2005年3月16日都市整備委員会 都営住宅の高齢化対策・指定管理者制度・マンション対策・高速道路品川線を質疑 ●都営住宅の高齢化は待ったなし ○曽根委員 私からは、最初に都営住宅の高齢化対策の問題と、それから指定管理者制度が今度提案されておりますので、その内容について、何点か聞きたいと思います。 都営住宅の制度は、都民を対象に、実は年齢階層で見ると、非常に対象の範囲に差がありまして、固定資産を持っている人は別なんですが、持っていない方の中で、若年層でいえば二割弱ぐらいの方しか申し込み自体ができないと思いますけれども、高齢者では八割ぐらいの方が申し込み資格を持っていると思います。そういう意味では、この制度をそのまま自然に運用していくと、どんどん高齢化していくということが必然的に起こってきます。既に団地によっては高齢化率が五割近くになり、もしくは五割を超えようという団地も生まれています。 そういう中で、東京都でも既に住宅局当時に都営団地の高齢化対応について検討されたことがあると思いますけれども、今日現在の東京都の都営住宅における高齢化対策というのはどういうものがあるでしょうか。 ○石井参事 都営住宅居住者の現在におきます高齢化対策ということでございますが、現在、都営住宅の建てかえに当たりましては、住戸内の段差の解消などバリアフリー化に努めているとともに、平成十三年度には高齢化する都営住宅及び周辺地域の活力の維持向上を図るため、裏年ファミリー向け期限つき入居制度を全国に先駆けて導入したところでございます。 さらに、居住者の高齢化に対し現地管理を充実させるため、平成十四年度から巡回管理人制度を導入しているところでございます。 ○曽根委員 高齢化のために、卑近な詣でいえば、もう共用廊下や階段の清掃もままならない、草取りもままならないというようなところも生まれてきております。また、私の身近にも都営団地がかなりあるんですけれども、精神障害者の方が住んでいたりすると、壁じゅう落書きだらけというような場合や、それから大きな団地になると、必ず毎年何軒かのお宅で孤独死が発見されるというようなこともあって、毎年事故住宅という形で募集をしていますけれども、数十件募集になるわけです、それだけの数が東京じゅうの都営団地で、住宅の価値としては極めて下がってしまうということになるわけです。 私は、率直にいって、高齢化がこれ以上進んでいくと、公共財産としての価値そのものに大きなマイナスになりかねない団地が出てきている。これからますますふえていくんじゃないかという危倶を持っているわけです。したがって、巡回管理人制度も今、大体一巡したところでしょうかね。来たという話をお聞きしているんですけれども、次にいつ来るのか、年に一遍来るか来ないかという形で運営しているだけで、二十六万戸に及ぶ公共財産としての都営住宅を維持保全していくことは大丈夫だろうかと、これは公的な立場から考えなければならない問題だと思うんです。 そういう意味で、これは繰り返し求めてきておりますので、ちょっと質問はしませんけれども、やはり団地ごとに、一定の規模以上の団地には固定的な管理事務所なり窓口を置くとか、管理人を置くとか、かつてとっていた制度の復活も含めて考えてみる必要があるということを要望しておきたいと思うんです。 さらに、具体的にこういう場合があるんですね、超高層、またはそれに近い都営住宅がもう既にたくさん都内にも建てられるようになってきました。そういう場合には、その建物の中に防災センターを置くということが、これは消防法で義務づけられていると思うんですね。二十四時間対応で職員が派遣されている、常駐しているということになります。 また、その規模の都営団地には大体どこにもシルバーピアが何十戸か入っていますので、それをお世話をするライフ・サポート・アドバイザーですか、LSAの方が住んでおられる、世話に当たっているという形で、何人か、東京都の職員ではありませんけれども、公社とか何とかの委託で職員がいるわけです。 例えば、火災のときには、もちろん防災センターが動くわけですが、そうじゃない場合にも、これは住んでいる居住者にとっては非常にありがたいことであって、緊急通報で、インターホンが各戸についていますから、ボタンーつでセンターにつながるわけですね。緊急事態が起きた、例えば倒れた、ぐあいが急に悪くなった、これは事実上緊急通報できるようになっているわけです。それで救急車を呼んで、一命を取りとめたという場合も現にあるんですね。大体、火災なんかはほとんど起きないような建物になっていますから、少ないにしても、そういうことはかなり日常的にあるわけです。 そこで、これは東京都自身がやるとなると、団地によって機能が違いますから、難しいでしょうけれども、地元の区市町村が主体となって、そういう機能を持った団地については高齢化対応で、緊急の事態の場合、介護や医療の面でも緊急対策をとれるようなネットワークをつくるというようなことを、東京都はそこに財産を持っているわけですから、区市町村がやるということになれば、協力することはできると思うんですが、こういったことをモデル的にでも始めようという場合には連携をとる必要があると思いますが、いかがでしょうか。 ○松村参事 これまで都では、高齢者住宅対策の推進を図るため、高齢者向けの集合住宅であるシルバーピアを整備してまいりました。シルバーピアでは、居住者の安否確認や緊急時の対応に加え、地域での自立した生活を支援するため、市町村がワーデンやLSAなどを配置し、連携して施策を推進しております。 高齢者の介護予防、生活支援については、区市町村が主体となって行うべきでございます。お話しのネットワークづくりを都が主体となって実施することは考えてございません。 ○曽根委員 都が主体となるのは、団地ごとにいろいろな例が違いますから、難しいとしても、地元の区市町村がやろうというような場合については協力することはできるでしょう、いかがですか。 ○松村参事 仮定の話でございまして、また、区市町村がということでお答えしにくいわけでございますが、もし区市町村の方でそうした方針が出てくるというようなことがあれば、これは一般論として、また、その時点で都としての対応を判断することになろうかと思います。 ○曽根委員 私は、ちょっと不公平な話になってはまずいんですけれども、しかし、せっかくこうした団地によっては日常的に、私の知っている大きな団地の場合も、その超高層の建物自体が高齢化率が七割を超えているんですね。ほとんどの世帯に高齢者がいるという状態ですよ。ですから、そういう意味では、それが本当に火災のときや地震のとき、それはごく限られた場合であって、日常的には高齢者の救急車その他の緊急対応などに力を発揮しちゃっているわけですね、現実に。そういうことをもっと積極的に行政の課題として取り組むという可能性は十分にあると思いますので、ぜひその際には連携を強めていただきたいということを申し上げておきます。 それから、先ほど若い世帯向けの期限つき入居の話がありましたが、私たちは期限つきではなくて、本格的に若年ファミリー向けの都営住宅なり、場合によっては都営住宅を超える収入基準の方への公共住宅の提供をということをいい続けてまいりました。どうしても期限つきというのは、二十六万戸の戸数が今、新規建設なしですから、ふえていきませんので、一定の枠の中で一定の戸数を確保するとなると、十年ごとにローリングしていくということで、どうしても期限つきになってしまう、こういう制限がついてしまうので、取り組むからには本格的に若年世帯の入りやすい制度の見直しを検討すべきじやないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○石井参事 若年世帯が入りやすいような見直しということでございますが、今お話しがございましたように、収入基準の見直しにつきましては、公営住宅法の方でもって決められてございまして、都においては裁量の余地はないということが一点ございます。 ですから、現行制度の中での工夫ということでございますが、現在、若年ファミリー世帯向けに特別枠を設けるとともに、先ほど申し上げましたが、期限つき入居募集を実施しているところでございます。 また、十八歳未満のお子さんが三人以上いる、いわゆる多子世帯に対しましては、優遇抽せんあるいは優先入居といった優遇措置を実施しているところでございます。 ○曽根委員 これから若年世帯が入りやすいように募集方式、その他さらに工夫をしていただきたいのですが、やはり都営住宅が高齢化しているということで、商店街など地域の活力という点でも若い人に入ってほしいという要望が強く出ているわけで、これは地域全体の課題にもなっているわけです。そういう点でもぜひ努力をお願いしておきたいと思います。 ●都営住宅の指定管理者制度導入は危険 次に、都営団地の指定管理者の制度について幾つか聞きます。 指定管理者制度そのものの導入の基本的な目的は何かということと、それから公営住宅についてこの制度を対象としたわけですが、私から見ますと、都営住宅など公営住宅はかなり長期にわたって計画的に維持保全をしていかなければならないという点から、その管理をほとんど全部担っていくというふうな指定管理者が、例えば二年とか三年によって更新をどんどんしていくということで、ちやんと安定的に管理できるのかなというような疑問もあるわけですけれども、公営住宅がこの対象になった根拠といいますか、その二つについてお聞きします。 ○石井参事 指定管理者制度の目的でございますが、当該制度創設の際に総務省から通知が出ております。そこでは指定管理者制度の目的といたしまして、住民サービスの向上、それに経費の節減を挙げているところでございます。 また、同じ総務省通知によりますと、指定管理者制度は地方公共団体が指定する法人、その他の団体に公の施設の管理を行わせようとする制度というふうにされてございます。 さらに、国土交通省通知におきましては、公営住宅は公の一つに該当するものとしているため、公営住宅は指定管理者制度の対象となるというところでございます。 ○曽根委員 法律をそのまま適用すると、そういうふうになるわけですが、既に数は少ないですが、この制度を公営住宅に導入した自治体では、それまでの東京では住宅供給公社に当たるようなものですね、そういう団体にそのまま指定管理者に指定しているということらしいんですが、これは制度上可能だということですか。 ○石井参事 指定管理者の選定につきましては、先ほどの総務省の通知によりますと、複数の申請者に事業計画書を提出させ、選定することが望ましいとされていますが、公募によりがたい特別な理由が存在すれば、制度上は可能とされているところでございます。 ○曽根委員 今回の条例案は、都として指定管理者に委任する業務を三つに絞っているわけです。その理由は何かということと、それから、これをいきなり全戸に適用するのかどうか、いつまでにどの範囲の戸数まで公募にかけて、実際に民間も含めて複数の対象に広げていくのか、その残りについてはどうするのかについてお聞きします。 ○石井参事 今回の条例案におけるところの指定管理者の業務は、日常的な管理業務を中心として、使用料の徴収などの住宅や共同施設の適正な使用の確保に関する業務、それに駐車場の利用に関する業務など、入居者に直接対応する業務、それにまた、法令等に基づきまして、エレベーターや消防設備等について定期的に行う設備の保守点検に関する業務としているところでございます。 指定管理者の公募は、指定管理者制度を平成十八年四月から開始できるよう実施するということでございまして、具体的な地域、スケジュールは現在、検討中でございます。 また、残りの地域についてはどうかということでございますが、それはその実施状況を踏まえて順次、公募していきたい、そのように考えてございます。 ○曽根委員 そうすると、広げるまでの残りの地域は、現在の住宅供給公社に指定管理になるわけですね。指定管理制度そのものは全部に適用するということになりますよね。わかりました。 現状で住宅供給公社に出している仕事、委託の業務の委託料が総額どれぐらいあって、今回三つの業務を指定管理に回す、これがどの程度の金額的に規模、今の公社の委託している分についてはどれぐらいの額になっているのか、その点についてお聞きします。 ○石井参事 平成十六年度予算におきましては、全体で約三百五十億円でございます。そのうち指定管理者の業務とする三つの業務にかかわる部分は、間接経費等の振り分けがあって非常に難しいのですが、ごく大まかな計算でございますが、約九十億円でございます。 ○曽根委員 公社に出している仕事のうちの三分の一弱、四分の一ぐらいですかね、ということになります。私は、この四分の一部分を指定管理で公募にかけていくと、だんだん広げていくつもりだと思いますが、やっぱり受け皿として、民間企業で一体どういう形で都営住宅を管理する受け皿があるのか、私たちにはまだ全く見えない状態です。 多くの自治体も恐らくしばらくは慎重な姿勢をとるだろう。可能であれば公社に指定管理に切りかえるだけで済むわけですから、そういう対応をとる自治体が多いんじやないか。 東京都が率先して、たとえ三業務に限ってとはいえ民間に明け渡していくという中で、どういう問題が起きてくるのか。法律で既に決まったこととはいえ、ここはやっばり十分な見きわめが必要じゃないか。場合によっちゃ、もちろん全部じゃないですけどね、九十億円分についても公的なお金が民間に直接投入されるということになりますので、混乱も起こりかねません。そういう点で私は慎重であるべきだということを、この点については申し上げておきたい。 それからもう一つ、これはお聞きしてもまだはっきりしないでしょうから、聞きませんけれども、例えばこれで経費節減になるよ、幾ら幾ら浮きましたといったときに、都民や、それから都営住宅に期待をしている都民だとか居住者から見て、そのお金が別の都営住宅関係の事業に活用されていくと、全体として都営住宅事業が充実していくものに使われるというならば、納得いくんだけれども、全部吸い上げだというような事態になったのでは、これは何だか都営住宅が、結局は指定管理者によって東京都のお金を全体として吸い上げていくのに使われてしまうというのでは、やっぱり納得いかない部分があると思うんです。 こういうことも危倶しているということを申し上げておきたいと思うんです。 それからもう一つ、この目的の中に公的サービスの向上ということがいわれているわけですね。この指定管理者を具体的に公募にかけてやることによって、例えばさっきちょっといったような清掃などは、今、東京都が団地の清掃なんかをやるということは考えられないわけですけれども、やっていないわけですけれども、そういうこともサービスしますよというようなことは、提案はあり得るわけですか、業者によっては。 ○石井参事 公募によって競争原理が導入されるために、多くの事業者からいろんな提案があるというふうには期待してございますが、具体的なお話につきましては、審査に関することでございますので、今の段階ではお答えできないと考えます。 ○曽根委員 少なくとも目的の中でサービスの向上といっている以上は、そういった具体的なわかりやすいサービスの拡充がなければ、何だか導入しても前と全く変わりないじゃないかということでは、この点でも制度の導入の意味が余りなくなってしまうと思うんです。 最後にですが、この公募によって今、九十億円分の仕事のかなりの部分は実際には委託で、例えば保守点検の業者とか、そういうところにさらに公社から出ていると思うんですね。そういう下請といいますか、公社から仕事を請け負っている事業者の扱いは、例えば公社のかわりに民間企業がその部門に入ったという場合にはどうなんでしょうか。 ○石井参事 指定管理者が実施するところの三つの管理業務のうち、これまで公社が再委託を行っていますのは、設備の保守点検でございます。この業務を直接実施するか、または業者を選定をし、再委託をするかは、指定管理者が判断するところになろうかと存じます。 ○曽根委員 私は、たとえ部分的であっても今、公社からは地元の中小零細の建設関係の業者にかなりの仕事が出ているわけです。その大きいところは入札でやっているわけで、今回は入札にかけているような仕事の部分は、大きいものは指定管理者にしないということになっているようですが、部分的であっても今まではそれでかつかつに食べている地元の業者がたくさんいると思うんですね。そういうところが結局、民間に取られちゃって、民間は系列を持っていますから、それでみんな持っていかれるというようなことが起きてはならないだろう。そこに対する手当ても私は考えておかなければ、安易な導入というのは、やっぱり地域の中小企業つぶしになりかねないということを申し上げておきたいと思うんです。この点は指摘をしておきます。 ●マンションと居住者、入居希望者へのきめ細かい支援を 次に、マンション対策について簡単に何点か聞いておきたいと思うんです。 マンションについては、以前から分譲マンションの管理組合などが取り組んでいる長期の修繕計画づくりとか、耐震診断補強だとか、大規模修繕についてのさまざまな支援、日常的な管理の支援について提案をしてまいりました。 きょうはマンションが今、次々と建設をされている中で、マンション購入を希望している都民、または都内に住みたいと思って探している方にとっては、物すごい量の情報がチラシだとか、いろんな形で出てくるわけです。この中に、公的情報というのは非常に少ないと思うんですね。 今回たまたまですが、環境確保条例の中に分譲マンションについても、省エネを取り組んだマンションについての一定の東京都のマル的マークですかね、優良なあれを出すということが盛り込まれていますね、提案の中に。こういったものも含めて、東京都が一定の基準を持って、このマンションは、これは新築、中古に限らずですね、例えば防災対策はこの手の水準はやっていますよとか、それから管理組合についてはちやんと適切な規約を持っていたり、その修繕積立金もちゃんと持っているとか、それから環境対策、省エネその他でいい仕事をしているというようなことについて、買いたいと思う人たちに知らせるというのは、行政のサービス、今まで余りそういうことは考えられなかったことかもしれませんが、今日的には都民向けの非常にすぐれたサービスの内容になっていくと思うんです。 既に一部は都の外郭団体が取り組んでいるというふうに聞いているんですが、その現状と、それからそれを充実させていくという点でのお考えを聞いておきたいと思います。 ○山室参事 お尋ねの優良なマンションの情報提供についてでございますが、都は既に東京都優良マンション登録制度を平成十五年度に創設いたしまして、東京都防災まちづくりセンターにおきまして、住宅の性能や維持管理等が一定の基準を満たした場合に、優良マンションとして認定し、登録する仕組みを用意してございます。 また、その情報につきましても、ホームページ等で情報提供しているところでございます。 ○曽根委員 私もその話を聞いて、早速見たんですが、地味なんですよね。私も知らなかったんですけれども、購入希望者で、東京都の関連、防災まちづくりセンターですけれども、ここがやっている、そういう情報を出してくれているということを知っている人はほとんどいないと思うんです。せっかく情報を出しているんですけどね。 私は、このまちづくりセンターでも構わないんですけれども、できれば東京都が直接、もっと具体的にかかわって、ホームぺ−ジでもいいと思いますけれども、本格な情報提供の場をつくり、宣伝もするということと、今度の環境確保条例のような、都市整備局以外の局でもいろんなことを、マンションに対して付加価値をつけるような基準が出る場合があると思うので、それを加えてグレードアップする。 マンションを買いたい人は東京都のあのホームぺ−ジを見るとわかるよ、知りたいことがわかる、業者の宣伝じやない、いわば本当に知りたい真実の情報がわかるよというふうにしていくことは大いに可能だし、これだけマンションがいっぱい建っているときですから、やるべきだなということを提案しておきたいと思います。 それから、既に取り組んでいることなんですけれども、相談マニュアル及び維持管理ガイドブックというのが何年か前に出されました。逐一、新しい制度や何かできたときにページの差しかえをしているということなんですが、一般向けの相談マニュアルについては、もっときめ細かな……。分譲マンションでよく問題になるのが浴室。実はこれは専用部分じやなくて共用部分で勝手な改修はできないというふうに一般にされていながら、しかしそこを改修するというのはなかなか管理組合全体の仕事にはならないという非常に微妙な部分なんですね、浴室というのは。水漏れ事故が起きると、だれの責任かということで大問題になることがよくあるわけで、こういった一つ一つのマンション居住者が特有の悩みや相談にばっと答えられるようなものにぜひ改訂をすべきじやないかというふうに考えているんですが、相談マニュアルや維持管理ガイドブックの改訂についての考え方をお聞きしたいと思います。 ○山室参事 分譲マンションの相談マニュアル及び維持管理ガイドブックについてのお尋ねですが、分譲マンション相談マニュアルにつきましては区市町村の窓口にお越しになる管理組合の方や居住者の方、そういった方に対する相談を受け付けるということで、これにつきましては、平成十年に発行しまして以来、毎年改訂をしております。こめ趣旨は、その一年間につきましていろいろなご意見をいただいている、そういったことをきめ細かくこのマニュアルに反映していくということでございます。 それからガイドブックにつきましても、国の標準管理規約が改訂になりましたので、それに合わせて現在改訂を行っているところでございます。 ○曽根委員 毎年改訂はしているんだと思いますが、私も今まで余り具体的にこれについて意見をいったことがないんですけれども、ぜひこれから積極的に……。私も分譲マンション居住者なものですから、ついこの間もあるお宅のお風呂が水漏れしまして、原因を調べていったら、排水管に何かキャップみたいなのが詰まったんですけれども、それが縦管に詰まったんですね。横管に詰まっていれば、横管は各戸の中にありますから、そこで詰まっていたお宅の責任ですよね。しかし縦管までいくと、どのお宅から落ちたキャップかわからなくなるので、責任は管理組合に来ちやうわけですね。そういう微妙なところの問題点というのが、やっぱり日常茶飯事にマンションでは起きるわけです。こういった問題にきめ細かく答えられるマニュアルになればすばらしいなと思いますので、私自身も提案をしながら、よりいいものにしていっていただければと思います。 最後にマンションの問題で、これはどうしてもいわなきやならない、先ほども長橋さんからもお話があったんですが、耐震の助成の問題なんですね。 私は、個人住宅もやっばり助成が必要だということは、この間の本会議でも河野議員からも一般質問でいわせてもらいました。分譲マンションについては、神戸のときにビルごと倒れたのがあるんですね。これはマンションじやなかったかもしれませんが、住宅兼建物で道路に倒れ込んだわけですよね、ビルごと。これはやっぱり、一定の戸数規模以上のマンションの場合には、そのマンションが居住者にとって大変な問題というだけではなくて、地域に与える影響が出てくるということは、大きな震災などの場合、避けられないと思うんです。そういう意味では、社会に対する建物や財産の維持保全の社会的責任というのも私はあるんだと思うんですよ。 一定規模のマンションというのは、今は法的に管理組合が義務づけされておりますし、率直にいって、自治体などから、維持管理が悪過ぎる、または建物が傾斜しているなどの場合、その原因を明らかにして安全対策をとることや、必要な耐震補強を行うことなどについては、例えば昭和五十六年以前の古い基準のマンションについては勧告指導がやっぱりやられなきやならない場合があると思うんですね。 そういうことも考えながら、同時に、それをやるのであれば、一方で、やっぱり耐震補強などに対する助成が行われてしかるべきであろうという点で、今も一定の制度では何らかのカバーをしているとは思いますが、耐震診断、耐震改修工事について、こうした危ないマンションについての指導や勧告とあわせて援助もやるというような自治体の姿勢が必要だと思いますが、どうでしょうか。 ○野本市街地建築部長 マンションの耐震診断、耐震補強でございます。昭和五十六年以前のマンションにつきましては、東京都はこれまでも所有者に対レ1ンフレットや窓口等で耐震診断の必要性について普及啓発を行っているところでございます。 また、マンションの耐震診断、耐震補強工事に対する助成につきましては、都は既にマンション改良工事助成制度においてその費用への支援を実施しております。 ○曽根委員 余り聞いてもしようがないので聞きませんけど、それほとんど実績ないんですよね、耐震診断、補強については。私、率直にいって、先ほども長橋さんがいわれたとおりで、震災が来てから、やっぱりあの制度は必要だったと、その何十倍もかかる費用を公的に負担しなければならない事態になってから後悔しても遅いわけで、もっとそれよりずっとはるかに安い費用で、今、手だてをとれば、公共的にも非常に低コストで耐震対策もできるし、居住者にも喜ばれる。何よりも人命が守られるという点をやはり考えるべきだと思います。 ●高速道路品川線問題について それでは、まだ若干時間が残っているので、高速道路の品川線について簡潔にお聞きしておきたいと思うんです。 品川線が開通したときに、その経済効果は毎年一千三百億円出るんだというお話がさきの本会議でありました。この根拠についてお聞きしたいと思います。 ○道家外かく環状道路担当部長 品川線の開通による経済効果についてのお尋ねでございますけれども、延長約十キロの品川線が完成することによりまして、中央環状線四十七キロが初めて結ばれ、これまで途切れていた首都圏の高速道路ネットワークが機能を発揮し、人や物の円滑な流れが実現するものでございます。これによりまして、走行時間の短縮や走行経費節減など直接的な経済便益が期待されております。 具体的には、経済効果のうち所要時間の短縮による時間短縮効果が年間約千二百億円、走行速度の向上による燃料費の軽減など走行経費の減少が年間約七十億円、交通の分散化により交通事故の確率が低くなることでの社会的損失の減少が年間約三十億円、合わせて千三百億円と見込んでいるところでございます。 なお、これらの経済効果に加えまして、削減される二酸化炭素の量は代々木公園の四つ分の面積に相当する森林が吸収するものと同量の年間約七千トンと、大きな環境改善効果もあわせて見込まれております。 ○曽根委員 環境局の仕事までやってくれているみたいですけれども、それで大半、千三百億のうち千二百億が走行時間の短縮による効果ですよね。これは推計で出ていると思うんですが、その中には二種類あると思うんですよね。一つは、環状線が完成すれば、首都高の平均速度、今、大井線ができるまでは大体四十キロ切っていましたよね、時間当たりね。それが少し改善されてきつつあるんだという話なんですが、これが何でも五十キロぐらいまで平均速度が上がるんだそうですね−と推計していると。その効果、全体の効果があるんだと思うんですね。そうするとこれは、走行台数がふえていくのかなというふうに思うんです。 もう一個は、今は品川線がありませんから、都心の高速道路を使うにしても、都心の方に入っていって、何線か私よくわからないんですけれども、とにかく湾岸道路の方に出ていくのにくねくね回らなきやならないと。これが短くなるわけですから、こっちの効果は確かにあると思うんですよ。 私よくわからないのは、首都高全体が本当に、形は確かにきれいになるんだけど、環状道路が完成したら時速五十キロで、平均時速ですよ、走れるようになるのかなと。そうすると、それに見合って、車も当然どんどん入れるようになると思うんですが、車の走行台数そのものは首都高で品川線完成後どれぐらいふえるというふうに見ているんでしょうか。 ○道家外かく環状道路担当部長 首都高速道路全体の一日当たりの平均通行台数は、平成十五年の実績でございますけれども、約百十二万台でございます。これに対して、中央環状品川線の開通後は約百三十万台になると推計をしております。 ○曽根委員 それで私、十年ほど前に決算委員会で、ちょうどあのときレインボーブリッジが完成した後のやっぱり将来推計というようなことが当時も出まして、調べてみたんですけど、あの当時、首都高は百十二万台か三万台だったんです。一日交通量が。今百十二万台で、全然変わっていないんですね。大体その辺なんですよ。それが品川線開通後、百三十万台にいくと。確かにふえるんだということなんですが、パーセンテージでいくと一五%増しぐらいですよね。 本来なら時速五十キロで首都高が走れるようになれば、これは大体三○%以上スピードアップするわけですから、その分台数が三割ぐらいふえてもおかしくないと思うんですが、台数そのものは一五%増しと推計されている。これは推計の方法が違うんだと思うんですけど、私は、どちらかというと、せいぜいが一○%か一五%増しということになってしまうと思うんです。 というのは、環状線が完成して確かに流れは一時よくなるかもしれないが、その分車が入ってくるんですね。今でも大体突っかかるのはどこかというと、渋滞が始まるのは出入口です。そういう点では、首都高がそれだけで完結している道路ならば別ですけれども、結局は入り口から入って出口に出なきやならないと。ここで詰まるわけです、大体。したがって、そう今予測されているように単純明解に車の台数がどんどん通れるようになるとか時間が短縮されるとかいう話が、思ったとおりに進むとは限らないと。 これは、正確な予測というのは、私も専門家じゃないのでこれ以上はいえませんけれども、やはりきちんと考えておかなきやならない問題だと思います。 それからもう一点だけ。安全対策なんですが、この品川線が完成すると総延長で二十キロ近いトンネルになるわけね、新宿線とね。これは世界でも最大級の道路トンネルになると思いますが、第何位ぐらいなんでしょうか。 ○道家外かく環状道路担当部長 新宿線と品川線を合わせますと、中央環状線のトンネル部は約十八キロメートルということになります。 平成十五年の資料によりますと、世界の最長道路トンネルでございますが、ノルウェーのラーダルトンネルというトンネルがございまして、これが延長二十五キロの山岳トンネルでございます。したがいまして、単に延長だけで比較いたしますと世界第二位の道路トンネルになるということになります。 しかしながら中央環状線は都市内のトンネルでありまして、その利便性の確保の観点から、新宿線と品川線を合わせると中間に六カ所の出入口、いわゆるランプがございます。 一方、ノルウェーのラーダルトンネルのような山岳トンネルは中間に出入口がないということでございます。このため、トンネル延長のみで一概に規模を比べることはなかなかやりにくいのかなというふうに考えております。 ○曽根委員 何かいろいろ考えて答えをされていますけど、じゃあ条件の違いというなら、山岳トンネルと、大都市の地下をですよ、ほんとに人口密集地帯の地下を通っているトンネルを同じ条件で比べていいのかということになりますよ。 私ちょっと世界のトンネルを見ていくと、ノルウェー、中国、スイス、オーストリア、台湾、フランス…・・・フランス、イタリアというのは、これは国境のモンブランのところでしょう。それから、ノルウェー、ノルウェー、そして十位に関越の群馬・新潟の県境の関越トンネルが出てくるんですね。ですから、大都市部の地下を十八キロもぶち抜くトンネルというのはないんですよ。例がない。 しかも、−ここはいっ地震が起きても不思議でないところで、地震が起きれば間違いなく、高速で走っている自動車で、ほとんど連続的に車がつながっている中で、事故が起きないと考える方が不思議だという点でいえば、人命尊重の立場からいうと、こんな危ないトンネルないんじゃないかと。よほどの安全対策とらないと、これは本当に……。まあこれはみんな車は便利になるから、すいすい行くでしょうよ。しかし一たん地震が起きたり、火災が起きたり、交通事故が起きたときに、何でこんなトンネルつくったんだとならないようにしなければ、これはやっぱりいけないということを申し上げておきたい。 もう時間が来ましたので、これで終わります。 |