求められている施策につきましても迅速な対応を講じたものでございまして、そういった危機に対する対応につきましては、この間の都議会でもそういったさまざまな議論がなされておりますけれども、そういった審議状況なんかを踏まえましても、大方の都民の方のご理解はいただけるというふうに考えております。 ○曽根委員 しかし、私たちは三定の都議会のときにも、少なくとも都民だとか、それから中小企業対策の融資の拡充などについては、これでは不十分だということは申し上げたと思うんですね。 実際に今回、粋が広がっているわけですよ。緊急保証制度ですか、いわゆるセーフティーネットの融資です抱前回、千五百億円にしたと。これを千丸吉五十億円ですかこ今回、枠を広げたと。しかし、広げたけれども、年末を越せるかどうかという点で、私たちのところにもたくさん来ていますが、窓口が間に合わないということで、融資の実行そのものが渋滞しているという話が来ています。 会社の方はもう大変危険な状態で、年末ぎりぎりということになるぐらいだったら、なぜ九月にできなかったのかという声はあるわけですよ。確か、百数十業種から六百業種に広がったというのが十月末でしたっけ、国の方で。そういう問題もあるでしょうけれども、あのときに思い切って枠を広げておけばよかったじゃないかという声かあるということはぜひ知っておいていただきたいわけです。 こういった声にきちっとこたえるという点では、当時の判断がすべてこたえたとさっきおっしゃいましたが、すべてということはないわけですよ、何事もね。一〇〇%と言うのはあり得ないわけですよね。ですから、やっぱり判断としては、もう少し拡大しておくべきだったという考えはないですか。 ○真田主計部長 先ほども申し上げましたとおり、九月の補正予算をご提案申し上げた時点におきましては、そのときの状況を踏まえまして、私どもとして可能な限り必要な施策ということで考えてお出ししたものでございますし、それにつきましては都議会のご了解もいただいて成立したものでございます。 その後、さまざまな意味で大きな変化がございまして、さらなる都民、中小企業の方の不安にこたえるためには、もう一段のそういった対応が必要になりまして、それはそういう状況の変化がございましたからこそ、そういうことが出てきたわけでございまして、それにつきましては、九月の時点でそれを見込んでどうだこうだという議論は、今からいう結果論にすぎませず、ためにする議論じゃないかと。その時々の状況を踏まえた正しい対応は、私どもはしてきたというふうに考えております。 ○曽根委員 ためにする議論というのは何事ですか。あのときに私たちははっきり指摘していたはずですよ。 それに、中小企業が苦しくなったのは、何もことしの秋からじゃないんですよ。もうここ数年ずっと厳しいわけですよ。それに対応した保証制度が昨年秋に後退してしまったと。 部分保証になったということから、非常に制度融資が苦しくなったわけでしょう。そこで、しょうがないんで、部分的に、原油高騰で影響を受けているところにセーフティーネット融資を入れたと。しかし、これは限られているということで、ずっと苦しんできているですよ。 ですから、そのときに東京都が国を先導すると繰り返しいっているわけですから、広げるべきだったんじゃないかと。それで十分やったなんていえるんですかと。この都民や中小企業の現状を見てですよ。そういう点の姿勢を私は問題にしているわけなんです。そういう姿勢は改めてもう一度促したいと思います。 しかも、今回出された提案は、私たちが評価できるものももちろんあります。例えば、直接雇用が出ました。しかし、こういうものが全部、例えば定例会ごとでいえば、前回の定例会もしくはその前に対応しておけばよかったものというふうに、ずれているんだと思うんですよ。 例えば、今回の直接雇用は、一日でいえば二千人弱ですよね。年間、一年以上の期間にわたるんでしょうか、全体で五十万人ですけれども。つまり、もうこの夏ぐらいまでに問題になってきたネットカフェ難民が都内に二千人いるとか、ホームレスもそれ以上いるとか、そういう数にせいぜい対応するぐらいのもので、今、失業者も三十方人近くいるわけですよね。しかも、その後、失業者は続々とふえているという状況に、今出てきている政策が間に合っていないと。そのうち、次の対策をまた打たなきゃならなくなるというのが、後手後手になっていくということを私はいいたいと思うんです。 私は、こういった対症療法も必要ですから、そういう緊急対策は大いにやるべきだと思いますが、やっぱりその時点で最大限の手を打つという立場で、もう少し枠を広げるべきだということは申し上げておきたいと。 それから、今回の補正予算で、やっぱり大きく不十分さがあるなと思われるのは、都民やその家計を直接温める政策がほとんどないということなんです。私たち、条例提案もしていますけれども、例えば、都立高校の授業料の思い切った値下げとか、教育費全体をいかに下げていくかということも、東京都の政策次第でいろんなことができるわけです。 奨学金制度も前回の定例会で条例提案しました。ほかの政令都市でも実現しているものです。 それから、高齢者の医療費負担を下げていくという提案もしていますが。 特に、この不況の中で、また、増税や社会保障の負担増で苦しめられている都民の中でもそういう階層の人たちにそれぞれ必要な手だてを打つということは、先ほども指摘しましたように基金の積立状況や、それから、本会議代表質問で私たちは指摘しましたが、もう既に六千九百億円に及ぶ首都高などへの貸付金が、十年たったものが首都高など貸し付けが戻ってきていますから、毎年数百億ずづ戻ってきているんで、こういった財源も活用すれば、何も全部すぐに使うというものではなくて、計画的に活用すれば、都民の家計を直接暖める政策もできるんじゃないかと。こういう方向に踏み出していく必要があるということの認識はありませんか。 ○村山財務局長 今、具体的にご質問いただいた点については、主計部長からお答えさせていただきます。 今回の補正予算についてご評価をいただいているようでございますので、あえてここでいろいろ申し上げたくはないんですけれども、遅過ぎたとか不十分であるとかというふうにご批判をいただくと、一言申し上げざるを得ないということでございますけれども。 もしかして、例えば同じ施策であっても、やっぱり思想が違うというところもございまして、例えば直接雇用の問題について、先生は従来からそういう事業が必要だというふうにご主張いただいているわけですけれども、私どもは、通常の状態の中で公による直接雇用という施策が有効であり、かつ必要であるというふうには一般的には考えておりません。 したがって、九月のときにも、当然あのときの状況においては、そういう形での施策はご提案を申し上げないと。 しかしなから、その後の急激な状況の中で、それこそ非正規雇用者が解雇されるとか、そういう事態が広範に出てくる中にあっては、非常に緊急的な、時限的な措置として直接雇用という手法も有効であると。しかし、これはずっと恒常的に続くというようなものではなくて、集中的にある一定時期においてなすべき施策としてやろうとしているわけでございます。 したがいまして、私どもはそのときの状況の中で、都の施策として、都民からの税金を使う施策として最も正当なやり方、あるいは、目的はどこにあるのかということを一つ一つ判断しながら、そのときの状況に即した適切な施策を講じるということに意を用いているつもりでございまして、そういう意味では、九月のときに出させていただいた施策は、私どもとしてそのときに最も正しい施策としてご提案させていただいて、幸いにご議決をいただいて、今、実行に移させていただいていますし、今回の施策についても、現時点において最も適切な施策としてご提案させていただいているものでございまして、そういう意味では、ご批判は全く当たらないし、事実、私どもの今回の緊急対策Uについては多くの都民の方から歓迎もされ、期待もされているというふうに確信いたしております。 ○曽根委員 私たちも中身については、今まで絶対に東京都が首を縦に振らなかった失対事業に近い、それとは違うでしょうけれども、かつての国の雇用創出事業というのがありましたが、それ以降やろうとしなかった事業にも、公的雇用の創出にも手をつけるということについては評価していますし、だから、問題は、そのスピードや規模について、さらに対策が必要になってくるんじゃないかというふうにここは問題提起をしておきたいと思います。 さらに、直接都民の暮らしを温める政策についても、これはまた改めて予算議会も含めて、例えば住宅政策なんかも、失業と同時に住宅も失うという事態があって、今回の補正の中にはそういったものの本格的な対策がないわけですね。これは恐らくまた緊急に必要になってくると思うし、政府部内でもそういう失業者への住宅手当を何とかしなきゃならんということは首相もおっしゃっているようなので、恐らく早晩必要になると思います。 最後に、これはぜひ聞いておきたいんですが、来年の予算の中で執行する予定のものについて、状況に対応してできるだけ早くスピードをアップして実施していくために、例えば、都立病院のお医者さんの確保については、来年度予算の中身ですけれども、既に募集をかけたという話が伝わってきていますが、こういったように、来年度になって予算が決定されてから募集したのではさらに後に回ってしまうと。しかし、そういうものは、緊急に今、もう予算成立することを見越して手を打とうというようなことがあっていい時期だと思うんですよ。こういうものはどの会派も反対していないんですから。 そういうものが、例えば、融資問題にしても本当にもうあすをも知れないという中小零細企業対策など、幾つかあると思うんですね。これは全部が全部とはいいませんよ。そういうものに限ってあると思うんで、そういう姿勢をぜひ持っていただきたいんですが、いかがでしょうか。 ○真田主計部長 ただいまお話あったドクターの話につきましては、個別の事業に係ることでございますので、私からコメントする立場にございませんけれども、一般論として、例えば、予算の編成作業中でございまずけれども、九月のというか、七月の末に依命通達を出して、各局からは九月、十月に要求をいただいて、それから、さらにその状況が今、大きく変化しておりますので、そういう状況の変化を踏まえて、各局とはまさに今、調整をしている最中でございまして、その九月時点、要求をいただいた時点の内容から一歩も踏み出さないような予算編成なんていうものは、当然するつもりもございませんし、それは世の中の変化に適合するような、できるだけ都民のためになるような予算を、タイムリーな内容に伴う予算をいかに編成できるかという観点から、各局と今、鋭意調整しているところでございます。 その中で、予算対応が必要なものについてはそういう対応になりますし、それから、年度内の実施対応で対応できるものにつきましては、当然、予算の趣旨を逸脱しない範囲でございますけれども、予算の執行の範囲内において対応が可能なものについては、私どもと各局と調整した上で年度内にやること、これもやぶさかではございません。 ただ、個別のあれについていい悪いというのは、ちょっとこの場では申し上げるあれにはなりませんけれども、いずれにしても、そういうタイムリー、都民の方が求められている予算を二十一年度予算にしたいと思っていますし、今回の補正予算もまさにそういう趣旨でご提案したものでございますので、ぜひご賛成いただきたいと思います。 ○曽根委員 終わります。 |