2004年10月28日都市整備委員会 都市再生の環境問題、大橋再開発の住環境破壊をえぐる ○曽根委員 それでは、私からも都市再生の問題について何点か質問させていただきます。 その前に、新潟県の中越地震、その前には台風による相次ぐ被害の累々とした犠牲者の方々や、今でも被災地で寒さに震えている多くの被災住民の方々にお見舞いを申し上げるとともに、昨日、東京都も救援隊を送るだけではなく、都営住宅の受け入れなどを発表されましたが、ぜひ万全の体制で被災地の方々への支援を行っていただきたい。詳しくは住宅問題として後で渡辺委員の方からも質問があると思います。 私は、都市再生ということでのオフィスやマンションなど都心を中心にしたビル開発ラッシュが続いているために、東京の環境やまちづくりへの影響はどうなっているのかということについて、幾つかの角度から質問していきたいと思うんです。 昨年、私は予算議会で都市再生問題を知事に質問いたしました。そのとき都市計画局長は、二〇〇三年間題ということについては、確かにオフィス供給は二〇〇三年度でピークを迎えるけれども、その後落ちついていくんだというようなお話をされました。 ところが、きょういただいた資料の百メートル以上のビルの計画を見ると、決して落ちついた状況ではないというふうに思われるんですが、これは個々のビルの計画については載っていますけれども、昨年度、今年度、それから来年度にかけての竣工予定の大規模ビルの床面積の合計というのはどうなるんでしょうか。 ○野本市街地建築部長 平成十五年度から平成十七年度に竣工予定で、高さ百メートル以上の大規模ビルの床面積の合計でございますけれども、平成十五年度は十九棟、約百七十五万平米、平成十六年度は二十棟、約百二十三万平米、平成十七年度は二十二棟、約二百二十九万平米でございます。 ○曽根委員 確かに今年度は少し下がっているわけですが、超高層ビルに関しては、なぜか来年度は昨年ピークといわれた二〇〇三年を大きく上回る計画が出ている。これは昨年、当時の勝田都市計画局長のオフィスビルラッシュは落ちつくといったことと矛盾しているように思えるんですが、どういう関連で来年度大きな山がまたできてしまうのか、この点についてどうお考えでしょうか。 ○野本市街地建築部長 ビル建設の状況につきましては、それぞれ開発者の方の市場調査とか資金計画、あるいは土地取得の状況等、さまざまな状況があり、一概には難しいかと思いますけれども、このように来年度竣工のものがふえているというのは、需要を見越してのものという考え方をしております。 ○曽根委員 確かにここに来て急速に超高層ビルの計画自体もふえてきていると思うんです。私は二つ原因があると思うんですが、一つは、オフィスビル全体の供給はもしかするとある程度落ちついてきているのかもしれないが、ビル全体の供給の中で百メートル以上の超高層ビルの占める割合が高くなっている。ですから、超高層ビルだけとれば計画はどんどんふえてきている。私は、恐らく中小ビルの方は逆に供給はかなりダウンしているだろうと思います。これが一点。 それから、そのことの原因として、最近、東京都のアセスメントの基準を、高さでは百メートルだったものを百八十メートルに、延べ床面積では十五万平米を超えるものに、両方超えるものというふうに限ったことによって、特に民間事業者にとってはビルが極めて建てやすくなったということが影響していると思いますが、そういう印象をお持ちでないでしょうか。 ○野本市街地建築部長 低層ビルが減って、かえって高層ビルがふえているんじやないか、それはアセスの緩和が原因しているんじゃないかということでございますけれども、手元にそういった統計資料もございませんので、何とも申しかねるという状況でございます。 ○曽根委員 手元に資料がないとおっしやいますが、先日も我が党の渡辺委員から、丸の内の開発について都計審案件に関連して質問しましたが、さきの代表質問でも我が党が指摘したように、丸の内の開発で、計画当初は間違いなくアセスにかかるというふうに見られていた東京ビルディングの計画や丸の内の北口開発ビルの計画が、アセスの改定と同時にこの二つのビル計画は物の見事にアセスから外れて、アセス抜きで建てられるようになったわけです。この丸の内の開発はアセスの基準緩和によって大幅に促進されたといって間違いないと思うんです。 実は余談になりますが、我が会派のスタッフの一人が電車に乗っていて、すぐ隣にビル開発の関係者が座っていたんですね。その会話が耳に入ってしまった。その話によると、以前は百メートル以上を建てるときはアセスに億単位の費用と大変な時間がかかった、しかし今はほとんどフリーパスで非常に建てやすくなったという話を、ビル関係者が隣でしていたというんです。 そういう点では、東京都のアセス基準緩和というのがいかにビルラッシュをあおる結果を招いているかというのは、私は明瞭だと思うんです。 その点で我が党は、超高層ビルを野放しに近い状態にしておくということがどういう問題を起こすのか、これはこの間、本会議その他で指摘してきたように、ビル自体が熱を排出するということによるヒートアイランド現象や、地球温暖化ガスの排出による環境への負荷の問題だとか、周辺道路の許容量を超えた自動車交通を呼び込む問題、またその自動車の排ガスや排熱の問題、最近は湾岸の狭い地域にビルが建ち並ぶことによる風の道の遮断問題、さらには最近問題になっております長周期地震動への対策、エレベーター停止によるパニックの危険、これは先日も、都庁の展望台行きのエレベーターも、おりる途中に新潟地震のために三十五階で途中停止をして、一時間半とまって、係員が手動でドアをあけに行って助けたと。上に取り残された二百五十人のうち大半の人は階段でおりざるを得なかったと。東京映画祭の方は、お客さんは全員、映画を見た後に五十二階まで階段を上がってパーティー会場に行かなければならなかったということがあったと聞きました。こうした多くの問題が未解決のまま山積みされているということを指摘してまいりました。 都はオフィスビルの環境対策として、確かに屋上緑化や空地の緑化を進めてきたわけですけれども、はっきりいって超高層ビルの場合、私が見る限り、こうした屋上緑化、空地緑化、壁面緑化などがほとんど進んでいないように思うんですが、実際どのぐらいの実績を上げているのかというのをもしご存じだったら教えていただきたい。 ○野本市街地建築部長 ビルの環境対策ということでございます。さまざまな観点があるかと思うんですけれども、一つ緑化についていいますと、建物建設の際の緑化については環境局でメーンにやっております。一千平米以上の敷地について一定の緑化計画書というものを出していただきまして、そこで指導するということになっております。 それから、私どものところでの環境対策あるいは温暖化対策といたしましては、開発諸制度の一つであります総合設計制度では、都市のヒートアイランド化の抑制など都市環境の改善に資するということで、屋上緑化について容積として評価し、割り増すということを行っております。 この実績でございますけれども、平成十三年度から十五年度までに八十七件の総合設計をやっておりますが、そのうち三十二件について屋上緑化をやっているということで、割合でいうと約三六%、屋上緑化の実績があるということでございます。 それから、総合設計ではないんですけれども、延べ床面積二千平方メートル以上の建築物では、平成十五年度よりエネルギー計画書というものを出していただいています。建築物の省エネルギー化を推進し、地球温暖化防止に寄与するということで、この実績を申しますと、平成十五年度が九十六件、平成十六年度は六十一件の省エネ計画書を出していただいて、環境への配慮が進んでいるということでございます。 ○曽根委員 屋上緑化は四割近くがやっているという詣ですが、環境局にお聞きしましたら、例えば屋上の場合、人が使えるスペースの二割、総合設計なら三割を緑化するという規定になっているそうで、例えば傾斜の屋根のようなビルの場合は、人が使えませんから緑化の義務はないと。ゴンドラの機材だとかいろいろな機材が置いてあれば、その部分は除くという規定だそうで、つまりどれだけ緑化できるかという保証がないわけですよね。 そもそも超高層ビルも中低層の五階建てぐらいのビルも、敷地が同じであれば、屋上にやろうが地面にやろうが平面の面積は同じですよね。だから、空地や屋上の緑化を頑張ったとしても、その点では同等なんですが、五階建てのビルが同じ敷地面積で、例えば三十階百メートルになれば、環境に与える負荷は間違いなく六倍以上になるわけです。そのほかにも超高層に伴ういろいろな問題があります。 しかし、この六倍の環境負荷に対応してどこかで緑化でかせごうと思ったら、垂直面積の壁面緑化しかないんです。しかし、壁面緑化というのは技術的にも恐らく難しいでしょう。効果を出せるほどのものはなかなか出てこないでしょう。そういう点でいうと、超高層ビル自体が緑化と、緑化による温暖化ガスの吸収というような点でいうと、条件は非常に大きく悪いという点を見ましても、私は、都のアクセスの規定緩和、それから超高層ビルの事実上野放しに近い状態、こういう都市政策を進めていくならば、つい先日ロシアで決議が行われた京都議定書が発効するのにあわせて、炭酸ガスで九○年対比で六%減、現状からいえば一二から一三%落とさなければならないという目標を達成する保証がますます遠ざかっていく。 この点からも都市政策の見直しが必要ではないかというふうに思うんですが、そういう点でのご認識をお聞きしておきたいと思います。 ○野本市街地建築部長 ビル建設等によりまして環境への影響がどんどん悪化していくんじゃないかということかと思うんです。先ほどの、壁面緑化が進まないんじゃないかということなんですけれども、環境局の方では、壁面緑化についてもそれを推進すべくいろいろと対応しているということを聞いております。 それからもう一つ、私どもの方で説明しました省エネルギー計画書ということなんですけれども、もうちょっと説明させていただくとご理解いただけるかと思うんですが、実は計画書の中に、外壁や窓等を通しての熱の損失防止であるとか、空調設備、換気設備、照明設備、給湯設備、エレベーターという建築設備類のエネルギーの効率的利用を詳細なチェックを進めておりますので、面積がふえるからそのままエネルギーの浪費につながるということにはつながらないと考えております。 ○曽根委員 都市計画を立ててそれを推進する都市整備局がそういう認識では、実際には確かに超高層ビルが建っても、そのすべてが新しく入るものではなくて、ほかから移転したものもあります。しかし、明らかにオフィスビル全体の面積がふえていて、そこに新たに企業がテナントとして入ってきて営業面積がふえているわけです。そういう点では、環境に対する負荷はふえ続けるということは間違いないわけです。 そういう点で、確かに屋上緑化その他でもある程度は吸収できますが、以前私も質問したことがありますけれども、オフィスビル一つつくる、特に超高層のビルで十万平米を超えるような床面積のビルをつくることによる炭酸ガスを吸収できるのは、今の技術レベルでいっても、水元公園三つ分ぐらい必要なんです。多少技術が進んだとしても大変な森林面積が必要になるわけで、それを保証するものは今のところ技術的には全く成り立ちません。 これは環境局の範噂ではなくて、都市整備局自身がこの方針について、さっき、都市計画がちゃんとあったんだという話もありましたが、少なくともかつてのような一極集中是正の方針を実質的にも堅持できるような方針を持たないと大変なことになると思います。 このことを指摘しておきたいと思うんです。 もう一つは、都市の緑化の問題で関連して質問したいんですが、都市再生ということで、都市公園などによる緑の確保という点でも大きな後退が始まってきていると思うんです。 というのは、たしか二〇〇〇年だと思いますが、緑の東京構想というのが策定されまして、これまでの緑の倍増計画とか、多摩でいえばフィンガープランとか、かつてありましたが、こういうものからの大きな変更点として、緑の割合を示す緑被率という基準のとり方をやめて、みどり率というふうなとり方に変えたと聞いていますが、緑被率とみどり率の違いというのはどういうものかを聞いておきたいと思います。 ○成田都市基盤部長 緑被率とみどり率の違いということでございますけれども、従来、緑被率と申しますのは、植林地とか農地の緑の占める割合を示してございまして、今回、みどり率というのは、それに加えるところの河川の水面、湖沼あるいは公園内でも園地とか広場を加えまして、みどり率と改定してございます。 ○曽根委員 緑被率はまさに緑そのものの面積をとるわけですけれども、みどり率は実際、緑以外に公園やグラウンドなどの面積全体を含めるとか水面も含めると。 これを、例えば都民の憩いの場所のスペースがどれぐらいあるかという新たな基準として使うならまだしも、これ を緑被率にとってかえようというのは、公園の面積の三割とか四割を必ず緑にしなさいという基準があれば別ですけれども、そういう基準がない以上、公園面積全体をとって、これは大きくいえば緑ですというふうにしてしまうのは、地球温暖化の問題で炭酸ガスの吸収とか、そういうきちんとした目標を持たなければならないことに対してあいまいにしてしまうし、事実上の後退を招くんじやないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○成田都市基盤部長 地球温暖化の問題と温暖化対策につきましても、緑だけではなく、湖沼水面等の水辺に関しましても、私どもは、従来からも温暖化対策の面から効果があると認識してございますし、今回、それに基づきまして、水面と芝生等の広場、こういう地面につきましても緑率の中に算定してございます。 ○曽根委員 ご存じだと思いますけれども、地球温暖化と温暖化という言葉は似ているようで違うものなんですね。地球温暖化問題というのは、まさに炭酸ガスの量にかかわる問題であって、これを吸収できるという点では、水面は樹木の吸収能力に比べればはるかに及ばないわけです。したがって、地球温暖化問題の対策という点では、実際の緑の面積をどう確保するか、もっとはっきりいえば、ちやんとした樹林、森林を確保する問題に取り組まなければならないわけです。 そういう点では、緑率ということで、広場とかグラウンドでもいいということになれば、本当にあいまいになってしまうし、水面というのは、東京都の中で基本的には昔も今もそんなに大きく広がっていないわけです。変わらないわけです。そういう点でいうと、緑の目標をあいまいにするというふうにならざるを得ないという点を強く申し上げておきたいと思うんです。 これは都市整備局がきちんと計画をつくっていかなければ、でき上がったビルや空地の緑化といっても、その基準が守られているかどうかを環境局が幾ら調べても後の祭りなんですね。都市政策で原因をつくっているわけですから、この都市政策をきちんと変えなければならないと思いますが、改めて都市整備局長に、この点についてはきちんと対処していくべきという見解をいただきたいんですが、いかがでしょうか。 ○成田都市基盤部長 曽根副委員長のご指摘でございますけれども、平成十二年に緑の東京計画を発表いたしまして、この中で緑被率からみどり率と変えてございまして、これを受け、その後、東京都の都市計画審議会の中に専門委員会を設けまして、東京らしい緑の新戦略を打ち出してございます。 現在、これらの二つのビジョンに基づきながら公園緑地の整備方針を検討してございまして、都市整備局といたしましても、今後の緑政策について、これらの整備方針を確定しながら、都民の皆様に示していきながらご理解をいただければと思っております。 ○曽根委員 局長はこのくらいぱっと答えられるようにぜひなってもらいたいんです。 東京都がみどり率というのを対外的に統一的な基準として設けると。しかし区や市町村は、私のいる北区も含めて引き続き緑被率で頑張っているわけです。 そういう区市町村との整合がとれなくなるだけではなくて、東京都がみどり率でいいとなれば、右へ倣えになっていく危険性は大いにあるわけです。 したがって、今、焦眉の課題としては、何としても九○年対比六%減という、国策としても東京都としても守らなければならない目標に向かって、こういう後退、あいまいさは許されないということを改めて強調しておきます。したがって、緑被率についても計画的な目標を持つこと、みどり率を否定するものではありませんが、緑被率の目標をあいまいにしないこと、都市公園についても計画的に整備を進めることを求めておきたいと思うんです。 ●都施行の再開発が環境問題の原因に 次に、私は、都施行の再開発自身が超高層ビルや環境負荷の原因をつくっている問題についてただしていきたいと思うんです。それは、都施行の再開発で、かつては白鬚西地区とか白鬚東、また亀大松など、いわば防災や住宅を中心にしたまちづくりのための再開発が、東京都施行の第二種再開発事業で行われていましたが、最近の再開発は様相が違うんじゃないかと思うからなんです。 現在の都施行の再開発で事業中のところはどこで、進捗率はどういう状況か教えてください。 ○石井市街地整備部長 都施行の再開発で事業中のところはどこで、進捗率はどうかということでございます。都施行の再開発で事業中のところは、環状第二号線地区、北新宿地区、それと白髪西地区及び亀戸・大島・小松川地区の四地区でございます。 各地区の進捗率でございますが、平成十五年度末現在、再開発事業費の支出ベースで申し上げますと、環状第二号線地区が約二九%、北新宿地区が約六八%、白鬚西地区が約九六%、亀戸・大島・小松川地区が約九九%でございます。 なお、赤羽北地区につきましては、平成十四年度末に事業が完了してございます。 ○曽根委員 赤羽北は、私はすぐそばに住んでいるんですが終了したと。白髪、それから亀大松もほぼ終息だと思います。進行中である北新宿、環二の開発が、最近事業をしているわけですが、以前の第二種の開発と全く様相が違うんですね。東京都自身が今まで建物を建ててきましたが、都が建物を建てるのさえやめているという状況で、最近やっている北新宿と環二の開発で、都自身が施行する再開発ビルというのはあるんでしょうか。あるとすればどこにあるんでしょうか。 ○石井市街地整備部長 都が直轄で建設する再開発ビルについてでございますけれども、間もなく完成予定の北新宿地区一棟は私どもが直接仕事をしてございます。 ○曽根委員 お聞きすると、北新宿の直接施行しているビルが特定建築者制度ができる直前に事業に入ったということで、その後は特定建築者制度ができて、私の地元の赤羽北の再開発でも一棟ありますけれども、環二と北新宿の大部分は特定建築者制度をもって、民間に土地を売って建築させているという状況です。 これらの開発は、いずれも幹線道路建設が大きな目的の一つに実際上なっておりまして、道路計画との関係でいえば、以前は住民が地上げに遭ったり、地上げ後のバブル崩壊で虫食い状態で放置されたり、いろいろ苦労があったところに、今度は東京都が直接、開発会社のかわりに土地買収に入って、第二種のやり方ですよね。東京都がまず土地を買うわけです。公共の開発だからということで住民が信用して任せてみると、実際に建てるビルの大半は東京都が建てるんじやなくて民間の会社が建てる、民間会社の持ち物である。地権者にもなかなか手が出ないような超高層ドルになってしまう。入るのは地元の大手の地権者、つまり企業ですね。環二でいえば森ビル、北新宿でもかつて地上げなどで悪名を馳せた企業の関連会社ということになっているわけです。もしくは多くのビルが開発を赤字にしないための保留床としてそれが売られて、そこにまた新たに大手が入ってくるという状況なんですね。 したがって、ビルを建てるのも不動産かゼネコンですし、看板だけは東京都が公共ということで持っていますが、その裏を見てみると、まさに大企業が入り、大企業のために大企業によって開発されているという実態があって、しかし公共という看板だけはしょっているという実態だと思うんです。 それでも問題がなければいいじやないかというかもしれませんが、こういうやり方をしているとやっぱり問題は起きるわけです。 そういう開発の手法が一体どういう問題を起こすかというのを象徴しているのが、今度新たに第二種の開発を進めようとしている大橋一丁目の開発だと思うんです。 ●大橋の再開発の問題点は この間題に入っていきたいんですが、大橋一丁目の再開発というのは、首都高新宿線と品川線をつなぐ大橋ジャンクションをそのほとんどの面積が占めている開発です。これ自体、非常に特異な姿だと思いますが、東京都が示している大橋再開発の目標は何でしょうか。また、ここでもやはり特定建築者制度を活用するのでしょうか。 ○石井市街地整備部長 大橋地区の再開発の目標と、ここでも特定建築者制度を活用するのかという二点についてのお尋ねかと思います。 目標でございますけれども、大橋地区につきましては、中央環状新宿線の大橋ジャンクションの建設に伴って、地元及び地元区から地区内で生活再建が図れるようにジャンクション整備と一体となったまちづくりを求められまして、東京都はこうした事情の中から、ジャンクション整備のみでなく、周辺のまちづくりといいましょうか、一体となったまちづくりを都施行の再開発事業として行うこととしたものでございます。 この再開発も、都が直接建てる計画にならずに特定建築者制度を活用するのかということでございますけれども、現在、今お話がありましたような環二地区で進めております特定建築者制度は、これまで都が施行してまいりました再開発事業で幾つかの保留床販売を行ったわけでございますが、その実績と反省に立ちますと、残念ではありますけれども余りうまく売れないということがありまして、この反省を踏まえまして、再開発事業に特定建築者制度を導入することとしたものでございます。 この特定建築者制度のメリットでございますけれども、何よりも今いったような保留床処分のリスクが大変小さい、結果的には税金をつぎ込むことが少なくて済むようになるということ。それから、やはり民間と一体となってやるということで、東京都の予算制度に縛られるようなことがありませんので事栗のスピードアップが図れる。それと、スピードアップが図れることによりまして、利息を生むような大変大きな仕事でございますので、金利負担が小さくなる。結果、総事業費が縮減されるというメリットはあるわけでございます。したがいまして、これからの事業地区につきましては、特定建築者制度を活用してまいる予定でおるわけでございます。 大橋地区につきましても、今お話ししましたような事業のスピードアップと保留床処分のリスク軽減背の観点から、特定建築者制度の導入を予定しており、都が直轄で再開発ビルを建設する予定はございません。 ○曽根委員 今、石井部長がおっしやったのは、私がもらったパンフレットの地区計画の目標というのとちょっと違うんですね。この目標を読むと、地区計画の導入により、周辺市街地環境に留意しながら立体道路制度を活用して土地利用を図り、既存の商業・業務及び住宅機能を維持増進するとともに、公益施設の導入等により公益的な中心性を有する生活拠点として整備、誘導するとなっていまして、ジャンクションというのは余り書いてないんですが、いずれにしても良好な住宅環境、また商業・業務環境を維持増進していくと、周辺市街地環境に留意するというふうに目標なりに書かれていながら、実際にそうなっていないじやないかというのが、先ほどもちょっとご質問がありましたが、ビルの日影となる氷川台の町会、また都営大橋団地、保育園から、開発の抜本的な見直しを求める声が上がっていると思うんです。それはご承知だと思うので省略します。 なぜそういう声が上がっているかという点で、私が現地へ行ってお話をいろいろ聞いてみると、やはり良好な住環境、周辺環境に配慮といいながら、実態は大橋ジャンクションをつくるための開発であって、したがって開発面積の大部分を大橋ジャンクションが占め、実際に再開発ビルを建てられる面積というのは、全体の面積の三分の一ぐらいしかないと。 その狭いところにビルを建てるから、どうしても超高層になってしまうということから来ているんじゃないかと、だれが見てもそう思うと思うんです。 これによる被害の問題に入る前に、もともとこの大橋ジャンクションをなぜ必要とするのかという点に、我が党は根本的疑問を呈してきたわけです。中央環状新宿線は急ぐために地下にしましたよね。地下鉄と二階建てにしました。したがって、一番深いところでは五十メートルの地下を通って道路が来るわけです。それが高架と接続するために、どんなにループを小さくとっても二回回さなければつながらないわけです。したがって、あのような巨大な大きさのジャンクションをつくらなければならなくなる。私は、道路計画としてもかなり困難な、無理がある計画ではないかというふうに思うんです。 しかも、それをやるのが大橋の市街地のど真ん中で、今でもあそこは氷川台からしてもずっと下になっていますから、谷合地というんですか、いかにも大気汚染、排気ガスがたまりやすい地域に、だから今でも大気汚染の最悪の地域の一つだと思いますが、ここにジャンクションがつくられる。当然ながら地元から見れば大変な計画だと思うんです。 首都高の地下道路を新宿線だけじゃなくて品川線も計画しているので、この問題について一点だけ聞いておきたいんですけれども、先日も都計審で我が党の松村議員から質問しましたが、十キロ、さらに品川線で十キロ、合計二十キロの地下道路をつくるわけです。 その地下道路の安全基準というのは何ですかというふうに聞いたら、昭和五十三年に例の日本坂トンネルの大事故がありました。あれを教訓につくられた安全基準が今のベースになっているらしいんですね。日本坂トンネルというのは10キロ程度のトンネルらしいので、それは参考にならないんじやないかと。長大なトンネル、もう少し長距離のトンネルのための安全対策として、既に欧米でも例があるわけですから、せめて換気塔をつくる。ニキ ロないし二・五キロぐらいの間隔で換気塔がありますよね。その間隔で安全対策、車だったら車が逃げられる、避難路ができるぐらいのことをやらないのに、地下道路をつくるということ自体に非常に無理があるんじゃないかというような問題も指摘しました。 品川線全体の財政的な問題も含めて我が党は反対の立場なんですが、この安全対策について、先日も新潟で道路自体が全部なくなるという中に巻き込まれた車の事故もありました。私もきのうずっと見ていましたが、ああいう事態の何百倍もの規模で再発が起きかねないと思うんですが、新宿線の地下道路の安全対策についてどの程度のことを考えているんでしょうか。 ○道家外かく環状道路担当部長 首都高速中央環状線でございますけれども、新宿線のトンネルは約十キロ、品川線のトンネルは約八・四キロほどでございます。合わせて十八キロ余のトンネル延長を持つことになります。 トンネル内の安全対策につきましては、その中での火災や交通事故に対して十分な安全対策を実施していく必要があると認識をしております。そして、国土交通省が定めました道路トンネル非常用施設設置基準のうち最も厳しい基準を適用することとしております。この基準は現時点における最新の基準でございます。 具体的な安全対策でございますが、まず防災安全施設といたしましては非常用電話、火災検知器、泡消火器、誘導表示板などを設置することとしております。次に避難対策といたしましては、発災時に人が安全、迅速に避難するための非常口や地上への出口を設置するなど、設備や構造上の対策を適切に実施していく予定でございます。 新宿線、品川線ともさまざまな防災安全対策を講じ、トンネル内の安全確保に努めてまいります。 ○曽根委員 これは余り詳しく質問するつもりはないんですけれども、人が逃げるのは最小限だと思います。しかし、次から次へと車が入ってくる高速道路で、、トンネル自体は崩れないまでも、この間のような地震で、革速で走っている自動車は間違いなくスピンを起こすわけです。それによる玉突き事故などが起こった場合に、次々に来る車が一方通行の高速道路の中でどうやったら避難できるのかというようなことも含めて、二次災害、三次災害を起こさないための手だてというのは、今の話では到底安全といえる状況ではないということを指摘しておきたいと思うんです。 こうした道路をつなげるための開発のために、私は今問題にしたいのは、公共団地である氷川台の大橋団地、それから保育園、こういう公共的な施設をなぜ日影にしなきやならないのかという問題なんです。 先ほど日影は一時間から一・五時間という話がありましたが、地元の皆さんが問題にしているのは、保育園の園庭で、子どもが遊ぶ時間にちょうど日陰が来ると。日影が始まってから影が抜けるまでに二時間あるというんですよ。これは事実だと思うんですが、いかがでしょうか。 ○石井市街地整備部長 先ほど申し上げましたように、保育園の園庭に日影が生じますのは、冬至日におきまして、場所によっておおむね一時間から一時間半程度の日影が生ずる、それが動いていくということでございます。 なお、再開発ビルによる日影の影響につきましては、東京都日影条例で規定されております敷地境界線から五メートルを超え十メートルまでの範囲の四時間以内、それから十メートルを超える範囲の二・五時間以内、それぞれを満足しているものでございます。 ○曽根委員 先ほどの答弁でおっしやった日影図というのはこれですよね。こういうのを丁寧に示しましたという話がさっきありましたが、こういうものを示したからといって日影の時間が短くなるわけではありませんよね。 この図を見て、私は、なぜ住民の皆さんがいうのと時間がずれているのかなと思ったら、園庭の西側から日影が始まって、園庭から影が抜けるまでに二時間。石井部長がおっしゃっているのは、一点をとった場合に影がいつまで続くかでしょう。そうすると長いところで一時間半かもしれません。しかし、園庭に日影が始まってから、園庭を影が通って抜け切るまでが二時間以上あるんだと。保育園の人たちは、ちょうど子どもたちが遊び始める十時ぐらいから、十一時半ぐらいまでの時間の大半が、園庭のどこかがその影に入ってしまうということを問題にしているんだと思うんです。 既に八時から十時ぐらいまでの時間は、すぐ近くに広告塔のついたビルがありまして、その影でもって園庭には日影ができていると。十時の影が終わったかと思ったら、かなり距離はありますけれども再開発ビルの百六十メートルの影が届いてきて、二時間にわたってずっと影がかかると。日影のときの温度の違いというんですか、これが非常に影響があって、先日行ったときに、子どもたちにとっては寒さで震えるぐらい違いがあるんだということを園の責任者の方が懸命にお話をしてくださいました。 私は、東京都の第二種の再開発はそんなに数がないわけですから、調べてもらえばわかると思うんですが、保育園に日影を落としてこういう影響を与えるというのは前代未聞だと思うんです。こういうことまでしなければ開発できないのか、いろいろやり方はあったじやないかというのが地元の方の声なんです。 この点で、私は率直にいえば、団地の方々や保育園の方々の意見を取り入れながら、開発の当初からいろいろ相談していけば解決の道はあっただろうし、もともとこの開発の構想自体がジャンクションをつくるためですから、ジャンクションをつくるだけならば、首都高が頑張れば道路としてできるわけですから、そういうことを考えても、もともとの計画に周辺住民に対する配慮が余りにも欠けていると思うんですが、いかがでしょうか。 ○石井市街地整備部長 委員のお話でございますけれども、私どもはこれまでも、地区の北側の保育園はもとより、都営住宅や影響を受ける周辺の方々に対しまして数多く理解が得られるように努めてまいります。 ○曽根委員 周辺の住民の方とも話し合ったということは、もちろん事実としてあったわけですが、ちょっとお聞きしたいんですけれども、石井部長は直接話し合いもされたということなので、私は、その話し合いの中で確認事項というのを住民の団体の方からいただいたんですが、その確認事項の中に、わずか一ヘクタール強の敷地に再開発を計画したことに誤りがあったと指摘されても仕方がないと東京都や目黒区の方からの発言があったということと、都、区、地権者の意見に偏った初めに計画ありきではなく、今後はビル建設によって被害を受ける住民の意見を反映しながら進めることというような確認がされたというメモをいただいたんですが、一ヘクタール程度の敷地に開発を計画したことが問題があったんだという発言があったとすれば、それはどういう意味でおっしやったんでしょうか。 ○石井市街地整備部長 残念ながら私の手元にはそういう事実はございません。確認して おりません。 ○曽根委員 それでは、ことし二月に、氷川台の日照を守る会という団体と大橋の再開発事務所の山形課長さんとで取り交わしたと思うんですが、その中にある、一ヘクタール程度の開発ということに問題があったと東京都が認めたという事実はないということですか。これを確認し合ったということは。 ○石井市街地整備部長 少なくとも私はそういう確認をしておりませんし、そういう報告を受けておりません。 ○曽根委員 それでは、部長は知らないということなので改めて確認をしていただきたいんですが、これは住民の皆さんがつくったものですから、確認をしていただければいいと思うんですが、意味するところはこういうことだと思うんです。住民の皆さんが、同じ大きさであっても再開発ビルをセットバックなりで動かせないのかという要望をしていますよね。何十メートルかずらせないのかと。そしたら、全体の敷地自体が、大橋ジャンクションのわきですから百メートル四方ぐらいしかないわけですよね。どう動かしても逃げられない、影が園庭にかかってしまうということを意味すると私は思うんです。開発自体が、非常に狭いところにのっぽビルを建てるという開発、根本的にここに問題があると思うんです。 課長も、話し合いの中では率直にいえばそういうことなんですよというふうに認めざるを得ないような事態だとすれば、影が落ちるのは保育園や都営住宅なんです。それから、都営住宅のさらに北側にいる人たちは、都営住宅が三十年前にできたときに、東京都が建てるからと安心していたら、当時は日影条例はなかったというんですけれども、一、二階まで影ができちゃって、ようやく三階のところに目が当たっていたのに、そこに東京都施行の再開発ビルでまた影ができるということで、かんかんになっている方もいるわけです。そういう問題を配慮した何らかの対策というのはあってしかるべきだろうと。それができないんだったら、周辺環境なんていう言葉を目標に入れること自体が間違いだと思うんですが、いかがですか。 ○石井市街地整備部長 先ほど他の会派の先生からのご質問にお答えしたのは、地元区と地元の方々が掲げた目標でございまして、その目標には周辺環境を生かしたまちづくりというようなことがあったわけでございます。私どもはそれを真筆に受けとめてできる限りの努力をしたいと、このように考えているところでございます。 ○曽根委員 最後にします。 話し合いはまだこれからもあるでしょうし、皆さんの意見を聞いて努力をしたいということなので、私は、開発面積が非常に狭くてビルの位置など身動きがとれないということであるならば、再開発としてやっていくのかどうかも含めた抜本的な見直しをして、少なくとも周辺住民の方々が納得いかないような形での強硬突破は断じて避けるべきだということと、もともと大橋ジャンクションの計画を再開発で進めることには根本的な無理があるということを指摘しておきたいと思うんです。 このあと若干の質問予定がありましたが、約束の時間を大分過ぎていますので、これで私の質問を終わりにします。 |