2006年11月2日財政委員会質疑 財政プランの被害、工事入札、庁舎清掃の実態を告発 ○曽根委員 最初に、財政プランの最終年度ということで、先日は財政指針については質疑しましたけれども、昨年度の決算が確定いたしましたので、その内容も含めて若干聞いておきたいと思います。 昨年度の決算の委員会でも、もしかしたら聞かれたかもしれませんが、財政プラン二年目の昨年度の都税収入について、これは第二次プランをつくったときの見込みに比べて、どれぐらい都税収入が伸びたという、最終結果になりますけれども、お願いします。 ○安藤主計部長 平成十七年度でございますが、プランの見込み額では都税収入は三兆七千九百億を見込んでございましたが、決算では四兆五千九百九十六億ということで、その差額は八千九十六億円となってございます。 ○曽根委員 たしか十六年度、おととしについてはプランの見込みから四千億円程度の伸びだったと思います。昨年度が八千九十六億円の伸び、今年度はもちろんまだ確定はしていないんですが、さらに伸びている。 単年度で八千億円以上も見込みを上回っているということは、何を意味するかというと、今年度で最終年度を迎える財政プランは、都の側としては最悪の想定を持って、財源不足が生まれるということも見込んで、厳しく歳出を抑えるということはもちろんやってきた。 そういうことで、私たちが求めてきた都民の直接サービスなどもかなり抑え込まれただけじゃなくて、かなり削られた部分もあります。 にもかかわらず、単年度で、もう二年目で八千億円を上回る増収といいますか、都税収入があったということでみれば、確かに財源不足が三千億円以上出るだろう、これは埋めなければならない。減債基金など繰り延べてきた分もある。これは多少は穴埋めが必要だというのはわかりますが、それにしても数千億円の財源が残るじゃないか。 もともと財政プランをつくったときには、お金不足ということで、都民要望にこたえ切れないということで厳しく抑えてきたわけですから、この間の財政的な状況がある意味では一変したという状況を踏まえて都民要望にこたえるのは当然だというふうに考えるわけです。 しかし、昨年度に新たに大きなお金が使われたのは、例えば新銀行、この結果、私も先日、代表質問で取り上げましたが、目標に到達せず、場合によっては破綻の危機もというふうにいわれる事態です。長い目で見ろと知事はおっしゃっていますけれども、その後として一千億円が本当にまるまるパアになるという危険さえあります。こういうことにやっぱり使われてきたということについて、私は厳しい反省が必要だろうというふうに思っております。 それから、オリンピックの基金としての積み立てがことしから一千億円ずつ始まりました。これについても、私どもの試算では、毎年一千億円の基金積み立てでオリンピック関連投資が足りるとは思えない。今後何年にもわたるオリンピック関連需要を見越してということで、場合によっては単年度の積立額もふえていくのではないかという危倶を持っています。 そこで、お聞きしておきたいのですが、オリンピックの積立基金について今年度を含めて四年間一千億円ずつというフレームが示されていますけれども、これがどの程度のコンクリートされたものなのか、この四年間については、単年度の積立額が一千億円を上回ることは絶対にないのかどうか、この点についていかがでしょうか。 ○安藤主計部長 お話しのとおり、オリンピック基金につきましては、この夏に発表いたしました指針の中で、十八年度は一千億、その後一千億程度をフレームの中に盛り込んでおるわけでございますけれども、このオリンピックの基金の対象となります事業につきましても、これも以前から申し上げているところなんですけれども、今後、オリンピックの全体計画や二○一六年の東京の都市像が明らかになる中で定まってくるというふうに考えてございます。 そうした中で、基金の積立額につきましては、フレームでは一つの目安と考えてございますけれども、各年度の具体的な積立額、あるいはとりあえず当面二十年度までの千億ということになっておるわけですけれども、それ以降につきましては、やはりそのときの財政状況、あるいはトータルの事業費が前提になるわけでございますけれども、それを踏まえてそのときの財政状況とか、世代間の負担の公平など、やっぱり総合的に勘案しながら判断していくことになると思っておりまして、四千億というのはフレームにおける一つの目安であるということは変わりないと考えてございます。 ○曽根委員 四年間がたった後のことについては、もちろんその先についてはわからない、総合的な判断と。 私はもう一回ちょっと確認しておきたいのですが、このフレームの期間、四年間についても必ずしもコンクリートされている、財務局としては一千億円は用意できますよと出したんでしょうけれども、それすら場合によっちゃ変更もあり得ると思うんですが、いかがですか。 ○安藤主計部長 私どもは、中期的な財政運営の考え方としてフレームをお出しをいたしました。単年度につきましては、税収等もまだわかりませんので、一つの目安というふうに考えてございますけれども、各年度の具体的な積立額はやはり毎年度の予算編成の中でそのときどきの財政状況とか、あるいは繰り返しになりますけれども、世代間の負担の公平などを総合的に勘案しながら、その時点でもって判断していくことになるというふうに考えてございます。 ○曽板委員 そういうことで、話もコンクリートされていないと。どう考えても、かなりの財政負担が都に来るだろう。道路も急いでいるわけですよね。知事が急がせている。 オリンピックのプレゼンテーションでは、東京プロパーの財政の責任で遂行する自信があるとまでおっしゃっています。プロパーということは、独自に金出しますよということですから。そういう意味でも、国がああいう財政状況のもとで、東京都が何が何でも東京にオリンピックをということで推し進めれば、じゃ、お金の方はよろしくお願いしますよということになりかねないということは、だれが考えてもわかるわけで、これは非常に危険な方向に進もうとしているということを、まず指摘したい。 その上で、私、最近本当にショックだったんですが、ある職員団体と都庁の労務担当ですね、交渉の場面がありまして、出てきたのは課長級のちょっと下ぐらいの方ですよ、もう現場に近いところの労務関係の職員団体との交渉、ここで相変わらずその担当者が東京都にお金がないんですということで、要するに職員の雇用問題での年間せいぜい百万円かかるか、かからないかぐらいのちょっとした就業問題の改善にも乗れません、お金がないんですといっている。 知事の方は、財政再建に区切りがついたといっているんだけれども、現場の方の労務関係の職員は相変わらず頭の中には赤字、赤字でいっぱいになっているというのがあるということを知りまして、これは大変なことだ、七年間も連続赤字といっているうちに、もうこびりついちゃっている。 そういう発想がやっぱり財政運営にも随所に見られるんじゃないかということで、これはちょっと財務局としてはどうなんだということをお聞きしておきたいのですが、例えば私どもは福祉関係を一生懸命いってきました。一つは、シルバーパスについては、非課税から課税になっていきなりはね上がってしまう人が出る、それについては暫定措置がことしは実りました。しかし、ことし限りですよと、前回、私が代表質問してもいわれています。来年度ははね上がってしまう。もう経過措置でもないわけですよね。激変緩和でもないわけです。ただ、一年送っただけということになるわけですね。 前回、無料から二万円にはね上がる人が出たときは、五千円ずつ上がったんですよ。それで、今回は一年送っただけで、知事選挙が終わればはね上がりますよという話なんですよ、要するに。 そういう問題とか、それから子どもの医療費についても、この間新しい制度が出ました。これは来年の予算にかかわることだから、余り詳しく聞きませんが、三割負担を二割負担にするという。しかし、希望としては、だれが考えても乳幼児と同じようにやっぱり一割負担もないようにしてほしい。やっぱり全額持つような方向でやってほしいというふうに願っているわけですよ、少子化対策としても。これらを来年度以降も維持したとしても、例えば一千億円の基金があったって、なおかつ財政的には余裕があって十分できるだけの力はあるわけです。 こういった担当当局が、福祉局などがその負担の存在というものを認めて、暫定的には経過措置をとって、激変緩和というか、要するに負担の緩和をしようということがやられているものについてさえ、その先が続かないという事態について、財務局からお金がないということについての縛りがかかり過ぎている、この七年間で。私は、やっぱり財務局を先頭にこうした財政運営についての大転換をやらなければならないときだと思うんですが、いかがですか。 ○安藤主計部長 本件については、曽根先生と何度も何度もいろんなところでお話しをさせていただいていますが、この間の都財政の状況を見たときに、やはり安定的な継続可能な財政をつくっていくことが非常に大切だということが私どもの教訓でございます。しかし、そういう中にあっても、伸ばすべきものほ措置をしてきたと私どもも思っておりますし、そのことについていえば、都民のご理解はいただけていると思っております。 職員のために使わないという一つの例がありましたが、これはまさに財政構造改革を進めていく中で、人件費を中心とした固定費をいかに抑えて、それを政策的なものに回していくかということの努力のことを指しておるのであって、労務担当の職員もそのことを踏まえて物をいっているんだというふうに思います。それはそれで、むしろこれまでの努力が都民の中に浸透し、都として進むべき方向はよく職員にわかっているということではないかなと私どもはそう思っております。 また、福祉関係につきましても、ことしの予算特別委員会でさまざまな議論がございましたが、私どもは、そのときどきに応じた事業に対してはしっかりこたえているというふうに考えてございます。 その上で今般、指針を出しましたが、その指針は、不安定な税収の中にあっても、安定的にサービスを続けていくための指針だというふうに思っております。サービスを充実しつつ、やはり財政体力をつけるための基金の積み立ても行いますということで、我々はこの間の反省を踏まえて、将来にわたって指針では新しいステージと呼ばしていただいておりますけれども、財政再建に一定の区切りがついた上でさらに発展させるための一つの考え方を申し述べたということで、今その視点に立って来年度の予算編成を進めているところでございますので、来年度予算でまた改めてご議論できればというふうに思っております。 ○曽根委員 この問題については、来年度予算の審議でまさにやらなければなりませんし、一方で、都民のためにさまざまな行政サービスをするということが使命の東京都が、片方でオリンピックのために出さなくてもいい金まで出してやろうという浪費が、私たちから見れば、新たな浪費が出てきている一方で、実際には持続可能な制度とするためにということで、せっかくやりかけたいい制度までなくなってしまうようじゃ本末転倒ということだけは言わせていただきたい。 ●公共工事入札について見直しを もう少し財務局自身の仕事に立ち入って、都民や都内で働く中小零細企業の方々への影響について、具体の質問をしていきたいのですが、先ほどもちょっとありましたけれども、公共工事の入札について私からも質問したいと思います。 資料もいただきました。きょう私が取り上げたいのは入札の事前公表制の問題なんです。 これは私たちも要望した経緯があります。実施されて五年ぐらいになるかと思います、モデル的に実施されてからも含めて。 成果と問題点を検証する時期だと思うんですね。東京都が公共工事の入札予定価格を事前公表に踏み出したその理由、これは基本的に変わっていないと思うんですが、どういう点があるでしょうか。 ○竹本参事 東京都は平成十年度より予定価格の事前公表を試行的に開始しました。平成十四年度からは対象を二百五十万を超える工事に拡大したところですが、事前公表により入札契約手続の透明性が確保されること、情報漏えいなど不正な入札への抑止力となり得ることなどから、本格実施をしたものでございます。 ○曽根委員 足かけ七年ということですか。それで、透明性だとか、それから官製談合というような国で起きている事態を防ぐという点では、確かに効果があるのかなというふうに、これ以上の絶対的な方法はないと思うので、効果はあるかと思いますが、これにかかわる、例えば公正な競争の確保という点だとか、また、公共工事を担っている建設業界、なかんずく中小建設業者の経営の健全性を確保する。東京都だけでは公共工事はできないわけで、やっぱり事業者が担っていて、しかもちやんとそこから正当な食いぶちが稼げるという点での弊害というものはないのか、それについての認識はいかがですか。 ○竹本参事 ただいま、委員もご指摘いただきましたが、その効果はあったとお認めいただいておりますが、私どもも透明性の確保、情報源えいなど不正な入札への抑止力としての効果は十分あったと認識しております。 この予定価格の事前公表に踏み切るに当たりましては、事前公表すると、例えば落札価格の高どまりになるのではないかというような懸念がございました。これにつきましては、財務局発注工事の落札率を見ましても、平成十五年度が九○%、十六年度が九○%、十七年度が八八%というもので、落札価格の高どまりは発生してございません。 また、事前公表すると建設業者さんが見積もりしないのではないかというような懸念につきましても、入札時に積算内訳書を持参していただき、提出、見せていただく。事前公表にかかわる懸念、そのような懸念に対しては、ただいま申し上げましたようなことで、適切に対応してございます。したがいまして、私どもといたしましては、弊害が生じているとは考えてございません。 ○曽根委員 私はわざわざ、公共工事を担っているのは都の職員ではなくて、実際には事業者のわけで、食べていかなければならない、特に中小零細な業者にとっての経営健全の維持という点もお聞きしたんですが、ちょっとそれは触れられなかったんですけどね。 具体的にいいますと、資料にあるように、三百九十二件の最低制限価格を設けた件数、事前公表の中でも総体的には小さい方の工事ですよね−−の中に四割ぐらいですかね、やっぱり最低制限価格と同額で落木L しかも、この多くは、何社も同額で入札してくじ引きになるという事態が、現実に四割ぐらいのところで発生している。先ほど見積もりをつくらなくなる危険があるといったけど、小さい工事ではまさにそういうことがあるんじゃないかとさえ私は思いうわけです。細かい見積もりを取らない場合は、なるわけです。 そうすると、最低価格で入札しないと取れない、ちょっとでも上回れば、そこに張りつくのが何社もいるんだから、取れないということがわかっている場合にはどうしてもここに、下にみんなが集まってしまうということが現実に今起きているわけです。 もちろんこれでも競争なんだと。競争で一番下の額がどうしてか同じになった場合にはくじ引きになるというのは、規定上そうなっていますよねっ競争なんだというふうに都は認識していると思うんですけれども、実際には本当に公正な競争といえるのかどうかという疑問があります。 そこで、こうした問題を、やはり正当な競争を確保するということや、例えば一般的に使われている八○%の最低制限価格の場合には、そのほとんどの落札企業はその仕事自体は赤字でやるというふうになりますので、場合によっちや下請に行ったり、その会社がかぶったりするということで、こうした問題を解決する方法としては、いろいろと対策を打っているんじゃないかと思うのですが、その点について、中身とその効果についてお聞きします。 ○竹本参事 くじ引きによる落札につきましては、現行法制上、落札となるべき同額の入札をした者が複数あるときはくじ引きで落札者を決めなければならないと規定されており、公正な入札の結果であると考えております。 そのくじ引きについては、先ほど先生もそのようにご判断くださったのかなと受けとめておりますが、公正な競争であるのかというところにつきましては、そのような意味で、くじ引きにおきましての公正な競争であるというふうに考えております。 また、最低制限価格の設定でございますが、予定価格と最低制限価格の範囲内で申し込みをした者のうち、最も低い価格をもって申し込みをした者を落札者とするということで、最低制限価格と同額ということをもって競争にならないというのは全く当たってないと思います。 また、最低制限価格は、当該契約の内容に適合した履行を確保するために必要であると認めたときに、あらかじめ設定をするものでございまして、何%ということで決まっているものではございません。当該工事ごとに予定価格算出の基礎となりました直接工事費、共通仮設費、現場管理費から算出してございます。案件ごとに一件、一件算出しているところでございます。したがいまして、契約内容に適合した履行を確保できる価格であると私どもは考えております。 それで、先ほど積算内訳書の持参提出を義務づけるですとか、内容に不備があった場合には失格とするというようなことを申し上げました。このことによりまして、仮に一律に何%と積算しないでくるような、そういう不良、不適格な業者さんがいらっしやるとすれば、積算内訳書不備のある場合には失格とするということによりまして、そういう不良、不適格業者の参入を防いでいるところでございます。 さらに、昨年度から執行しております施行能力審査型総合評価方式を始めました。この施行能力審査型総合評価方式におきましては、従前でしたらくじ引きとなっているような案件におきましても、価格以外の要素として、施行能力の評価点が高い者が落札する、そういった絞り込み効果が認められております。今年度はさらに制度を改善し、執行の拡大を図っております。 ○曽根委員 確かに総合評価制度を導入して、前回の定例会のときに私も資料をいただいてわかったんですが、価格が高い方の企業であっても総合評価で点数が上であれば、その企業が落札するという例がありました。そういう意味ではやっぱり品質、その会社の実績や能力をきちんと正当に評価できれば、そういうことも可能になるということがあると思うんです。 しかし、多くの同額入札というのがかなり小さい規模の工事で起きているというふうに私は聞いているんですね。そういうところは大体一律に八割という形での最低制限価格になっているために、もうわかってしまうということや、それから見積もり云々でもって、その会社の実績で争うといっても、総合評価といっても難しいと、規模からいって。ということでたたき合いになっているんだというのが現実だという訴えを私たち聞いています。 そこで、その方々の企業の多くの団体が今いっていることは、予定価格を事前公表するかわりの制度がさまざまな制度としてできてきているということから、公表しなくても談合を防ぐ、透明性を確保する方策も整ってきたんではないかということで、全体を見直していい時期ではないかという訴えを聞いています。この点についてはいかがでしょうか。 ○竹本参事 先ほど来申し上げてきましたが、予定価格の事前公表につきましては、その透明性の確保、不正な入札への抑止力になり得ることから、引き続き事前公表を実施してまいります。 事業者さん、団体からそういうことを聞いているかということでございますが、そのような要望も伺っておりますが、事前公表につきましては、東京都の考え方を説明し、理解を求めてきているところでございます。 ○曽根委員 確かに談合防止と透明性という点では、これ以上の透明はないわけです、入札額を事前に発表するということは。都の側では、いってみれば、それで完全になりますよね。しかし、そのために、それを支えている実際の民間の事業者で、しかも大きな額の入札ではそういう土とが起きないのですが、やっぱり小さな額では、その仕事を取らないとどうにもならないという零細な方々がかかわっているということで、どうしても赤字覚悟で取ってしまうという問題が実際に起きています。 そのことを含めて、総合的に事前公表性については、ぜひ入札制度全体の見直しの中で再検討していただきたいということを要望しておきたいと思うんです。(「具体的にいってよ、わからないよ、何をいっているのか」と呼ぶ者あり)具体的には、また機会を見つけてやりましょう。 ●庁舎清掃の労働実態は・・ それから、これはもう一つ、財務局の仕事として都庁の維持管理があるわけですが、都庁の維持管理の清掃について、これも私は入札の仕組み上の問題を感じているんですけれども、そのために資料もいただきました。庁舎の清掃の委託の状況を出していただいたんですが、この間でも大分下がってきていて、平成十六年度に極端に金額が下がっているわけですね、落札額が。これは何か入札の仕様が、内容が変わったのかどうか、それとも単純に落札額が低かったのか、この点についてはいかがでしょうか。 ○岡沢参事 十六年度の清掃委託費についてでございます。ここで一度下がっております。 清掃委託費につきましては、個々の委託費についてみますと、これは競争入札でやっておりますので、入札参加企業の価格競争の結果として理解するほかはないだろうというふうに考えてございます。 ○曽根委員 それにしても、庁舎の建物清掃委託の予算を私はずっとさかのぼって調べてみたんですね、そうすると平成七年度には、同じ庁舎の清掃なんですが、十六億八百万円なんですよね、平成八年度は十四億五千五百万円、平成九年度は十∵億円台になる。下がってきているんですけど、そのペースでずっと下がってきて、今は四億円台ですね。三億まで下がったことがある。同じ場所を清掃していてこれだけ下げられるというのは、確かに仕様の中身が違っているんだと思いますよ、週に一回ガラスをふくのか、月に一回ふくのかで違いますから。それにしても同じ場所を清掃しているのにかなり下がってきていて、しかも三億円台の入札額になっている。それで落札できるというのは、余りにも落札額が低くなり過ぎて、実際に受けている事業者の側では相当な矛盾を抱え込んでいるというふうな実態はないのでしょうか。 この点については、下がり過ぎという問題はお感じになりませんか。 ○岡沢参事 ただいまお話しの中でもございましたとおり、この間かなりの仕様の見直し、事業の見直しをやってきております。例えば、窓ガラスについては、当時一月に一回だったものを四月に一回にしております。これだけで四分の一になります。こうしたことの結果が、一番大きな流れの要因だろうと私は判断しております。 以上です。 ○曽根委員 確かにそういうふうな、何も月に一回磨かなくてもというものはいろいろあると思いますし、額が下がること自体について、とやかくいうわけじやないんですが、しかし、余りにも下がり過ぎているということと、財務局としては当然ながら、やはりこの建物をちゃんと維持していく必要最小限の清掃ということでやってきていると思うんです。 そこは当然、節減努力されている。その積算の予定している入札額よりもさらに、半分かどうかわかりませんが、何割も下げて落札している事業者の側で、本当に清掃の品質を維持できているのかなという疑問がやっぱりわくわけです。 そうしてみると、十七年度にまたその額が戻っているというか、上がっているという中に、入札の中身としては非常に不安定なものがあるのかなというふうに思えてならないのです。これは、私が思うには、入札する事業者の側でどれだけの人の雇い方をしているのかということは、落札の上での判断の基準にはならないというふうに聞いていますので、そのことで、いわば低ければ低いだけいいと、実際上は物品を買うのと同じような扱いになっているんじゃないかなということが原因かと思うんですが、実際の事業者がどれぐらいの、例えば時給とか、そういう条件で作業する人たちを雇っているかというふうなことは把握されているんでしょうか。 ○岡沢参事 働いてもらっている従業員の収入、賃金の把握についてでございますが、従業員の賃金でありますとか、給与の額をいかに設定するかということは、受託した会社が経営上の課題としてそれぞれ独自に判断する問題だろうというふうに考えております。したがって、発注者である都といたしましては、そうしたものを把握してはおりません。 ○曽根委員 私、たまたま昨年の春に、ここの清掃をやっている作業員の方々が入っている労働組合があって、その新年会に呼ばれまして行ったんですよ。とにかくひどい労働条件だというわけなんですよ。とにかく下げて下げて、もうこれ以上ないぐらい下げた。それでも今度の春の入札で、うちの事業所が取れるかどうかわからないと。実はそこは取れなかったんですよ、去年の春、負けたんですね。だから、取った方はもっとたたいたんだと思うんです、金額をね。 そのときに話に出たのは、もう完全に年収百万円は割っていますと。正規の労働者としても雇うのはもうできないと。パートで雇って、しかも最低賃金価格を時給で割るわけにはいかないんでしょう、それは違法になりますからね。そうすると一人分の働く日数を減らして、結局ほかの仕事はできないんだけれども、その仕事で食っていけなくなるということなんですよ、年収百万円を割り込んでいくとね、数十万円になっていくと。いうところまで労働条件が落ちているんですという話を聞きました。 私、都の職員の方と比べてはいけないんでしょうけれども、同じ都庁の中で仕事をしている労働者として、労働に格差というものはないんでしょうけれども、余りにも労働条件、貸金の格差があり過ぎるということについては何らかの是正策がとれないものか。 例えば、少なくとも法に反するような、または年収百万円を切って自立できないような労働の雇用の実態について、やっぱりチェックするとか、何らかの評価制度を設けて正規の雇用者の方を優先するとか、そういった方法をとることはできないんでしょうか。(「みんな公務員にしろということか」と呼ぶ者あり) ○竹本参事 受託会社さんの給与等の労働条件につきましては、各社ごとにそれぞれの給与規定などを踏まえて定められているものと理解しております。会社には会社ごとの経営方針があり、経営の戦略に基づいて営業活動を行い、東京都との契約だけではなくて、さまざまな業務を受注しております。 給与支払い額自体はこうした経営方針によるものであり、どのような雇用をするかは、会社がそれぞれのお考えのもとに決定していると受けとめております。したがいまして、一律に契約制度で対応するものではないと考えております。 ○曽根委員 そういうふうにいい続けているんですけれども、こういう政策はとっているわけですね、例えば環境問題に対応した業者については、やっぱり東京都の仕事で、都庁に出入りする車の環境対策とかそういったことで、ある一定の今の時代に求められている基準でもって、事業者の選定の中に物差しを入れるということが、環境問題などではやられているわけです。 私は、今、雇用の格差ということがこれだけ社会問題になっているわけですから、少なくとも違法な雇用実態にあるようなものは、絶対に都庁でそういった委託に入れないような仕組みぐらいはまず必要じやないかと思いますので、そこをいわば出発点として、適切な都庁内、または東京都関連の委託の事業者、私は全部公務員にしろなんていっていませんが、委託でやっているものについて、少なくともまともな労働者としての暮らしができるだけのものを保障できるような雇用の仕組みというものを、全体として保障していく何らかの制度が必要であるということを申し上げて、ちょうど時間ですので、質問を終わります。 |