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2007年10月26日公営企業会計決算委員会(臨海開発事業)
臨海3セク処理と臨海開発に繰り返しの都財政投入許されぬ

●踏みにじられた環境にやさしい都民提案

○曽根委員 私は大きく二点、臨海開発の事業会計について、それから、昨年度行われました臨海三セクの民事再生による都の対策についてお聞きしたいと思います。
 最初に臨海開発の問題ですが、これまで繰り返し臨海開発のまちづくりについて、私たちは、貴重な都有財産や都の財政をつぎ込みながら、莫大な借金を抱えて、以前、知事も、進むも地獄、退くも地獄といわざるを得なかったほどの財政破綻が今なお続いているという問題を指摘してまいりましたが、同時に、今、国際的にも切迫した課題である環境負荷を減らすという点ではどうかということについて最初に質問したいと思います。
 そのことについて象徴的だなと思ったのは、最近、都民提案街区の部分が売りに出されて、先日、
私のところにも、十月十日付で、青海Q区画の受け付け終了の通知をいただきました。引き合いが来ているということだと思いますが、この都民提案街区の部分で、どういう利用計画で進出企業が名乗りを上げているんでしょうか。

○藤原営業担当部長 七月から受け付けを開始いたしました青海地区北側の四区画のうち、二区画については既に応募がございました。このうちR区画は応募を締め切って、現在審査を開始したところでございます。また、Q区画につきましては、十一月五日の応募締め切り後、審査を開始することとしております。また、残りの二区画につきましては、さまざまな分野の多くの事業者からの問い合わせや相談がございまして、今後、席次応募があるものと考えております。
 また、提案における利用内容についてでございますが、いずれも観光、交流のコンセプトに合致した業務・商業施設でございます。

○曽根委員 この利用の濃案といいますか、進出応募企業の提案内容は、もともとのこの都民提案街区に対する都民、子どもさんも含めていろいろ募集した、そのときに大半を占めていた、自然や緑を生かしたまちづくりというものと相反する方向じゃないかと。それから、以前の利用計画からしても、公共施設など、そういった方向、都民投棄を受けての内容が含まれていたと思いますが、その後、利用計画をどうして変更したんでしょうか。内容を教えてください。

○余湖開発調整担当部長 都民提案でございますけれども、先ほども申し上げましたように、二千四百件を超えるものがございました。これらのうち上位三つでございますが、憩い機能、文化機能、商業機能でございまして、業務・商業機能に関する提案が多かったところでもございます。
 まちづくり都民提案の優秀提案の趣旨には、環境と共生するまち、自然を身近に感じられるまちや、イベント空間を備えたにぎわいを演出するまちなどがございました。
 また、まちづくり都民提案制度対象街区につきましては、臨海副都心における土地利用等の一部見直しにおきまして、業務・商業機能の重点化を図り、観光、交流を中心としたまちを目指すこととしたものでございます。

○曽根委員 利用計画の変更については、ちょっと直接の答弁なかったように思うんですが、いつ、
どういう内容から、どういう内容に変更したんですか。

○余湖開発調整担当部長 変更につきましては、従来の業務、住宅、商発から業務・商業施設に変更し、重点化を図ったものでございます。

○曽根委員都民提案の中に業務・商業も入っていたというふうにおっしゃいますが、きょう資料でいただいた五ページにある内容を見ても、やはり共通しているのは、特に中学生以下の子どもさんや一般の部、七人の最優秀を含めた優秀という内容の要約が入っていますが、そのうち五人の提案の中には、自然の公園とか、緑化した自然と一体となった施設とか、自然を感じられる公園、緑の整備、緑豊かな環境など、緑、自然というものがキーワードとして含まれています。
 専門家の方は、お一人のようですけれども、私、そのときに、イメージのいろんな絵を募集したの
を、たしか冊子が出ていたと思って、引っ張り出してきたんです。レインボータウンまちづくり都民提案ということで絵が募集されて、優秀賞を含む絵が出ているんですが、これを見ると一目瞭然で、いずれも、特に子どもたちの提案には緑が含まれている。

 一専門家の方も、鎮守の森のようなまちという提案や、それから一般の方のところでも、緑の安ら
ぎと最先端都市機能が共存するまち、ビオトープタウン、風のまちというような提案ですね。いずれも自然、緑を重視した提案が大半を占めていたと思いますが、今度の業務・商業の恐らく高層ビルになると思うんですが、こういう提案というのは今、直接お話がありませんでしたが、環境を重視するという点からいうと、大きな環境負荷を深刻なものにしてしまうおそれがあると思いますが、いかがですか。

○余湖開発調整損当部長 今お話しの、業務・商業に重点を置いたまちづくりでは、そういった提案の実現が難しいのではないかというお尋ねでございますが、業務・商業といったまちづくりの中でも、都民提案にございました太陽光発電でありますとか風力発電などの自然エネルギーの利用などを積極的に促し、自然、環境と共生するまちとすることは十分可能であると考えてございます。
 以上でございます。

●環境に逆行する臨海開発

○曽根委員 多少屋上緑化をしたり、風力発電、それから太陽光の発電装置もつけられるかもしれませんが、ビル一棟を建てることによる環境負荷というのは、それもはるかに上回る莫大な負荷を及ぼすわけで、ちなみにちょっとお聞きしたいんですが、臨海開発地域で、住宅を除くいわゆる業務・商業ビルなどを中心とした建物で、何棟ぐらい建っていて、床面積、どれぐらいになっているのか。それから、そこに訪ねてくる自動車、年間どれぐらいの台数が臨海地域を訪ねてきているんですか。

○余湖開発調整担当部長 住宅以外の建物でございますが、三十六棟ございまして、延べ床面積合計いたしますと約二百十万平方メートルでございます。
 建物につきましては、一階建てのコンビニエンスストアのようなものから二十九階建てまで、ホテルなど多様なものがございます。
 お尋ねの臨海副都心におけます車でございますが、自動車の駐車延べ台数で申し上げますと、約四百九十万台が平成十八年、一年間でございました。

○曽根委員 業務のビル床というのは、一平方メートル当たり年間百キログラム程度の炭酸ガスを出すというふうにいわれております。しかも、ここのビル群は地域冷暖房をほとんど使っていますので、クーラーにしても、それから暖房にしても、同じ地域熱供給で受けているわけで、レベルは基本的に同じなんですね。
 そういう点で、この二百十万平方メートルのビル床から出される炭酸ガスというのほ、年間にすると二十一万トン程度。自動車からは、仮に自動車が臨海地域内を三十分程度走っていたというふうにすると、これは非常に概算的なものですが、約一万トン程度の炭酸ガスを出すことになると思います、年間で五百万台近い台数ですから。
 いろいろ自然のエネルギーを使うとか、緑も配置するとかいっても、そんなものでは到底間に合わないだけの莫大な炭酸ガス負荷、それから熱も出してしまうわけで、こうしたまちづくりそのものの環境負荷というのは、もう避けられないんじゃないでしょうか。いかがですか。

○余湖開発調整担当部長 臨海副都心の開発でございますが、長期的視点に立ちまして、省エネルギー、資源の循環利用などを行いまして環境負荷を最大限軽減するとともに、さらには生態系の再生にも配慮した水と緑の創出など、自然と共生する環境保全型の都市づくりを進めているところでございます。
 具体的には、臨海副都心のまちづくり推進計画におきまして、地域全体の面積の約二七%、百二十ヘクタールもの公園、緑地、シンボルプロムナードを設けまして、十分な公園等のオープンスペースを確保しているところでございます。
 さらに、災害に強い共同溝によりまして、その中にライフラインを設置しております。例えば、燃焼効率のよい設備によりまして省エネルギーを推進しながら、地域に冷暖房を供給する地域冷暖房システムを導入いたしますとか、あるいは、清掃車を必要としないごみ管路収集システムの採用、また水につきましても、節水を積極的に進める中水道システムを導入するなど、世界有数の環境に優しいまちづくりを行っているところでございます。

○曽根委員 今、二七%の緑化という話がありましたが、二七%といっても、実際には、プロムナー
ド橋を初めとしてコンクリートの表面のところも入っているわけですね。それを仮に全部緑地だと考えたとしても、二七%の緑地で吸収できるのは、この臨海全体から出る炭酸ガスの三百分の一以下ですよ。
 今度、構想がある海の森、八十八ヘクタール程度。これを森としてつくったとしても、それを加えても、百分の一をちょっと超えるかという程度の吸収しかできないんです。ビル「棟つぐると、莫大な森が必要になっちゃうんですよ。そういう点でいうと、やはりビル中心とした臨海開発のもともとのコンセプでその中でも、辛うじて、都民提案を受けて、多少なりとも自然や緑ということがいわれていた提案街区まで業務・商業に切りかえてしまって、そこもビルでうめ尽くすというやり方が根本的に間違っているといわざるを得ない。
 それから、熱供給や管路収集の話をされたので、言っておきますが、臨海熱供給が入っている共同溝、これも莫大な費用がかかって、一メートルつくるのにたしか二千万ぐらいかかったんですが、この熱供給のシステムを一回、冷水なり熱水が回る間に、当時、二割以上の熱を失う−−要するに、管路、二十キロぐらいのパイプを回るわけですから−−という熱効率の悪さが指摘されているわけです。
 管路収集にしても、四百トンの清掃工場、全量各ビルから吸引して、ごみが管路で吸引されて、
燃やす能力を持っているといわれていますが、四百トンの焼却のうち、管路収集で燃やしているのは一日十二トンなわけです。残り三百八十トン以上は二十三区の方から、ごみを清掃車で持ってきているわけです。
 リサイクルといっても、当時の東京都の計画でつくつたものは、今の時点で見れば、リサイクルや省エネとは全く逆行する街になってしまっているということを指摘しておきたいと思います。
 また、あわせて、有明北とか、それから今、暫定利用上ているパレットタウンのある青海の地区、こういうところは地下にまだ共同溝が入っていないわけですが、今後、暫定利用が終わって本格土地処分に入ったり、有明北についても熱供給の今のような地下の共同溝を莫大な費用をかけてつくって、しかも事業者ごとに省エネを工夫できるのではなくて、全部地下で統一されちゃって熱の効率が定められてしまうというような今のやり方は、繰り返してはならないということを強く指摘しておきたいと思います。

●臨海会計の収支はなぜ「改善」したか

 それから、臨港会計そのもののこの間の、だんだん会計の状態がよくなってきているんだということを盛んに今いわれていますけれども、以前、青島知事当時に臨海会計の見直しが行われたとき、私、経済・港湾委員会、九九年三月三日の質疑の中で、今後、臨海会計を救済するためといいますか、支援するために、東京都のさまざまな会計から臨海会計に財政支援をしたり、また負担を減らしてやったり、肩がわりをしてやったり、いろんなことの支援が行われる計画になっている、これが総額で二兆円近くになるよということを指摘して、この金額そのものについては、東京都も、支援ではないといいながらも認めた経過があるんですが、この点についての当時の答弁について確認しておきたいと思います。

○小林臨海開発部長 臨海会計を支えるための都のさまざまな財政支出や対策が全体で二兆円近くとのご主張でございますけれども、事業の性質上、臨海副都心開発事業費に該当しないものや、本来、
一般行政経費に当たるものが入っているというふうに私は考えております。

○曽根委員 そうはいっても、開発が出発したときには、例えば広域幹線道路といわれている道路については、臨海開発に不可欠な道路だと、したがって、その全部もしくは大部分を臨海開発が負担して整備するということで出発しながら、今日、その半分も臨海会計は負担していないということで、数千億円のいわば財政の負担を減らしてやる方ですね。
 それから、かつて私たち問題にしましたが、有明の丘という部分については、埋立会計から現物出資、事実上のただ取りで与えておきながら、その後、一般会計がこれをまた買い戻すという、二重に財政投入になるようなやり方をとったこと。
 それから、臨海開発地域の域内の公園や道路の管理も、開発者負担だったものが全部一般会計の方の負担に切りかえたこと、埋立会計からは莫大な開発の底地を現物出資して、最後は会計統合で全部資産に組み入れられたことなど、二兆円に及ぶ事実上の財政支援が計画され、その後の十年間を見ますと、これがただの一つも、まあ会計もよくなったからやめましょうとか、ここは会計で持つようにしましょうとかいうふうになったものはない。全部、都からの支援が行われてきているわけです。
 一、二、ちょっと具体的に今の状況をお聞きしたいんですけれども、まず道路なんですが、臨海部の広域幹線道路の事業費と負担区分、これはどうなっているのか、臨海開発の負担はどういう状況なのか、お聞きします。

○小林臨海開発部長 臨海部広域幹線道路であります放射三四号線、環状二号線、補助三一四号線、
補助三一五号線の事業費は二千八百億円、負担区分は、開発者負担二分の一、公共負担二分の一と
なっております。

○曽根委員 この開発者負担が二分の一、一千四百億円程度という中に、臨海開発の負担分というのは半分以下しか入っていないはずですね。
 それから、もう一つ、その後、広域幹線道路から外されてしまったんですが、臨海道路のU期工事、今どんどん進められています。それから環状三号線、それらの負担区分はその後どうなっていますか。

○小林臨海開発部長 臨港道路U期工事は国の直轄事業として実施するもので、事業費千四百十億円、都負担金は四百七十億円であります。
 一方、環状三号凍の整備については、区部の広域交通対策上の必要路線として、今後、街路事業として整備することとしており、事業の性質上、開発者負担を行わないとされました。

○曽根委員 青島知事のときの見直し、私もずっと見直しのための懇談会なども傍聴させていただきました。整備時期は検討しょう、開発ではもう負担し切れないからといっていたものが、臨海のU期工事にしても、今度は環状三号線もつくつていこうという話が今、持ち上がっています。
 こういう道路は、さらに今、オリンピックのアクセス道路としての位置づけが新たに加えられようとしているわけですね。特に環状三号線は月島につながっていく道路ですから、まさにオリンピックの競技施設などにつながる道路としてつくっていくという点で、オリンピックの基金も使っていくのかなというふうに私は思うんですが、この点についてはいかがですか。

○小林臨海開発部長 今も申し上げたとおり、環状三号線の整備につきましては、事業の性質上、我々は開発者負担を行わないということが決まっているということでございます。

○曽根委員 それでは、環状二号線とか臨海開発絡みの道路でオリンピックの位置づけが当然ながら出てくるものについては、今後の開発についてオリンピック基金の活用、そういうことは期待されているんですか。

○小林臨海開発部長 期待するとかしないとかという議論は、ここでちょっとできるものではございませんけれども、実際にきちんとこれまでの仕組みがあるということをご理解いただきたいと思います。

○曽根委員 なかなか正直にいわないですね。
 それでは、もう一つ、有明北の埋立地、造成がほぼ終わっていて、今後、選手村として活用しようという話が出ています。ここについては、埋立ての計画の中でもどの程度売利益を見込むのか。それで、実際にはその時点での時価になると思うんですけれども、どういう金額になるんでしょうか。

○小林臨海開発部長 有明北地区盤立地につきましては、平成十年に推計した埋立免許上の処分金額によれば約七百五十億円となっております。

○曽根委員 あそこ、選手村ということになれば住宅系になるんでしょうが、恐らく七百五十億円ではなく、臨海会計としての収支を合わせるためには、さらに多額の金額で売却をしなければならないというふうに考えていると思うんですが、こうして今日的にはオリンピック絡みで、道路や、それから有明北のような新しい造成地についても、臨海開発への支援がまた東京都によって行われていくということになりかねないと思います。

 実際、臨海開発本体のとの間の土地処分はどうなっているかということをお聞きしたいんですが、資料はいただきましたが中身、ちょつと具体的に、ここ三、四年の間に売却などで土地処分がされた点で、どういうところにどれぐらいの金額、単価で処分されたの郁を例示してください。

○藤原営業担当部長 平成十五年度から十人年度の売却実績の主なものといたしましては、平成十五年度に売却いたしました有明北地区の学校法人嘉悦学園につきましては、二万八百平米、五十九億八千八百万円でございまして、一平米当たりの単価は約二十九万円でございます。
 また、平成十六年度に売却いたしました青海T区画の株式会社フジテレビジョンにつきましては、一万九千三百七十三平米でございまして、百六十一億五百万円、単価としては約八十三万円でございます。
 それから、平成十八年度に売却いたしました有明南T区画の有明プロパティー特定目的会社につきましては、六千百八十八平米で七十一億九千万円、単価は約百十六万円でございます。

○曽根委員 これは、以前のスキームでいえば全くお話にならない値段、単価なんですね。安定強化策をつくった三年前になりますか、から見ても、例えば嘉悦学園二十九万円など、一平米当たりどれぐらいで売っていかないと最終的には収支が合っていかない、赤字が出てしまうというラインを超えているところはほとんどないと思うんですね。
 そういう点でも、実際の開発事業本体の土地処分が思ったように進んでいない。地価は何か上がってげるらしいですけれども、中心的なオフィスビル事業にどんどんテナントとして出していくというような事業としては進んでいない。来る者拒まずで、学校が来てみたり、病院が来てみたり、いろんなものがごちゃごちゃにまちをつくっていくという状態にあることは、事実として否めないと思います。
 都民の貴重な財産である臨海部の地域に、都の財政をこれ以上つぎ込んだりするむだ遣いはやめるべきだということを申し上げておきたいと思います。

●最大のムダは会計統合による開発用地のただ取り

 一番大きなむだ遣いだ.と私が思うのは、かつて埋立会計から土地を買い取って開発が行われると
いうコンセプトでスタートしたものが、途中で埋立会計から臨海会計への現物出資に切りかえました。それは幾らだったのか、そして、その後三会計が統合されたときに、その分はどうなったのか、この点についてお聞きします。

○小林臨海開発部長 三会計統合は、東京臨海地域の総合的、一体的開発を着実に進めるため、埋立事業会計に臨海副都心開発事業会計と羽田沖埋立事業会計の二会計を統合して、新たに臨海地域開発事業会計を設置したものでございます。これにより新会計が、臨海副都心開発事業会計と羽田沖埋立事業会計の二会計の資産、負債及び資本のすべてを包括的に引き継ぐという形になりました。
 この結果、埋立事業会計から臨海副都心開発事業会計への六千七百億円の出資は、新会計の資産として引き継がれたものでございます。

○曽根委員 六千七百億円、利息も含めれば、開発三十年間で一兆円を超えると言われた開発事業による埋立会計からの底地の買い取り、これが三会計統合ということでチャラになった。しかも、埋立会計から開発事業会計に、臨海会計に貸し出していたお金も含めると、その現金だけでも一兆円を超える救済に事実上なっているということが行われて、これがなければ臨海会計はとっくの昔に破綻しているわけです。それがあるから、辛うじてまだ息をついているんですけれども、こういったことが繰り返されてきたということを私は忘れることはできないと思うんですよね。

●臨海三セクの対応は、臨海開発救済の三セク版

 また、これから臨海三セクについての質問に入りますが、私、臨海三セクの今回の対応というのは、小さい親模ですけれども、それだって莫大なお金ですが、臨海会計に対してかつて埋立会計が行った支援、これとスキームの上では極めて似たような形の支援が行われているんじゃないかということで、ちょっとお聞きしたいんですね。
 九年前、九八年に、臨海三セクが大変になったということで、業務などの統合をした上で東京都が支援策を打ち出しました。私たちも、出資者だけの権限にとどめるべきなんだと、出資者だけということであれば、出資したお金はだめかもしれないけれども、それ以上お金を出す必要ないんだ、出資者、東京都は、ということをいい続けたんですが、結局、財政投入しました、無利子貸付という形ですけれども。それが、昨年決定された民事再生で、東京都が増資した分も含めて、出資額、どういうふうになったのか、また無利子貸付の金額はどういうふうになったのか、教えてください。

○山本監理団体改革担当部長 平成十年の経営安定化策におきましては、東京都の支援といたしましては、地代の七五%減額、三十億円の増資、百七億円の無利子貸付というものでございました。
 民事再生の手続によりまして資本金の減資が行われまして、このうち都の出資分は二百八十一億でございます。
 また、貸付金につきましては、百七億円のうち約九十九億円を債権放棄いたしまして、残りの約八億円の返済を受けているところでございます。

○曽根委員 出資額が二百八十億、無利子貸付が九十九億、約百億ですね、これが消えてしまったわけです。
 この支援スキームをつくるとき、私もさんざん当時の財務局長ともやり合ったんですが、財務局長もさすがに最初は、この三セクの問題は非常に頭が痛いといいながら、株式会社経営上の課題につきましては、会社みずからの責任において対応することが基本でございまして、いうまでもなく、出資者の責任は基本的にはおのおのの出資額の範囲内に限定されているんだということを明確に答弁したんですよ。しかし、今後賃料を一・五倍にふやせるとか、バラ色のような話をして、何とか立ち直りそうだから十年かけて支援するということで、お金をつぎ込んだわけです。増資もしたわけです。その結果がこれなんですね。
 ですから、明らかに十年前のスキームは破綻した、失敗したということは明確だと思うんですが、
いかがですか。

○山本監理団体改革担当部長 平成十年当時におきまして、臨海副都心開発を着実に推進していくために経営安定化策を策定し、経営改善に取り組むこととしたものでございます。この経営安定化策の着実な実施によりまして、翌平成十一年度以降は連続して営業黒字を計上してまいりました。また、この間の年間の支払い利息は四十億円以上減少しておりまして、借入金残高につきましても五首億円弱減少するなど、長期間に及びます景気低迷の中で、相当の経営改善の成果を上げてきたと考えております。
 この経営安定化策によりまして、本業でございますビル事業の収益力が強化されまして、また内部留保金も確保することができたといったような成果があったからこそ、清算ではなくて事業継親を図る再生型の民事再生を活用することができたものと考えてございます。

○曽根委員 経営が安定してきたとか、年間の黒字転換ですか、本来のビル事業がよくなってきたとかおっしゃっているんですが、しかし、一・五倍にふやさなければ採算が合わないはずだった床の賃料は、その後もほとんど上がっていない。しかも、それでもなおかつ、汐留その他の物すごい都心部の開発に負けて、ビル事業はもうほとんど見る影ないという状態ですよね。
 本体であるビル事業が順調だというお話なんですが先ほど、百八十七億円ですか、ビル事業の昨年度の売り上げが。その中で、たしか東京都の総務局の研修所がまだ入っていると思うんですが、そういう都の施設の賃料がどれぐらい占めているのか、また、ビルの賃貸ではなく、駐車場、ビルの中だけじゃなくて外にも仮駐車場がいっぱいありますが、そこの経営も入っていると思うんですが、ぞれ、どれぐらいあるんですか。

○山本監理団体改革担当部長 お話のございました東京都施設についての賃料でございますが、十八年度におきましては七億円程度となっております。それから、駐車場事業収入は二十億円程度でございます。

○曽根委員 百八十七億円といっても、そのうち一割以上、二十数億は、いってみれば本来のビルの賃貸じゃなくて、私たちにいわせればサイドビジネスである臨海の空き地の駐車場の上がりや、東京都がわざわざあの不便な臨海に高い賃料を払って、もう十年ぐらいも研修所を入れているわけですよ。十年間、賃料を足し合わせたら八十億で、立派な研修所が都有地に一棟建っちゃいますよ、まだ都有地が都内にあるんですから。
 というようなことを、事実上支援をさんざんやってきた。その上で、結局は数千億にわたる負債は返せる見通しがないということで民事再生になるわけですが、この仕組みは、結局、また、ビルの底地の分を東京都が間接的に支援してやる仕組みになっていると思うんですけれども、底地に対する臨海会計からの現物出資、それから臨海会計に対して今度は埠頭公社からの土地の供与、これについての金額を敢えてください。

○山本監理団体改革担当部長 土地の評価額についてのお尋ねでございますが、その前に、ただいまご指摘のありました都施設の入居あるいは駐車場の意義についてでございますが、東京テレポートセンターのビルに入居しております東京都の施設につきましてはそれぞれ施設の老朽化ですとか行政需要の変化といったような事情によって移転する必要があったということで入居しているものでございます。価格につきましても、適正な価格によって、商行為としての賃貸借という形で行っているものでございまして、支援というものとは全く違うものだと考えております。
 また、駐車場事業につきましては、臨海地域における駐車場不足を解消する交通対策の一環といたしまして行っているもので、これも支援というものとは違うものではないかと考えております。
 お尋ねの評価額についてでございますが、現物出資を行ったビルの底地の評価額につきましては三百十二億円、それから、お台場ライナーふ頭用地を寄附受領したわけでございますが、これにつきましては評価額四百二十二億円となっております。

○曽根委員 あえて聞いていないのにおっしゃるんだから、ちょっといっておきますけれども、研修所というものを臨海に持っていく。私たち、研修所というのは、職員が都内から通うところなので、通いやすいところに置くべきだというのと同時に、研修所を動かすのであれば、当然ながら借りる場合には適切な賃料。それが高過ぎる場合には自前で建てる。どっちが効率的なのかということを当然計算しなくちゃならない。そうでなければ「地財法」違反になりますよということを、当時、私、申し上げたんですよ。高過ぎる賃料を東京テレポートセンタ一に払うようなら、これは地財法に引っかかりますよと。地財法では、公金を使ってこういう公共施設をつくるんだから、当然市場価格を適切に見て、それを大きく超えるような、つまり事実上の余計なお金の投入にならないようにすべきだということが書いてあるわけですからね。
 ところが、最初から賃料高いんですけれども、途中から、東京テレポートセンターのほかのテナントが賃料引き上げに応じないにもかかわらず、東京都の総務局だけが賃料引き上げに応じているんですよ。そういったことまでやって支援してきたじゃないですか。
 それで、臨海三セクの今の底地の三百十二億円、さらに、その底地の事実上の穴埋めとして、埠頭
公社から寄附ということで四百億円以上の価値のある土地を臨海会計に投入する。投入したのは埠頭公社ですけれども、埠頭公社はその後、臨海ホールディングスで経営的にも連携していく。
 これは、九三年ですから十四年前ですか、行われた、埋立会計からの現物出資、そして、現物出資したんだから、これは支援じゃないといっておいて、後で会計を統合して全部チャラになるという、臨海会計に当時行ったスキームと極めて似通った、埠頭公社から事実上の供与をしておいて、後で経営は統合していくというような動きがまた行われているということは、厳しく指摘しなきゃなりません。
 とにかく臨海三セクについてはもう至れり尽くせり、ほかの企業では考えられない優遇策がずっと十数年繰り返されているということ、これをくり返してはならないということを厳しく指摘して、質問を終わりたいと思います。

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