2003年第4回定例会代表質問
〇百三番(曽根はじめ君) 日本共産党を代表して質問します。
ことしもいよいよ年の瀬を迎えました。まちを歩いていても、長引く不況や社会保障の改悪、リストラ野放しなど、痛みの押しつけに対する怒り、生活への不安の声は一層強まっています。暮らし、そして営業を守ってもらいたい。私は、この都民の切実な声にこたえることが、何よりも都政に求められていることを実感しています。
しかし、石原知事がこの秋に発表した都政の基本方針、すなわち、第二次財政再建推進プラン、そして第二次都庁改革アクションプランなどは、いずれも都民の声に背を向け、痛みを押しつけるものになっているのではないでしょうか。
これまでも石原都政のもとで、シルバーパスの全面有料化、老人福祉手当の廃止など、福祉や医療、教育の切り捨てが進められてきました。一連の方針は、巨額の財源不足を理由に、これまで手をつけられなかったあらゆる分野の都民施策を廃止を含めて見直すことや、都が直接運営しているすべての施設から撤退、縮小し、その多くを営利企業を含め民間に移譲するというもので、これが実施されることになれば、都民生活にこれまで以上の大きな打撃を与えるものとなることは間違いありません。
そこで、幾つかの問題について具体的に伺います。
初めに、第二次財政再建推進プランです。
その最大の問題は、財政難の一番大きな原因である投資経費は事実上聖域にし、福祉、教育、暮らしにかかわる補助金を中心に、その廃止を含む切り下げで一千二百億円の財源を生み出すとしていることです。しかも、見直しの理由として挙げられていることはいずれも的外れであり、到底都民の納得を得られるものではありません。
具体的に名指しをされた私学助成ですが、プランでは、見直しの理由として、児童生徒一人当たりの都の補助額が都道府県の中で上位にあり、私立高校の例では、都と同様に都市化が進んでいる埼玉、千葉、神奈川などの近県と比べ、相当高い水準にあることが挙げられています。
しかし、これは、他県に比べ人件費や維持管理費などコストが高いことや、学校教育全体の中で私学の果たしている役割が格段に大きいという東京の特質を無視した議論です。
高校の場合、私学への依存率は、東京の六割に対し、埼玉、千葉、神奈川は三割程度にすぎません。憲法に定める教育の機会均等を保障するため、他県以上に私学助成の充実を図るのは、都の責務ではありませんか。
ところが、都の私学助成は、既に第一次財政再建推進プランの四年間に、少子化による生徒減も相まって、百四十億円も減らされており、各学校、毎年数千万円もの減額が続いています。
その結果、今年度だけでも、三割近い私立高校が授業料の値上げを余儀なくされました。専任教員の採用ができなくなり、すべて非常勤にせざるを得ないなどの深刻な影響が既にあらわれています。ある私立高校では、かつて都の助成は運営経費全体の四六%を占めていたのが、今ではわずか三二%にまで後退しています。
しかも、厳しい不況の中で、学校の経営と、そこで学ぶ生徒の状況は深刻です。別のある私立高校では、七百四十人の生徒のうち、実に百人が授業料滞納となっており、その原因は、親の失業、営業不振、家庭崩壊などです。このような生徒のための授業料の減免を、全校生徒の三割以上が利用しているそうです。都の私学助成と、その中でのこうした減免があればこそ、高い授業料を払うのが厳しい生徒も、私学で学び続けることができているのです。
私立高校の生徒一人当たりの都の補助額は三十四万六千円ですが、これが仮に全国平均まで削減されることがあれば、四万六千円もの減額となります。そんなことになれば、一層過酷な授業料の値上げと教育条件の後退を招くことは明らかであります。
私学助成は削減すべきではありません。私学をめぐる厳しい現状のもとで、標準的運営費の二分の一公費負担を堅持するとともに、授業料等軽減措置や、また私立幼稚園の保護者負担軽減補助の拡充などこそ必要と考えますが、見解を伺います。
都の補助率が二分の一を超える、いわゆる高率の補助金も見直しの対象に挙げられています。高率の補助金は、事業主体の自主的な取り組みがなされないなどの弊害があるとされていますが、とんでもない話です。
心身障害者の小規模作業所に対する運営費補助の場合はどうでしょうか。都の補助率が三分の二、市町村の負担が三分の一で実施されていますが、法定の心身障害者通所授産施設に比べて、半分の補助でしかありません。この中で、関係者のバザーなどの必死の努力でやっと運営が維持されているのが現状です。
にもかかわらず、都の補助率を二分の一まで引き下げることが、既に市長会、町村長会に提案されています。これは都の補助を一カ所当たり四百万円も削減しようというものであり、そんなことをされたら、重い障害の人は受け入れることができなくなる、作業所のささやかな工賃より送り迎えの料金の方が高くなってしまうなどの切実な声が相次いで上がっています。
都の計画では、総額七億円の市町村の負担増となりますが、ある市の担当者は、ただでさえ、支援費制度になり、ホームヘルプサービスの利用が伸びて、障害者福祉財政は火の車だ、どうやって負担しろというのかと訴えています。
また、東久留米市の年額二百七十六万円を上限とした家賃補助など、多くの市は独自に小規模作業所の運営費の加算や家賃補助を行っています。都があくまで市町村への負担転嫁を進めた場合、これらの市の独自加算はほとんど存続できない事態が予想されます。
これから障害児学校卒業生の急増期を迎え、十年後には都内で少なくとも百二十カ所程度の小規模作業所の新設が必要だといわれています。補助金切り下げは、この障害にもなり得ます。これでは、都が掲げている地域福祉の充実とは裏腹に、重い障害のある人たちの地域生活を支える上でなくてはならない小規模作業所の存亡にかかわる重大な打撃を与えるものといわざるを得ません。だからこそ、多摩地域のすべての市が、補助切り下げに反対の立場をとっているのです。
小規模作業所運営費は、削減でなく、拡充こそ必要と考えますが、ご所見を伺います。
既に具体化が進み、大きな反対の運動が広がっているのが、私立保育園に対するサービス推進費補助の問題です。
十月十七日に、福祉局から初めて公式に見直し案が示されましたが、最大の問題は、保育士を初めとした職員の経験年数について全く考慮されておらず、財政基盤の弱い私立保育園が経験豊かな職員を確保できるようにしてきた、その保障を根底から崩すものとなっていることです。
補助額が余りにも低く、福祉局の計算で、私立保育園への補助の総額は、昨年度の実績に比べ三十二億円、三四%もの減額になります。各施設の削減額は、当面三年間は毎年五百万円を上限とするなどの経過措置が盛り込まれましたが、それにしても、毎年一人ずつ経験の豊かな常勤の保育士を減らさなければならないような大幅削減であり、しかも四年目以降の保障はありません。
実際に、ゼロ歳児の産休明け保育、延長保育、障害児保育、一時保育を実施している保育園の試算では、昨年度のサービス推進費の実績に比べ、総人件費の約二割、二千三百万円もの削減になります。経過措置はありますが、現在の正規職員の数を維持した場合、毎年職員一人当たり月収で二万円ずつ、三年後には現在の月収に比べ六万円もの給与カットを余儀なくされます。例えば、経験年数三年目のある保育士の場合、月収二十三万円が、三年後、経験年数六年で月収わずか十七万円になってしまいます。これでは、若い保育士が、展望を持ち、専門職としての誇りを持って働き続け、経験を積み重ねることはできなくなります。
保育の質を決めるのは職員の質であり、職員の待遇保障の低下は保育の質の低下につながります。既に保育園の現場では、経験豊かな職員が園の経営のために退職しようかと悩んでいる、園長が退職の希望を募り、園全体に不安が広がっているなどの事態も生まれています。人間形成の最も基礎になる大切な乳幼児期の育ちに責任を負う保育園が、こんなことでよいのでしょうか。
補助切り下げの理由について、都は、今の補助制度ではゼロ歳児保育や延長保育が進まないからだといっていますが、これらが進まないのは、必要な予算措置をしていないからであって、とんでもないすりかえです。現在の補助は、経験のある保育士を十分に確保することによって質のよい保育を進めているものです。ゼロ歳児保育や延長保育などを充実することはもちろん重要ですが、そのために保育の質を落とすようなことは、絶対あってはなりません。
ゼロ歳児保育や延長保育などの事業の拡充と、職員が働き続けられ、経験豊かな職員の配置による保育の質の確保の両方を進める必要があると考えますが、見解を伺います。
我が党が提案しているように、ゼロ歳児保育を広げるには、保育園の増改築及び新設を進めることが必要です。また、延長保育を広げるには、ゼロ歳児や一歳児を受け入れた場合の補助単価の引き上げや利用者が五人未満の場合の補助額の充実が必要です。このための補助の抜本的な拡充にこそ取り組むことを求めるものですが、お答えください。
福祉局は、東京都社会福祉協議会の合意を得たといいますが、現場は納得していません。十月二十九日に、東京の保育四団体が主催した、あすの東京の保育を考えるセミナーには、私立保育園の園長や職員六百七十五人が参加し、福祉局の案に対し、東京の保育を荒廃させるものなど、憤りと不安、厳しい批判の声が相次ぎました。その場で採択されたアピールは、拙速な改革ではなく、我々現場の声が十分反映される内容にしていただきたい、職員の定着率を高め、なおかつ意欲的に働き続けられるよう、しっかりした保育制度が必要ですと訴えています。
保育園を利用している多くの保護者の共通した声も、私たちの一番の願いは、安心して子どもを任せることができる保育園です、今の保育の質を絶対に落とさないでください、利用者本位というなら、どうして私たちの声を聞こうとしないのかというものです。
今回のサービス推進費補助の見直しは、東京の保育の質を大もとから崩し、子どもの豊かな成長発達を保障するためには余りにも不十分な国基準への引き下げ、さらには、保育士の時給九百円程度、正規職員の場合も一年契約などの不安定雇用で、民間企業のサービス競争を基本とした認証保育化の方向に向かわせていく一環というべきものです。だからこそ、父母も園長も職員も、関係者みんなが、これほど大きな危機感を持っているのです。
東京都社会福祉協議会との合意というのも、経験年数の考慮は絶対認めないという結論を押しつけ、十月十八日には、これが最終案だといって受け入れを迫ったものです。こんな理不尽なやり方はありません。
今必要なことは、知事と福祉局が、実際に東京の保育を担い、日々子どもたちと向き合っている現場に足を運び、園長、職員、そして保護者の声に真摯に耳を傾けることであります。そして、これら関係者の声をもとに、提案した見直し案は抜本的に再検討することを求めるものです。それぞれお答えください。
固定資産税、都市計画税の軽減、減免措置についても、臨時、緊急の措置で実施されたものとして、名指しで存廃を含めた見直し対象にしています。もし打ち切られたら、商店や中小企業の営業用地が一人平均十一万四千円の増税となり、住宅用地を合わせた増税総額は四百八十三億七千万円、百八十九万四千人に影響が及びます。
重い税負担、そして不況に苦しむ中で頑張っている人たちに、せめて中小業者の非住宅用地の固定資産税などの減額、小規模住宅用地の都市計画税の軽減は継続すべきです。答弁を求めます。
第二次都庁改革アクションプラン、これは、行政サービスのあり方を見直すとして二百八十九項目を挙げました。いずれも都民生活に重大な影響を与える危険を持つものです。
その一つは、保健所、看護学校の縮小再編、むさしの園、板橋老人ホームの廃止、東村山老人ホームの縮小など、福祉、暮らしにかかわる都の直営施設の廃止縮小を打ち出したことです。
例えば、多摩の保健所統廃合で、十二カ所から五カ所になりますと、広い二次医療圏を対象に、環境衛生、食品安全、感染症・薬物対策、在宅療養者、精神障害者への訪問など、膨大な都民サービスを行ってきた保健所活動が大きな障害を受けることは明白です。
また、板橋老人ホームの廃止は、第一次プランの伊豆山老人ホームの廃止に続くものです。今でも養護老人ホームは大幅に不足しており、二千人近い待機者がいるもとで、なぜ今ある施設を廃止するのですか。しかも、板橋老人ホームは、都立施設として全都的な問題となっているホームレスや山谷の日雇い労働者の高齢化対策などで重要な役割を果たしているもので、まさに逆行といわざるを得ない計画です。
プランが、法律で直営が義務づけられている以外の都立施設の管理に民間営利企業も参入できる指定管理者制度を適用することを決めたことも重大な問題です。これは、自治法改正に基づくものですが、このことによって公的サービスが営利優先になったり、都民や議会のチェックも届きにくくなり、サービスが後退する危険が強まります。
これまで都立の病院や福祉施設、スポーツ・文化施設、二十六万戸の都営住宅など、大半の公共施設を都が運営してきたのは、これらの都民サービスを効率的に行うことはもちろんですが、何よりも都民に対してよりよい公共サービスを提供するという立場を貫いてきたからです。財源の投入をいかに少なくするかという立場でのみ運営のあり方を決めることは、地方自治体としてとるべき態度ではありません。
知事、改革というなら、自治体として最も重要な仕事である暮らしと福祉を最優先する立場を貫くことが必要です。第二次アクションプランは、この立場から抜本的に再検討すべきです。答弁を求めます。
これまで指摘してきたように、二つのプランのねらいと方向は、都民が長年にわたって築き上げてきた福祉、医療、教育、産業、労働などの各分野にわたる都独自のすぐれた施策や施設を民間にゆだねることで大きく手を引いたり、事業として残すものも、国基準並み、もしくはそれ以下の水準に引き下げていこうというものです。
財界団体である経済同友会は、一昨年の年頭に発表した提言の中で、自律国家における再配分の原則は、政府の役割を、すべての国民に対して日本の尺度ではかった最低限の生活水準すなわちナショナルミニマムを保障することにのみ限定すべきであり、国民はそれ以上の所得再配分を求めず、自助努力による生活水準の向上を目指すことと述べるとともに、国の役割について、防衛、経済協力、司法、恩給、年金、扶助費、地方自治体の役割としては、教育、警察、消防、公共事業に限定することを提案するなど、国や地方自治体が福祉を初めとする住民サービスから撤退していくことを露骨に求めています。
石原都政の方針は、こうした財界の論理と変わらないものです。私は、二つのプランの具体化を都民に押しつけるのではなく、改めて、都民参加で住民の福祉の増進を目的とした都政運営の基本計画を策定することを求めておくものです。
次に、都財政の立て直しについてです。
第二次財政再建推進プランは、毎年四千億円前後の財源不足が生じるとし、このことを都民施策の切り下げの理由としています。確かに、都財政は困難を抱えています。しかし、同プランのいう財源不足は、全体として過大に設定されており、絶対的なものではありません。その中には、同じ都の公営企業会計などとの間のやりくりや、都債を償還するための基金の積立金を適正な規模にすることによって段階的に解消できるものも含まれています。
そして、何よりも重要なことは、一兆円規模に高どまりしている投資経費を、例えばバブル前の五千億円の規模に段階的に減らしていけば、福祉などを充実しながら財政を立て直していくことができるのです。
例えば、東京都が直接乗り出して建設に当たっている北新宿や環状二号線地区の再開発、汐留、有明北などの土地区画整理事業や埋立事業には、今年度だけでも一千億円もの資金が投入されています。また、国直轄事業負担金と首都高への貸し付けだけで、毎年八百億円規模に達しています。幹線道路予算も、来年度予算局要求では九百三十億円と一層ふやされています。なぜこうした大型開発の改革に手をつけないのですか。
とりわけ、都財政を大きく圧迫するものとなっている国直轄事業負担金や首都高への出資、貸し付けについても、国いいなりをやめ、思い切って見直すことが必要です。
この二つの支出については、第二次財政プランで例示はされていますが、その内容は抜本的な改革というにはほど遠いものです。すなわち、直轄事業負担金は、わずかな支出にすぎない事務費と年間三十億円程度の管理費について問題にしているだけで、肝心の毎年五百億円近い巨額の事業費については一言も問題にしていません。首都高への出資、貸し付けについても、都の負担割合の引き上げを認めた上で、わずかに公団側のコスト削減を求めるという情けないものです。
知事、国に物をいうというのであれば、ここにメスを入れ、きっぱりと断るべきです。また、財源不足というのであれば、投資は現実の財政力に見合った支出にとどめられるべきではありませんか。それぞれ見解を伺います。
今議会には、八ッ場ダムの事業費を現在の二倍以上の四千六百億円に引き上げる議案が提案されていますが、これによって都の財政負担は三百四十三億円も増加することになります。そもそも東京都の水需給計画は過大に設定されており、これ以上の水源は必要ありません。また、八ッ場ダムの場合、ダム建設そのものも過大投資となっており、しかも、名跡といわれる吾妻川の渓谷が破壊されることなど、問題が山積みとなっているものです。
既に、ダム建設の見直しでは、お隣の埼玉県が尾瀬の戸倉ダムの建設を断念し、国直轄事業の負担を拒否することを表明しました。
知事、八ッ場ダム、戸倉ダムの建設中止と負担見送りを国に申し入れて当然だと思いますが、見解を伺います。
来年度予算については、各局要求の段階で五千三百二十九億円の財源が不足するとしています。しかし、その不足額というものは、予想される一千億円近い税の増収分を見込まず、しかも、先ほど述べたように、すぐに返さなくてもよい千三百億円もの他会計借入金を計上するなど、意図的に過大に設定したものです。
さらに許されないことは、新銀行への一千億円もの出資を見込んでいることです。
都は、先月末、フランス資本のパリバ信託銀行を母体にした新銀行のスキームを発表しました。我が党は、この間、金融庁や信金協会、金融専門家などからの聞き取りや調査を行いました。そこで明らかになったことは、この間我が党が指摘してきたとおり、新銀行が、貸し渋り、貸しはがしに苦しんでいる中小零細業者に役立つものとはならないということです。
一つは、どれだけ条件の悪い融資先に貸し出しを行っているかを判断する資料となる貸倒引当金の問題です。銀行は、通常、要注意先に対しても貸し出している場合、総融資額の五%程度の引当金の引き当てが行われていますが、新銀行の場合、貸倒引当金は二から三%の数字にとどめられています。専門家に伺ったところ、こんな少ない引き当てでは、貸しはがしなどに遭っている中小企業に貸し出すことはほとんど無理だろうといっています。
経営計画にも疑問が寄せられています。財政スキームによれば、新銀行は三年後に黒字に転換するといっています。しかし、これは、初年度には百十億円積む貸倒引当金を、三年目にはわずか十五億円に引き下げることで可能にしたものです。しかも、その一方で、三年の間に新銀行が貸し出す融資を三倍に広げるとしているのです。貸倒引当金を必要とするような経営困難の中小企業には貸さないということにほかならない、こういう声が広がるのは当然ではありませんか。
新銀行が目玉として導入しようとしているポートフォリオ融資も、融資が焦げつく心配のある企業にはほとんど貸し出さないことは、既に民間銀行の経験でも明らかです。
知事は、第二回定例会で、新銀行について、サンタクロースや救世軍じゃないと述べましたが、新銀行のスキームでも、借りたくても借りられない、本当に困っている町場の業者を救済するものでないことは明らかです。財政が苦しいといいながら、一千億円も投入して、本当に貸し渋り、貸しはがしで苦しみ抜いている中小業者の役にも立たない銀行をつくることは直ちに中止すべきと考えますが、知事、どうですか。
そもそもポートフォリオなどの融資やICカードなどの商品についても、いずれも他の民間の金融機関で既に取り扱っていたり、計画されているものばかりです。こういう銀行であったら、それこそあなたが常々いっているように、民間に任せておけばよいことではありませんか。一千億円というお金をむだに使うことなく、そのごく一部を使うことで既存の制度融資の拡充に努めることこそ、現実に中小企業の救済に役立ちます。
多くの中小業者が求めているのは、制度融資の改善、拡充であり、多重債務者のためのプロパー融資を含めた借りかえ融資の実現、年越しのための別枠の緊急駆け込み融資、さらには連帯責任を求められる第三者保証の廃止などをこそ、直ちに実行に移すべきと考えますが、答弁を求めます。
改めて、知事が、住民の福祉の増進という自治体の長としての立場に立ち返って、切実な都民要求にこたえた来年度予算編成を行うことをここで要望しておくものです。
そこで、私は、重要課題となっている子育ての問題に絞って提案を行います。
教育の危機が叫ばれ、学校のあり方が各方面から問われる中で、親や教師の少人学級への願いが全国の自治体を動かし、今や三十道府県で少人数学級に踏み出しています。
これらの道府県がまとめた少人数学級の教育効果、検証などの報告を読むと、どこでも、子ども、親、教員から大きな歓迎の声が出されています。親からは、少人数で先生の目が行き届き、ありがたい、子どもが学校へ喜んで行くようになった。教員からは、気持ちにゆとりが生まれた、勉強が苦手な子にもしっかり教えることができるようになったなどの声です。そして、実際に欠席平均日数が減り、保健室の利用者が少なくなり、計算などの小テスト達成率が上がったなどの例が報告されています。
サミット参加国が、どこでも一学級二十五人前後となっているように、少人数学級は世界の流れとなっています。都内では、都民から百二十万近い署名が寄せられているのを初め、市長会、町村長会、市教育長会などから、少人数学級を求める要望が東京都に出されています。
知事、山形県知事は、橋の一本二本我慢しても、小学校で三十人学級を実施する、そういって導入しました。この流れがさらに広がり、東京が最後の県になってしまう可能性も出てきています。国も、二〇〇一年から、都道府県の判断と財政負担によって、自治体独自に少人数学級を編成することを可能としました。河村文部科学大臣は、記者会見で、来年度、少人数学級の制度を、運用を緩やかにして、少人数指導のための加配教員を少人数学級用の教員としても選択できることを検討していると明らかにしました。
全国の流れ、世界の流れから見ても、子どもたちの豊かな教育を保障するため、都としても、来年度から三十人学級に踏み切るべきではないでしょうか。明快な答弁を求めます。
次に提案したいのは、小学生の医療費の無料化です。
小学生になると、病気になる率は低くなりますが、若い子育て家庭にとって、子どもが病気になったときの医療費の負担は大きいものです。また、小学校低学年は、乳歯から永久歯に生えかわり、奥歯も生えてくる時期であり、予防と早期の治療がとりわけ大切な時期です。都の患者調査によれば、小学校低学年の歯科の患者数は、乳幼児期に比べ三倍にはね上がっています。
周知のように、ドイツやイギリスなどでは、すべての子どもの医療費は無料ですが、日本でも、神奈川県では、全市町村が中学校卒業まで入院医療費を無料にしており、小学生以上に何らかの医療費助成がある自治体は、全国で八十八に上ります。
都内でも、私の地元北区は、来年度から小学生の入院医療費を段階的に無料化する子ども医療費助成制度の創設を決めました。区長は、小学校に上がっても子育てしやすい北区にすることで、子育て世帯に定住してほしいと考えたと語っています。二十三区では、ほとんどの区が乳幼児医療費助成について、小学校入学前まで所得制限なしを実現しており、小学生に拡充していく機運が広がっているのです。
乳幼児だけでなく、小学生にも医療費助成を行うことは、少子化対策の重要課題です。今こそ、都としても小学生の医療費の無料化に踏み切るよう提案するものですが、所見を伺います。
最後に、自衛隊のイラク派兵にかかわる知事の発言についてです。
本日、小泉内閣は、米国から求められるまま、イラクへの自衛隊派兵に関する基本計画を閣議決定しました。これは、イラク国民にとっても日本国民にとっても取り返しのつかない災いをもたらす最悪の選択です。
泥沼化したイラク問題の道理ある解決の方向は、一日も早く米英軍主導の占領支配をやめ、国連中心の枠組みによる人道復興支援に切りかえること、国連中心の枠組みのもとで、イラク国民に速やかに主権を返還し、米英軍を撤退させることであり、日本に求められているのは、そのための自主的な外交努力を尽くすことです。我が党は、憲法を踏みにじる自衛隊のイラク派兵をやめさせるため、広範な国民の皆さんとともに、力を尽くす決意であることを表明するものです。
ところが、石原知事は、去る十二月一日の記者会見で、イラクへの自衛隊派兵を当然視した上で、平和目的で行った自衛隊がもし攻撃されるなら、堂々と反撃してせん滅したらいいと発言しました。そればかりか、七日には、外国の軍隊が攻撃されたときも、自衛隊が援助する、すなわち外国の軍隊と一緒に戦うんだとまでいいました。まさに憲法を二重三重に踏みにじる絶対に許されない発言です。
民間人を無差別に殺傷するテロが許されないことは当然です。しかし、イラクでテロと暴力が蔓延する事態をつくり出しているのは、米英軍による無法な侵略戦争と不法な占領支配にあります。この不法な占領支配に日本が軍事力をもって加担することは、米英軍の軍事占領に反対しているイラク国民はもとより、イスラム諸国民全体からも、日本が憎しみの対象にされるという取り返しのつかない結果をもたらすことになります。また、日本と東京がテロの標的とされる危険をみずから招き寄せることになりかねないではありませんか。
しかも、イラクの状況は、米軍自身、全土が戦争状態と認めざるを得ないほど深刻化の一途をたどっています。ここに自衛隊を派兵すれば、戦闘行為につながる危険をみずからつくり出すことはいうまでもありません。
知事の発言は、戦争をしない、軍隊は持たないと決めた憲法第九条を踏みにじり、日本の軍隊が戦後初めて他国の領土で他国民を殺害するという恐ろしい道に日本を引き込むことを督促するものであり、憲法、そして都民の命と安全を守るべき知事として、断じて許されるものではありません。
既に我が党は文書をもって撤回を求めましたが、改めて知事のイラクへの自衛隊派兵と自衛隊の戦闘行動を容認する発言の撤回を求めるものです。答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
初めに、保育における現場実態の把握についてでありますが、東京都の強みは、国と違いまして生々しい現場を持っていることであります。福祉施策においても、現場の実態を把握し、適切な対応を行うことが大切であると思います。
大都市東京としての現場の声を踏まえて創設した都独自の認証保育所は、都民ニーズにこたえ、発足後わずか二年で百八十九カ所も開設となりました。これはたしか共産党は最初から反対でありましたでしょうがね。この結果を見ても、あなた方がいかに大方の正義からずれているか、大きな現実からずれているかの一つ証左だと思います。
現行の認可保育所は全国画一的な制度でありまして、多様な保育ニーズにはこたえておりません。また、現行のサービス推進費補助も画一的な補助でありまして、質の高いサービスの提供には結びついておりません。利用者本位の新しい福祉を実現するためには、これら都民ニーズに対応できていない制度は何としても改革すべきであります。
今後とも、福祉改革を強力に推進するとともに、国に対して保育所制度の抜本的な改革を強く求めてまいります。
次いで、固定資産税などの軽減措置についてでありますが、小規模住宅用地などに対する都独自の軽減措置のあり方については、社会経済状況の変化などを踏まえた不断の見直しが必要であると考えております。
平成十六年度の取り扱いについては、景気の状況、都の財政状況、国の税制改正の動向なども勘案し、判断していくつもりでございます。
第二次都庁改革アクションプランについてでありますが、厳しい都財政の中で、治安対策や少子高齢化への対応など、都政を取り巻く課題は非常に多うございます。
東京の再生と都民サービスの充実を目指し、アクションプランを策定したものでありまして、その着実な実施により、都民ニーズに的確にこたえられる都庁づくりを進めていくつもりでございます。
次いで、都財政の立て直しと第二次財政再建推進プランについてでありますが、まず、これから進めようとしている財政再建は、お話のように都民施策の切り下げなどではなくて、都民ニーズの変化にこたえ、東京の活力を呼び戻す施策の財源を生み出すための将来を見通した積極的な取り組みであります。
このためには、経常的経費、投資的経費を問わず、あらゆる施策及びその執行体制などについて新たな発想で見直すなど、財政の弾力性を回復して持続可能な都財政を構築し、都の実情に合った施策を自主的に展開できる基盤をつくっていくことが重要であり、それが都政の構造改革であると思います。
また、国直轄事業や首都高速道路の整備は、東京における社会資本の整備に必要な緊急性の高い事業であります。
今後とも、国と連携して進めてまいりますが、これまで以上に事業の内容や負担割合などに都の意向が十分反映されるよう、積極的に働きかけてまいります。
次いで、ダムの開発についてでありますが、繰り返して申しましたけれども、水はまさに政の根幹でありまして、安定的な給水を確保する上で必要な水源を開発し確保することは、国や自治体の重要な責務であります。これまでも、水源地の理解と協力を得ながら、国や関係自治体とともに必要なダム開発を推進してまいりました。
水源確保については、将来の水需要や渇水に対する安全性などを総合的に検証し対応しておりますが、八ッ場ダムは必要不可欠なダムと承知しております。
一方、戸倉ダムにつきましては、参画を見直す方針であります。
新銀行の設立についてでありますが、共産党は、よろず経営能力があるとはとても思えません。極めて保守的な、非革命的な政党と私は承知しておりますが、新銀行は、貸し渋りや貸しはがしに苦しむ中小企業に対して、地域金融機関と連携し、生きた資金を迅速かつ円滑に供給するため、これまでにない新たな金融商品を積極的に提供してまいります。
また、交通機関や百貨店などと提携した全く新しい多機能ICカードの発行によりまして、生活に密着したさまざまな場面で利用できる新しいサービスを生み出し、豊かな都民生活の実現に貢献するものであります。
これを中止する考えは全くございません。
次いで、イラクへの自衛隊派遣についてでありますが、この間、曽野綾子さんが、アラブ系のテロについておもしろい分析をしております。
彼らが攻撃の対象としているのは、アメリカ、イギリス両国に関係ある者、両国と友好関係にあるアラブの国や組織、国連関係機関、赤十字、キリスト教、国内では、対立部族、宗派の違う者、利害関係で対立している者、外国資本と関係ある者、アメリカや西側で教育を受けた官吏、警察官、アラブ名前でない者、肌の白い人、ひげのない男、金持ち、身持ちの悪い女、理由はないが気に食わないやつ、一切合財すべてをねらい撃ちの対象にしており、つまり、ほとんどの世界を相手にテロを行っているわけで、結局、せんじ詰めれば、彼らの目的は、この世の中に無秩序を招来するということなんでしょう。
実態を見ますと、彼らがあの暴力行為を阻止して守るべき市民というのはどこにあるかわからない。つまり、守るべき市民はない。これは結局、非常にその行為が無責任というものにならざるを得ない。
今回、イラクの再興のために、病院であるとか学校の復興あるいは道路、橋の修復、そういったもののサポートに自衛隊は行くわけでありますけれども、これはあくまでも、だれのためでもない、イラクの国民のためのものでしょう。それを妨害するのは、これはすなわち、イラクの国民にテロたちは反逆し、彼らを損なおうとしている。これを守るということは、私は、だれのためでもない、イラクの国民のために自衛隊は行動するわけですし、それを否定するいわれは私は全くないと思います。
こういう国際情勢にあって、我々が、テロ防止も含めてイラクの復興再建に全力で取り組むのは、国際社会の一員として当然の義務であります。ゆえにも、テロ、おどしに屈することなく(発言する者あり)国連自体が攻撃されているんだよ。復興支援のため自衛隊を派遣することは、イラクの平和実現のためにも、テロ撲滅のためにも不可欠であると思います。万一攻撃された場合は、イラクの国民のためにも正々堂々と反撃することは当たり前ではありませんか。
かつて、司馬遼太郎さんが、日本人というのは不思議な国民で、ある種の日本人にとっては、いたずらな観念の方が、はるかに目の前の現実より現実性があるんだということをいっていましたが、確かにそうであります。あなた方が今死守しようとしている、社民党もそうですけれども、日本の憲法なるものは一体いつの時点でだれがつくったかということを反省したい。
田中美知太郎さんという哲学者は非常にいいことをいわれました。憲法に、平和を標榜し、平和をうたうことで平和が維持されるなら、こんなやすいことはない。だったら、日本はいつも毎年台風に傷められておりますけど、日本に台風は来るべきでないと憲法にうたったら台風が来ないか、日本は有数の地震国でありまして、日本に地震はあってならないと憲法にうたうことで地震が起こらないか、そんなことはあり得ないでしょう。
あなた方は、そうやって前回の選挙も、要するにそういう表示したように、いたずらな全く現実性のない観念にすがることで自分自身をへずっていくわけで、遠からず、社民党も共産党も消えてなくなるかもしれませんが、私、それはむべなるかな、歴史の蓋然、必然だと思っております。
なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長横山洋吉君登壇〕
〇教育長(横山洋吉君) 三十人学級についてのお尋ねでございますが、他の道府県が地域の実情に応じて学級編制の弾力化を実施していることは十分承知しておりますが、都教育委員会としましては、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定の規模が必要であると考えておりまして、学級編制基準は、国の標準も踏まえて引き続き四十人とすることが望ましいと考えております。
一方、義務教育における基礎、基本の定着が重要な課題でありますことから、きめ細かな指導を行うため、教科等の特性に応じ、習熟度別学習集団など、学級とは異なる多様な学習集団が編成できるよう少人数指導の充実に努め、教育の向上を図っているところでございます。
〔生活文化局長三宅広人君登壇〕
〇生活文化局長(三宅広人君) 私学助成についてのご質問にお答えいたします。
都は、これまでも、公立学校の運営経費を基礎とした標準的運営費方式を踏まえつつ、時代の変化に即応しながら、より適正かつ効果的な補助のあり方について見直しを行い、施策の展開に努めてまいりました。
今後とも、社会経済状況の変化に対応しつつ、適切に対処してまいります。
〔福祉局長幸田昭一君登壇〕
〇福祉局長(幸田昭一君) 福祉施策に関します五点のご質問にお答えいたします。
まず、心身障害者児通所訓練等事業についてでございますが、都は、法外の小規模作業所などについて、法内の小規模通所授産施設と同水準の運営費補助を行っておりますが、これは国の補助基準額を大幅に上回るものであり、加えて、独自に施設整備費の補助も実施しております。
今回の見直しは、特別区においては補助率が平成十二年度から二分の一となっていることなどを踏まえ、市町村への補助率を現行の三分の二から二分の一とすることを提案したものであります。補助水準を変更するものではなく、小規模作業所の運営に影響を与えることはないと考えております。
次に、保育に関する民間社会福祉施設サービス推進費補助についてでございますが、都は、これまで、認可保育所に対して、ゼロ歳児保育や延長保育を実施するために、国基準を大幅に上回る手厚い独自の運営費補助を行ってきましたが、現状の実施率は低く、都民が求める切実な保育ニーズに十分こたえていないのが現状であります。
また、現行の民間社会福祉施設サービス推進費補助は、職員の平均経験年数に基づく補助となっておりますが、職員の経験年数が長いからといって、質の高い保育サービスの提供につながっているとは必ずしもいえないと考えております。
こうしたことを踏まえ、今回の再構築は、都として望ましいサービス水準を確保するとともに、サービス向上に向けた施設の努力が真に報われる仕組みとするものであります。
この再構築により、各施設において、都民ニーズに応じた多様な保育サービスが提供されるとともに、施設運営の中核を担う質の高い人材を確保することも十分に可能であり、保育の質の低下につながるとの批判は当たりません。
次に、保育所に対する補助の拡充についてでございますが、都は、真に必要な認可保育所の整備については、保育の実施主体である区市町村の要望を踏まえて、これまでも的確に対応してまいりました。
また、先ほど述べましたように、認可保育所に対しては、都独自の手厚い運営費補助を行ってきましたが、ゼロ歳児保育や延長保育など、都民ニーズに十分にこたえていない状況にございます。
今回の民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築は、こうした取り組みについて、努力加算を設けることにより、施設のサービス向上に向けた努力が真に報われる仕組みとするものでございます。
次に、民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築案についてでございますが、今回の再構築に当たりましては、これまで、現場で、利用者のニーズや状況を把握されている施設代表者の方々と懇談会を設け、昨年の八月から十二回にわたりまして、真摯に意見交換を積み重ねてまいりました。
その結果、既に十一月の懇談会で施設代表者との合意を得ており、再検討する考えはありません。
最後に、小学生の医療費の無料化についてでございますが、これまでも、都は、子育て家庭への経済的支援を目的として、乳幼児医療費助成制度の充実を図ってまいりました。
対象年齢については、平成十三年十月に、小学校就学前までに拡大をしており、さらに拡大する考えはございません。
〔産業労働局長有手勉君登壇〕
〇産業労働局長(有手勉君) 制度融資の拡充についてのご質問にお答えいたします。
都は、国に先駆けまして、中小企業者の方の借りかえ需要にこたえ、借りかえ融資を昨年十月から実施しておりますが、お話の金融機関のプロパー融資を都の借りかえ融資に含めて一本化する制度は、金融機関の自己責任で融資した部分まで都が損失を補てんする義務を負うことになるため、実施できないと考えております。
緊急の資金需要についても、昨年十月より、つなぎ融資を実施しておるところでございます。
また、制度融資の場合、第三者保証につきましては、五千万円以下の融資の場合は、原則として不要としてございます。
このように、都は従来から、中小企業の資金需要を的確に把握し、制度の改善、拡充を図ってきたところであり、今後とも適切に対処してまいります。
〔百三番曽根はじめ君登壇〕
〇百三番(曽根はじめ君) 知事に再質問をいたします。
まず第一に、認証保育所の問題です。
知事は、都政の強みは現場を持っていることだとおっしゃいましたが、私立認可保育園の現場について、全く知事はわかっていません。認証保育については知事は相変わらず礼賛をしていますが、利用者の大多数は、質の高い認可保育園に入りたくても入れないために認証保育所を利用しているのが実態なんです。このことをはっきり申し上げておきたい。
それから、新銀行についてですが、私は、金融庁からの聞き取りや金融専門家の協力も得て、新銀行のスキームの分析を行って、このスキームでは、貸し渋り、貸しはがしに苦しんでいる業者の救済とならないことを指摘しました。ところが、知事はこのことに全く答えていません。
改めて聞きますが、新銀行のスキームで想定している程度の引当金では、多くの要注意先や要管理の企業の融資の要望にこたえることができないことは明らかであります。
もう一つ、成長産業や優良企業だけではなく、貸し渋りでどこに行っても融資を受けられない商店街の八百屋さんや魚屋さん、不況業種の建設業者の場合でも融資するのかどうか、以上二点について明らかに、明確に答えていただきたい。
最後に、イラクについての発言についてですが、もちろん、無差別に民間人を殺傷するようなテロが許されないことは自明のことです。しかし、だからといって、イラクに自衛隊が出かけていって武力でせん滅しようとするなどというのは全く言語道断です。
しかも、自衛隊が平和目的で行くといいますが、イラクは今、事実上の戦争状態です。実際には、平和目的どころか、米英の占領支配に加担をするにほかなりません。占領支配に協力をするようなやり方でのイラク派遣が憲法違反であることは明らかです。知事があくまで、憲法は認めない、超法規だというなら、民主国家の知事としての資格がない。
〇議長(内田茂君) 発言時間は既に終了しております。
〇百三番(曽根はじめ君)あなたはやめるしかありません。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 再質問に事欠いて、わけのわからない、つまらない演説をしない方がいいよ、本当に。
あなたは金融庁、金融庁というけど、あなたは金融庁をそんなに信頼しているんですか。あんなものは当てにならないから、私は新銀行をつくる決心をしたんです。それについては(発言する者あり)知っていますよ。論拠はあるんで、詳しいことは出納長から説明をさせます。
それから、ついでですよ、憲法、憲法とおっしゃるが、あの憲法を共産党は最初反対したじゃないか、上程されたときは。
いずれにしろ、あなた、見てきたらいい。トム・クルーズの主演している「ラスト サムライ」というのがある。若い人たちは泣いているよ。何に感動するかといったら、君らも含めて大方の日本人が忘れたものを思い出させてくれるから。侍、武士道というものはやっぱりこの日本から失われていること。だから、自衛隊が行って、友軍が攻撃されているときに、それを助けなかったら侍じゃないんだよ。国民全体が、日本、国が恥をかくんだ。
引当金については、出納長から詳しく説明いたします。
〔発言する者あり〕
〔出納長大塚俊郎君登壇〕
〇出納長(大塚俊郎君) 新銀行関連の質問についてお答えを申し上げます。
PL、BS、あのスキームの中に入っておりますから、それを前提に一定の検証なり何なりは恐らくされたんだというふうに思います。ただ、残念ながら、あのPL、BSを見ただけで、曽根議員がおっしゃっているような結論を出すためには、一定の仮定と前提で、
本当に乱暴にデータを整理しないと出てこない。
引当率のお話で申し上げますけれども、例えば地銀の一般貸し倒れ引当率、平均で〇・九%です。それは(発言する者あり)〇・九%です。私は数字を持っておりますので。その〇・九%という数字は、全体の融資の中で、いいものもあれば悪いものもあり、あれこれある中で〇・九%の引当率。これに対して新銀行の引当率は、一般貸し倒れ引当率ですけれども、それだけで申し上げますけれども、地銀の三倍の引当率をあのPL上は積んでおります。ですから、融資金額全体では、三期目の数字というのは約九千億円ということでPL上は出しておりますけれども、その九千億円は、やはりいろいろなポートフォリオの中での九千億であります。
ですから、その貸し倒れを二・六%を想定した引当率というのが、この金融界の中でいかに高い引当率かということは、これは金融庁のどなたにお聞きになったんだかわかりませんけれども、そんなふうなことをおっしゃるはずがないというふうに、もし仮に金融庁が、これだったら絶対に、貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小零細企業に貸せないというふうに金融庁のどなたがおっしゃったんだかわかりませんけれども、もし名前がわかるんでしたら私にお教えいただきたい、後ほどで結構です。
〔発言する者あり〕