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2003年2月27日文教委員会
●生活文化局予算審議
私学への「政治的偏向」攻撃への反論など

●私立高校の平和教育への攻撃が・・

○曽根委員 それでは、予定しております質間に入る前に、先ほど小美濃委員の方から、私学の教育内容についての質問があって、関連して山本委員、大西委員からもありました。
 非常に大事な問題であり、私学教育の根幹にかかわる問題に触れておりましたので、私からもちょっとお聞きすることになるかどうか、ちょっと一言申し上げておきたいと思います。
 そこで、小美濃さんの話の中で、私学でやっている教育の中身について、所管局である生活文化局、つまり東京都として、もう少し立ち入って教育内容についての指導や監督はできないのかというお話があったわけですよね。その例として、カリキュラムの編成が届け出と違うという例と、それから、高校生平和ゼミナールの話がありました。

 それで、大西さんの方からの、大西さん、都議会自民党の幹部の方ですから、これを今後研究したいというお話もあったので、今後、その法的なことはともかくとしても、東京都は全国の発信地ということをいっているので、もうちょっと監督権を強めるみたいなことが都独自に行われていく、自民党の方から提案されていく可能性がなきにしもあらずだな、今の全体的な東京都の教育行政の流れでいくとですね。そういうことを、私も感じるので、ちょっと局の方の、姿勢についてもただしておきたいのですが、まず、高校生平和ゼミナールというのに参加してみた方、いらっしゃいますか。行ったことのある方。(挙手なし)
  多分それでは、まあちょっとお答えが難しいかと思うのですが、小美濃さんは、あそこに参加している高校生か若者の中に、日本共産党の指導を受けている民青同盟の同盟員が参加している。だから、政治的に偏っているんだということを予算特別委員会の中でおっしゃった。それで、民主青年同盟のような、青年団体の個人が参加しているから、それが政治色のある活動だということになると、(小美濃委員「ホームページに書いてあるんだけれどもそんなこといってないよ」 と呼ぶ) いや、そうです。たしかおっしゃったんですよ。(小美濃委員「見てくださいよ、議事録を。ホームページに書いてある」 と呼ぶ)
 そうなると、特定の政党と結びつきのある労働組合や宗教団体などの個人が参加しているということが政治色があるということになっちゃう。これはどうかと思うんですよ。
 (小美濃委員「そんなことはいってないよ」と呼ぶ)
 中身についても、中学校の建物にポスターが張ってあった。中身も非常に政治的だという話がありました。これが本当の大きな理由だとすれば、私は全く違うと思います。

 実をいうと、私がおります北区でも、その高校生平和ゼミナールがつい最近、ある私立高校を会場に開かれまして、その学絞は、私がおりました区議会でお世話になっていた北区の助役さんが校長先生になっているのです。その学校出身だったんでしょうね。北区は革新区政じゃありませんから、助役さんというのは保守的な方だと思います。そういう方が校長先生になっているのですけれども、たまには遊びに来てくださいよということで、たまたま高校生平和ゼミナールが開かれているときに行ったのです。参加して、父母の方もいっぱいいらっしゃっていたし、高校生も非常に熱心にいろんなことに取り組んでいました。いってみれば、規模の大きい高校文化祭的なものですよね。
  その中で、共通のテーマとして何が掲げられていたのかというと、これは基本的な問題でいうと、戦争をしてはならないということと核兵器の廃絶、この二つだと思います。高校生平和ゼミナール、私が知っている限りでは、もともとは広島で今、行われている「語り部運動」、被爆者の方が後の世代の若者に自分たちの被爆体験を語り継ごうということで、たまたま私、最近、広島の原爆資料館に行ってきましたけれども、そこで非常に大きなコーナーをとって、テープで被爆者の方の話を聞けるというコーナーがあります。また、展示も最近は拡大されて、建物が三つになつて、非常に充実していました。
  その語り部運動に触発された高校生や、それからテレビでも紹介されていましたが、女優の吉永小百合さんなどが、アメリカまで行って、英語と日本語で原爆体験や、また被爆者の詩を朗読するということをずっと続けておられますよね。ですから、吉永さんも高校生平和ゼミナールに毎年メッセージを寄せているわけで、そうした共感、共鳴の中で、高校生が取り組んでいるというのが、この平和ゼミナールの中身なんですね。

 これが、特定の政党の支持を広げたり、もしくは特定の政党を批判・中傷するような中身として扱われるとするならば、平和教育というものは一切成り立たないことになると思うのです。
 私が紹介したような中身が、これがもし生文局が権限を得て、指導監督で教育内容にまで見に行って、高校生平和ゼミナール、これはもう政治的だというようなことになるとすれば、これは大変だなと思うのですが、どうお感じになりますか。
 ( 「内容だよ、内容」と呼ぶ者あり)内容をいっているのですよ。

○中澤私学部長 平和ゼミナールの内容につきましては、今、先生から伺いまして、中身については初めて知ったところでございます。私どもとしては、この法の考え方、私学法は私学の自立を尊重する、建学の精神と自主的な運営を促して、そのことによって多様な教育の機会を国民に保障していくということで行われてるかものと思っておりますし、法が、今そういうある種の教育の中身については、外形的には規制をするけれども、中身については入っていかないという規定をしていることを認識をしているものでございます。

○曽根委員 そのとおりだと思います。これは決して私学教育だけではなくて、都立高校の教育に関してでもいえる問題だと思うのです。
 というのは、今、東京の都立高校や私立高校のかなりの多くの高校が沖縄に修学旅行に行っています。沖縄の経済はそれでもっているという面もあるわけですよ。ですから、おととしテロが起きて、それから、次の修学旅行、ほんど行かなくなっちゃった。みんなUSJですか、大阪のユニバーサルスタジオの方の施設に行っちゃって、沖縄は干上がったということで、PTA会長が全国行脚して私どものところにも来まして、何とか風評に惑わされずに、沖縄は安全ですから、修学旅行に来てくださいというわけです。
 私の娘もたまたま私学でお世話になっていて、二年の終わりごろに沖縄に修学旅行に行ったんですよ。行くと、必ずバスガイドの人が、沖縄に米軍基地の七五%が集中していて、この問題が沖縄の発展をいかに阻害しているかというのをとうとうとやるのですよ、バスガイドさんが。それで必ず連れていかれるのは、「安保の丘」といわれている普天間基地の見えるところなんですよ。これが基地の実態ですとやるわけですよね。観光じゃないのです。それから「ガマ」に行って、当時の日本軍がいかに島の人たちを犠牲にして、自分たちは逃げていったかというようなことも、現地の人が話をする。それが平和教育なんです。
(「何が平和教育だよ」と呼ぶ者あり)いや、違いますか。これが平和教育じゃないというんだったら、後でいってくださいよ。(「基地反対なんだろう」と呼ぶ者あり)違いますよ。そういう修学旅行だからこそ、平和を学ぶことができると私は思う。
 それで、そういう修学旅行に都立高校のかなりの数が行っていますよ。私立高校もかなり行っている。これが偏向教育であり、安保賛成・反対でいえば、自民党とかね、それは態度が分かれてきますよ。さっきの核兵器廃絶ならば、どの党も否定していないんだ。だから、全く生徒は中立ですよね。しかし、安保の現状を認めるか認めないかということでいうと、沖縄の圧倒的多数の人たちは、これは何とかしてほしいと思っている。しかし、日本の政党全体でいえば、分かれますよね、これ、態度は。分かれるけれども、沖縄に修学旅行に行けば、その現実を見るわけですね。そこから一人一人の高校生が、平和とは何か、戦後の日本の歴史が何だったかと学ぶのが平和教育で、そこからはそれぞれが、政治的に、考えていかなきゃなんないなというふうに思うでしょう。しかし、現実を見ないわけにはいかないわけです。
 それでは、私学を担当する担当部局として、そういう沖縄に修学旅行に行っていることについて、これは偏向教育の可能性があると、もし公的な権限が出たら、指導できるのか。
 そんなこと、できないと思うんです。高校生平和ゼミナールよりも、はるかに今の日本の現実を直視する、こういう教育が東京でもやられているわけですよ、私立高校において。
 この平和教育を、それは反米だとか、反自民だとかいい出したら、何もできなくなるということも私はいっておきたい。
 それで、今の私学が何で法律でしっかり守られているのか、行政が中に立ち入れないのか、ということには、私は、日本の歴史独特のものがあると思う。それは、戦前からの、つまり、日本の明治時代に近代教育をつくってきた中で、私学の果たしてきた役割は極めて大きいわけですよ。極めて大きいだけじゃなくて、私学教育というのは、時の権力にさまざまな形で抑圧されながらも守り抜いてきたものがあるからこそ、戦後、要するに戦前の公教育がすべて戦争に動員されていった、そういうことの反省から教育基本法ができ、しかも私学については特にそれを、自立性を守る、硯学の精神を守るということが入ったのですよ。
 私、たまたま最近広島から萩に参りまして、松下村塾を見てきたのですけど、松下村塾って立派な塾かと思ったら、もう掘っ立て小屋ですよね。そこで吉田松陰が教えていて、そこから伊藤博文だとか木戸孝允とか、いろいろ輩出してきたわけでしょう、明治の志士をね。吉田松陰は、最終的には幕府を転覆させようとしたということで、捕まって江戸に連れていかれるわけですね。そのときに、彼は、自分たちの後輩というか教え子に、権力におもねるな。日本の未来を見て頑張れということを残しているわけです。これが本格的には私学のスタートだといわれているのです。そういう私学の歴史がある。
 福沢諭吉にしても、大隈重信にしても、それぞれ一定のスタンスを時の明治政府にたいして置いて、自分たちの考え方に基づく私学教育というのを築き上げてきた。そういう自立性をやっぱりきちっと守っていきたいという思いが、あって、私の娘は仏教系の高校へ行っていましたが、キリスト教系もある。いろんな宗教系の高校もあるし、それから本当にごく一般的な都立高校と変わらないような雰囲気の学校もある。いろんな学校がありますけれども、そういうそれぞれの精神を、もちろん学習指導要領の枠の中では自由にやっていいということになっていると思います。
 この建前、この枠組みというのを、何か今のご時世や今の東京の教育の流れを理由にして、ぶち壊して中に手を突っ込もうというようなことがあつては、絶対にならないと、私は思っておりますので、今後も機会があれば、またこういうことについての議論をさせていただきたいと思います。

●授業料減免制度の充実に向けて

 ちょっと時問をとってしまいましたが、予定していた質問に入ります。
 その私学助成問題なんですけれども、私、前から私学助成の経常費補助が実質二分の一を割り込んでいるという問題について、繰り返し指摘をしてきました。私学経営の今の厳しさを考えれば、私は確かに建前上や基準の上では、経常費補助は二分の一になっているとはいうものの、実額で計算をすると、大体四割を切っているという実情がありますので、やはりさらなる努力と工夫が必要ではないかということをいっているわけです。
 同時に、これは今、学校経営の問題もあるわけですが、同時に生徒や家族の家計の苦しさ、今まで経済的に安定していた家庭であっても、突然のリストラとか企業の倒産などで、突然家計が苦しくなるというようなことがふえてきて、それに対応する授業料減免制度の充実というのが行われてきたと思うのです。確かに充実をさせてきて、今、三分二の補助になっています。
 しかし現状では、なかなかその減免規定を持つ高校がふえていないんじゃないかというふうに思うのですが、授業料減免制度の規定を持っている高校、その割合、また、実際に利用されている高校はどうなのか。利用している生徒の人数はどうかという、最近の推移をお願いします。

○中澤私学部長 授業料減免制度には、家計状況によるものと家計急変によるものの二つがございますけれども、減免規定等、この制度を持つ高等学校は、家計状況については平成十二年度六十七校、十三年度七十四校、平成十四年度七十九校でございます。また、家計急変については、平成十二年度六十校、平成十三年度七十二校、平成十四年度八十校でございます。
 利用状況でございますが、家庭状況が平成十一年度は三十七校、二百六十九人、平成十三年度三十七校、三百五十四人、平成十四年度四十一校、五百二人でございます。
 また、家計急変につきましては、平成十二年度が十三校、三十六人、平成十三年度十三枚、三十四人、平成十四年度十七校、三十八人でございまして、この制度を持っている学校は、おおむね全体の三分の一程度というふうに思っております。

○曽根委員 なかなか複雑な状況だと思うのですね。つまり、利用する生徒は二年間ぐらいの間に二倍近くになっているわけですよね。しかし、制度を持っている学校は、必ずしもふえていないという状況で、私は、私学の中でも、こういう制度を持って、大いに活用している高校。また、そういうことをやっているからこそ安心して入れるというふうな高校と、一方では、こういう制度はもう要らない。うちはグレードが高いというふうになっているのかどうかわからないけれども、制度を持たないでやっている高校とに分化している傾向があるのかなという気がするのですね。

 しかし、利用が二倍になって、わずか二年間ちょっとの間に二倍になってきているということは、全体としてはこの制度は非常に重要な役割を果たしているというふうに思うのです。

 それで、私はその点で、例えばまだ規定を持っていない学校にも普及を勧めるために、規定のモデルをつくって提示するとか、また、もう一方、学校には減免の相談には行きにくいという場合に、行政なり、私学協会なりで何らかの相談窓口をつくって、個別に相談を受け付けながら、その方のプライバシーを守りながら、学校にも規定の制度化を勧めていくような力にしていくというようなことも含めて、この制度がやっぱり本来なら全部の学校にあって、利用してもしなくても、あって、それで、いざとなればという構えが私学全体の中でできているようにするのが本来のあり方だと思うのです。
 その点での局の考え方をお聞きしたいと思います。

○中澤私学部長 この制度の普及、あるいは定着ということでございますけれども、都ではこれまで減免規定のモデルをつくりまして、学校からの紹介や、あるいは相談の際に示してまいりました。また、学校に対する事務説明会を初めといたしまして、機会あるごとに説明を行っているところでございます。
 今後とも、学校に対しまして、この制度の趣旨を積極的にPRをいたしまして、制度の定着を図っていきたいというふうに思っております。

○曽根委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 それから、学校側がどうしても三分の一の負担があるということがネックになっている場合もあると思うんですよ。そこで、私の提案としては、今、経常費補助の中に入っているわけですよね。だから、どうしても学校側の負担というのが出てくる。これを、例えば経常費補助の外、外枠補助にするというようなことで、単独の補助金にして、できれば、全額都の助成にするというような、制度として大きい枠のものにするということができないかどうか、お聞きします。

○中澤私学部長 経常費補助は、教育条件の椎持向上、保護者の経済負担の軽減、私立学校の経営の健全化を目的とした包括的な補助金でございます。授業料減免制度など、経常費の特別補助というのは、学校法人の実績に応じて補助することで、今も述べました目的の誘導効果を高めるために行うものでございます。一部項目を別枠にした場合、標準的運営費方式そのものにも影響を与えるということがございますので、慎重な対応が必要だと考えております。

○曽根委員 確かに大きい問題なので、今すぐというわけにいかないという局の意向もわかりますけれども、今、不況のどん底状態で、まして、大手の企業も安閑としていられないという事態の中ですので、今すぐこれが必要だという方がたくさんいると思うのです。そういう点での改善を強く求めておきたいと思います。
 それから、あわせて、私どもは、前々から一律助成、全生徒に対する授業料補助、これも年来の、これは前、あったわけですよね。その制度の復活もいっておりますので、これも指摘しておきたいと思います。

●「社会的ひきこもり」問題への対策について

  それから次に、社会的な引きこもりの問題、これは実は昨年の予算特別委員会で、同僚の松村議員が取り上げて、その後、昨年の十月二十二日の青少年問題協議会の総会で、これを今後一年ぐらいかけて検討をしていくということが審議会の大きなテーマになったわけなんですよ。ちょうど予算特別委員会の松村質問の中でも、青少協でぜひやってほしいということを提案しておりましたので、ご答弁をしていただいたということについては非常に歓迎している。
 それで、これは当然審議会で検討していくわけなんで、その担当事務局でもあり、この分野の所管局として、まず、引きこもりというのはなかなか定義も難しいし、実態もまだ十分つかまれていないということはあると思うのですが、東京都としては、現状を、どのように押さえておられるのかをまずお聞きします。

○中島都民協働部長 引きこもりにつきましては、平成十三年五月に厚生労働省が発表した、十代、二十代を中心とした社会的引きこもりをめぐる地域精神保健活動のガイドライン、これは暫定版でございますが、この中で一応の定義はなされておりますが、人数等の実態については分表されているものはございません。

○曽根委員 審議会のときにも、尾木さんという教育専門家の方の、いわば統計的な中での推計として百五十万とか二百万とかいうような話も出ていたのですが、それか、もしくはそれに近い状態の、かなりの数の青少年がいるということは間違いないというふうにいわれていたわけですね。したがって、これからいろんな実態を調べていかなきゃならない問題だと思うのです。
 それで、東京都として、これについてどういう対策が、今の段階でいうととられているのか。また、国の方ではどうかということもあわせてちょっとお聞きしたいと思います。

○中島都民協働部長 国におきましては、厚生労働省でございますが、引きこもり等児童福祉対策事業というのを行っております。そのほか、全国の保健所、精神保健センターを対象といたしました調査を実施しております。
 また、先ほどお話しいたしましたガイドラインの確定版につきましても、三月末を目途に検討しているというふうに聞いております。
 東京都につきましては、福祉局で訪問指導、心理指導などの事業を行っております。また、健康局では、関係機関の連携による思春期心のケア事業というのを行っております。
 私ども生活文化局では、青少年センターの、この中で相談事業をやっているわけですが、この中で引きこもりについても相談をお受けしているという状況でございます。

○曽根委員 これは各局またがる分野だと思いますので、連携が必要だと思いますが、青少協の主管局といいますか、中心である生文局のぜひ努力をお願いしたいと思うのですけれども、そこで、生文局が取り組んでいるのは、青少年センターの相談窓口ということ、相談事業ですね。これは資料で実績をいただいていて、ちょつとふえたり減ったりしている感じなんですが、相談の、今、昨年度でいえば千六百件ぐらいですね。その中で、傾向としてはどういうものがあるのか。青少年の相談でね。その中で、引きこもりというふうにはっきりわかるものの相談件数というのはどのぐらいなんでしょうか。

○中島都民協働部長 青少年センターの相談実績でございますが、ご提出した資料にも件数が書いてございますが、平成十三年度では合計で千八百五十七件でございます。
 相談内容、主たるものということになりますが、心の問題、あるいは対人関係、あるいは自分の性格という問題で、合わせますと七割強になっております。
 また、センターで受けた相談の中で、引きこもりに関する相談件数でございますが、十三年度は十九件でございますが、一年前の十二年度は五十七件となっております。

○曽根委員 全体で千六百件の七割ぐらいは、個人の自分のキャラクターとか、対人関係や、そういうことの相談が多いと。そういう中で、実際に引きこもりというのは、本人は恐らくなかなか来ないでしょうから、家族の方が引きこもりの相談に来るというのが数十件ですか。これはそんなに多くないですが、私の経験でいうと、いわば心の問題というの一がそのすそ野にあるんだと思うんです。

 これは青少協のときにもちょっと申し上げたのですが、実は私の娘が、高校一年の連休、ゴールデンウイーク明けから一力月ぐらい、高校に行けなくなった時期があって、そのときには、まさにここでいう専門家の斉藤環先生の本に書いてあるように、ちょっとした家庭内の暴力、それからフクロウ病といわれる、昼夜逆転現象ですね。それから、対人恐怖的な、電話がかかっても、だれかが訪ねてきても出てもいかないと、ちょっと引きこもりの−歩手前のさまざまな現象が一気にあらわれるんですね、一力月の間に。それで、無事に担任の先生とか友達とかのおかげで、六月、七月の前ぐらいですかね、やっと復学して、その後も休んだりなんかしましたけれども、卒業を無事にしたんです。先ほどいった沖縄に修学旅行に行ったおかげで、親友も一人できましてね。

 あそこの沖縄ってのは、そういう意味じゃ、私の娘は非常に気に入っている場所らしいのですが、そういう中で、つまり、入り口というのは、本当に普通の子の日常生活の中にあって、それがちょっとした小さな悪循環でエスカレートしていく。それが、だれかとめる人、防ぐ人がまわりにいなかったときには、引きこもりといわれる状態の方に進んでいくというようなことなのかなというふうに、自分の狭い体験の範囲ですが、思った次第なんです。

 そこで、私、二つお願いしたいのは、一つは、やっぱり調査は余り絞り込んで、ここだというふうにしないで、幅広く調査をしていただきたい。青少年センターの引きこもりの相談だけ見ていてはわからないこともあると思うんですね。心の相談の中に、その入り口がいろいろと見えてくるというものもあると思うんです。
 それから、もう一つは、斎藤環先生がおっしゃっていたんですけれども、いろいろな調査をやって検討することも大事だ。しかし、一方で現に引きこもりの人が百万単位でいる可能性がある。東京だけでも数十万いる可能性があるといわれているんですね。
 その若者やその家族のために一定の医療的な対処をすれば、社会に復帰できる、もしくは安定するという場合もある。引きこもりはすぐ治らないけれども、落ちつくという場合だってあるというふうにいわれているんで、そういう対症療法も含めてやっぱり大事だというんですね。なるほどなと思ったんですけれども、そういう二つの点をぜひ、これは青少協にもお願いしたんですが、担当局としてぜひ取り組んでいただきたい。
 その上で、具体的には青少年センターの相談事業、これは非常に重要だと思うんです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           これをもっとちょっと広くアピールして、社会的な不適応行動、なかんずく引きこもりなどについてもご相談を受けていますということを、関係のところや広く都民に知られるような方法もとりながら、この事業を充実させていく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。               

〇中島都民協働部長 最初に、幅広く調査をというお話でございますが、この調査は、具体的にやるということになりますと、なかなかプライバシーの問題もあつて、きちっとした調査が難しいという状況がございます。私どもとしては、この問題について、現状がどうなっているかというのは極力、できるだけ正確に押さえたいというふうに思っておりますが、これから一つ一つ詰めていきたいというふうに思っております。
 それから、青少年センターの相談事業につきましては、この相談事業では、青少年期特有の心の悩み、これを委員もおっしゃっているように幅広く扱っているセクションでございます。実際の相談におきましては、その内容に応じまして、相談員が助言している場合、それから、必要な場合には、他の専門機関への紹介という形で相談をお受けしているという状況でございます。
 この引きこもりにつきましては、委員おっしゃられるように、最初の段階の適切な相談というのが大変重要であると私どもも認識しております。しかしながら、その原因が、委員のお話にもございましたが、医療的な病理によるものなのか、それ以外の原因によるものかというのは非常に難しい面がございます。また、あわせて年齢層も非常に幅広く多岐にわたっております。私どもとしては、この問題を何らかの形で所管している福祉局、健康局、教育庁等、連携しながら検討していきたいというふうに考えております。

○曽根委員 丁寧な答弁ありがとうございます。
 私も、結局専門的な医療の方向にケアを求めたり、これは福祉の方の児童相談の方が適切であるという場合もいろいろあると思うんですね。ただ、その入り口は本当に相談から始まるわけです。できることならば、こういうふうになっちゃう前に、相談に本人が来たり、家族が来たりしてくれればもっといいわけですよね。対処が早まるということもあります。
 そういう点では、青少年センターが、医療なのか福祉なのかは本人はわからないわけですから、その前の段階の相談窓口としては非常に貴重な存在だろう。前に飯田橋にあって、今は臨海部にありますから、ちょっといろいろな音楽室とかなんとかの利用が減っちゃって、今相談事業が一番、ある意味じゃ都民にとっては利用されている面があるんじゃないかなと思うんですね。    
 場所のことも我々ちょっと注文はあるんですけど、少なくとも知事本部の方からいわれているようなアクションプランで、もう役割がなくなってきているんじゃないかみたいな指摘がされているようですけれども、そうじゃなくて、これからまさに、青少年の相談の大きな入り口として、やっぱりあけておかなきゃならないものだという点を、是非お願いしたいと思います。

●消費生活センターの機能充実を

 最後に、消費生活センターの充実を求める立場から、何点か質問したいと思うんです。
 これは繰り返し私、質問しているんで、繰り返しにならないようにしますけれども、今年度から、その専門性の向上ということのために、飯田橋にセンターの職員を集約をして、そこで研修だとか、その専門性を高めるさまざまな取り組みをされてきたというふうにしたと思うんですね。私たちは、多摩の方のセンターの充実はもちろん重要だと思うんですが、一方で、この飯田橋で取り組んでいる専門性を高めるためのさまざまな研修、その実績について最初にお聞きしたいと思います。

○高田消費生活部長 相談をしております職員の専門性を高めるという取り組みにつきましては、みずからの専門性をいかに高めるか、このための取り組みもございますが、相談の第一線で幅広く対応に当たっている区市町村の相談担当職員の専門性をいかに高めるかというふうな取り組みがございます。
 この取り組みは、お話がございました消費生活総合センターで行っているわけでございますけれども、区市の相談担当職員に係る取り組みといたしましては、大きく三つ挙げることができるかと思います。

 一つは、今申し上げましたが、専門性を高め、相談実務の能力向上に資する研修がございます。お話もございましたように、従来から実施しておりましたけれども、平成十四年度からは従来の年三回を年五回に拡充したところでございます。

 また、同じような形でもって相談における専門性の強化につなげるような取り組みといたしましては、これもお話にございました、十四年度から本格実施いたしました専門分野別相談における被害実例等を活用いたしまして、それを分析、整理した上で、一つは、区市町村からの問い合わせに情報提供をしていくという取り組み。
 もう一つは、金融とか不動産とか、専門分野に関する相談にどういった形で対応するかということのメモといたしまして、相談実務メモというのをつくっておりますが、これを区市町村の相談担当職員に発信をしていく。
 それから、情報連絡会等において、専門分野に関する研究成果、取り組み成果を発表していくなどがございます。さらに、弁護士などから区市の相談員の方たちが研修等の場で法的な助言を受けて専門性を高められる、こういったような取り組みもしてございます。

○曽根委員 こういう取り組みの中で、私は、個別の相談に対応するだけじゃなくて、消費生活にかかわる相談ですから、商品流通についての相談がかなり多いと思うんですね。
 そういう中で、例えば企業だとか、それから、ある商品についての企業への注文だとか、場合によってはメーカー全体、業界全体に対する注文を出さなきやならない、働きかけをする必要があるといった場合もあると思うんですね。そういうことで大きく商品改善につながったとかいう実例があったら、教えていただきたいと思います。

○高田消費生活部長 商品サービスにつきましては、お話がございましたように、流通の問題のほかに安全の問題がございます。商品の危害、危険に関する相談件数は毎年約六百件から七百件ございます。このうち商品自体に問題があると思われるものにつきましては、事故原因の調査分析を行いまして、事業者や事業団体に対し、商品の改善などの働きかけを行っております。
 具体的な例ですけれども、石油ストーブの火災原因となっておりましたカートリッジ式のタンクの給油キャップにつきまして相談を受け、これを学識経験者、あるいは消費者、業界団体の方たちと問題につきまして検討、協議を行い、特に問題になりました高齢者の方たちにも安心して使用できるような商品改善を行った例がございます。
 このように、消費生活センターで行っております商品の危害、危険に関する相談は、商品の安全対策を迅速に進める上での重要な情報源となってございます。

○曽根委員 確かに二、三年前ぐらいまで時々、カートリッジ式になったのは大分改善ではあるんだけれども、そのカートリッジの下向きに入れるキャップのところの縮め方が緩いために、結局それをタンクに、石油ストーブに入れたときに、、そこから石油が漏れていて、着火したときに火が出るというのが、特に高齢者が石油ストーブを使うことが多いものですから、そこは事故が相次いだという話を聞いたことがあつて、その後、それを聞かなくなったんで、どうなったのかなと思っていたら、実は東京都の消費生活相談センターで、相談からメーカーに改善が働きかけられて、ほとんどのメーカーが直した。これはすばらしいことだと思うんですよ。

 やっぱりその入り口として、ここもやっぱり相談から始まっているわけで、いろいろな相談があると思うんですね。個々の相談、一人一人の相談というのはいわば小さい出来事、生活の出来事なんだけれども、実はだれもがそれを、トラブルを持っていたり、不便に感じていたことが東窟都に集まることによって、これは大きな問題としてとらえることができる。その入り口としての相談窓口というのは極めて重要だと思うんです。
 残念ながら、この商品トラブルに関する相談の実際に行政窓口に届いているものは、ほんの氷山の一角だといわれているわけです。百件あれば三件ぐらいしかないだろう。あとはもうなかなか行政まで声が届いていない。なぜ届かないかというと、私の経験でいうと、どうも電話をかけてもつながらないというのがあるんですね。だから、いろいろな形で相談の機会をふやすということが私は必要になってくると思うんですが、いかがでしょうか。

○高田消費生活課長 確かにたびたびご指摘を受けるわけですけれども、さんざん電話をかけてもなかなかかかりにくいという問題はあるかと思いますが、実際上、商品やサービスについて間題があった場合に消費者がどう対応するかということにつきまして、国民生活センターの調査がございまして、それによりますと、販売店とかセールスマンに、これはどうなっているんだというふうな形で申し出るというのが一番多くなってございます。
 その次に多いのがメーカーに直接申し出るというものでございまして、これはある意味では商品、サービスを求めた者としての一つの対応かなというふうにも感じるわけでございます。

 いずれにいたしましても、消費者取引や商品の問題は日々の生活の中で生じているものでございまして、事業者がみずから相談窓口を整備して紛争解決の仕組を整える、これは事業者自身のある意味では責務といえるものかと思います。

 また、広く都民の声を聞く場として区市町村の相談機能がございます。そして、都の消費生活総合センターも大きな役割を果たしているわけでございます。お話がございましたように、都民が抱える相談について都域全体レベルで考えた場合に、その機会をふやしたり、レべルアツプをはかっていく、これは必要でございますので、それぞれの窓口がその役割に応じて積極的に相談を推進していく、これが重要でみるというふうに認識しております。 

○曽根委員 今、企業の窓口、ここにかける割合が割と多い、次は行政と。この二つはやっぱり大きいところだと思うんですね。ただ、それだけではまだ不十分だということで、今いろいろ検討されていると思うんです。

 これは消対審の方ですよね、審議会でも検討がされているということを私も委員の一人ですから承知しておりますが、ぜひネットワークをつくりながら、さまざまな市民の協力も得られるような方向が必要だということと、その中心は何といっても行政の、東京都の消費生活センターが中心になって、電話についても、これは予算のかかることですけれども、台数がやっぱり決定的に足りないということは繰り返し申し上げているとおりなんで、このことをあわせて充実を強く求めて、私の質問を終わります。

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