2003年2月26日文教委員会
●教育庁関係予算審議
30人学級・高校生の権利保障・教員攻撃への反論など
●ながら規制の強化を批判○曽根委員 初めに、今の石川委員の質問で関連なんですけれども、狛江のながら条例違反、不適正な行為があったということで、ちょっとわからないのでわかりやすく教えてほしいんですけれども、休息時間の事前審査違反ですか、これって要するにどういう、具体的に、例えば、ある先生がこういう違反をしたというのは、大体どういうようなことが想定されるんですか、具体的にいうと。
○臼井人事部長 休息時間につきまして具体的に申し上げますと、午後四時に出かけていきまして、四時四十五分から十五分間の休息時間、これは勤務時間ですので、その手続がなされていない、こういう事実でございます。
○曽根委員 ちょっとわからないんだけれども、四時から四十五分まではいいわけね、出かけても。四十五分から十五分間、五時まで、これが勤務時間なの。四十五分まで行って、そのまま五時までいない場合は十五分間の届けが必要だということ、そういうことですか。
○臼井人事部長 四時から四十五分間は休憩時間で、その後休息時間は勤務時間ですので、その手続をとらないで、その時間を合わせるとああいう合計時間になるということでございます。
〇曽根委員 昼休みは給食指導で仕事になっちゃっているものだから昼休みはないわけですね、担任は。そういうことで四時からの休憩時間があるのかなと。休憩というのは外に出られる時間ですよね。休息というのは学校内にいなければならない時間なのかな。だから、最後の十五分間に学校へ戻っていなければ、その時間は違反になるのね。わかりました。
そういう違反が二十五人あったという、これが大半ですね。わかりました。
それからもう一つなんだけれども、今後、ながら条例が実質的に交渉に絞られてきたわけです。昨年労使合意があった。これは私たちも尊重するという立場で、条例についても賛成をしました。
ただ、先ほど部長がお答えになった中で、時間内に行われる労組の活動、これは交渉に直結したものでなければならない。しかも、その中身については時間内で、給与支給の中でやるんだから、事前に会議の内容を全部、要するに何をやるのかということをチェックしたい、会議が終わった後もそれがそのとおりやられたかどうかを再チェックしたいという話があった。これは労使合意の中に入っていることなんですか。
○臼井人事部長 先ほど申し上げましたとおり、個別の機関運営に当たりましては、事前に議題を確認するにとどまらず、事後にも内容を確認するなど、職務専念義務及び給与減額免除の承認について厳正に対処し万全を期していくというふうにご答弁申し上げましたけれども、今後具体的な手続等につきましては、職員団体と協議をしていきます。
○曽根委員 これは大事な問題だから確認したいんだけれども、そうすると、労使合意にはなっていなくてこれから協議ということね、このことについては。
つまり労働組合の活動全般についてこれをやったら、労働組合の自立性なんかないわけですよ。勤務時間の中についてはこれをやりたいということでしょう。これはこれから協議なのね、労使団体と。
○臼井人事部長 先ほどご答弁しましたように、今後協議をしてまいります。
○曽根委員 今まで教育庁は、私の知る限りは、労使合意が整ってもいないのに、こうやりますとさっき断言したわけです。やりたいと考えているからこれから協議するなんていう答弁じゃなかったんです、さっきは。これは労使の話し合いを前提にしなければならない間題だと思いますよ。労働組合活動の根本にかかわると思う。中身を全部さらけ出さなきやならないとなったら大変なことになるわけですよ。
ただ、時間内の問題については、確かに労働組合側にも給与をもらいながら活動する以上は一定の責任が生じるということはあり得るでしょう。だから話し合いは前提になるかもしれない。しかし、まだ話をこれからやるというのに、もうやりますということを先ほど答弁されたので、これはおかしいというふうにいわざるを得ないと思うんです。基本的なこういう労使間の条件にかかわる問題は、やっぱり労使でちやんと話し合って一定の合意ができてから議会の中で態度表明をすべきだということは、これは私は意見として申し上げておきますからね。
それでは、予定されていた質問に入りたいと思います。(発言する者あり) うるさいな。
●30人学級問題
少人数学級についてお聞きします。
私は、代表質問の準備の中で、少人数学級をいち早く実践した長野県の方に行きまして、教育委員会の担当者にお会いしたわけです。そこで、まさかと思ったんだけれども、長野 県では、まだ去年の春始まったばかりの三十人規模学級というんですけれども、これについて既に、もう年度が終わらない前に成果をまとめて報告書をつくっていた。行政としてはなかなかできないことですよね、普通は一年終わってからですよ、まとめるのは。
それを代表質問の中でも紹介をして、東京都も、全国の流れになっているのでぜひこういうものを参考にして考えてほしいということを率直に提案したわけです。
私は事前にご紹介してあるので、教育庁の方もこれは多分持っておられると思うので、読んでいただいてどういう感想をお持ちか、これについての評価をお聞きしたいと思います。
○比留間学務部長 長野県は、本年度より小学校一年生で一学級当たりの児童数が三十五人を超える場合には学級担任を一名増配置するという制度を取り入れてございます。
これに関して、今お話がございましたように、長野県教育委員会は、昨年の十月に信州こまやか教育プランの成果等についてという報告書を発表いたしまして、この中で、児童が落ち着いて学習に取り組むようになったり、係活動等の経験回数がふえたなどの成果がある一方、学級に集団のエネルギーが感じられなくなったり、人間関係の固定化が懸念されるなどの課題があるということを報告してございます。
長野県教育委員会は、今後もこの弾力的な学級編制の成果と課題については検証を行っていくものと考えられることから、都教育委員会といたしましては、引き続きその状況の把握を行って参ります。
○曽根委員 その成果の部分とそれから課題、これで十分なのかという疑問点ですね、両方並立して今お答えになった。たしかにそのように書いてありますね。
しかし、ここで私は特徴だと思ったのは、成果の方については、一つ、子どもの様子はどうか。二つ目に、担任の先生はどう感じているか。三つ目に、保護者の反応はどうかというふうに、三つに分けてそれぞれの角度から、三十人規模学級になつて、要するに変化した学級ですよね、学校の中で。変化しない学級もあるわけです。そういう学校についてかなり細かく調べて、こちらの方は当然のことながら、子どもも落ち着いてきて学習に取り組めるようになつたということや、担任の反応も、じつくり丁寧に教えられる、個別指導の時間がふえたなど、先日も紹介したようなことが書かれております。保護者の反応も、全体大変歓迎されているということです。
ところが、課題の方については、今話のあったように人間関係の固定化が懸念されるとか学習指導のエネルギーが感じられないことがあるというようなことについては、誰がそういうふうに感じているのかが書かれていないんです。ただここに行政として四つほど並べてあるんです。
私は、学校の現場にいる先生や子どもたち、それからそれを見守っている父母の人たち、ここからはこういう声は出ていないと思います。だから、誰がこういうふうに感じているのかということがここに書かれていないというところが、私はみそかなと思っているんですよ。
それで、実際に、では学校の現場の方はどうなのかなと、もう少し詳しく知りたいと思って、先生方のアンケートをまとめたものをいただきました。膨大な声が、長野県の各学校の先生方ですから、全体で百八十三人の方にアンケートをとって、それぞれがもう相当なことをいろいろ書いてきておられるんです。もうだれ一人として、こういう学習集団のエネルギーが感じられないなんて答える人はいないんです。やっぱり落ち着いて指導ができるようになったということをいっているんです。
この報告書の最後にも、これも行政のレポートとしては珍しいんだけれども、最後にちょっと吹き出しが書いてあって、こういうふうに書いてありました。「先生あのねと、話しかけて、先生が返事をし、お話をしてくれるのがうれしそうだ。休み時間にも多べのことが話せる。一日に数回会話ができるのは人数が少ないからだ。帰るとき、先生と握手をして、一声かけてもらって教室を出るのが楽しみらしい。十五分の帰りの会では、子どもが多いと全員にさよなら撞手はできない」、こういう先生の声があつたんでしょうね。それが最後のところで紹介されている。
行政のレポートもなかなかいきなことをやると思うんですが、これが全体としての行政のレポートでもここまで反映されているわけです。頑張っているなと私は思います。
率直に私はこれを評価してもらいたいんですよ。やりたくないという立場からばかり見るのではなくて。客観的に見ていただきたい。
それで、改めて、長野県と東京都はもちろん違う自治体ですし、こちらは大都市ですよ。長野県にはいろんな市町村がある。それで、東京都として、この少人数学級は採用しないという態度を貫いてきた。そのことについて改めて、これは地域的な特徴が東京は違うからなのか、財政事情なのか、教育方針なのか、どこが違って、長野や山形や福岡や岡山やその他の二十二の府県などのような少人数学級への踏み出しはできないというふうに考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
〇比留間学務部長 長野県の先ほどの学級編制の弾力化は、これは長野県としての工夫であろうというふうに考えておりまして、東京都教育委員会は、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定の規模が必要と考えており、一方、基礎学力などの向上に配慮し、きめ細やかな指導を行っていくには、学級とは異なる少人数の学習集団を編制し指導していくことがより効果的であるというふうに考えております。
また、この少人数による指導とあわせまして、小中学校においては、学年進行に伴い、学級数が増減する際に弾力的な学級編制に配慮する学級維持制度を導入しているところでありまして、今後ともこうした方針に基づき教育内容の充実を図ってまいります。
○曽根委員 学級維持制度は、周在の四十人学級の中で最小限ひずみを抑える制度として私たちは評価できますが、本格的な三十人学級には遠く及ばないと思うんです。
今のお話ずっと聞いていると、東京は大都市だからということでもないし、財政が厳しいからということでもない。教育に対する、授業とかそういう具体的な教育の内容に対する考え方の違いなのかなということですね。ここはお答えがそういうことだから確かなんでしょう。
だとすれば、先日も教育政策研究所の内容も紹介したので、また繰り返しませんが、教育の内容についての考え方、これはかなり違いがあるのは、いろんな考え方があるのは事実なので、だからこそ、高校で今いろんなことをやっているように、モデル実施とかそういうことがあるわけですね。教育政策研究所も、あるモデルを取り上げて、それを研究している。モデル校というのは、そういう形のものというのはあり得ると思うんです。
例えば、それでちょっと私も計算してみたんです。いつも毎年教育長につくっていただく三十人学級を、小中高それぞれ学年進行でやったら財政は幾らかかるのかというやつですね。これでいうと、小学校一年生スタートするだけでも八十六億円かかっちゃう。これは大きいですね。一年生だけでも八十六億円。非常にハードルは高い。しかし、ではモデル実施ということで北区でやったらどうか。私は北区なんですけれども。そうすると、小学校一年生で30人学級をやるのに、先生八人ふやせばできるんですよ。思わず希望がわいてしまうんですけれども。そうすると、七千八百万円でできるんですね。そういう希望をする自治体が仮にあつて、全額そこは保障してモデル実施をやってもらいましょうと、ある区で。一億円以下でできるわけですね。まあ百歩譲って、そういう自治体は半分出すんならやってもいいよ。すると、四千万円弱でできるわけです、都の負担が。
私は、やっぱりモデル実施そういうことをやって。絶対だめ、こんなのやっても全然効果がないという状況ではもうないと思うんです。どっちがよりすぐれているかという話にもうなつてきているわけだから、モデル実施をし.てみて比較して、やっぱりこちらだという実証的な、教育内容なんですから、絶対はないんですから。実証的な検証をしていく段階に入らざるを得ない。一日も早くそういうことを考えていただきたい。これは要望にしておきます。
●障害児学校の給食調理の民間委託について
次です。障害児の教育のことで、どうしてもこれは緊急課題なのでお聞きしたいんですが、昨年、栄養士さんたちからの請願陳情があって、養護学校の学校給食が民間委託になってからいろいろ事故が多い。もう給食としてまともなものにならない事態になっている。
全部じゃないけれども、一部の学校でそういう事態が起きているということで陳情があって、私たちもいろいろ聞いたり調べたりしたんです。私が問題提起をしたのは、つまり教育庁の方は、やや不良は何校かあるけれども、不良、だめの出た業者はいないという結論だったんです。だから全体としてはうまくいっているんじやないかという話だったんです。
しかし、現場の方にお聞きすると、もう不良を出すわけには絶対にいかない。不良が出るということは、その日子どもが食べないでうちに帰るということになる、障害児が。それは絶対できない。だから、結局は、栄養士さんが現場に契約違反を承知で入って、一緒に作業もして間に合わせて、何としても食べさせて帰す。そうすると、どんなに悪くてもやや不良程度の評価しか、それ以下だつたらもう給食事業が破綻していることになりますから、その学校においては。それはできないという実態があるということを間題提起しました。
これについては、私は率直に調べてみればわかることだと思うんです。それで、こういう問題が、私がいったことを全部認めるかどうかじやなくてもいいんですけれども、やはり問題はあるというふうな認識に立っているのかどうか。それならば、今やっている養護学校についても改善が必要じゃないかと思うんですが、この点についての現在の認識と対策について、考えがあつたらお聞きしたい。
〇比留問学務部長 盲・聾・養護学校、障害を持った子どもたちの盲・聾・養護学校における給食というのは非常に重要な位置を占めておりまして、この給食の向上というのは学校としての大きな課題であるというふうに考えております。
今、委託でお話がございましたけれども、委託校だけではなく、直営校も含めてさまざまな課題を解決して給食の質の向上を図つていくということは極めて重要な課題であろうというふうに思っております。
○曽根委員 二つ一緒に質問したんですが、具体的な課題を抱えている、その課題の解決方法として、具体的にちょつとわかりやすくいってください。
○比留間学務部長 給食の場合、特に安全性の確保というのが非常に重要な課題でありまして、何年か前にO−157の問題等もございましたけれども、先ほど申し上げましたように、委託校も直営校も含めて、子どもたちに提供する食の衛生の管理の徹底を期していくということは非常に重要なことでございまして、具体的に東京都教育委員会としても、各学校を直接具体的に廻りながら、調理室の中も見せてもらいながら、そういう指導を各学校に対してしているところでございます。これは一つの衛生という面の例でございます。
それから、献立等の作成についても、争学校、栄養士さん、給食関係の職員がおりますので、この質の向上を図るために、具体的にどういう献立をつくつていったらいいか、そういう具体的な相談にも学校に対して応じているところでございます。
〇曽根委員 全体にはそういうことをやっていらっしゃるようですが、もう少し具体に聞きますけれども、例えば栄養士さんが、これは委託ですから、指揮監督関係にないわけですね、調理員さんは民間の業者なんですから。したがって、直接指導ができないんじやないかというふうに私は思ったんだけれども、そうすると、どうしても文書とか口頭だけでのやりとりでは伝わらないものがある。一緒に直接指導しなければどうにもならない事態というものが起きているというのが栄養士さんたち、学校の職員の人からの訴えであったものですから、それはどうなのか。それができないと、やっぱり給食としてはまともなものにならないことを防げなくなってしまうということがあるものですから、いかがでしょ
うか。
○比留間学務部長 学校と委託業者の関係につきましては、学校の職員が委託業者の調理員を直接指揮監督することは、これはできないというふうにされております。したがって、指示等は文書によることが基本でございますけれども、栄養士が調理室内で調理内容を適宜確認して、緊急を要する、こういった必要な場合には委託業者の責任者に対して指導等を行うことはできるというふうにされており、学校に対して今後とも的確な委託管理が行われるよう指導してまいります。
○曽根委員 つまり、責任者に対してであれば指導できる。これは、今やっている中間検査といって、できかけのものを取り出して、煮えぐあいはどうかとかかたさはどうかといぅことを検査して、不十分ならばそこでまた指示を出すというのも中間検査であるんだけれども、それはやっているんですね。
そこから先、もうちょっと具体的に指導する、検査じゃなくて。そういうことの中でこれができるんであれば、やっぱり今も毎日毎日給食があるわけだから、その改善というのは、私は本当に一歩でも二歩でもいい給食のために現場に頑張ってもらいたいんです。その委託との関係で、できない限界ぎりぎりまで。
ただ、結局最終的には、給食の現場で全面的に栄養士さんも入ったり調理師さんと一緒に協力して、とにかくつくり上げるという全面的な責任を負えないんだよね。私はその限界が非常にもどかしいわけですよ。それは改善はやってもらいたいんですよ。でもやっぱり六年間やってきて、その限界はどうにも、これは法律上の枠だから、人材派遣会社から人材でも派遣してもらわない限りできないわけです、指揮監督は。この限界はやっぱり超えられないんじやないかなというふうに私は感じているんです。
人間が食べる食べ物で、しかものどに詰まらせれば生死にかかわりかねないという障害児の給食ですから。ましてやこれから、今3校でしたか、予定しているのは、肢体不自由児といって、もう流動食を口から流し込むのに、流し込む角度さえ間違ったら大変という相手もいるわけですね、みんながみんなそうじゃないけれども。私も江戸川に行って見てきたけれども。そういう相手にこれからやろうというときに、今までのマニュアルからちょっと前に進めました程度じゃ全く間に合わないと思うんですが、肢体不自由児については何か対策を考えているんでしょうか。
○比留間学務部長 肢体不自由養護学校の給食調理業務の委託では、摂食機能に障害のある児童生徒が多いことを踏まえまして、調理師有資格者を他の障害の学校よりふやす契約内容とするとともに、障害に応じた調理形態の要点等を記載したマニュアルの作成、実施校の栄養士に対する研修などを実施したところでございます。
また、今後、委託業者が決定した段階で調理員への講習会を行いまして、調理業務委託の円滑な実施と給食内容の一層の充実を図ってまいります。
○曽根委員 マニュアルをつくるということですが、そのマニユアルの中身についても大変心配です。その現場にいる栄養士さん、また栄養士さんの一定のまとまった意見を聞ける場があれば、本当にそれを生かしてもらわなければとてもできないし、今のお話の範囲だと、私は率直にいって、これからは携帯食をいろんな種類をつくらなきやならないわけです。少なくとも四種類ですか、そこから先、教室に行って何十種類に分かれていろんな形で、かたいものから物すごい流動食まで分かれていく。それを最初につくっていく給食の調理師でも、恐らくかなり難しいだろうなというふうに思わざるを得ません。
ですから、私は率直にいって、肢体不自由校に拡大するということは非常に危険だなというふうに、否定的にならざるを得ないんですけれども、少なくとも、今やっている盲・聾・知的養護、ここについて栄養士さんがかなり一人で奮闘しているという状態が見られるようですけれども、これは学校給食、なかんずく障害児の学校の給食は、いわば学校の中で一番楽しい、まさに生きているあかしというか、そういう一番盛り上がる時間なので、そこは学校全体としてバックアツプしていくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○比留間学務部長 肢体不自由養護学校の給食調理業務の委託を円滑に実施して給食内容の充実を図っていくためには、校長を中心に、栄養士を初めとする学校の教職員全体で取り組む体制を整備することが重要であるというふうに考えております。
都教育委員会といたしましては、学校において給食に関する方針、計画の策定、給食委員会等の校内組織の整備、委託業者との連会の設置などが適切に行われるよう学校を指導してまいります。
●社会教育会館その他の削減を批判
○曽根委員 次に、社会教育関係について何点か質問したいんですが、まず第一に、多摩の社会教育会館の機能の見直しで、聞くところによると、看板は多摩社会教育会館とかかっているけれども、来年度から中の職員は一名になるという話を聞きました。職員一名で、あの社会教育会館をどう維持していくのか。率直にいって、多摩の社会教育団体への指導育成の本来の仕事ははっきりいってできないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 運営体制についてでございますが、多摩社会教育会館の組織の見直しにつきましては、平成十三年度の行政評価によりまして会館の抜本的な見直しが求められたことにより、効率的、効果的な運営を図るために実施するものでございます。
体制としては、常勤職員を一名配置し、巣務遂行に必要な嘱託員も配置し、施設貸出業務に支障が出ないよう体制の整備を行い、従来のサービス水準を維持してまいります。
なお、今年度から、ホームページの開設によりまして施設のあき状況の提供、学校へのダイレクトメールの実施など、サービスアツプの向上に努めているところでございます。
また、従来、多摩社会教育会館が対応しておりました研修あるいは情報の提供、これらの業務につきましては、私ども生涯学習部が一本化しまして対応してまいります。
○曽根委員 社会教育というのは、会館を維持することでは私はないと思うんです。会館の維持だったら別の名前があっていいんですよ。
しかし、社会教育のさまざまな活動、団体活動、個人の活動、今はむしろ社会教育という枠をある意味では超えていろんな活動が広がっている、そういう時代に、それを育成指導していく行政の部門に、要するに会館の貸出業務の正規職員が一名いるだけで、実質はない。これで看板を掲げていること自体がおかしいと思う。
もう一つ、都立の中央図書館の視力障害者のサービス、これは多摩にももちろんありますが、これがどうなっているかということで資料をお願いして、きょうの資料に出ていますけれども、この四年間ではっきりいって半分に減っちやっているわけです。特に、対面朗読の関係が非常に下がっているんじゃないかと思うんです。いずれも半分ぐらいですか。
それで、対面朗読の方というのはボランテイアではなくて、お聞きしたところ、一定の費用を払ってやってもらっているんですね。なぜそうしているかというと、区や市町村の図書館では、一般の小説やなんかを読みたい希望者に応じて読んであげるというのが対面朗読ですが、都立の場合は専門的な書薄の朗読というのを主にしていて、例えば、地図を読んであげる。古文書、漢方などの古い医学の文書、外国の文書、そういったものを視力障害者の方に読んであげるのが仕事なんだそうです。これ.はもちろんボランティアでできることではないので、専門的な知識と技能が必要なんですね。地図を読むなんて私はちょっと想像がつかないんだけれども、それを言葉で全部わかるように説明するそうなんです。
それが一時間千円ちょっとでやってもらっている。交通費なしです。これを今削られてきているんです。
視力障害者というのは、大体我々の情報を得られるものはほとんど八割が視覚情報といわれていますから、情報を入手する手段というのは極めて限られている。しかも、区や市町村で一般の小説を読んでくれるボランテイアはあるけれども、専門的な知識告得られるのは、東京ではこの中央図書館と多摩図書館。中央図書舘ですね、専門の方は。ここに限られているということで、これは何とかもう少し充実を図ってほしいんだというのが率直な願いで来ています。これは指摘だけにとどめますけれども、利用者が限られているので、その声を生かしてほしい。
やっぱり利用者の声を無視してどんどん削れるところを削っていくというやり方は、特に対象が限られている部署の場合は、文句をいう人は少ないわけですよ。しかし、その人たちにとっては、いってみれば文化的な生活の唯一の手段であるかもしれない。そこをやっぱり切っていくというのは本当に忍びないと思うんです。ぜひそういった声を聞く場を持ち、それを生かしてもらいたいということを要望しておきたいと思います。
(休憩)
●ユースプラザと体育館
○曽根委員 それでは、まずユース・プラザと夢の島体育館の、これから併設の施設としての工事をやっていくので一年間ぐらい休館になるらしいんですけれども、そのことに関 連して、昨年の今ぐらいだと思いますが、これも請陳の審査のときに、夢の島体育館を利用しているアマチュアスポーツ団体から、今受けている減額制度、利用の上での便宜を図ってもらつているその制度を継続してほしいという請願が出されて、これは趣旨採択になっているわけです、全会一致で。
ところが、実際には、これはPFIによる民間事業者の施設になるということで、利用についてはユース・プラザと一体というふうになっているわけです。そうすると、体育館のみ利用するこうした都段階でのスポーツ団体が、施設が極めて限られているわけですね、何か所かに。
そういう中で、行事利用の減額制度について、これは尊重していける方向で取り組むべきだというふうに思うんですよ。これは議会でもそういう方向でということで趣旨採択されているわけですね。
夢の島体育館は私もよく行くんですけれども、大変堅牢で、地味ではあるけれどもしっかりした建物で、都のスポーツ施設全体に、東京体育館は最近建て直しましたけれども、かなり老朽化もひどくて、施設的にも不十分なところもあるんだけれども、あそこの体育館は場所もよくなったということもあって利用には非常にいいところだと思うんです。だからこそユース・プラザに組み込んで新しくリニューアルしようということになるんでしょうけれども、それにしても、現に利用して重宝に利用されているということを重視して、事業者に対して、基本的には今の利用について後退しないように働きかけていただく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○瀧川参事 割引料金につきましては、PFI事業契約の中で、事業者が事業の公共性を踏まえつつ、あわせて採算性を考慮しながら、施設の利用促進等を目的としてみずからの裁量によって設定できることになってございます。
これまで長年にわたって夢の島総合体育館においてスポーツ競技を実施してきましたアマチュアスポーツ団体の方々が引き続き区部ユース・プラザのスポーツ施設を利用できるよう、都教育委員会として、アマチユアスポーツ団体が競技大会で利用する場合については割引料金を設定するよう事業者と協議をしておるところでございます。
しかしながら、二十年間の運営期間中、全面的に需要リスクを負うこととなる事業者側では、採算性の確保は困難等の理由で非常に難色を示している状況でございます。
○曽根委員 なかなか厳しい状況ですね。
確かに社会教育施設というか、公共の施設でなくなるわけです。東京都のユース・プラザだけれども、公共施設ではないということから来る問題だと思うんです。だからこそ私たちはこのユース・プラザの構想をPFIでやるということについては批判せざるを得なかったわけですが、しかし、大丈夫だ、東京都がやるんだから民間事業者に任せるけれども、いいものになるんだという話をしてこられたわけですから、事業者が渋ったとしても強力にまた指導していただきたい、働きかけていただきたい。
その上で、これはもう利用団体、大きいところは卓球連盟とか新日本スポーツ連盟とかあるわけですから、そういう当事者のスポーツ団体とも協議の場を持って努力していただくことをお願いしておきます。
●水元青年の家の問題
それで、この体育館を組み込んでユース・プラザができると、来年の春からオープンして、そろそろ水元青年の家を今利用しているような団体が、その代替施設としてユース・プラザに移ってくるというのが理屈の上では東京都の方針なんです。ところが、私がこの間も指摘したように、ちょっとそれは無理なんじゃないの、水元青年の家のある水元公園周辺地域、これは利用団体が一番多いわけです。大体半分近く地元が利用している時期だってある。こういう団体が、では夢の島体育館のある、あそこに新しい施設ができて移ってくるのかなと大変疑問なわけです。
それで、ユース・プラザとしての水元青年の・家の現利用団体に対する宣伝などが行われているのか。その反応はどうか。現水元青年の家利用団体で、いや、今度来年からはこっちへ移ってきますよというようなことをいっているところがあるのか、見通しはどうなのか、これをあわせてお聞きします。
〇瀧川参事 ユース・プラザのご案内や宣伝の件、それからご利用の意向のことだと思います。
事業者におきましては、この二月から学校利用等の随時受付を開始したところでございます。これに先立って、利用案内のパンフレットを作成いたしました。
都教育委員会においては、このパンフレットを水元と府中の青年の家に置いて現在の利用者にご案内をしているほか、今後、生涯学習スポーツ部の広報誌であるみんなの生涯学習、青年の家の利用者向け広報誌のユースメール、さらに広報東京都にお知らせを掲載する等、ご案内、周知を図っていきたいと思っております。
二点目の、実際にこれまで水元をご利用の方がユース・プラザに行かれるのかどうか、意向を把握しているかということでございますけれども、間接的にでございますけれども、そういう声は私ども聞いております。
〇曽根委員 そういうところもあるんですか、やっぱり。
しかし、水元から来るのに私は一時間以上かかるんですね。ですから、直近の方にとっては、しかも料金も違うという点では、非常にやっぱりハードルが高いと思うんです。
関連して、水元青年の家の請願が出され七おり、審議ですからこの問題もあわせてやりたいんですけれども、最近、江戸川養護学校の先生方から水元青年の家存続の要請書もいただきました。聞いてみたら、江戸川養護の子どもたちも宿泊しているそうなんですね。
かなり広い範囲で水元が利用されているのかなということですね。
それから、昨日、存続を求める会の方からお手紙をいただいて、審議に当たり訴えますということで、あくまでも都立で残してほしいというお手紙をいただきました。
私は率直にお聞きしたいんですけれども、担当の部長さんは、この問題相当長くかかっていますから、何度も水元に行かれたと思うんです。それで泊まったこともあるかもしれない。なかなかいいところだと思うんです、私は率直にいって。東末都の施設でなかったら、あれはなかなかいい場所だし、建物をちょっと手当てをして、残ればいいな、利用できればいいなというふうに率直に、感想的にどうでしょうか。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 ご指摘の水元青年の家でございますが、都立の水元公園の中にございまして、そういう点では周辺環境は非常にすぐれた場所だというふうに私も感想として思っております。
ただ、昭和四十五年に開設されまして、施設の老朽化が著しいということもございまして、そういう点でいえば、今回の区部ユース・プラザにいわば変更いたしまして、そこでのご活用を今後ご期待を申し上げたいというふうに申し上げます。
○曽根委員 どうしても東京都の責任者としての立場を逃れられないんだよね、やっぱり。
ただ、シチュエーションはいいですよね。私は、建物というのはあくまで人間がつくるものだから、しかし水元公園をもう一個つくるというのは大変なことなんだよね。だから、あの中にある建物を何らかの形でリニューアルしたり直したりしながら使えるのであれば、これは悪くない話ですね。問題は費用と責任ですよ、だれが責任をとるのか。
それでお聞きしたいんですけれども、葛飾区では、どうなんでしょう、行政と区議会と地元の方々、町会やそういう方、それから利用者団体の方、この間、例えば都立じゃなくてもほかの方法でとか、そういう声が出ているのか、それとも意見が少し分かれてきているのか、どうなんでしょう。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 葛飾区とは都の基本的な姿勢をお示ししまして意見交換を行ってまいりました。また、地元からは区長、教育委員会、また葛飾区青少年育成地区委員会会長連絡協議会から存続の要望書が寄せられております。さら葛飾区議会からは、存続を求める意見書が提出されております。要望内容は、いずれも水元青年の家を区部ユース・プラザ完成後も引き続き都が運営することを求めているものでございます。
したがいまして、そういう点では、この話以外の部分については私どもとしては直接お伺いはしていないという状況でございます。
○曽根委員 私もそう思うんです。地元に行くと葛飾区では、本当に関係者一致して都立で残してほしい、そのほかの声は一切出ていない。極めてよくまとまっているんだよ。
これだけ地元がかちんかちんとまとまっている中で、きょう廃止条例の審査なんです。こういう例は私は聞いたことがないんです。地元の区、議会、地元の利用者、市民、だれも何とかほかの方法でという人はだれもいない。だれ一人としていないんです、はつきりいって。そんな声は一つもない。ないですよね。だって、我々議会だって各党とも紹介議員になっている。この間、集まりもあって、自民党の方も決意表明の文書を出されていました。
こういうときに廃止条例が出された例というのは、私は記憶をいろいろたどつてみてもないんです、今まで。どの分野を見ても。世田谷の母子保健院が去年の暮れに廃止になったけれども、あれは区の方が代替施設とか、国立があるじゃないかとかいろんなことが地元で意見が確かにあった。この場合は全くないんです。都立でという。その中で廃止条例が出るというのはほかに例がないと思う。初めてだと思うんですが、いかがですか。
○鈴木生涯学習スポーツ部長 私ども、すべての公の施設を所管しているわけではございませんから、事この水元青年の家に限っては、現在ご指摘のような状況にあるということでございます。
○曽根委員 横山教育長もいろんな部署を経験されているので、多分記憶はないですよね。
地元で行政、区民、住民が完全に一致していて、しかし東京都はそれは受け入れられないという関係になっちゃっている例はないと思うんです。それで決めちゃっていいのかということなんですよ。もちろん、まだ一年間は会館はあいているわけです。青年の家はあいているわけなんです。時間はあるといえばあるんだけれども、条例が廃止されちゃってからの話になるんです。行政としてはもう手の打ちようがなくなっている関係の中で話し合いが始まるのか。それとも、やっぱりもう少しいろんな選択肢を考えられる段階で歩み寄りがあるのかないのか、検討ができるのかということでは根本的な違いがあると思うんです。
葛飾区も地方自治体であり、東京都もそうです。自治体同士の関係で、私はやっぱりフェアな関係で話し合いが継続されるようにしてもらいたい。そういう関係に−−−要するに廃止条例が決まっちゃうと、東京都と葛飾区の関係は明らかに今とは違っちやうんです。
そういう点では、望ましいのは、本来お互いに、いわばいろいろな選択肢が考えられる状態で話し合うのがいいことじやないかと思うんですが、これは教育長に基本的な考え方をお聞きしたい。
○横山教育長 今回の水元青年の家の問題は今突然浮上した問題ではなくて、これまで長い、平成八年ごろから議論している話でございまして、特に東京都が設置する施設というのは広域的な施設でございますので、その施設の状況がどういう状況にあるのか。一体青少年のニーズにマッチしているのかどうか。あるいは、当然広域的施設ですから、負担そのものは全都民が負っているわけで、その利用実態がどうであるのか。
今回、水元青年の家を廃止して、青年の家としての機能を廃止して、代替施設がないかといえば、区ユース・プラザをつくるという方向にいっているわけで、そういった意味では、私ども今回の条例の廃止の提案というのはこれまでの経過の中で出したという認識でございますので、この辺はご承知おきいただきたいと思っております。
○曽根委員 私も、時間をかけてやっぱりそれなりにお互いにこういう方法しかないのかなというふうになつている段階であれば、それは考えようがある。しかし、時間がこれだけかかって、八年ですか、この話が出てから。しかし、なおかつ地元が全く納得しないというケースも珍しいわけですね。普通ならばもうちょっと何かあるわけですよ。それだけに、やっぱり区としても譲れない線なんだと思うんです。議会も全くまとまっているし、地元の利用者も住民もまとまっちゃっているんだから、区も動きようがない、妥協のしようがないという段階で、これはもう完全な行き詰まり状態です。
ですから、これを打開するのに、私は条例を決めてしまうのは極めてまずいやり方だろうと思います。自治体間としても話し合いが必要だし、関係者ともまだまだ話し合いが必要なので、そういう点では、この議案の処理についてはいろんな方法があり得るじやないかということを最後に申し上げて、これ以上やってもむだな議論になりますから、この問題については終わりにしたいと思います。
●エンカレッジスクールの入試について
最後に、高校改革に関連して何点かお聞きしたいと思います。
最初に、先ほどもちょっと話がありましたけれども、また新しいタイプの高校が誕生しようとしている。それはエンカレッジスクールです。これは、普通科高校を進学重点校にするというのもありますけれども、カリキュラムその他が全く新しいものになるという点では、昔のチヤレンジスクールに次ぐあれじゃないでしょうか。この新タイプの高校がどういう役割を果たしていくのか、私たちは非常に危惧の念を持っているわけです。
つまり、これは率直にいえば、教育委員会の中である委員が、はっきりいった方がいい、 これは落ちこぼれの学校なんでしょう、落ちこぼれのための学校なんでしょうという発言をしたということが報道されて、しかし議事録にはそれが削除されているようですね。したがって、この発言はないことになっているんですが、報道はされています。そういうような思いを持っている人がどうも教育の中枢にいるらしいということは間違いない。
しかし、それは社会的差別の反映であります。したがって、この学校が誕生した後にどういうふうに見られるのか。その本人たちだけじゃなくて、周りからの扱われ方というのもあるわけですね。これは教育庁だけではコントロールできない間題がある。したがって、こういうことについては慎重でなくてはいけないと思います。
ただ、もう二校指定されて、受験が始まっているわけですね。推薦、それから今前期の入試が終わって、きょう発表がもうあったんですね。その二回の入試の倍率、それから定数と倍率をそれぞれ二つの学校について教えていただきたい。
○比留間学務部長 平成十五年度入学選抜の両校のお尋ねですけれども、足立東高校の推薦選抜の募集人員は五十五人で、受験倍率は二・〇倍でございました。分割前期募集の人員は五十三人で受験倍率は三・一倍でございます。
秋留台高校は推薦選抜の募集人員は七十人で、受験倍率は二・五倍でございます。分割前期募集の募集人員は七十二人で、受験倍率三・〇借でございます。
次に、分割後期募集でございますが、これから三月六日に実施をいたしますけれども、募集人員は足立東高校が八十人、秋留台高校九十六人でございます。
○曽根委員 分割後期の募集人員が一番多いというのは、これはほかならぬこの学校の持っている性格が、ほかの普通科高校ではなかなか学力的にもついていきにくい子どもたちの受け入れという性格を持っているために、普通科高校がだめだった子どもたちが最後のよりどころとして受けることも考えてそこの枠を大きくしているんじやないかな、その配慮は私も認めたい。もう二校スタートしちゃっているんですから、スタートして募集をかけて生徒が多いところでは三倍以上集まっているということですね。後期の最後の試験、試験というか選抜か。学カテストはないわけですね、ここは。もうすぐ行われます。
私の勝手な推測ですけれども、恐らく足立東なら足立東、秋留台なら秋留台を三回目受ける人がいると思うんです。推薦で一回受けるでしょう、だめだった。でもほかに行くところがない、ここの学校こそ自分の目指すものだと前期を受ける、だめだった。三回目、最後のチャンス。受ける子が必ずいると思う。こういう学校をつくれば期待を集めますから。そう思います。そういう子が三回目を受ける、この意欲は私は受けとめなきゃならないものがあるなと思うんですが、いかがでしょうか。
○比留間学務部長 エンカレッジスクールの受験倍率が高いこと、さらには推薦、分割前期、分割後期と三回にわたって受ける子どもがいるだろうという点について、これらのことについては、生徒やその保護者の期待の高さを反映しているものでありまして、この学校の趣旨が理解され、入学に強い気持ちを持つ生徒が多いというふうに受けとめております。
〇曽根委員 これは初年度だからいろんなことが今後考えられる。つくるからにはいいものにしなければならないと私は思うんです、もう踏み出しちゃっているから。要するに、学力試験じゃないんだね、この選抜は。推薦もそうだし前期もそうだし後期もそうなんです。
学力で、はかっちやいけない子どもたちなんです。だから、何かといえばやはり意欲しかないと思う、私は。その学校を目指して三回も受ける。何か考えなくちゃいけないと思います。
ただ、三回目を受ける人は全員入れますよという宣言は恐らくこの制度そのものの根幹にかかわるから難しいでしょう。しかし、私はその意欲を買うのがこの学校の根本性格で、そういう制度的な隘路があると思うんです。ほかの普通科高校に、どうなんだろうか、行けないかもしれないという不安な子どもたちが集まってしまうんです。これは間違いなく集まってきているんです。そこしかないから三回受ける。
それで最後も、全く初めて受ける、つまりほかの普通科高校を落っこつて受けてくる子と、全く同じに三回目を受ける子も、初めてそこを受ける子も同じにやって、それで三回受けたけれども、だめでしたという。これは本当に期待を集めて、それを求めて来ている子に対してとるべき態度かなというふうに私は思う。こういう制度をつくった以上は、そういう問題が出てくるということなんです。ここは考えていただきたい。
私はどうこうしろとはいえないから。でも、つくる以上は責任があるんです。やはり教育庁としてはそこまで考えなければならないと思うんです。たとえ少数かもしれないよ、計算すれば。二、三十人のことかもしれない、一つの学校では。しかし、その二、三十人が、やっぱり泣かしちゃいけないと思います。そういうことも考えて、私は、この入試の問題には慎重に取り扱っていただきたいことを希望しておきます。
●高校生による授業評価制度の導入について
それから、先日、本会議だとかで高校生の授業評価の制度を導入するという話がありました。これも高校改革の一環だと思うんです。授業評価というのは確かに私たちも全面否定はしたくない制度なんです。生徒自身が本当に先生の授業についてもやっぱり客観的に物をいえる場が欲しいというのは希望としてはあるんです。ただ、今の都立高校の中で本当にそれが生かされるのかなという思いがあります。
そこで、率直にお聞きしたいんですけれLども、もし授業評価を導入し、来年度はモデル実施、再来年度は全面実施とする場合に、自分が評価したことが生徒に戻ってくるということがやっぱり保障されなければならないと思うんです。いいっぱなしにさせない。これはいろんな意味で大事なことだと思うんですが、こういうことを検討するのは今これからなんでしょうけれども、お考えになっているかどうかをお聞きします。
○近藤指導部長 生徒による授業評価は、教員の指導力の向上や授業の改善を図ることを目的として行うものでございます。
お話の生徒による評価結果についてでございますが、すべての学校で一律に生徒に公表するということについては今のところ考えておりません。しかし、授業が教師と生徒の信頼関係に基づいてつくり上げていくということを考えますと、状況によっては評価結果を生徒に示しながら授業の改善を図っていくことは当然あり得るべきだと考えております。
○曽根委員 ここはどういう考え方で臨むのかという点で非常に大事な点だと思うので要望したいんですけれども、生徒さんに例えば評価してもらう。これは授業ですから具体的な先生がやっている授業なので全部わかっちゃうわけですよ。恐らくそのアンケートを無記名にしたとしても、どの生徒が書いているか大体わかっちやう。どの先生の授業かももちろんわかる。そういう個別的な評価が出てくる。統計的に処理するとかいろんな方法はあったとしても、その生徒個人がその先生をどう思っているかというのは学校側は見えちゃうわけですね。しかし、生徒の側は、書いた結果がどうなるのか、どう自分に返ってくるのかわからないとすると、これは書けませんよ。だって、自分の点数をつけるのは先生なんだから。
例えば、この先生の授業はどうも眠いなと思っていても、それは自分だけが思っているのか、みんなが書かないのかと考えたら、なかなか書けませんよ。しかし、みんな率直に書いているということが後でわかって、いやもっと率直にいろいろなことがいいたいというふうになってくるのか、それとも、いや、怖くて書けないというふうになるのか。
これは私は生徒と先生の関係がもちろんあるんだけれども、学校全体の中の、内側にも開かれていなければならない学校のあり方の根本だと思うんです。校長先生も教頭先生も、それから先生方、生徒と、完全な対等、平等とはいいません。しかし、お互いに評価し評価され合うという関係がこれからつくられていく以上は、お互いにオープンにしないとだめだと思うんです。
東京都のやっていることは、はっきりいって、そのオープンにする場がないまま評価を個別にやるということによって、私は下手をすると校長先生やいわば教育庁の方からの先生に対する管理指導の道具に生徒の評価を使うということになりかねないと思うんです。
そんなことに使われるんだったら生徒の側は、たまったものじやないと思う。問題教師だ、教育力不足、そういうことのレッテルを張るために生徒の評価を使う、都合のいいところを。こういうふうになったら大変だということなんです。そうならない保障が必要だということです、この制度をやるからには。
私は、それを何で思ったかというと、高知県に行って、高知県はその評価制度を導入するのに先生方に物すごい抵抗があるわけです。嫌ですからね、やっぱり。それは僕はその抵抗感というのはもう取り払う必要があるとは思うんだけれども、しかし、抵抗があるのを実現するために、まずオープンな場をつくったんです。市町村につくった。市町村段階につくり、そして各学校につくり、三者協議会、四者協議会、つまりPTA、生徒、学校、それからもしくは地域の人も入るというような三者協議会か四者協議会をつくっていってオープンに議論ができる雰囲気をつくって、その上で評価制度。そうしないと評価制度はできないし生きない。これが高知県の考え方なんです。これは私は当を得ていると思うんです。
東京都も、順番はいろいろあるでしょうけれども、しかし、本格的導入が再来年というのは私は非常に時期尚早だと思いますが、だったらば、オープンに生徒が物をいえる場を学校の中にきちんとつくるということを必ずやっていただきたい。それなしにはこの制度はねじ曲がってしまうという危険が高いということを申し上げたいと思います。
それで、あわせて申し上げたいんですが、生徒の声を教育庁がちゃんと聞いているのかということで、前々から私はずっと今度の統廃合問題について、定時制を守る生徒の会というのがつくられて、生徒の学校を超えた組織は初めてだと思うんです。そういう組織ができた。そうすると、一人の生徒もしくは学校内の生徒がまとまって物をいうときには校長先生というものを通しなさいというふうにやってきた。しかし、もう学校を超えていろんな生徒の集まりができてきている。教育庁に当然直接物をいいたい。しかし、校長先生が許さなければだめだという。今つくっているわけだけれども、これはある意味でもう意
味がなくなってきている。
この間、二十四日の日ですか、私たちのところにも訪ねてこられましたが、生徒の会が新たな要望書と、それから定時制をなくさないでくださいという新たな要望書とアンケートを引き続きとっていて、ついに千人を超しました、千七人のアンケート回答を、こんな簡単なものですけれども、持ってきました。知事室にも行ったようです。知事室は受け取ったようです。
この内容について、もう知っていると思うんですけれども、把握しているかどうかと、これについての受けとめをお聞きしたいと思います。
○山際都立高校改革推進担当部長 今お話がございましたように、去る二十四日に定時制を守る生徒の会から都知事あてに定時制高杖をなくさないでくださいというような趣旨の要望書が提出され、知事室の担当者が受け取っているところでございます。
これについての取り扱いについてでございますが、生徒の意見表明に対する必要な対応については校長が判断するということが望ましいというふうに考えておりまして、要望書につきましては、該当校の校長に送付をいたします。 なお、校長の判断によりましては校長同席のもとで私どもが対応することもあり得るというふうに考えております。
○曽根委員 結局そこに戻っていくんだけれども、例えば学校の中で、生徒の意見を大いに聞こうとか、また役立つものは大いに取り入れていこうとかいうふうなことがもしこれからやられていくんだとすれば、教育庁にだけは学校長を通さないと会いませんとか意見を聞きませんとかいうことはあり得ないと思うんです。現に私たちの会派に生徒が訪ねてきたら、それは受け取りますよ、当然のことながら。請願陳情だつて出せるでしょう、別に未成年は出せないという制度はないんですから。議会にだって正面切って出していける。
知事室に行っても受け取ると思う、受け取ったんです。教育庁だけ校長を通せと言って、校長という関門をつくっちゃう。これはこれからあり得ないことだと思います。だって、ほかのルートで要望が入ってくるんだから。入ってこざるを得ないんですよ。ここだけオープンにできないというのはもう間尺に合わなくなっています、実態も。
ほかの県の教育委員会はどうかというと、私の調べた限り十ぐらい聞いたけれども、どこも校長が立ち会いとか校長を通してなんていうところは一個もないんです。相手は高校生ですから。そういう点では、もうはつきりいって頑迷な態度を変えてもらいたい。それがなしに学校の中で生徒に授業評価をやらせて、それでもって授業がよくなるなんていうことをいう資格は、私は問われると思うんです。そういう態度をとっていて、生徒の声は聞かない、校長を通しなさいといっている片方で、授業評価をやっていいよ、我々の方で使うから。こういうんじや、生徒だって幾ら何でも信用しませんよ、教育庁を。ということを申し上げたい。
生徒の会のホームページを読んだら、今度、国連に提訴するそうなんです。まだお金がないから行けないと書いてあったけれども、少なくとも東京弁護士会には人権擁護ということで提訴して、弁護士会の中に人権擁護委員会というのがあって、そこで判断、審判してもらいたいというふうにやっているらしいです。その先は国連だといっているんです。
国際的に東京都のいわば生徒の人権や意見表明権に対する姿勢が問われてくる。私は、そこで国際的に恥をかく前に、東京都の教育委員会には態度をやっぱりオープンにしてもらいたいということを強くお願いしておきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
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