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2003年11月18日文教委員会

教育行政の相次ぐ後退を厳しく追及

●養護学校の増設、教室や教員不足の解消を

○曽根委員 幾つかテーマがありますので、順次やっていきますが、一時間程度でまとめたいと思っておりますので、答弁の方も簡潔によろしくお願いをいたします。
最初に障害児教育の問題なんですが、いつも事務事業ではお聞きしている問題なので、今回、一つは心身障害児教育の改善検討委員会がもうすぐ最終報告段階に入っていくということと、もう一つは先日の七生養護を初めとする養護学校の調査と報告の中で、学級編制問題、服務規律、性教育問題など、処分に至った一連の出来事があって、養護学校のあり方を改めて考え直す機会となったわけです。
 しかも、毎年今の時期になりますと、養護学校の父母の方、先生方から例年要望いただいているわけです。大勢の方がお見えになって。このところ要望内容はほとんど変わらないんです。つまり、教室と先生が足りないということです。
 それで、特に、特別教室の転用がもう限界に来ている学校、また、青鳥養護久我山分校のように、分校のままでもう十年目に入ってしまって、一体いつまでプレハブのぎゅうぎゅう詰めの校舎で待たせるのかというような話など、全く施設面で前進してないじやないかという声が年を追うごとに切実になっていくわけです。
 
 そこで、私、先日もお聞きして、学務部長からは養護学校の増設は検討していく旨のお話があったんですが、問題はやっばり緊急を要するものがあるということで、いつ実現の運びになっていくのかということをちょつとお聞きしておきたいなと思います。

 一つは、改善検討委員会の最終報告をいつごろ出す予定なのか、その後の計画づくりはどういうふうになっていくのか、お聞きします。

○山際学務部長 東京都心身障害教育改善検討委員会におきましては、去る十一月六日の第十三回の委員会におきまして、最終報告の素案を議論したところでございまして、十二月中に最終報告を答申する方向で検討を進めているところでございます。東京都の行政計画につきましては、その報告を受けて後、十六年度中に策定をしたい、このように考えております。

○曽根委員 そのまま予定どおり計画づくりをやって、その上でということになりますと、来年度計画づくり、そして再来年度本格実施と、早くても再来年度からということなり、場合によって学校の増設ということになっても、それから土地、適地を探し、設計、工事と、何年先になるかわからないという問題があると思います。

 もし、そのようにおくれたときに、教室不足で学校がもう対応できないという問題などが起きかねませんので、深刻な状況のものについては、この計画づくりと並行して緊急対策を打つ、学校増設についても、適地が明らかなもの、見通しが立つものについては、全体の計画と並行して繰り上げ実施をしていくというようなことは、特に知的養護学校の学校不足、教室不足などが大変重大な事態ですので、行うべきじやないかと思いますが、いかがでしょう。

○山際学務部長 知的障害養護学校におきましては、入学者の増加あるいは児童生徒の障害の重度重複化が進みまして、教室の確保が課題となっているところでございます。このため、養護学校における教室の確保については、改善検討委員会の最終報告も踏まえまして、都立盲・聾・養護学校の再編整備を進める中で改善を進めてまいりたい、このように考えております。
 また、これまでも実施を進めてきたところでございますが、今後とも当面の対策といたしまして、学校の要望などを勘案しながら、管理諸重などの転用や教室の間仕切りを行うこと、あるいは教室の増改築等を計画的に実施してまいりたい、このように考えております。

○曽根委員 繰り返しになりますが、青鳥養護の久我山分校の父母はもう我慢の限界だといっています。
 また、昨年の二月に私も取り上げました港養護学校は、近くのマンション建設のために、間もなく昼間の日当たりが全くなくなってしまう養護学校になります。対策は緊急を要しております。思い切った繰り上げ実施を求めておきたいと思います。

 それから、養護学校の調査と、また処分も行われましたが、それ以後、是正措置ということで、学級編制を認定どおり行えという指導が行われて、朝の会と帰りの会については、都が認めた学級編制に戻して会を行うということが、各養護学校で行われていますが、先日の委員会でも申し上げたように、子どもの指導上全く意味がない、むしろ弊害の大きい時間になってしまうという問題が起きています。根本の原因は、実情に合わない認定が行われ、本来なら重度重複に認定されるべき子どもが認定されないで、普通の学級に入れられているというところに問題があるわけです。
それで、学級編制と実際に朝と夕方の間に行っている学習グループ、これはさすがに実情に合わせてやらざるを得ないんですけれども、その矛盾が一層拡大している状況です。
都はやはり予算の都合などで教員配置をおくらせているという実態を認めて、予算の枠ではなく、子どもたちの実情に即した認定を行うということを改めて原則とすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 重度重複学級の児童生徒の認定につきましては、校長が児童生徒の障害の状態等から、自立活動を主とした指導がより適切と考える児童生徒を重度重複学級の対象として、都教育委員会に申請をしているところでございます。
 この学校長から申請のあった児童生徒につきましては、都教育委員会といたしまして、障害の状況あるいは発達の程度等を総合的に判断して、認定をしているところでございまして、児童生徒の中には普通学級の中で配慮しながら指導した方が適切である、このような場合もございます。

○曽根委員 例えば、総合的判断、それから普通学級に入れて指導した方が適切だというような、あたかも子どもたちの一人一人の実情に即して判断しているというその話の結果が、今無理やりやっている朝と帰りのクラスの活動なんです。
 それ自体が、短時間でもやれというんだけれども、短時間しか、やっても無理があってできないから、それが終ると直ちに、ふだんの学習グループ、実情に合ったグループに編制変えをして授業をやらざるを得ない。これがもし、実態に合っているなら、総合的判断が適切ならば、朝始まってずっとやれるはずなんですけど、実際はそうできないわけです。それは詳しくは先日の委員会でもるる紹介したとおりなんです。
 例えば重度重複の子どもが、場合によっては指導の場所を普通学級に置いた方がいい場合があったとしても、それは当然ながら、普通学級に、今先生は八人に一人ですか、それに入るという点での配慮が必要だと、先ほどおっしゃったように、その重度重複の子には一人先生がついていくとか、何らかの手だてをとらなければ、普通学級の方にも影響が出るという問題が実際に起きているわけです。どんなに理由をつけても、三対一で先生が配置されている、そういう重度重複が認定できるはずの子どもが、八対一しか先生が配置されない普通学級に認定される、先生の配置という点では、どつちがいいかというのははつきりしているわけですよ。

 したがって、私は、やっぱり財政的な枠、これが実情からいうと、前もって学校にそれぞれ、あなたのところは何学級ですよ、重度重複何学級までですよというようなことがいわれているというふうにお聞きしていますが、総合的判断の中にある財政的な理由、これ、実際のところ、財政の枠でもって制限せざるを得ないという実情がやっぱりあるんだと思うんですが、その点を確認しておきたいと思います。

○山際学務部長 総合的な理由というものの中には、生徒の実態、そういうようなものを踏まえたものが中心でございます。

○曽根委員 かつては教育庁も、学校から申請があった重度重複のための先生の増配置を財務局の方に出して、それが査定で実現しなかったということも何度かあったりしたことは私も知っているんです。最近はもう申請もしないんですね。
 だから、教育庁が財務局、要するに都の側に出した教員の要求どおりになっている。これはそんなことはあり得ないんで、子どもの重度重複はどんどんふえているにもかかわらず、教育庁はそれを反映した要求を都の財政当局にしないという実態があるんじやないですか。中心は子どもたちの問題だというけれども、じや、財政的な判断というのは全くないといっていいんですか。

○山際学務部長 先ほど申し上げたとおり、総合的な判断の中には、主として生徒の実態、生徒の今後の教育のあり方、そういうことを踏まえて決定をしているわけでございますが、いずれにせよ、限られた厳しい財政状況の中で決定する、これが一つの要素となるのは当然でございます。

○曽根委員 なかなか素直にその言葉が出てこないところにやっぱり問題があると思うんです。
 というのは、これから障害児教育は、検討会でやっているように対象がふえていくわけですよ。特別支援教育というふうになって、国がいうように、六%程度、LDやADHDの子どもたちがいるとするならば、今の養護学校や心身障害学級で対象としている子どもの少なくとも四倍ぐらいになるわけです。
 どういう指導がそれぞれに必要かどうかは別にしても、教員配置を含めて、また学校や教室の配置も含めて、当然今よりもはるかに大きな枠組みをつくつていかなきやならない。そうしなければ、今の財政や施設の資源の範囲の中でやりくりしようと思ったら、対象が広がった分だけ必ず今教育を受けているような子どもたちの指導の中身は薄まっていかざるを得ない。これはだれが見たって明らかだと思うんです。
 そういう点から見ても、厳しい財政があって、やむを得なくやっているんだったら、それを、じや、これからどうするのかという問題を率直に議論しなくちやいけないところに障害児教育はもう来ているわけです。私はこのことは非常に心配しているので、改めて強調しておきたいと思います。

 私は、障害児教育は、ここは財政を獲得する、先生の配置、学校の施設、いろんなやり方、今議論がありますけれども、いずれにせよ、対象がこれだけ大きく広がろうとしているときに、今までの学校や今小中学校に置かれている身障学級やそれの枠の中だけではできないということははつきりしていると思います。そういうことを求めておきます。

●定時制高校給食への補助増額を

それから、次に、定時制高校の問題で、具体に取り上げたいのは給食の問題なんです。
このきっかけは、先日定時制高校のPTAの方が来られまして、いろいろお話ししていたら、要望書の中にはなかったんですけど、給食の補助がほとんどなくなってきているというお話を聞きました。
 その背景には定時制の給食を食べる生徒も減っているという詰もありました。
 何で減っているのか、いろいろ現場の声をお聞きすると、一つは、親子方式が始まっていることがあるそうなんです。あれは、たしか一たん冷凍して、それから解凍し、加熱処理をして、各学校で出すわけです。チルド方式というんですか、これは料理の容器ごとに加熱処理するので、容器が、例えば肉があるものは、肉のつけ合わせの野菜もー緒も加熱されて、サラダが横についているものについても、それがトマトだろうが、レタスだろうが、やけどするほど熱くなってしまうらしいんですね。大ざっぱだなと思いますけど。
 それから、味も再加熱をするために非常に濃くなってしまう。これは、生徒さんはもちろんですけれども、PTAで来られた教頭先生が、ご自分も食べているから、こもごもおっしゃっていました。こういう点は当然技術的なことで改善できるはずだと思うので、それはお願いしておきたい。
 それと、もう一つ、食べない理由に、給食費の値段、自己負担分よりも、近くのファーストフードの方が安いということから、生徒がそちらの方に流れてしまうという傾向が最近非常に多いそうなんです。
 これは教育上の観点から見ても、栄養価の偏ったファーストフードに生徒が行ってしまうのを防ぐという点でも、低廉な給食費に抑えるための補助というものは、今日的にも大きな意味があるというふうに私は思います。
 そういう点で、今生徒さんが食べる割合がどれぐらいなのか、それに対して公的な補助がどういう形で出ていて、どれくらいなのか。その辺をまずちょっとお聞きしておきたい。

○山際学務部長 平成十五年五月の時点での給食を食べている生徒の割合は、生徒数一万一千四百十人に対しまして、七一・六%であり、生徒数に対する夜食費補助金、これを受けている生徒の割合は五三・五%でございます。また、給食を食べている生徒の中で夜食費補助金を受けている生徒の割合は七四・七%でございます。

○曽根委員 給食の自己負担金額というか、あれは食材費ですか、と、それに対する補助はどれぐらいですか。

○山際学務部長 給食に閲しましては、食材費が生徒の受益者負担金となっておるわけでございますが、平成十四年度の平均給食単価そのものについては、三百五十三円でございます。また、平成十五年度の補助金でございますが、この単価は一食当たり六十一円となっております。

○曽根委員 三百五十三円。食べている生徒が七割強で、そのうち、たしか勤労青年しか夜食補助が出ないということから、食べている生徒の七割で、全体でいうと、五割ちょっとの生徒に補助が出ている。これが六十一円。
 これは国の基準額であって、かつては都の補助が上乗せされて、百円ぐらいの補助が出ていたんですが、それがもう、都の補助はやめちゃって、国の補助に一本化しているようです。この公的補助を受けることで、単純にいうと、三百円をちょっと下回る金額に抑えられるということから、ファーストフードに食べに出なくても栄養価のしっかりした給食を食べるという意味では、お金の面ですけれども、意味があると思うんです。この公的な補助の今日的な意義について、引き続き重要だと思いますが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 先ほどファーストフードの食単価が二百九十円というようなお話がございましたが、平均給食単価と補助単価の差が二百九十円でございますので、ファーストフードの方が安いとはいえないというふうに思います。
 こうした補助金の制度によりまして、本人負担の軽減を図るとともに、低廉で栄養バランスのとれた給食を提供している、これが大きな意義である、このように受けとめております。

○曽根委員 いろいろ家庭の事情もあって、経済的には決して昔のような一律に勤労学生が定時で職場を終って、どうっと定時制高校に来るというような形ではないのは、ご案内のとおりで、さまざまな家庭事情や、また勉学の条件から定時制を選んで来ているということで、私も知らなかったんですが、給食を食べている生徒の割合で、実際上、正規の勤務だけではなく、アルバイトも含めた働いている定時制の生徒というのが、給食を食べている生徒の五三・五%ですか、それぐらい、半分ちょつとの勤労青年がやっぱり定時制にはいるんだなということは、これでわかったんです。
そういうふうに働きながら学んでいるという半分以上の生徒、それに対する補助というのは、今日的にも大きな意味があると思います。
私は勤労生徒以外にも補助してほしいんですが、せめて国と同額を都が補助するなど、生徒一人当たりについて見れば、年間一万円程度のささやかなものですので、拡充をすべきじゃないかと思いますが、お考えをお聞きします。

○山際学務部長 先ほど委員お話がありましたが、平成十二度年度までは国の夜食費補助事業に都の単独補助事業を合わせて実施をしておったところでございますが、受益者負担の徹底、あるいは生徒の就労実態の変化、さらには都の財政状況等を考慮しまして、国庫補助事業に一本化したところでございます。
 都補助金の支給あるいは補助対象者の拡大につきましては、厳しい財政状況などから困難でございます。

○曽根委員 都の財政状況を理由に切るほどの額じゃないんですよね。もうちょっと考えてもらいたいと思います。
 それから、定時制の生徒については、この給食だけではなく、全体的に予算がどんどん減らされて、例えば、芸術劇場を使って行われていた、これも希望者だけだったんですけれども、芸術鑑賞教室が来年度で中止になるということだとか、定時制の高校にかろうじて認められていたいろんな発表の機会その他もどんどんどんどん小さくなっています。本当に定時制は要らないかのような冷たい仕打ちが行われてきています。
私は、これは統廃合問題以来ずっといっているんですけれども、定時制高校は、今の全日制や三部制など新しいタイプの高校もありますが、そういう枠の中にはおさまることができないさまざまなハンディを背負った子どもたちの、にもかかわらず高校教育を受けたいという願いにこたえて、夜間定時制というのは今日改めて光が当てられ、意義、役割が重視されていいところだと思いますので、それに対するさまざまな支援策も拡充をしていただきたいということをお願いしておきます。

●社会教育からの都の撤退は施設面でも・・。

 三番目に、社会教育施設についてお聞きしたいと思います。資料でいただいたように、都の社会教育施設は、この間大部分生涯学習財団に管理を委託をしてきたわけです。
 しかし、最近文化施設は生活文化局に、青年の家は廃止して、PFIによるユースプラザに転換をさせてまいりました。
 それによって生涯学習文化財団の管理委託施設がかなり減っているようですけれども、この間何カ所から何カ所に減ってきて、今の計画が実施された中で、幾つまで減っていくことになるのか、お聞きします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 体育施設を含む社会教育施設につきましては、都庁改革アクションプランなどに基づき、都民のニーズの多様化や区市町村との役割分担を踏まえ、整理、再構築してきたところでございます。
 都教育委員会が所管をいたします財団法人東京都生涯学習文化財団の受託施設につきましては、平成十年度体育施設六所、青年の家七所、文化施設四所、埋蔵文化財調査センター、生涯学習センター、大島セミナーハウスの合計二十所から、平成十五年度現在、体育施設四所、青年の家二所、埋蔵文化財調査センター、大島セミナーハウスの合計八所となっております。
 平成十七年度には体育施設四所、埋蔵文化財調査センター、大島セミナーハウスの合計六所となる予定でございます。

○曽根委員 それぞれが理由をつけて、廃止したり、生活文化局に移管したりしているんですが、結果的にはもう間もなく、青年の家、水元と府中がユースプラザに置きかわっていくということが最終的に行われると、都民一般に利用できる社会教育施設というのは、生涯学習文化財団に関する限り、スポーツ施設以外は全くなくなってしまうわけですよね。
どうでしょう。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会が所管し、当該財団に管理委託をしている公の施設につきましては、体育施設四所のほか、埋蔵文化財調査センター及び大島セミナーハウスのみとなることになります。
 一方、青少年を取り巻く環境の変化やニーズの多様化、高度化に対応できる新たな青少年社会教育施設として、PFI手法によりユースプラザを区部と多摩地域に一カ所ずつ設置いたします。区部の東京スポーツ文化館は、平成十六年三月三十一日、多摩地域ユースプラザ、仮称でございますが、これにつきましては、平成十七年四月にいずれも開館の予定でございます。なお、社会教育施設につきましては、都教育委員会としましては、そのほかに図書館事業、多摩社会教育会館のホール、研修室の貸し出し事業を行っており、一般都民の利用に供されております。

○曽根委員 財団についていえば、大島セミナーハウス、申し込めば使えるんですけれども、身近な施設ではありません。島の方の施設なんですね。
 社会教育会館は、今のお話にありました多摩に、立川にあるんですが、昨年私が取り上げて指摘したように、今職員が一名、貸し館のみの事業になっているわけです。風前のともしびとはつきり申し上げたいと思います。社会教育施設からいろんなところに移管したりもしているんですが、いろいろ事情をお聞きすると、社会教育施設でないということで、つまり、社会教育団体などの減免制度がなくなるわけです。
 例えば、東京文化会館なども、民間事業者利用が中心になってきて、都民団体は会議室の利用も難しくなってきている。ユースプラザは確かに社会教育施設なんですが、PFIによる、民間事業者による運営ですので、例えば引きこもり問題の相談事業などはもともとの計画から落ちてしまったということがあります。また、芸術劇場も一般都民の団体よりも有名なオーケストラにはむしろ安く利用させるというような方向に転換しっつあると聞いています。

 広域行政の都として、私は都民がだれもが利用できる身近な社会教育施設、区市町村はもちろんですが、都が持っている大規模な劇場施設とか、ホール施設など、これは改めて公共の役割を確立するということは、当然の責務であるということを申し上げたいと思います。

●スポーツ施設の一本化と都民利用優先を。

 生涯学習文化財団に残ったスポーツ施設についても、今いろんな動き、私心配しているんですが、例えばテニス場は教育庁以外にも建設局の都立公園の中にもありますし、それから港湾局が所管している海上公園の中にもテニス場があるわけです。
 同じ都民が利用する都立のテニス場なんですけれども、料金も運営も違うという状況になっています。以前から私たちは、教育庁として、社会教育施設として、きちんと統一して管理すればいいじやないかと。都民にとつて非常にわかりにくいわけです。
 都立のテニス場が全部料金なんか違う、利用の形態も違うということで。これは教育庁の側から働きかけなければ実現をしないことで、以前からいっていることですけれども、現状をお聞きしたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会では体育、スポーツ及びレクリエーションの普及、振興を図るために、都立スポーツ施設として東京体育館など、四施設を設置、運営し、全都広域的施設としての機能の充実に努めているところでございます。
 一方、建設局や港湾局におきましては、公園事業の一部として都市公園や海上公園内に野球場やテニスコート等のスポーツ施設を設置している実態にございます。現在施設を所管する局ごとに施設管理や運営の方法が異なっておりますが、今後都民の利便性の向上の観点から、都立スポーツ施設間の連携の強化等を図ってまいりたいと考えております。

○曽根委員 統一管理が今すぐに難しいのであれば、連携を強化して、料金体系とか、これはそんなに難しいことではないと思いますので、ぜひ協力し合ってお願いしたいと思います。その中にやはり建設局、港湾局の所管は社会教育施設ではありませんので、減額制度ないんですよ。
 スポーツ団体が利用するときは辰巳の施設だとか、東京都のスポーツ施設、東京体育館もそうですか、あそこは減額はあるんですけれども、ほかの建設や港湾のを借りるときには減額が全然ないんです。規定はどうも可能性あるらしいんですけれども、これはやっぱり社会教育の観点から、生涯学習を進めるという観点から、都民団体、スポーツ団体への減額制度をぜひ検討していただきたいと思います。
 さらに、もっと運用で心配な問題が出てきているのは、これは教育庁ではないんですが、ほかの局のテニスコートで、民間業者に定期に貸し出して、テニススクールの営業を認めているんです。
 生涯学習を進めるという観点から、都民団体、スポーツ団体への減額制度をぜひ検討していただきたいと思います。
 さらに、運用でもっと心配な問題が出てきているのは、これは教育庁ではないんですが、ほかの局のテニスコートで、民間業者に定期に貸し出して、テニススクールの営業を認めているんですね。都立の施設の中で。
 テニススクールの業者は、それを一般にチラシで広告を出して、都立の施設を使ってテニススクールを開校しているわけです。
 こういうことを認めているところがもう出てきているので、まさかこれは教育庁で、そういうようなことを教育庁の施設でやることはあり得ないと思いますが、改めてそれは確認をしておきたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 現在、例えば海上公園内のテニスコートでは、一般的な利用の料金とは別に営業目的利用の料金を適用しまして、優先的に施設の予約申し込みを受け付けるなど、制度の整備を行い、民間事業者のテニス教室の開催場所として施設の貸し出しを実施していると聞いております。
 当教育委員会の所管のスポーツ施設では、テニス教室等の開催を目的として施設を利用することを想定した料金の設定はございません。また、施設の予約は、全国的、広域的なスポーツ大会等に使用する場合に優先受付を行っておりまして、民間事業者がテニス教室等を開催する場合は対象としてはおりません。

○曽根委員 こういう動きで、民間事業者の料金というのもー・五倍程度ですから、事業者としては、自前の施設を持たなくても、一般都民の一・五倍程度の使用料を払えばテニス教室ができてしまうという、私は民間事業者にしては非常に安易な道だと思いますが、そういったことがやられているということから、教育庁の施設については、断じてこういったやり方はすべきでないし、ましてや施設は利用がほぼ満杯ですから、こういう都民の利用を損なうようなことば行うべきでないことを改めて確認をしておきたいと思います。

●都立図書館の貸し渋り問題を追及

 それから、四番目に、都立図書館の最近の動きについて、簡単に質問しておきたいと恩うんですが、たしか去年の l定だと思いましたが、都立図書館から十万冊を超える大量の図書の処分、これは大部分が区市町村の図書館に引き取られたわけですが、が行われてから二年近くになります。
 当時、都としては、一つのタイトルを一冊に絞るという方針を出して、これが行われたわけですが、そういうことをやったとしても、例えば、中央図書館にその本が一冊しかないという場合でも、多摩の方で申し込みがあれば、中央図書館から多摩図書館の方に、週に何回かの車で配送するから、利便は下がらないんだというようなことが、そのときには盛んにいわれました。
 ところが、最近、都立図書館の協力貸し出しの制度がまた変わったというふうに聞いているんですが、どういうふうな変わり方をしたのでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 本年九月に行いました協力貸し出しの制度の変更内容につきましては、第一に、新刊の和図書、これは日本の図書という意味でございますが、この新刊の和図書につきましては、購入整理後、閲覧室の書棚に並んでから三十日間は協力貸し出しの対象外とする。
 第二に、一冊十万円以上の高価な資料につきましては、協力貸し出し対象外とする。
 第三に、昭和二十五年以前に刊行されました資料につきましては、すべて協力貸し出し対象外とする。
 第四に、山本有三文庫資料につきましては、すべて協力貸し出し対象外とする。以上のようなものでございます。

○曽根委員 高価本の貸し出し枠は、今まではたしか三十万円以上のものだったんですね。
これは十万円に引き下げて、それから、新刊本についてもlカ月は貸さない。
 私、これ、すべて、ワンタイトル一冊という原則の影響をやっぱり受けていると思うんですね。
 特に、昭和二十五年以前の古い本、こういうものについては、複数あったものも処分されてしまって、残りは一冊だ、貴重な資料だ。貴重な資料だから都民に利便を図って提供するというんじゃなくて、逆に、貴重な資料だから貸しませんというんじゃ、一体何のための図書館かということに、私はなると思うんですね。
 閲覧だけは認めるようですけれども、少なくとも、昨年大問題になった、一冊に絞っても図書のサービスの水準を落としませんというふうに、当時、嶋津さんでしたけれども、部長さんが明確にお答えになったこととは明らかに後退をする。
 一般利用の都民からいうと、やっぱり貸してもらえなくなるわけですから、明らかに後退だと思うんですが、これについては、どうしてこんなことが、約束が直ちに破られてしまうのか、その点をお聞きしたいと思います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 図書館の機能が後退したというようなご指摘でございますが、都立図書館の役割としましては、高度、専門的な情報サービスや、区市町村立図書館では収集することが困難な専門書や高価な図書を収集する資料、情報の提供でございまして、広域的、総合的な住民ニーズにこたえる図書館サービスや、来館者への直接サービスを提供することでございます。
 一方、都立図書館と区市町村立図書館の関係では、協力貸し出しや協力レファレンス、横断検索システムの構築など、区市町村立図書館の相互協力ネットワークづくりの実施などを行ってきたところでございます。
 現在の厳しい都財政の状況下で都立図書館が都民のニーズにこたえていくためには、現有書庫を有効活用しながら、図書のタイトル数を確保することが必要でございまして、今回の措置につきましては、都立図書館を運営するに当たり現時点で最善の選択であると考えております。

○曽根委員 都立図書館の特徴というお話があったんですが、閲覧だけを認めるというのであれば、国会図書館と基本的には同じになってしまうわけです。
 都立図書館の最大のいいところば、古い資料であっても貸し出してくれるところなんですよ。もちろん今までも、どうしても傷みの激しいものや、非常に貴重な資料については個別に扱いを慎重にやってきたという経緯はあります。
 それから、もしワンタイトルー冊で、紛失は絶対困るんだという場合には、今までもやってきたように、利用者から申し込みのあった区市町村の図書館の窓口まで届けて、そこで閲覧をするという方法だってあるわけです。これでも随分利便が違うわけです。全く都立から動かさない、そこで見てくれ、閲覧だけというのは、本当に都民、利用者に対して、図書館の最大のサービス、都立図書館の最大の利点を失うことだと思います。
 私は、貸し出しの変更をもとに戻して、今後の都立図書館のあり方については、最近はまた雑誌の方も捨て始めているようですけれども、利用者である都民の利便を第一に考えて、また、区市町村の図書館関係者や都民の意見をもとに再検討するよう、強く求めておきたいと思います。

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