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財政委員会5−10−27事務事業質疑
第2次財政プランによる400億円の都民施策切すてやめよ

○曽根委員 私からは、来年、最終年度を迎えます第二次財政再建推進プランの到達状況と今後の問題について、少しただしていきたいと思います。
 先日、私、都財政の直面する課題という冊子の質疑の中で、昨年度、財源不足を理由に第一次プランに続いて第二次財政再建推進プランという中で、厳しい内部リストラ等、それから都民への施策も三年間で千二百億円の見直しと削減を行うという、この第二次プランの根拠とされてきた都税収入の落ち込みが、来年度も入れて計画期間三年間で、当初想定した額から連続して四千億円以上、上回っていると。
 来年度、今年度と同じ税収が見込めるとするならば、一兆三千八百億円ぐらいの増収になっていくと。これはプランの前提がもう根本から崩れているじやないかということを指摘したわけです。

 来年度、予算編成に向けた依命通達の中では、今回二十数年ぶりといわれているように、一般経費のマイナスシーリングをやめてゼロシーリングというふうになりました。我が党は、この間、見直しで随分切り下げが行われてきた福祉、医療、中小企業対策を初め必要な施策を復元させることも含めて、都民に必要な財源を確保しながら、同時に都の財政を過去の借金の解消や今後に新たな借金漬けになるような、浪費的な開発を抑えるという、この財政再建は両立することが可能であるというふうに主張してきましたが、都の財政の現状は、この方向で思い切った改革が可能となる条件が生まれているというふうに考えております。
 この立場から、都財政運営について基本点を幾つか質問していきたいと思います。

 まず、第二次プラン、ことし二年目ですが、これに基づく施策見直しは、既に八百億円近く、計画どおり、展望どおり進められてきたというふうにされていますが、一体どういう分野でどのような見直しがされてきたのかという問題です。
 施策の見直しは、今回、第一次のプランと違って、経常経費と投資経費には分かれておりません。聖域なく見直すんだということがいわれてきました。しかし、第二次プランの巻末に付表というのがついていて、ここには具体的な事業事例、こういうものは見直しの対象としていくよということだと思うんですが、三十項目ぐらいの例が挙げられていました。
 これが今どうなっているかということをずうっと私、見てきたんですが、都民施策にかかわるもの、例えば、監理団体、これは主に文化施設だとか公園だとかといったものや、住宅供給公社などの見直しや、都民住宅の制度の見直し、長期継続補助の見直し、それから技術専門校、いわゆる職業訓練校の見直し、都立福祉施設の見直し、救急搬送業務の見直しなど、ほとんど切り込みがそれぞれ入って辛がつけられてきている。もしくは当該区市町村との協議に入っている。
 しかし、一方で、この中に出されていた都が受けている不合理な不利益措置ということで、例えば、警察費における国庫負担、国直轄事業の負担金、首都高速道路公団への出資貸付、こういったものは見直さなきゃならぬということが掲げていたにもかかわらず、こっちの方は全くといっていいほど手がついていない。
 これを見るだけでも、明らかに、施策の見直しは、都民向けの福祉医療など、こちらの方に偏在して行われてきたというふうにいわざるを得ないと思うんですが、この間の施策見直しの中身について、こういうことがいえると思いますが、いかがでしょうか。

○安藤主計部長 第二次再建プランで進めております施策の見直しでございますが、これは、たびたび申し上げているところでございますけれども、単に歳出の削減のみを目的として行っているわけではございませんで、時代の変化に伴って、相対的に必要性の薄れた事業を廃止して、その財源を新たな施策に振り向けるなど、ニーズの変化にきっちりこたえていくという見直しを行う中で、一般会計総体として、プランの期間中に、お話しのように、目標で申し上げますと、千二百億円の財源を確保しようとするものでございます。
 財源確保額につきましては、例えば、十七年度予算におきましては、十七年度予算額と十六年度予算額との差額から、ちょっとテクニカルになりますけれども、内部努力で削減した分、あるいは明らかに施策の見直しの範疇に含まれない事由による増減などを控除したものを、施策の見直しによる影響額として、それをもとに算出をしているところでございます。
 また、プランの巻末には、ご指摘のように、個々の事業を書いてございますけれども、これは、効率化を進めると、三つの視点に立った場合に、こういう事業について例示として取り上げているところでございまして、個々の事業について幾ら削減するという形でこの削減額が積み上がったものではございません。
 また、お話の中で、国直轄事業でありますとか、首都高の話が出ましたけれども、これらにつきましては、本プランの期間中にとどまりませんで、中長期的な取り組みが必要なものともいえるわけでございますけれども、これもやはり見直しの素材と示したものでございます。
 その解決に向けて、なかなか短期的な解決は困難であったとしても、制度運用上の問題点を改善すべく、粘り強く国に働きかけているところでございますし、今後ともそうした努力を続けていくべきものであるというふうに思っております。

○曽根委員 それぞれ努力しているかのようなお話なんですが、明らかに都民向け施策については具体的な動きになっているわけですよね、一つ一つ見れiま,救急搬送業務なんてどうやって民間導入するかと思ったら、今、救急車のお願いの電話をしても簡単には救急車来てくれないですよ。民間のを使ってくださいというようなことをいわれる。ましてや、病院間の搬送業務なんか、大体もう民間のを利用してくれというような話になってきてい
るということですよね。
 それに対して、明らかに国に対する直轄事業負担金などは、知事でさえ、これは問題だとかつていっていたものが今違ってきているわけです。この間題は後でやりますが、一方で、本当に都民ニーズが変化してきたものについて、つまり、ニーズが薄くなってきたものについて見直しがされているんだということを、都民や議会が客観的にちゃんと評価して分析できるように、その八百億近い削減の中身、これは当然計算根拠があるわけですから、示すべきだということを繰り返し求めてきたんですが、一向に示されない。来年度以降の残り四百億、何考えているのかもこの間聞いたけど答えない。

 当然、この事業、この事業については、必要性が薄まったんだから削ってきましたよというのを、誰に対しても示せるものであれば、公正なものであれば示せるはずだと思うんですが、なぜこれ出せないんですか。

○安藤主計部長 第二次の再建プランを策定した際には、十六年度からの三カ年間で、目標といたしまして、臨時的な財源対策なくして予算を編成すること、そして、経常収支比率を九○%以下にするという目標のもとにプランの策定に入ったわけでございますが、そうした中で、約三千七百億円の財源不足が平成十八年度当初予算ベースで見込まれる。
 これに対する対応をどうするかということで、それぞれ努力すべき事柄について積み上げを行い、今の、例えば、内部努力で幾ら、あるいは施策の見直しで幾らということになってきたわけでございますが、削減額として確実に想定されますものを、内部努力等では、定数管理等の目標値を掲げることによって、削減目標額等が出てまいりますし、税財政制度についても同様なことがいえるわけでございまして、こうしたものを算定した上で、さらに三千七百億の財源不足をどうやって捻出すべきか。そのためにどうやってというより、三千七百億に到達するためにはやはり施策の見直しという一−一一個々の事業を取り上げているわけではございませんけれども、そうした目標を掲げて、各局の各部署に努力をしていただきたいということで目標額を掲げたところでございまして、その具体的な算定額をどうしているかというのは、先ほどご答弁申し上げましたが、今回のプランはそういう形でつくっているものでございますので、ご理解を賜りたいと思います。

○曽根委員 私、それいいわけにもなっていないと思うんですよ。例えば、集計の仕方が難しいというようなことをるるいうんだけれども、だって局別に予算組んでいるんですから、しかし局別にすら出ていないんですよ、どこでどう見直したか。じゃあ、局別ぐらいなら出せるということですか。

○安藤主計部長 私どもは、一般会計予算総体として財源不足を解消するという目的でやっておりますので、目標といたしましては、三千七百の財源不足を解消するために、千二百の施策の見直しという目標を掲げてまいったところでございまして、その成果についてもマクロで申し上げているところでございます。
 また、個々の事業についてどうするのか、プランの中では示してないということでございますけれども、個々の事業につきましては、各局においてそれぞれの各年度の目標と予算額等をお示しし、予算の中でご審議をいただいているところでございまして、決してそのことを私どもが隠しているということではございませんが、プランとの整合性で申し上げれば、マクロでとらえている財務当局と個々の事業ごとでとらえている局との間でその突き合わせはしていない、そういうことでございます。

○曽根委員 要するに、局別に大まかなくくりで出したとしても、私、この間の八百億の見直しを一覧表にすれば、明らかに福祉保健局にものすごい偏ったものが出てくる。これを恐れていることは明らかだと思うんですよ。
 例えば、具体的事業で、この第二次プランに入ってから切り込みがかけられたものっていうのは、まだ協議中のものがたくさんあって、そんなに数多くないわけですよね。具体的には、保育関係のサービス推進補助の切り込みが昨年度から始まって、一施設当たり五百万円を限度にことし二年目、来年三年目、それから今都加算の見直しが始まろうとしている。福祉関係に集中して出てきているということは明らかであって、これは、例えば保育一つとったって、少子化対策から見ても、待機児がまだ解消されてないという現実から見ても、補助が切られてきた公私格差是正以来の補助の見直しで、各施設がもう大変な経営状態にあるということから見ても、どれだけ痛みが与えられているかわからないぐらいの問題なんだけれども、こういったものが八百億になっているという点では、私、本当にこの間の見直しについて、少なくとも中身を明らかにして、都民的なきちんとした評価を仰ぐべきだということは申し上げておきたいと思うんです。
 切り込み方のもう一つの問題として、二00三年度から決算状況を分析して予算編成に反映させていく、これが実質的に切り込みのまた一つの手法として使われているんじゃないかというふうに思うんですが、この決算の結果を翌年の予算に反映させるという中身についてはどのように方針を出して、これを来年度についても実施されるのかどうか、この点をお聞きします。

○安藤主計部長 予算の編成に際しましては、過大であるとか過小な計上によって、財政運営や事業執行に支障を来してはいけませんので、決算実績等を十分考慮した現実的な積算を行うということが当然必要でありますので、これが決算実績を予算に反映させるという趣旨でございますし、来年度も同様の考え方で予算編成に臨んでいくこととしております。

○曽根委員 依命通達で、過去の決算状況を徹底的に分析し、実績を踏まえた見積もりとすることというふうにされている文書そのまま、来年としても適用ということですよね。
そうすると、ゼロシーリングといいながらも、昨年度予算を大きく使い残したところは、その実績をもとに来年度予算見積もりしなさいよという縛りがかかるわけですよ。
 ところで、昨年度の決算で、局として最も多く使い残したのは、どこでどれぐらいなんですか。

○安藤主計部長 款別で申し上げますと、支出額で支出済額の割合が一番小さいところは、港湾費がセセ・三%、福祉費が九三・三%、まだ八○%台等のところもございますけれど
も、環境費が八二・○あるいは生活文化局は八七・六ですが、予算規模は小そうございます。都市整備費が八九・三%などとなっております。

○曽根委員 現在の局で対応してみると、局別で見れば、金額で一番大きいのは福祉保健局じやないですか。幾らですか。

○安藤主計部長 お尋ねのように、額で一番大きなものは、福祉費の三百四十一億円となってございます。

○曽根委員 時間もあるので、私、局別にって申し上げたんですが、昨年度の予算は、福祉陳健局は二つの局だったわけですよ。現在は一つの局になっているんで、合計すると、健康費も入れて四百四十五億ぐらいになりますよね。これが最大の不用額として残っているんだと思うんですね。
 その中身を見ても、これは決算の参考書に出ていたんですけれども、例えば、老人医療費の助成等の実績残、高齢保健福祉施設の実績残、生活保護費の実績残、児童福祉施設の実績残など、これらが大半を占めている。健康費の方も、不用額は難病医療費助成、通院患者医療費助成の実績残などですよね。
 一つ一つ、じゃあこれが本当に都民のニーズが薄くなったから減って残ったのかというと、そうじやないわけですよ。老人医療費助成なんか、まさに制度がなくなっていくその過程の中で減ってきて、予算は前の年と同じに組むかもしれないが、年齢がずうっと七十歳まで上がっていくわけですから、制度がなくなっていくんで当然実績残が残っていく。
 しかし、私どもが前から指摘したように、まだ全部年齢が消えたわけじゃないんですけれども、六十八歳以上の方は受けられるはずですが、それでも、制度が始まってから三年間で、六十五歳から六十九歳の、いわゆるマル福の対象年齢のところで、ほかの年代よりも受診率が二倍も落ちているんですよ。二割に下がっているんですよ。
 明らかに制度がなくなっていくことの影響が出ているというふうに私たちは指摘をしたんですが、そういった一つ一つ都民に影響が出ている施策が並んでこの四百億を超える残が出ている。多いときは六百億円も出たんで、私たち、こうやって使い残して、次の予算で削られていくということでいいのかということを厳しく指摘してきたこともありますが、こういう施策見直しが福祉医療に偏在して行われてきたことは明らかだと思います。
 で、特に具体的にちょっとお聞きしたいんですが、昨年度使い残した社会福祉施設の整備費、これがこの参考書によると六十億円ぐらい残っているんですが、この中には、障害者の緊急施設整備計画が実際には展望どおり進まなくて、使い残した部分がかなり占めているはずです。
 原因は、東京都がやる気ないということもありますが、国の制度が、国の補助が、年間に一つの県当たり二施設しか補助を認めないという物すごい縛りがかかっているということで、福祉団体から昨年来ものすごい悲鳴が上がっていたんですよ。それをそのままにしておくと、国の補助がつかないから都も補助しない、結局都が立てた計画さえできないということで、昨年は使い残してしまった。ことしも同じようになったら大変だということで、私ども繰り返し、これは都が独自に補助してでもやらなきゃいかんのだということを訴えてきました。
 ようやく、計画の最終年度で、緊急整備三カ年計画の今年度になって、福祉団体、障害者団体からの強い要望が出て、都議選直前でしたが、都と区市町村が足し前して独自に推進するということになったと思うんです。これは財務局も了解をして予算の執行が行われていると思うんです。
 こういうふうに、明らかに決算で残ったり、施策の見直しということで削られたものの中には、都民のニーズが薄くなったんじゃなくて、まさに痛みを出しながらも無理やり進められてきた制度がたくさん入っているというふうにいわざるを得ないと思うんですが、これでも見直しの中身というのは、全部都民施策として必要なくなった制度が見直されていくんだというふうにいい切れるんですか。

○安藤主計部長 予算の適正な執行あるいは施策の推進については、当初の目標と施策の成果との比較において判断されるべきものでございまして、一概に執行率や不用額の多寡によって論じるべきものではないというふうに考えてございまして、事業全体として見れば、着実に施策を推進しているものも当然ございますし、その上で、今後とも、限りある財源、資源を最大限効果的に活用していく、そして最小の経費で最大の効果が上がるように各局に努力をしていただく、また各局も主体的にそれに取り組むというのが目標でございますし、局も、そのために施策をどうするかということは十分オープンにし、議論し、そして執行しているというふうに考えてございます。
 また、年度途中において状況の変化があり、特段に配慮すべき事態が発生した場合には、局は、かたくなにその予算に縛られるだけではなくて、事案ごとにその内容を吟味して適切に対応をしていっているし、そのことは当然であるというふうに思います。きっとこれからも、局においてそれぞれの事業に責任を持つ立場から、事業の進捗状況、そして今都民が求めているニーズ等を十分に勘案しながら対応していっているし、今後もいっていただけるものというふうに考えてございまして、このプランの見直しが誰か特定の者を意図的にねらい撃ちしているというようなことではございませんで、あくまでも財政再建推進プランは、財政再建の目標であります、今の赤字を解消し、将来に向かってきっちりとした財政をつくっていくための財政体質を変えるというのが目的でございまして、その点で各局にお願いをし、それぞれの立場でご苦労いただいているということでございますので、不用額の多寡のみによって特定の施策を切り捨てるというようなお考えについては、ぜひ、私ども、今申し上げた点について十分にご理解をいただければというふうに思います。

○曽根委員 財務局が幾らそこで力んでみても、担当している福祉局自身が、福祉事業を本当に都民のために進めるという、やる気がないんだから、幾ら財務局がいったってだめなんですよ。
 例えば、先ほどの障害者の緊急整備計画、ようやく今年度最終年度ぎりぎり、しかも都議会選挙直前になって見直しされましたよ。しかし、じやそれで十分施設が足りているのか、とんでもないわけですよ。これからもどんどん障害児の卒業対策が出てくるし、まだまだ足りないんだということは、私ども関係団体から要望を受けていますから、恐らく都議会の各会派に要望が来ていると思うんです。
 しかし、緊急整備計画は今年度終了で、福祉保健局に聞いても、来年度以降計画ないっていうんですよ。計画ないということは、今年度三十数億ですか、これ来年度予算が落ちるということです。もし仮に、来年度緊急整備計画がなくなって予算が減額になった場合は、この減額分というのは、来年度四百億円の見直しの金額の積算の中には当然入ってくるわけでしょう。どうですか。

○安藤主計部長 そういう形で、仮に、今曽根理事のおっしやるように見直しが行われて減になれば、当然カウントされますが、ただいまの障害者福祉施設の整備の問題についていえば、残念ながら、私どもは、局からの予算の要求状況を最近受け取ったところでございまして、その内容については今後精査をしていくことになりますので、その内容について詳しく申し上げられませんが、プランの関係で申し上げれば、当然内数としてカウントすることになると思います。
 ただ、そのことをもって、この障害者の方々の施設整備が後退かどうかということは、また別の観点で議論をいただくべきことだというふうに思っております。

○曽根委員 しかし、もちろん、我々、障害者施設整備が後退しているとはいってないんですよ。緊急整備計画ですからふやしているわけですよ。それはいいことだし、ことしは国が補助つけない分は、都と区市町村でそれぞれ出し合って進めようというふうに、多少なりとも改善されたことはいいことなんですよ。しかし、じやそれで足りているかというと、需要はますます拡大しているというときに、結局見直しの中で落ちる分に入ってくるということですよね、来年度予算化されなければこ この現実をいっているわけです。
 しかも、来年ゼロシーリングですよね。ゼロシーリングということは、私、単純に考えて、来年度は都民施策を四百億円、残りを見直しをしなくても予算は組めますよ、この四百億円の削減見直しをしなければ第二次財政プランの財政再建はできないというふうにはいわないということですよね。現実にもう財源は余裕ができているんですから。そういうことだというふうに受けとめたいんですが、それは間違いないですか。

○安藤主計部長 ただいまお話のシーリングは、各局から私ども財政サイドに要求をいただくための一つの目標として設定をしているものでございます。その要求をもとに具体的な予算編成を進めているわけでございますけれども、そのためには、歳入の見積もりと歳出の見積もりとをあわせて判断をしていくべきことでございますが、その中で今の四百五億というのがどうなるかというのは具体的に見てみないとわかりませんけれども、少なくとも再建プランの最終年度に当たります十八年度予算においては、これは確実に達成をして、プランの目標でございますので達成しなければいけませんので、四百五億の見直しにいては、各局の要求を踏まえながら、再建の目標であるところの財源確保に最大限努めていく。そのこととシーリングとはまた別物でございますので、ご理解をいただきたいと思います。

○曽根委員 しかし、財政再建プランといっても、これは予算上のことになりますから、予算編成の中で具体化するしかないわけで、その予算編成の具体的方針でマイナスシーリングをしなくていいということを表明しているわけですから、四百五億円をどこかで削減するという保証を、担保を、財務局としては各局に出してないということですよね。つまり、それをやらないと困りますよというふうににはいってないわけですよ。今年度程度のベースの範囲で、もちろんそこから下げることは自主的にできるんでしょうけれども、財務局から少なくとも要求してないということですよね。にもかかわらず、各局はいろいろやりたい仕事があるだろうから、大体の局は今年度並に組んでくると思いますよ。しかし、事福祉保健局だけは、来年度さらに切り込みをみずからやってくるという状況になっているでしょう。

 例えば、都加算制度の見直しが先日厚生委員会でも表明されて、既に先日の市長会には提案されたというでしょう。そういうふうになっているんですか。この都加算制度が来年度すぐということは、私たちも到底これは認められないし、市長会だって黙っていないと思いますけれども、もし実施されれば、これも二百億円の見直しの中身に入ってくるわけですよね。
 それから、介護保険のこの間の国の制度−−改悪だというふうに私は思っていますが、それによる都の負担も恐らく下がるでしょう。給食費だとか、滞在費が支給額から外れるわけですから、百億円とはいわないまでも、総額七百億円ぐらいのうちの何分の一かは都の負担が下がると思います。
 これも、全体としては福祉の制度の見直しの中で起きていることですから、四百億の中に入ってくると思うんですよね。そうすると、来年度、ゼロシーリングと財務局はいいながらも、このままでは、実際には、福祉保健局関係が四百億の大半を占める形で見直しがまた進むということになるんじやありませんか。
 どうでしょうか。

○安藤主計部長 今、福祉を中心にお話をいただいておりますけれども、福祉についていうと、プラスマイナスさまざまな要素があるというふうに思っております。
 例えば、生活保護費の今後の動向一つとってもそうですし、国民健康保険の制度改正の影響も出てくるでしょう。そういったさまざまな制度改正を踏まえた上で予算の編成というのはされていきますので、特定の施策をターゲットに四百五億下げているかのような議論というのは、私は正しくないのではないかなというふうに思います。
 そしてまた、ゼロシーリングを改めるというふうに私どもが申し上げましたのは、プランの根本精神でありますスクラップアンドビルドをより徹底をして、各局が自主的に施策の見直しの再構築を進めるということを期待したものでございまして、この考え方に沿って各局においての取り組みが行われていると思いますし、その取り組みは、今先生の方からお話があったように、関係の方々との話し合いも経て、さまざまな形で固まっていくのだろうというふうに思っております。
 なお、その四百五億とゼロシーリングを福祉の分野だけで語ると、全休が見えなくなるのではないかということを私どもも大変危倶しておりますし、なおかつ四百五億合わせて千二百億の歳出見直しというのは、あくまでマクロの数字でございますので、ぜひそういう観点からお話をいただければというふうに思っております。

○曽根委員 はっきりいいまして、財務局は来年度四百五億の見通しを具体的に示してない、しかし目標だけは残っている。しかし、その目標をやり切らなければ財政再建できないという財源不足の根拠は、既に一兆四千億も想定財源を上回っているんですから、根拠はない。そうすると、石原都政に忠実に施策の見直し、要するに切り捨てをやっている局のところだけが、がんがんと減っていくということになるじゃないですか、現実には。実際そうなってきているんですよ。
 その一方で、じや余裕財振をどう活用するかb もちろん、過去の借金が、東京都のいう隠れ借金を含めてありますよ。私たちにいわせりや臨海だって早晩出てきますよ、がばっと。そういうもに対しての手当てももちろん必要ですが、しかし都民のためにどうやって活動するのかということを改めて問い直せるし、問い直さなきやならないときに来ていると思うんですね。

 そういう中で、一番私たち危倶しているのは、先ほどもいいましたが、第二次プランの当初には問題にされていた国の直轄事業に対する負担だとか、首都高に対する負担が、今は問題にするどころじやなくて、知事自身が、もう首都高なんかは、今まで出していなかったお金まで出そうじゃないか、品川線に至っては、都の街路事業としてやろうじゃないというところまでいっている。それから外環についても何が何でもやるといっているということで、今後にますます都の財政負担がそっちの方で膨らんでいくことが具体的に想定されるからこそ、私たち危倶をしているわけです。
 この間題については、改めてちょっとお聞きしたいんですけれども、国に求めているといいますが、じや知事に、もう必要ならばどんどんお金を出す、制度にないところまで踏み込んで出すということをいわせておいていいのかということですよ。将来の健全な財政運営を確保するという財務局の使命を果たすには、知事にだっていわなきやならないことがあるはずですよ。その点については一体どう考えているのか。このままなるように任せていれば、福祉保健局を中心に都民施策はどんどんどんどん石原知事に忠実に切られていいるんですよ。ただ、同時に、東京都がオリンピックを開催するに当たっては、財政負担が免れないわけで、そういう面から国際的なスポーツへの振興に貢献すると同時に、やるんだったら、簡素なやり方について財政も考慮しながらやる必要がある。
 何よりも、この間、私はMXテレビに出たんですけれども、セルジオ越後さんというサッカーの有名な解説者の方が、東京都もオリンピックやりたいようだが、その前に、子どもたちが本当に身近にスポーツができるように、都立のスポーツ施設を整備するとか、思い切って道路をサッカーその他のスポーツに開放するとか、そういうことからやるべきじゃないかとおっしゃっていたのは、全くそのとおりだなと思ったんですけれども、やっぱり専門の方からもそういう意見が出ていると思います。

 前回の東京オリンピックの際に、東京都が財政的にはどうだったのかということについては、お聞きしたところ、東京都の財政の歴史をまとめた論文の中で、財政負担がかなり重かったというような指摘もあったと思うんですが、これについてはご存じでしょうか。

○安藤主計部長 束京都財政史という本がございまして、その中で東京オリンピック関係の大会の関連事業費等をまとめてございますが、東京都では、直接間接にわたりまして施行した事業がございますが、例えば、普及がおくれておりました下水道でありますとか、あるいは首都高速道路でありますとか、地下鉄等もその中に入っておりまして、こういったお金をオリンピックの直接的経費と呼ぶのか、あるいは社会資本のための一つのきっかけとしての大切な成果と見るか、いろんな見方があるかと思いますけれども、いずれにしても、まだオリンピックについては私ども全く承知をしていないところでございますのでご勘弁をいただきたいというふうに思います。

○曽根委員 私もそれを手に入れて読んでみたんですが、おっしやるように、首都圏整備事業、つまりオリンピックと直接リンクするわけではない、スポーツ施設とかそういう建設ではなく、都市基盤そのものがおくれていた当時の東京都にとって必要な事業だけれども、それをオリンピックに間に合わせるということで繰り上げ実施をしなければならなかった。それが国の負担もかなりありますが、東京都にも一定の負担が来て、ここの論文の中でも、やはり財政的にはオリンピックは都財政の収支尻の悪化に少なからず作用したといわなければならないだろうというふうに、一定の結論づけているわけですね。これは私どもがいっているんじやなくて、東京都自身の、東京都財政史研究会編ということで、財政史の中にも記載されていることなわけです。
 だからといって、オリンピックなど呼ぶ必要ないといっているわけじやなくて、やるからには当然財政のことは考慮しなきやならないわけですね。しかも、知事のように、とにかくスポーツ施設一一私、前、文教委員会にいたからよく知っていますけれども、駒沢のオリンピックの室内競技場なんかひどいものですよ、行ってみたらわかるけれども。もうそれと同時に、私が指摘したような具体的に痛みが出ていて、何としてもこれは解決しなきゃならないという福祉関係の対象となる都民や団体の声がもう上がっているわけで、そういった意味での、むしろ充実の方向での見直しも含めて、財政運営は大きな転換期に来ているということで、私どもも積極的に提案を含めて、これから物をいっていきたいと思いますので、これをもって質問を終わります。

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