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2007年10月24日公営企業会計決算特別委員会
中央卸売市場会計決算質疑
豊洲汚染はどんな対策とっても食品市場にふさわしくない。現地再整備を改めて検討せよ

●東ガス調査の不十分さが浮き彫りに

○曽根委員 私からは、築地市場の豊洲移転計画に関連しまして大きく二点、一つは豊洲の土壌汚染の問題について、もう一点、築地市場における現在地再整備の計画の問題について質問させていただきます。
 ご存じのとおり、私、比留間市場長にも二月の予算特別委員会で、築地市場の再整備について、これが知事のトップダウンで当時の濱渦副知事によって強引に推し進められたという経過についても質問させていただきました。
 その際、私も問題にしましたが、豊洲の土壌汚染については、都は、古い指針の基準による東京ガスの調査をそのまま採用して都の対策を実施し、これで安全というふうに豪語してきたけれども、その後の事態の推移は、都民運動に押されて専門家会議が設置され、さらに、そこでの再調査の実施の結果、基準の一千倍のベンゼンが出てくるなど、新たに深刻な地下水汚染を初めとする汚染が発見され、東京ガスの調査だけでは不十分だったということも明らかになってきました。

 そこで、最初に、東京ガスの調査の問題についてお聞きしたいんですが、この問題になっているD−12というポイントで東京ガスの調査ではベンゼンについてどういう調査をしたのかということをちょっと調べてみたら、ベンゼンの地表でのガス濃度を測定して、これがほかの地表に比べて特に高くないと判断した場合には土壌の詳細調査はしないということで、土壌調査は行われていないポイントでした。
 ところが、今回、地下水ではありますが、一千倍のベンゼン汚染が発見された。これは、東京ガスが行ったベンゼンの地下水調査の値と大きく異なるということが、先ほど質問でもありました。

 同じことを聞いてもあれなんですが、その際お答えの中で、前回、東京ガスは三メートルの深さで調査したであろう、今回は八メートル程度の深さということですか、粘性土層のすぐ上、深さが違うんですよという話がありました。

 それで、ちょっとお聞きしたいんですが、この専門家会議の記録によると、今回の地下水の調査は、きちっと調査しようということでボーリングにより観測井戸を設置して、濁りを含まないよう、観測井戸内の水量を三回から五回くみ上げることで入れかえを行い、スクリーン区間、要するに地表から下の粘性土層までの中間深度において採水したと。これが八メートルということだと思うんです。 すなわち、地下水全体について、水の入れかえも行って、全体を均等にするような調査の仕方をしているんじゃないかと思うんですが、そうすると、単に深さが違うというだけで千倍と前回の調査の一・一倍ですか、基準の、その違いは説明できないと思うんですが、いかがですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 都の行った地下水調査において、D−12の地点におけるベンゼン
濃度は10ミリグラム・パー・リッターでございました。東京ガス株式会社が行った際の濃度は〇・〇一一ミリグラム・パーリッター、でございました。
 この箇所についでは、東京ガス株式会社が平成十一年の地下水調査で、過去に土地を掘削した可能性のある地下三メートルまでの深さをボーリングし、地下水を採取してございます。今回の都の地下水調査では、地下水全体の汚染状況を把握するため、不透水層のある地下八・五メートルまでをボーリングし、地下水を採取しました。このように、、都の調査が東京ガス株式会社の調査と比較して調査深度が異なっていることから、今回、ベンゼン濃度に差異が出たものと考えられます。
 また、当該D−12地点については、委員のお話にありましたように、一回、地下水を採取しましたが、二回、三回と調査を再確認のためしております。
 また、その結果、どういった原因、あるいはどういった科学的知見であるかは、そういったデータを専門家会議の皆さんにお示しして、照査願いたい、そういうふうに考えております。

○曽根委員 非常に深刻な問題だと、私、思うんですよね。というのは、前回、仮に三メートルではかった、そのとき攪拌したかしないかはわからない、しかし、今回は明らかに攪拌しているわけですね。その際に千倍が出たということや攪拌して千倍になっているわけですから、深いところに、地下水汚染で千倍をもっと超えるような、さらに深刻な汚染濃度が、地下の粘性土層のあたりに存在する可能性があるわけですよね。その可能性がかなりの高い確率であるとすると、幾ら上の土壌を取りかえても、地下水に伴って非常に濃い汚染が絶えず上がってくるということが考えられるわけで、豊洲全体の土壌対策をどうするのかということについて、このデータいうのは非常に問題を提起していると思うんです。
 先ほど、東京ガスの調査は法令にのっとって行われているんだというふうにおっしゃいましたが、結果から見れば明らかに不十分。少なくとも、三十メートルメッシュだって不十分なんですが、それだって全部のポイントはやっていない。地表にガスが出ないところはやっていなくて、このD−12はやっていないわけです。それで、その地下に、深いところに汚染があった。これが発見できなかったわけですから、やっぱり不十分さがあったということは認めざるを得ないと思うんですが、いかがですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 東京ガス株式会社は、土壌、地下水中のべンゼンについて、平成十年から十一年にかけて、当時の技術上の基準である環境庁の土壌・適下水汚染に係る調査・対策指針に基づいて調査を実施しております。平成十四年には市場用地という特性から、当時の環境確保条例に対応して、ベンゼンの表層土壌ガス調査を八百三十一カ所で実施しております。これらの東京ガス株式会社の行った調査の内容は、いずれも当時の基準や条例に沿った内容で実施されたものであります。
 ただし、今回の都の追加調査で、ベンゼン濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から高濃度のベンゼンが検出されたため、豊洲新市場予定地の敷地全面にわたって詳細な調査を実施することにいたしました。

○曽根委員 先ほどと一言一句変わらない答弁なんですが、じや、土壌汚染対策法の中で、当時の指針、今の指針でもいいんですが、土壌汚染については、上の封じ込めだとか、基準を超える高い濃度の汚染については入れかえとか、処理とか、いろんなことがあるんですが、地下水汚染についての対策は何かあるんですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 地下水の飲用がない場合につきましては、汚染物質の封じ込めということになりまして、盛り土であれば五十センチの厚さ、あるいは、アスファルトであれば三センチ以上、コンクリート盤であれば十センチ以上の封じ込め、そういう定めがございます。

○曽根委員 つまり封じ込め以外は、地下水については対策がないわけですよね。
 ところが、今回のポイントでさらに特徴的なのは、パネルをつくってきましたが、以前あった東京ガスの工場の中で、この場所、D−12は空き地になっていた場所だと。だから、東京ガスの調査でも余り心配していなかったんだろうと思ぅんですよね、恐らく。
 私たちも、東京ガスで、このエ場で働いていた方に何人もお会いして、この場所でなぜベンゼンが出たのか、地下の深いところですけれどもと、お聞きしましたが、やっぱりわからないんですよ。
 もし、何もなかったところの地下にべンゼンがあった、しかも地下水が汚染されていたということになると、これはまだ推測の域を出ませんけれども、地下水が垂直方向に移動するだけじゃなく、水平方向にも汚染とともに移動する、汚染を抱えたまま移動するということが可能性としては出てくるわけですよね。そう考えないと、どうしても、この場所でベンゼンが出た理由の説明が今のところつかないと思うんです。こういう危険性も、今回の汚染の問題として指摘しないわけにいかない。
 だとするならば、今後の調査のやり方については、具体的に専門家からも指摘、提案が出ているわけですね、先ほどもちょっとお話がありましたが。十メートルメッシュで調査を行うこと、全ポイントについて、地下水も土簾も、考えられる各汚染物質についてもすべて調査をするということは当然だと思いますが、いかがですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 十月六日に開催されました第四回専門家会議で、今後行う調査について議論され、基本的な方向が示されております。内容は、十メトトルメッシュを基本とし、地下水調査及び土壌調査を行うこととし、対象物質は、東京ガス株式会社が石炭ガス製造時に発生した可能性がある七物質としております。
 法令では十メートルメッシュのボーリングを行うことまでとなっておりますが、今後予定している調査内容では、高濃度が確認された場合には、汚染範囲を特定するため、さらに詳細な調査を行うこととしておりまして、現行法令を上回る取り扱いだと考えております。

○曽根委員 それから、先ほど申し上げた地下水の動き、垂直、水平方向の動きをやはり正確につかむためには、これは環境学会の専門家の方が指摘していますが、例えば、雨が降った後、夏場と冬場では温度が違う、それから潮位による変化などを含めて、少なくとも一年間の継続調査を行わなければ、本当の意味で正確な汚染状況はつかめない。そのための準備及び測定したデータの分析で三年ぐらいはかかるはずだ、十カ月では到底できないという指摘があります。これは当然だと思いますがいかがですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 地下水における汚染状況の時間的変動につきましては、それを把握していこうという方向で考えております。ただし、何年間あるいは何月か、そういった具体的な調査内容については、現在、専門家会議の委員の方と調整中であります。

○曽根委員 今、時間経過も見ていきたいというお話があったので、少なくとも一年間の調査期間、
その前後の分析、準備期間、これを提案しておきます。
 さらに、さっきこれも質問があったんですが、不透水層、粘性土層、いわゆる有楽町層ですね、この下まで汚染が行っているかどうかについての調査も必要ではないか、これも専門家から指摘があります。
 先ほどは、ボーリングでもって穴をあけると不透水層の下まで汚染が広がる可能性があると専門家会議で指摘があったから、それができない理由の一つになっているようですが、だとするならば、新しい豊洲市場を建設する際には、くい打ちは、この不透水層の上でとどめるんですか。そんなことがあり得るんですか、埋め立地で。

○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議の委員から、ボーリング調査の深さは不透水層の上端までとし、不透水層を貫通することにより不透水層の下に有害物質が拡散しないようにすることが重要であると指摘されております。したがって、不透水層の下の調査をする予定はございません。
しかし、施設建設のときにはかなり深いくいを打ちます。豊洲新市場予定地の地層を見ますと広範囲にわたりまして有楽町層という粘土層がございます。その粘土層の厚さは五メーターから十メーターと大変厚い層になっています。建設工事を行いますくいにつきましては、要は中が詰まっておりまして、専門家会議の委員の方からもお話を伺いましたが、そういったくいを有楽町層の中、それは厚さが五メーター、十メーターもありますから、その中に貫通させても汚染の広がりはないだろうと。ただし、調査に関しましては、中空の管を打ちましてボーリングをしますので、そういった場合には、仮に上の地下水が汚染された場合には不透水層の下に汚染を広げる可能性がある。そういうことで、不透水層以下の調査をする考えはございません。

○曽根委員 私、ちょっと言葉は悪いですけれども、ほとんどへ理屈の世界だと思います。
 くい打ちは少なくとも数十センチ、場合によっては一メートル近いくいを打たなきゃならないわけですが、ボーリングというのはこの間、私も豊洲に行って見学しましたけれども、数センチの直径ですよ。それでもってつき破って汚染が下に、広がる危険性があるぐらい心配しているんだったら、くい打ちで仮に中が詰まっているといっても、それに伴う汚染の拡散、これを心配しない方がよっぽど非常識ですよ。
 もし、この有楽町層で汚染が上でとまっているのが実態だとすれば、ここに豊洲市場を移転して、
新市場をつくって大きな穴を何百本も開けるということが、いかに汚染の拡散につながる危険があるかということになりますよ。つまり、横は護岸でもって今のところは閉鎖されている、水平方向は満染が閉鎖されている地域ですけれども、地下については、大きな穴をたくさんあけるということは、まさに海底の方向に汚染を拡散する危険があるし、しかも先ほどのベンゼンの話、深いところに少なくとも千倍を超えるであろう汚染が現に見つかっているわけですから、そういう危険があるということは指摘しておかなきゃならない。根本問題ですよこれは。あそこに市場をつくれるのかどうかという問題につながっているということを指摘します。

 また、その調べ方についても、五メーターから十メーターもあるわけでしょう、粘性土層は。そこに汚染が浸透しているかどうかを調べるのに、何で突き破らなきゃ調べられないのか。そんなことはないわけですよ。上の方からある程度まで探さを調べれば、汚染が浸透しているのかしていないのか、わかるわけですよ、これは。いろんな調べ方があるわけで、当然ながら、汚染の粘性土層への浸透、また、その下に汚染が広がっている可能性については、科学的、合理的な方法で調べるべきだということを重ねて申し上げておきます。
 最後に、こういうことも含めて、専門家会議の四人の方だけでは、やはり本当の英知を結集することにならないんじゃないかということから、環境学会の方々を中心にクロスチェック、つまり、一定の科学的な見解や立場を異にする科学者によるチェックを、先ほど四千カ所もできないという話でしたが、何も四千カ所全部とはいわないまでも、必要だと思われるところについて行う、これは科学界の常識だと思いますが、そんなことは常識じゃないんでしょうか。いかがですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 土壌汚染調査及び分析に当たりましては、調査内容の透明性とデータの信頼性を確保していくことが重要であると考えております。
 都が行う調査、分析につきましては、調査地点、調査方法、分析機関、調査結果等、すべての内容
を公表していくことからクロスチェックを行う必要はないと考えております。さらに、約四千カ所に上る調査を別の実施者が同時に行うことは現実的とはいえない、そういうふうに考えております。
 これまで行ってきた調査結果につきましては、専門家会議で公表してまいりましたし、今後実施する調査結果につきましても、専門家会議において公表してまいります。

○曽根委員 このクロスチェック一つとっても、いかに東京都が、自分が許す範囲の中でしかこうした調査もやる気がないのかということが明らかですし、しかも、事は土壌汚染対策法で想定した土壌の汚染という範囲を超えた、地下水によって汚染がどんどん拡大、移動していくという問題の可能性が高いわけですから、法で決められた調査の方法だけでは到底間に合わないということは、先ほどの対策のお話を聞いていても、都の方だって考えざるを得ないわけです。
 したがって、これは、英知を結集して、何よりも最終的には都民の納得が得られる、関係事業者の納得が得られる方法に見直す。これからですから、つくっていく、方法を考えていくということを求めておきたい。

●さらに汚染への対策も不十分

 それで、今、調査の問題をやったんですが、さらに問題なのは、東ガスの調査が不十分だったために、その対策自体も不十分だということは、予算特別委員会で、私、指摘したんですが、実態はそのとおりになっているというふうにいわざるを得ない点です。
 これもちょっとパネルを見ていただきたいんですが、先ほど再汚染という話がありました。土壌を入れかえたんだけれども、また汚染されている可能性があるんじゃないか。私、その具体的な例として、E−26というポイントについてちょっとお聞きしたいんです。
 このポイントは、かつての工場でいうと、沈殿池のあったところ、またはその直近で、当然ながら汚染が予想されるところです。にもかかわらず、E−26の地表でガスが少なかったということで、
ベンゼンの土壌調査はやっていないんですよ。その上と下、北と南になりますか、隣接ポイントはガスが出たらしくて、ここはやっていて、間のE−26だけ抜けているんです。こんなばかな調査は、
私、ないと思いますけれども、しかし、地下水の調査で東ガスの調査で基準の百倍の値が出ていますよね。今度の調査ではどういう値になったんでしょうか。

○宮良新市場建設調整担当部長、E−26の地点において、東京ガス株式会社が行った地下水調査で
環境基準の百十倍の濃度が検出されましたが、地下水の飲用利用がないことから、地下水自体を対象とした浄化処理は行っておりません。
 また、東京ガス株式会社が同地点で平成十四年に行った表層土壌ガス調査では、ベンゼン濃度が〇・三三ppmと、土壌調査を行う基準とした一ppmに達しなかったため、ベンゼンに対する土壌調査や対策を行っておりません。

○曽根委員 基準の百倍が今回出た。東ガスの調査では基準の百十倍。今回は百倍。ほぼ同じ汚染の値が出ているということで、ここにもグラフがありましたけれども、要するに、前回と今回の調査を比べて汚染が高くなったか低くなったかというグラフでは、ちょうど線上に乗っている、同じでしたよという、一見、今回の調査の整合性を暗示させるようなグラフなんですが、実際はそうじゃないんですよ。
 ここはベンゼンではなくシアンが出て、土壌の入れかえをやったんですよね。そうですよね。だから、E−126の土壌は健全化されているはずなんです。にもかかわらず、同じ場所でまたベンゼン
が基準の百倍出た、地下水ですけれども。ということは明らかに再汚染の可能性が高いと見ざるをえないんじゃないですか。いかがでしょうか。

○宮良新市場建設調整担当部長 今ご答弁させていただきました、東京ガスの調査のことでございますが東京ガス株式会社が行なった地下水調査で、お尋ねのE−26これは環境基準の百十倍でした。
今回、東京都、私どもが行った調査では百倍でございます。
 今お尋ねのことですが、地下水位が当初想定した水位より上昇して、盛り土のレベルまで来ていることがあるのは事実でございます。今後実施する約四千カ所の地下水と土壌の調査で詳細に状況を把握し、汚染が確認された場合は、従来から予定しています土壌汚染対策のとおり、環境基準の十倍を超える汚染土壌はすべで処理するとともに地表面から旧地盤面の下二メーターの範囲についても環境基準以下とするなど、必要な対策をとってまいります。
 また、地下水の上昇により対策した土壌が再汚染されないようにするため、地下水位を一定以下に保つ対策を行っていく予定でございます。

○曽根委員 あえて、ついでにいいますと、ここで対策を行ったのは、ベンゼンを除去したというよりは、シアン対策で土壌を洗浄したというふうに記録ではなっているんですね。
 ところが、シアンについても見てみると、E−26は東ガスの調査では一・三。これは検出されないのが原則ですが、一・三ミリグラム・パー・リッター、今回は二・二ミリグラム・パーリッター。
 東ガスの調査よりも今回の調査の方が高い。二倍近い濃度になっている。土壌の洗浄をシアンにつ
いてはやったにもかかわらず、シアンについても高い濃度が出ている。シアンとベンゼンで出ているということは、ここは砒素も高いんですけれども、地下水に乗つて汚染が来ているという可能性が明らかに高いと思うんですよ。
 というのは、べンゼンは液状物質ですし、シアンについては極めて水に溶けやすい物質ですよね。シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、どちらにしてもイオン化傾向が最も高い物質ですよ。ですから水に非常に溶けやすいということから、地下水で汚染が拡大する危険が最も高いものですよ。
 そういうものについては、何度土壌を入れかえてもまた汚染されるという可能性が、地下の深いところに非常に深刻な汚染がある限り、これは何度入れかえでも対策にならないということになりかねないわけですが、先ほどのお話では、土壌の入れかえをやるんだ、地下水位が上がらないようにしたいという話がありました。地下水位が上がらないようにするということは、くみ上げか何かをして下げるということですよね。埋立地ですから、地下水位が下がれば地盤沈下の原因になるわけです。
 地下水のくみ上げで、かつて江東デルタ地帯が物すごい地盤沈下が起きたのと同じことが起きるわけですよ。ですから、新しい市場を建設するどころの話じゃなくなりますが、そんなことを、対策で本当に考えておられるんですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 当該豊洲地域の地下水位の経緯を調べますと、平成十一年、「ゆり
かもめ」の建設の際、あるいは東京ガスが土壌対策を行いました十三年当時は、AP二、旧地盤から約二メーター下、そういったところで水位が安定しておりました。
 今回の調査で地下水位が上昇しておりますが、AP二までは従来の地下水位であり、そこまで水をくみ上げても大丈夫だ、そういうふうに認識しております。

○曽根委員 この地下水位問題というのは、今回の汚染の、いわば法律でも想定されていない新しい問題です。本当に地下水位を下げて、それでなくたって不等沈下というのはどこの埋立地の建造物でも起きているわけですよね。そういう点からすると、上にコンクリートやアスファルトを相当厚く乗せるというふうなことをおっしゃっていますが、その重さによってまた沈下するんですよ。
 しかも、地下水位が下がれば、もうでこぼこになってしまうという危険だって当然あるし、それでできるすき間などから、地下水に乗ってべンゼンが上がってくるという危険性だってあるわけで、対
策については本当に難しいと思います、はっきりいって。
 よく専門家会議や東京都の説明の中で、リスクマネジメントということがいわれていますよね。
 封じ込めればリスクはコントロールできるんだというふうなことが強調されますけれども、どこま
でのリスクを許容するのかということについては、最後に判断するのは都民ですよね。食品問題ですから、これは。
 食品問題では、例えば、今、食中毒が起きていなくても、それを防止するためにみずから定めた消費期限や管理基準を自分が破る、企業が、こういうことに対して厳しい批判が出ているわけですね。食中毒が起きていなくてもですよ。それほど食品問題についての企業のモラル違反というのは批判があるわけで、それから見ると、都民がこのような対策で納得するのかという点ではいかがですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地におきましては、土壌汚染対策法の規定を上回る対策を行うことを予定しております。食の安全・安心を確保すべく専門家会議の提言を受け、施設完成後についても地下水位を、一定に保つなど、有害物賀のリスク管理も含め必要な対策をとってまいります。
 また、液状化の危険性については、サンドコンパクションパイル工法や深層混合処理工法などの地盤改良を検討しておりまして、十分な液状化対策も行います。こういうことで地震時のリスクも最小にとどめてまいります。
 さらに、新市場において、生鮮食料品は閉鎖された施設内で取り扱うこととしておりまして、液状化の直接的な影響は受けにくいと考えております。
 このように万全な対策を講じ、豊洲新市場を都民が安心できる市場として開場させていきたい、そういうふうに考えております。

○曽根委員 いろいろ対策についておっしゃいましたが、私が見る限り、どんなに対策をとっても汚染をゼロにすることはできません。したがって、食品を扱う大規模な市場として、絶対に身動きがとれないんだ、豊洲以外は絶対にあり得ないというならまだしも、わざわざ築地で今やっているものを豊洲に移転させるという必然性は全くないと思います。何も、汚染がはっきりしていて、ゼロにできない、都民的にも大きな疑問が出ているところに移転する必要はないわけですから。

●現地再整備を再度検討すべき

 そこで、現地再整備という問題について、先ほどの話では、知事もテレビ番組でちょっとそのニュアンスが出てきたようですけれども、私、何よりも現地再整備について再検討を求めたいのは、豊洲移転について余りにもお金がかかり過ぎているということなんです。土地の購入だけで、先ほど、七百億円余りですか。しかも、建設だけでも千数百億。ごれから汚染対策、恐らく調査が十五億円ですから、百億の単位になっていくと思うんです。臨海部で液状化対策をやったところから見ると、これまた数百億。莫大な費用をかけて市場を何とか安全だといって、つくっていく。物すごいお金がかかる。そのお金は、じゃあ、どこに行くのかということですね。
 先ほどちょっとお話がありましたが、結局は使用料、そこにはね返ってくるわけです。汚染対策をやって、これは東ガスが一部持つかもしれませんが、液状化対策も含めれば、そこにかかる莫大な費用は、最終的には利用料になって、事業者の方にはね返ってくるわけです。この点からすれば、現実的な現在地再整備の案をもう一度よく検討する必要があるということを申し上げたいと思うんです。
 それで、ちょっと改めてお聞きしたいんですが、築地の市場関係者の大部分が求めている、現在地
再整備の声が今非常に上がっているわけですが、さまざまなプランが出ているはずです。東京都の基本計画はきょう資料でいただきました。しかし、これは昭和六十三年ですか、これ以降にも、例えば中央区も現在現地再整備促進基礎調査というようなものを行っております、平成十二年ですが。
 それから、事業者の関係の方からもさまざまな現在地再整備のプランが出でいると思うんですが、、私が見るに、平成十一年の十一月ですか、東京都が豊洲移転を切り出した以降はまともに検討され
た跡がないと思うんですが、いかがですか。

○越智新市場担当部長 平成三年から実施いたしました築地市場の現在地再整備工事が行き苛まりましたことから、平成八年十一月の第六次の卸売市場整備計画におきまして、現行基本計画の見直しが決定されました。
 これを受けまして平成九年十月から築地市場再整備推進協議会を開催いたしまして、東京都から、立体整備から平面整備による規模縮小や施設の一部継続使用などを内容とする見直し計画素案を提案して協議いたしましたが、まとまりませんでした。
 さらに、平成十年四月には、業界六団体から臨海部への移転の可能性につきまして検討の要望があったことを踏まえまして、平成十一年二月から同協議会におきまして、東京都から新たに五つの再整備案を提案いたしまして協議するとともに、水産仲卸組合から出されました再整備案につきましても検討いたしましたが、いずれの案につきましても合意を得ることができませんでした。
 このように、これまで考えられるさまざまな現在地再整備案を検討してまいりましたが、いずれの案も合意に達しなかったことから、最終的に現在地再整備を断念するに至りました。
 なお、中央区が十二年十二月に築地市場現在地再整備促進基礎調査として調査検討を行ったことは承知しております。その内容につきましては、文献の調査やアンケート調査などによりまして、現在地の評価分析や現在地再整備の促進方策についてまとめているものでございまして、具体的な再整備のプランではございません。

○曽根委員 東京都として現在地再整備が困難であるという決断を下して、その後についても、現在に至るまで、豊洲移転がもとに戻ることはなかったわけですが、その最大の理由、現在地再整備がなぜ難しいのか、できないのかということについてはどうですか。

○越智新市場担当部長 現在地再整備に当たりましては、営業を続けながら工事を進めるために、活用できる空き地を種地といたしまして、そこに仮設建物を建設して仮移転し、さらに移転元の建物を取り壊して、再度そこに新たな建物を建てるというローリング計画を立てて実施いたしました。工事は、まず、平成三年から、仮設工事といたしまして、駐車場や卸売市場、搬出入路などの建設から進めてまいりました。その後、現に営業している店の仮移転を伴います市場棟の建設工事に入るに当たりまして、仮移転先での営業の困難さや仮移転店舗の使いにくさなど、業界団体から営業活動への深刻な影響が懸念されるようになりまして、業界調整が難航し、ローリング計画を進めることができなかったということが最大の理由でございます。

○曽根委員 基本的には、資料でいただいた昭和六十三年の東京都の計画で進めようとしたが、ローリングが難しかったということだと思うんですが、私、当時のパンフレットを関係者からいただいて見たんですが、市場の規模としてはかなり大きくとっています。業者の方が特にあれしたのは、高層棟などもつくって、ビルをつくって事務部門を集約するとか、いろんな規模の拡大を図っているんですね。
 しかし、当時から見ても、もう二十年たって、築地市場の取引量というのはどうかというと、ピーク時の七割まで下がっていうわけです。今後大きく伸びでいく可能性は少ないといわれています。マグロその他も規制がかかってきています。
 したがって、現状での取引量、これを前提としてつくれば現実的なローリングの案ができるじゃないかという案が、私、これ、たまたまいただいたんですが、平成十五年の十二月に、事業者の方々の知慮濠集めて、専門家にもお願いして、こういうプランが出ているんですね、築地市場再整備基本計画策定業務報告書ということで。
 これは専門家の、プロがつくった案ですが、この中には、築地で今やっている仲卸を初めとした方々の知恵ですね、実際に業務をやっている方が何とかこれでやれるんじゃないかと。その大きな要因は、土台は、キャパシティーを無理に大きくしない。要するに、現状を再整備していくということによって十分できるんだという案が出ているんですが、この案についてはご存じですか。

○越智新市場担当部長 水産仲卸組合でございます東卸組合から、築地市場の再整備基本計画が検討されて、内部で理事会に報告されたということは聞いておりますが、東京都にこの件につきまして報告はございません。

○曽根委員 つくられたのは平成十五年、もう既に豊洲移転が正式決定されて、事業者との現在地再整備を前提とした協議はもうやっていないんですよ、東京都は。事実上窓口がなくなっちゃっているということから、残念ながら埋もれていたんですよ。
 しかし、ここには、今読んで、まさにこれこそが築地の現実的、実際的なあり方じゃないか、方
向じゃないかというふうに思わせる問題が、事業者の知恵を集めたんですよね、よく出ています。
 汚染問題も既に東ガスの調査が出ていましたから、こんな汚染の高い豊洲に行くぐらいだったら、
築地で再整備を頑張ってやろうじゃないかという中身も入っています。で、現在地の築地のブランド
ですね、機能と、いわゆる市場の文化、これが一体となってこそ築地があるんだということも入っ
ているし、交通機関の問題、私、予特でも指摘しましたが、交通機関という点でも、中小零細のおすし屋さんだとか魚屋さんにとってはやっぱり築地が一番なんだということも含めて、本当に事業者の側で考え抜いて知恵を集めた案だなというふうに思いました。
 これは聞いていないということなので、こういうことも含めて、改めて豊洲とコストの点で比較してもいいと思いますよ。本当に事業者、都民の食の安全にとって何がいい、どちらがいいのかということをまじめに、公平に検討するというお考えはありませんか。

○越智新市場担当部長 築地市場の現在の取扱量は、再整備計画を策定いたしました昭和六十三年に比較して減少しておりますけれども、近年、多様化いたします顧客ニーズに対応することが必要なことから、きめ細かな仕分けや加工が求められておりまして、それらの作業を場内通路や荷物の保管スペースなどで行っている状況がございます。
 加えまして、輸送車両の大型化などによりまして、駐車場や荷をさばくスペースも不足しておりまして、新たにローリング工事用の種地を確保することは当時以上に困難となっております。
 また、現行の敷地面積では、温度管理の徹底など、品質管理の高度化や物流の効率化に対応した施設を整備することができず、基幹市場としての役割を果たすことはできません。
 さらに、アスベスト対策として、現行施設の取り壊しに当たって、一定期間、広範囲にわたって市場機能の一部を停止せざるを得ず、市場業者の
営業活動に深刻な影響を及ぼすということになります。
 このような理由から、現在地再整備は不可能であるというふうに考えております。

○曽根委員 そういったアスベストも含めた問題についても十分熟知している事業者の方々が、これがベストだとは私もわかりませんが、しかし、一つの極めて現実的、実際的な案としてつくっているわけですから、これをぜひ検討していただきたいということを、最後ですから、比留間市場長にお聞きしたいんですが、公平な立場で、この際、改めて、豊洲にしがみつかないで、検討するというぐらいのことはあっていいんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

○比留間中央卸売市場長 築地の再整備の問題については、昭和六十三年に基本計画を策定して、平成八年にローリング工事が中断するまで、かなり築地の業界全体で知恵を絞って、業界だけではなくて私どもも含めて、築地市場全体で知恵を絞って、なおかつ解決案が出てこなかったという状況にあるというふうに考えております。
 現在、築地の市場というのは面積が約二十三ヘクタールですが、今回、豊洲の新市場の予定地は約四十ヘクタールを予定しておりまして、これは大体大田市場と同じような規模でございます。大田、四十ヘクタール、あそこは、大田市場に移転したのは平成元年だったと記憶しておりますけれども、広大な市場というふうにいわれましたが、現在、大田市場、あれでも手狭になっている。
 結局、物流の変化の中で新しい機能を設けていかなければならない。今、市場が全体として転換期にあるのは事実でござまして、築地がこれから将来にわたって首都圏の基幹市場として機能していくためには、新しい機能をあの中に何としても入れていく必要があるというふうに考えております。
 それは、品質管理の高度化でございますとか、それから、顧客のニーズに対応した荷さばきのスペースでございますとか、そういう今、築地に決定的に不足している施設を持っていかなければ、長い将来これから三十年、五十年将来を見据えた築地の発展はないというふうに考えておりまして、私ども、現時点で築地の再整備、これは現実的な案ではないというふうに考えております。

○曽根委員 最後に、これは意見にしておきますが、やはり市場長の意見は、東京都が持っている築地の市場の今後の構想に沿ったものだと思います。
 したがって、規模的にも、それから市場の持っている役割、大規模な流通業者に対応できるだけの物流も確保するというようなことも含まれてくるんでしょう。
 しかし、それが築地の今後のあり方の唯一の姿なのかという点では、私は、率直にいえば、私たちの町場で一生懸命頑張っている、魚介類を中心として扱う食品業者の方々の意見は違うというふうに率直に申し上げたい。
 やっぱり東京で営業している庶民の食を支えている中小零細業者の方々が、今の市場の役割を基本的に守っていくことが築地のあり方であってほしいという点から、この現実的な再整備案を出しているのであって東京都の構想だけを押しつければ、築地市場が本当の意味で都民の線に立つものになるということにはならないということを最後に申し上げて、終わります。

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