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2003年11月13日文教委員会の質疑

*半世紀かけて築いた都民の信頼と知の宝庫を壊して何が残るのか
*大学人の圧倒的批判をもとに石原構想を追及


○曽根委員 それでは、私の予定した質問に先立って、先ほどほかの委員の方から人文学部の教員の方が持っている学生数について、四・六人という大学本部の前回のデータに対する反論があるが、どうかとの問いに、教養部門を入れると、五・七人ですか、という答えがあったんですけれども。
 先ほどお話も出た人文学部長の方の主張を多分本部の方もご存じだと思うんですけれども、もうちょっときちんと、公平に比較をするためには、都立大学で、教養部・学部を通じて四年間、通常の学生が卒業するまでに何単位を取得するのか、その単位数の中で持っている人文学部の先生の持ち分というんですか、それをかなり細かい計算をして比較するという、もっと砕いていえば、それぞれの先生が持っている授業時間数にほぼ並行しているのかなというふうに思いますが、それで比較をしたというようなお話がありまして、それによると、人文は教員一人当たり九・九人である。
 そのほかの学部が、例えば法学部で十一・七人、経済が十三・九人、理学が八・一人、工学が八・六人、平均が九・五人。
 平均よりも人文の先生は、ほかの学部や教養部の学生の授業を見ている、単位の取得に貢献をしているというような計算をされているんですが、この人文の先生のお話というのは、素朴な質問なんですけれども、これは間違いではないわけですか。ないですね。

○大村参事 今お話のあった人員、データについては掌握してございませんが、私どもは現在の設置基準上の必要数などから計算いたしますと、人文学部教員の人数を先ほどのような約五・七人というふうに出してきたものでございます。
 なお、先生のおっしゃった数字やなんかから見ましても、もし万が一そういう数字であったとしましても、先ほどございましたように、外部監査の指摘では非常に他の大学に比べて少ないというふうなことで、他の大学ですと、例えば上智大学では平均十九・一人、理工系でも十六・一人、人文系の文学部でも二十五人とか、成蹊大学でも合計で三十五人、人文系でも三十五人、理工系では二十八人、あるいは国際基督教大学でも平均十六・九人、人文系で十五人とか、あるいは理工系では十三人というふうな数字もございます。
 これら全体から見ましても、やはりトータルの数字として各学部トータルをすると少ないというふうに見られますので、中の配分がどうこうというだけではなくて、教員定数の全体の見直し、そしてその中での各分野の必要を見直すというのが必要だというふうに考えてございます。

○曽根委員 私は解釈を聞いたわけじゃないんで、事実を聞いたんですが、事実は次回確認しますので、計算そのもの、授業時間数で、ある学生が卒業するまでに単位を取得する、それにどの程度時間的に貢献しているのか、授業を持っているのかということで単純に比較した、これでもって次回確認しますので、よろしくお願いします。
 一人の先生が持っている学生数がほかの大学に比べて相対的に少ないじゃないかという都立大学全体の問題を後半でおっしゃいました。それについては後で、質問があります。

 それでは予定の質問に入りますが、まず、前回既に新大学構想の質疑がありまして、その際、私の質問の最後で本部長が、だれが新大学構想に反対しているのかわからないというふうな発言を最後おっしゃって、私、いろいろいいたいことあったんだけれども、あえて反論しなかったんですけれども、その後、十月九日に都立大学総長の大学改革を真に進める立場からもトップダウンのやり方を改め、大学構成員等の自由闊達な協議を求めていきたいというような内容の声明が発表され、またそれと前後して、教員、院生、学生の抗議、要請が相次いでいると思うのです。

 私どもの方にも、こうしたものを大学本部に提出したということで多くの方々からの要請や郵送の、またメール、ファクスなどの提供がありました。
 また、十一月一日には、都立大学の改革を都民の立場から進めようということで、都民の会というものをつくられたということです。
 そういう事態の動きがある中で、改めて、それでは、新大学構想についてどういう評価が今されつつあるのかということをまず取り上げたいと思います。

 私がいろいろ見た限り、最もきちんと構成員の多くの声を集めたのは、A類と夜間の学生自治会のアンケートです。これは、私も学生の経験があるので大変だなと思いますが、十月一日現在の一、二年次、つまり新大学が仮に予定どおり発足した場合も都立大学に残るであろう学生の二千三百十五名の総数に対して、回収枚数が千二百十八と過半数を超えるアンケート回収を行った自治会のアンケートが私どもに資料提供されました。
 
 これを見ますと、まず新大学構想について魅力的だと思うものは何かという質問では、単位バンクが二四%のマークがついているだけで、あとはほとんど数にならないということで、魅力なしとする評価が六八%を占めている。
 次に、新大学構想について問題があると思うものを幾つでも選んでくださいとなると、一番多いのが情報がない、学生に対しで情報提供がないということで、次に、少人数教育の縮小、トップダウンのやり方、学部編成に対しての批判、こういうものが上位にあるんです。
 三つ目に、現在進められている大学改革に都立大の現学生の意見を取り入れるべきだと思いますかというのに対しては九六・三%が、取り入れるべきだと答えている。
 では、この構想に都立大生の声をどの程度反映されているかと思いますかと。
 全く反映されていないが八六・九%、十分されているというのが一・三%しかいない。
 それから、新大学が発足した後も都立大生の学習環境を最後まで保障するといっていますが、何か不安がありますかという問いに、あると答えているのが七六・九%。
 そして、最後の設問が今回の改革案を総合的に判断して賛成ですか、反対ですかと。反対が八六・五%。
 私は、個々の意見を読みましても、前回の質疑の際に、たしか本部の答弁の中に学生の声も参考にしたという話があったと思うんですが、本当に参考にしているんだったら、こんな結果が出るはずないと思う。

 都立大が新しくなったとしても、そこに残る学生の過半数が圧倒的に批判的だということです。中身も、それから手続も、情報についても、自分たちの意見の反映についても。
 こんなことがやっぱり現実に声が出ているということ自体が、今回のやり方の異常性を示すものじゃないかと思うんです。
 それで、当然本部の方にもこれは提出されていると思うんですが、これについてきちんと受け取って、それをちゃんと受けとめた何か対処を考えているのかどうか。その点をお聞しておきたいなと。

○大村参事 本部にはお届けいただいているのかどうかちょっとわかりませんけれども、私は、申しわけございません、見てございませんが、新聞などで、出したというのは情報として伝わってございます。
 今ご紹介のあった内容などを見ますと、まさにそうではないかと思っていたところが、そのとおり書かれているというふうに考えてございます。
 都立大学の中では、新しい大学、それから現在の学生さんがどうなっていくかというふうなことについての情報が十分伝わっていないというふうなところから、いろいろ不安があったり、誤解を招いたりというふうなことがございます。
 私ども、大学の方にはなるべくそういうのを伝えてほしいというふうなことでいろいろお願いはしているところですが、それが十分伝わらない中で、そういうアンケートがとられておりますので、それを当然十分中身がわからない中で不安あるいは疑問が出てくるのは当然であるというふうに考えてございます。

○曽根委員 それで、先ほどの答弁で大学本部の方としては、大学の学長なり総長なりの、学生に対する、いわば連絡や情報提供がアンバランスがあって都立大が悪いんだという話があったけれども、では、大学管理本部自体が学生に対してどのような情報提供をきちんとやってきたのかどうか。 それから、今後については、では、都立大の先生たちが信用できないというんだったら、本部としてちゃんと提供する用意があるのかどうか、その点はどうですか。

○大村参事 私どもは教学準備委員会などの状況の基本的な方針をまた大学の方にお伝えして、それを具体的にどうしていくかというのは大学の方が現在の学生を教育する責任がございますので、やっていくものだというふうに考えてございます。
 そういう中では、大学管理本部の方から大きな方針を幾つか出しまして、それに基づいた具体的な現在の学生の皆さんに対する周知をお願いしているところでございます。
 ただ、九月の掲示につきましても、各大学の学長の中ではかなり学生に対して心配をしないように、何かあったら相談に来てくださいというふうな掲示だったんですが、都立大学総長名の掲示では、何かそっけなく掲示し、何かあったら本部に伝えますというだけであったり、また、今回の十一月の掲示につきましても、私どもが出した通知の中のごく一部をとって、それをそのまま後は張るだけだというふうな形でございます。
 ほかの大学では、具体的に学生さんの状況を見ながら、こういうケースの場合はこうだというふうなことをかなり細かく図示したりしながら掲示をされた。また、いろいろあれば先生たちがそういう相談に乗るという体制をとっているというふうに聞いてございます。
 そういう中で、いろいろインターネットでできないか、場合によっては、個々の学生さんに周知する方法はないかと都立大学の事務局の方もいろいろ頭を悩ませているところではあるんですけれども、残念ながら、先生方の協力がなかなか得られないというふうな状況だというふうに聞いております。

○曽根委員 結局余りやる気がないんだよね。大学に任せたといいながら、大学がやらない、やらないと人の責任にしているというのは、私はとんでもないことだと思うんですよね。
 では、学生さん、正式に本部の方に要請に来たときに、ちゃんときちんと交渉の席を持つのか。どうも今まで、門前払いで、いつも門前払いだというふうに聞いているんで、だったらきちんと、直接来たときには、大学本部、それの考え方も示して、それなりにやっぱり要請も受ける、そしてまた、意見交換もするというふうな場も持つように、強く求めておきたいと思います。

 それから、構想をつくる際に、参考にしたという本部の方の学生の声の調査なんですけれども、私がいただいた資料によると、七月ごろに事務局の窓口などで五百件ぐらいでしょうかアンケートを回収されていて、その中身を参考にしたというようなことらしいんですが、その中にある都立大学に入学した動機というのと、それから、在学中に何をしたいと考えているかという、それぞれ主な質問項目、これの上位二つずつはどういう内容になっているか、お答えいただきたい。

○大村参事 現在の学生の生の声を聞いてもらおうということで、各大学の事務局にお願いをしまして、大学の事務局ごとにいろいろ頭をひねっていろいろ調べていただきました。
その中での、都立大学のアンケートは、五百名以上の方のアンケート結果が出たということでございますけれども、今ございました入学動機につきましては、一位が学費が安いからということです。二位が自分が志望する学部、学科があるから。
 大学で何をしたいかにつきましては、専攻の勉学に励みたい、二位が大学の生活をエンジョイしたいという、数字的にはそういう順番になってございます。

○曽根委員 きょうの資料で見ますと、この統計は出ていなくて、学生の声ということでいろいろ個別の意見が書いてあって、そこにはなぜか、ここ(アンケート)には志望の学部、学科があり、その専攻を頑張りたいといっている回答が多いんだけれども、ここ(都の作成した委員会資料)では、学生の面倒見がよくないとか、特徴がないとかいう回答が多いんだよね。
 量的には、都立大学を目指したのは、志望の学部、学科があるからであって、これが六割ですよね。それから、専攻の勉学に励みたいというのが六五%近いわけです。
 にもかかわらず、今当局に資料をお願いすると「面倒見がよくない」とか、「特徴がない」というのが、出てくるというのが、私すごく恣意的だ、前回つまみ食いじゃないかって申し上げましたが、やはり実態はそうだと思うんです。

 今いる学生の少なくとも過半数の人たちは、専門で学べる志望の学部、学科があるからこそ入ってきたし、またそこで勉強したいといっているわけですよね。それがアンケートに出ているわけだ、皆さんのつくったアンケートでも。
 にもかかわらず、(改革の)目指している方向はどちらかといえば、それぞれの専門を深く学ぶというよりは、都市教養というような形で割合浅く、広くというふうにいっちゃ悪いかもしれないけれども、教養的なものを重視する方向に進もうとしているが、これが本当に学生の声を生かした改革の基本方向とてなっているんでしょうか。

○大村参事 このアンケートを単純に集計した結果を新しい構想に生かすということではなくて、新しい大学をつくるためにその中からいろいろな声、いろいろなアイデアを得ているわけでございまして、これにはそのほか各界からのヒアリングとか、あるいは受験産業から今の受験者の方たちはどういうニーズがあるかとか、そういうものからさまざまなものを挙げたものでございます。
 当然、現在都立大学に在学する学生さんが現在の自分の専攻の勉学に励みたいと思うのは当然でございますので、これはこれでいいんですけれども、では、一般的に今度新しい大学をつくるときはどうするかということでございますので、そのときに参考にした内容などにつきまして今回資料に挙げさせていただいてございます。
 なお、このような現在の学生さんの声なども考えながら、今回、新しい大学ができたときに、並行して、都立の現在の大学も平成二十二年まで、そういうことで現在の専攻も含めて、平成二十二年まで存在できるような形で、いきなり新しい大学に全部切りかえるのではなくて、並行した形で現在の専攻も残すというふうなことにも参考にさせていただいてございまして、そういうふうなことでございまして、主なものを資料に挙げたというふうなことで、必ずしも数の大小だけでいろんなことを判断してしていくものではないということでございます。

○曽根委員 いま最後に言ったことは重要です。
 私、おかしいなおかしいなと思っていたんですよ。つまみ食いだというのが本当にはっきりしたと思うんですけれども、つまり、今の学生が求めていることを、量的にも、質的にも、正面から受けとめてそれを改革に生かすというんじゃなくて、結局は、皆さんの考えている改革の方向に都合のいい学生のアンケートの答えを拾い集めて、ここに改革の面の声があるんだといって、あなた方は取り上げている、こういう実態ですよ。だから、「数の問題じゃない」という。
 そうすると、結局は、学生のアンケートを、都合のいいところを利用しているといわれても仕方がない実態だと思うんですよ。

 それから、もう一つ、じゃ、学生のもっと外の都民や、都立大学をこれから目指して、新しい大学になっている都立大学を目指してくるであろう、そういう人たちの声はどうかということでも、私は、決して(新大学構想に)期待が広がっているという状況じゃないと思うんですね。
例えば受験生や家族、それから受験指導の先生方、こういう人たちの声は聞いているんでしょうか。それからまた、どういう傾向にあるんでしょうか。

○大村参事 トータルとして受験生の動向などを把握している受験産業などにもヒアリングを行いまして、現在の学生の傾向、そしてそれが個々の細かい分野の専攻というよりも、幅広く、現在の時代は複雑怪奇な時代でございますから、学際的に学びたいとか、かなり柔軟な学び方をしたいとか、そういうふうな声がかなり強いというふうなことまでも含めまして、参考にさせていただいてございます。

○曽根委員 具体的に受験を考えている人たちが現実にはもっと大変な、具体的な心配を持っているということを、本当はつかんでいるはずなんですが、私のところに来ている話でも、十月二十八目に東京都の高等学校進路指導協議会と関東地区高等学校進路指導協議会の共催で、大学見学会が都立大学で開かれた。
 高校の進路指導教員四十名近く参加したということで、そこでいろいろ、管理本部の方も出たと思うんですけれども、時間切れになるぐらい質問や不安がいろいろ出て、その中では、例えば前回の委員会でもどなたかおっしゃっていましたけれども、何ですべて都市という、都市何とか、都市何とか学部という冠がついているのか。これでは大都市に関係することしかやらないと思われて、都立大で積み上げられてきた学問の蓄積が曲解されてしまうのではないか。
 学部構成を見てがっかりしたという意見だとか、生徒が学部の名前を見て選ぶ上で、中身がわからないのが心配だとか、B類がなくなってしまうのは、そこに希望している生徒もいるので困るとか、こうした疑問の声がほとんどだったというふうに聞いているのですが、こういう事実、当然ご存じのはずなんですが、いかがですか。

○大村参事 当日、ここに、後ろにおります私の部下が行ってまいりまして、その報告を受けた限りでは、そこに書いてあることと若干というか、かなり違ったイメージでございます。
 今回、そこで説明した内容は八月一日に発表させていただきました新規構想でございますので、学部の内容につきまして、まだ詳細に決まっていない段階でございます。
 そういう中で、進路指導の先生たちは、実際には受験生でどういう中身が学べるコースがあるんだろう、どういう試験科目があるんだろう、そういうのがわからないとなかなか指導はしづらいなというふうな声は聞いたというふうなことで、これについては早急に出したいというふうなことで行いまして、逆に不安や不満の声というよりも、そういうふうな形でのお話があったということでございますので、若干ちょっとニュアンスが違うというふうに聞いております。

○曽根委員 大村さん、それだったら、さっき私、受験指導の先生の声を聞いているかとわざわざ聞いているんだから、いえばいいじやないですか、最初に。いわないで隠すから、あなたが今おっしやったニュアンスが違うというのだって、信用できなくなっちゃうわけですよ。まあ、いいですよ、もう。
 これは、正確な記録があるんだったら、後で出してもらいたいんですね。これは資料をお願いしておきますよ。次回にまたやりますから。
 私は、今一番心配しているのは、受験を予定している人たちなので、しかも、それを指導している先生たちですよ。で、受験の要項はまだ出てこないわけで、見学会もやらなきやならない。一回、もうやった。非常に抽象的で一般的な新構想の段階で話を聞く。それだけでも相当疑問が出るというのは、それは部分的にお認めになったので。
 しかも、その中身がどうかということでいうと、やっぱりこれについても多くのところで疑問の声が出ている。
 これはむしろ大学に今いる人たちの圧倒的な声は、これまでの都立大学の基本的な学部、学科の構成を残して検討してきた七月までの検討の経過に立ち戻
るべきだという声が、私の知る限り、圧倒的だと思うんですね、都立大学の中では。この点はやっばり受けとめるべきだということを申し上げておきたいと思うんです。

 じや、その構想は、大学生の多くの声を聞いたのでもなく、また、都民の声も今回集めていない。ですから、結局どなたかが、何かこの間の十一月一目に都民の会が結成されたときに、学生自治会の委員長さんがおっしゃっていたようなんですけれども、要するに、知事が、学生のためなんだといっているけれども、実は自分の理想の大学をつくるということにすぎないんじゃないかというふうに発言したそうなんですが、私もこれは当を得た今回の中身だなというふうに思わざるを得ないのです。
 これに対して、知事や管理本部の皆さんが進めようとしている今の大学の改革に対して、今の都立大学は、じゃ、どう評価をされているのか。それを大きく、「全く新しい大学」というふうな知事のいい方でいうように変えるほどの、要するに、古くさいものなのか、価値の薄れたものなのかということもちょっと問題にしておきたいんですけれども。
 現都立大学の社会的評価という点で、これはいろんな角度からの評価はあると思うんです。
 ただ、一般的にビジネス界だとかそういうところの評価の中で、また都民の評価の中で、都立大学は共通してどういうところが評価は高いのか。低いとすればどういう点が評価が低いのか。
 この点を、管理本部としてはどうとらえておられますか。

○大村参事 初めに、先ほどの件につきましてちょっと補足させていただきますと、先ほどは十六年入学者のための進学説明会で、私どもの職員が行って、十七年に開校する新大学についてもついでに説明した状況でございます。
 したがいまして、受験を指導している先生たちの意見を聞く会ではなかったというふうなことでございまして、そこでは、そこでいわれたような、今先生がおっしやったような内容について、私どもの職員は聞いていないというふうにいってございますので、ちょっとニュアンスが違っているところがございます。
 それから、今のお話、評価のところでございますけれども、ちょっとお待ちください。
現在の評価でございます。都立大学の評価につきましてですが、大学受験の面では難関校というふうにいわれておりまして、比較的偏差値が高い。
 ただ、それに比べまして、またその併願校になっています有名私立に比べまして、社会的、一般的な認知度が必ずしも高くない。大学としての存在意義が必ずしも明確になっていないためではないかというふうなことを考えられてございまして、特に入り口では難関校ということですが、出口、卒業した後、どうなっていくということが余りはっきりしていない大学というふうに評価されているのではないかというふうに考えてございます。

○曽根委員 やっぱり管理本部の立場に立った評価です。一体どこでそういう評価が出ているのか知りたいぐらいですけれども、私、一番新しくて具体的な評価をビジネズ界でいうと、「ダイヤモンド」という週刊誌があって、ここはこういうのをやっているらしいんですけれども、「ザ・大学ランキング」・・。十月二十五日付ですから最新の大学のデータ、受験などに活用する、もしくはこれはビジネス界の雑誌ですから、そこの卒業生の就職だとか採用に参考にするんだと思うんですね。
 ここの中でいわれていることは、もっと具体的なんですね。例えば都立大学が最も評価を受けているものは、第一位というのがあるんですけれども、これはこの五年間に文科省が出している科研費の伸びを見ているわけですね。
 都立大学は200%、つまり、この五年間で文科省からの科研費が二倍になったわけです。
 恐らく改革論議も私はそういう刺激にはなっていると思いますよ。そういう意味では、改革論議というのはあってよかったと思うんですけれども、そういう意味で、そういうふうに先生たちが、文科省の評価につながる科研費をちゃんと取るべきものは取ろうという努力も、この間、されてきた。
 あれ、取るのは大変らしいんですけれどもね。それを五年間に二倍にふやしたというのが、全国でトップなんですね。
 ほかにも200%が何校かありますが、これが一番評価のポイントになっていて、それから、少人数教育というのがあるんですね。
 先ほどちょっと話の出た、一先生あたりの学生数、これはこの「ダイヤモンド」によれば、一教員当たりの学生数は少ないほどいい大学、つまり、手厚い教育が行われている大学という評価なんですよ。そういう点でいうと、都立大学はトップテンに入るというぐらいの高い水準をやっぱり示しているということですね。
 もちろん、私もちょっといろいろ調べてみたんだけれども、大学の予算自体が、学生数に対して決して多いわけじやない。だから、先生の数、人件費を含めた大学全体の予算が決して膨らんじゃって大きいというわけじやなくて、つまり、ほかの、例えば事務職員の方なんかは、私は率直にいって、例えば大阪府立大学に比べて相当少ないですから、事務職員の方々のいわば人数を犠牲にしながら、大学の先生をふやして、学生への手厚い教育の体制をつくっている。よしあしありますけれども、そういうことが少人数教育としての評価につながっているんです。
 ですから、マイナスじゃないんですね。これはビジネス界での評価はむしろ高いわけです。
 そういう点が評価されているとか、それから、司法試験とか国家公務員試験とか公認会計士等々の資格取得も、全国百四十五大学の中で十五位ということでトップクラスに入っているということなど、産業界にも、社会全体に対する貢献度という点でも、私は総合的に見て、都立大学は大学らしい大学という点で、総合評価の非常に高い大学ということが、この「ダイヤモンド」などでも評価が得られているという点は、非常に重要だと思うのです。

 それから、もう一つ例を挙げますが、昨年、たしかこの委員会で取り上げられたようなんですけれども、「ネイチャー」という雑誌に論文が載ったという方がいて、私じゃないんですけれども、たしかほかの委員さんが取り上げて、すばらしい先生がいるという話がありました。その研究者が、今、外国の大学に客員研究員として、ことしの三月に都立大学をやめて、移られているのです。
 その方から、ほかの委員さんも来たかもしれませんが、私あてにメールが来ていまして、率直な意見が寄せられているんですよ。これを読んで私、愕然としたんですが、この方は都立の人文学部出身なんですね。で、学生と大学院合わせて9年間、都立大学に学んで、助手として二年間勤務した。
 彼の意見ですが、都立大学は評判どおりのすばらしい大学で、その最大の特徴は少人数教育である。教員と学生との距離が非常に近く、教員が一人一人の学生の特徴と興味を把握してくれていて、きめ細かな指導を受けられたというようなことで、自分が自由に自分のやりたい研究をやれることができたのも、まさにそういう大学の中だったからこそだ。
だからこそ評価の高い「ネイチャー」誌に掲載されるような革新的な発見をすることができたと信じている。
 これは私個人の成果ではなく、都立大学が革新的な研究を生み出す環境を持っていたことによるんだ。だからこそ優秀な教員が集まり、優秀な学生が集まったんだと振り返っている。
 ところが、なぜこのすばらしい大学を彼はやめざるを得なかったかというところが、後でまた書いてありまして、つまり、改革の波に巻き込まれて、研究時間を割かなきやならなくなってしまった。
 改革といっても、結局は学部教員の縮小整理であって、何らシステムを別に新しくするわけでもなく、全体が少ない人数に多くの仕事をやらせるという体制に移行することだった。それで自分の研究条件を確保するために、万やむを得ず離れたということなんですが、しかし、去った後もこの大学のこの八月一日以降の動きも、外国の大学でも全部つかんでいまして、彼は今後の都立大学の動きを非常に危倶しているわけです。

 私、こうした現実に人材流出が起きてしまっている。ここの委員会でも取り上げたほどの優秀な人材が、こうやって流出して、それでもなおかつ、もとの大学を心配している。
 この声にやっぱりきちんとこたえるのが、その声にあったように、今の都立大学の本当に一番大事なところをいかに守って、その上に改革を進めていくのかということが、いわばまさにこのメールは象徴していると思いますが、これをどう受けとめますか。

○大村参事 「ネイチャー」に載ったのは、ちょっと人文学部の先生が載ったことについてはわかりませんで、生物の先生が前に載ったという記事はあれしてございますけれども、いずれにしましても、少人数教育というふうなことを評価されている面も研究者の方はあろうかと思いますけれども、その一方で、卒業する学生の就職率、あるいは卒業した後の進路把握率、これは極めて低いということにつきましては、「ダイヤモンド」とは別の雑誌でもありましたけれども、やはり今、学生さん、入学したときに一番心配なのは就職だ。
これをきちっと体制をとれ、把握するということが重要であるというふうなことも述べられておりました。
 先ほどちょっといい忘れましたけれども、受験産業やいろんなところに聞きましても、やはり入っただけでなくて、その後、どうするかというのを先生たちが真剣に考えてくれる。就職も含めて考えてくれるという部分が大事だというふうに考えてございます。
 確かに大学院に残り、さらに教員になる、研究者になる人については、少人数教育の方がいい面もあるかもしれませんけれども、大学の使命はそれだけではなくて、大部分は通常に四年間、あるいは修士も入れて六年間教育をして、社会に出す。そして、社会でそれぞれで活躍していただくのが大事でございます。そういう意味では、基礎研究も重要でありますけれども、そういった社会に出て活躍する人材を育成する、これも大事な使命でございますので、そこのところは大事だ。今度の新しい大学の構想では、そこのところを重視していきたいというふうに考えてございます。

○曽根委員 都立大学、先ほどいいましたように、手厚い教育体制をしき、かつ、大学院大学という位置づけというのは、つまり、学部と同等ぐらい、またそれ以上に大学院の院生の育成にも力を入れている。これは私、いろいろ聞くと、やっぱり大学の先生を目指す、研究者を目指すという方々が、都立大学の場合には、研究、勉学の環境として非常にすぐれているというふうに声をそろえていっているんですね。

 例えば人文学部の院生の方々が、この間、たくさん来られて話を聞きましたが、共通して、要するに、院生の場合、誤解を受けやすいんだけれども、留年とか単位が足りなくて卒業がおくれているんじゃなくて、自分の研究者としての磨きをかけるために、大学にいられる期間に、例えば何年もかけて外国に留学をするとか、語学の習得、資料の研究、こういうものに膨大な時間のかかる研究者の道をきちんと歩むために、かなりの年月、大学にとどまって頑張っていくという形が多いらしいんですね。そのためにも二十二年という期限の問題はあるんですが、これは後でいいますが、こういったあり方、これも大学としての一つの特徴なんですよ。
 先ほど「大学らしい大学」といいましたけれども、確かにビジネス界にどんどん人材を送り出す実業を中心の大学というのはあるし、恐らく知事もそういった方向を考えておられるんだと思うんですが、目新しさを追うあまり、今まで都立大学がつくってきた貴重な信頼の蓄積というものを投げ捨てて、例えば、都市という名前だけ冠したこの学部名、ツーリズムとか、そういう実学重視の流れにおもねっていくとするならば、本当に社会にも産業界にも貢献する知的なリーダーを育てる土台を失ってしまうのではないかというのが、私の最大の心配です。
 これは卑近な例としては、中国で、先日、日本人留学生が、外国文化への余りの無理解のために、国際間題になったわけですよね。やっぱりこういう問題を起こさないためには、本当の意味で諸外国の異文化と理解し合える力を持った知的なリーダーが日本には本当に足りないというふうに、私はこの事件で痛感したわけです。
 そういう点では、都立大は、まさにその特徴を生かす物すごいすばらしい財産を持っているということを強調したいと思います。

 それでは、現学生、院生の条件保障の問題をちょっと最後にやっておきたいと思います。
 この点では、先ほども質問があって、相当細かい答弁がありましたが、問題は、二十二年で現大学が打ち切りとなれば、当然それにこぼれてしまう学生が出るわけです。
 学生だけじゃなくて、院生の場合はもっと大変で、院生は少なくとも再来年度は新たにスタートできないということがはっきりしているわけですね。仮に十八年度スタートだとしますよ。そうすると、それから二十二年まで六年しかないわけだ。そうすると、院生は修士二年のマスター三年ですから五年で、あと一年しかないわけですよ。留学でもすれば、もうオーバーしちゃうわけですね。
 ですから、私は、先ほどいったように留年とか単位不足ではなくて、まじめに研究しようと思って、都立大で残って研究、勉強しようという学生にとって、院生にとって、これは大変なことだと思うんですね、二十二年で切られるというのは。その後に自分の居場所が残っていない。留学生が帰ってきたら場所がないというようなことも起こりかねないわけですね。
 これは明確に、開校の説明のときに、学生の皆さんに対して荻上前総長が、留年した学生も必ず最後まで面倒を見ますと約束したということははっきり聞いていますので、この約束は守れないということになりますね。その点をはっきりさせてほしい。

○大村参事 答弁の前に一点だけ。十八年度にできます新しい大学院は、新しい大学の方の大学院でございまして、二十二年までというのは、現在ある大学院に在学している皆さんのいる都立大学なり科学技術大学の現在の大学は二十二年までということですので、十八年に大学院に入った方は新しい大学なので、それからずっと存在していますので、そちらの方は。

○曽根委員 十七年が最後の年度でしょう。

○大村参事 十七年は新しい大学です。

○曽根委員 大学院。

○大村参事 大学院は、今の構成と同じですけれども、新しい大学の大学院ですから。ですから、十六年入学者については、今の大学の大学院ですので二十二年までですけれども、十七年入学者については新しい大学の大学院なんですが、構成だけは現在の大学の大学院、大変わかりにくくて申しわけございませんけれども、そんな状況でございます。
 そういうふうなことでございますので、現在いらっしやる方、これを中心に答弁させていただきますと、これについては、先ほど申しましたように、学部でいうと四年、それから修士でいうと二年、あるいは博士でいうと三年が標準の期間でございます。基本的にはそういうふうなものでございますけれども、やむを得ない事情でいろいろ残ったりとか、あるいは休学をしたりというふうなのが出てくるケースが多少あると思います。そういうふうなケースを見ましても、二十二年度までに、まず今の大学として存在する。そうすると、七年間あるということでございます。
 そして、実際、今の統計数字を見ますと、博士課程で七年間を超えていらっしゃる方は十名でございます。これは全員都立大学でございます。それから、中間課程で七年間を超えて在学されている方は十一名というふうなことでございます。
 この中には、先ほど申しましたように、学業不振者などもございますので、これについてはこれからいろいろしりをたたいたり、いろんな補講をする。あるいは、経済困難者で一時休学をするとか、さまざまな事情があるところでございます。これについては、さまざまな事情を個々の指導している先生たちに指導していただいて、なるべくこの二十二年、現在の都立大学、あるいは科学技術大学が存在する期間中に卒業できるようにしたいというふうに考えてございます。
 ただ、それでも残っちゃった場合はどうするかというのは、また個々の事情に応じて、新しい大学院への転入その他の措置をとるというふうなことでございますので、基本的には、今いる在学生について、いろんな形で保障するということについて、約束をしたことについて違うというものではございません。
 なお、国立大学などでは、新しい大学ができますとそこに全部移ってしまうので、卒業証書、これにつきましては新しい大学の名前でしか出ない。図書館情報大学に入学していたはずなのに、いつの間にか筑波大学と統合されると、図書館情報大学の課程の修了の名前のは出ますけれども、名前は筑波大学卒業になってしまう。あるいは、今回、東京商船大学と水産大学が一緒になりましたけれども、商船大学にあこがれて入った方は、商船大学名の卒業証書がもらえないわけでございますけれども、今回、私どもが考えた二十二年までは、都立大学なら都立大学、科学技術大学なら科学技術大学の卒業証書が出るということで、学生さんのいろんなニーズにもこたえているというふうに考えてございます。

○曽根委員 そうすると、やっぱり前学長が学生に直接約束したことは守れないということだよね。そこは、それを聞いているんですけれども、なかなかいろいろ別のことを答弁したんだけれども、それを確認しておきますよ。
 それから、さっきの話はちょっと気になるので、また後で機会を見つけて細かくやりたいんだが、つまり、十七年度の大学院入学生は、行くその研究室とか指導教官は今の体制の教官の研究室に行くんだが、翌年から新しい大学になれば、新しい大学の院生なんだからということで、その変更の中に組み込まれるということになると、一年で自分の居場所が変わるということになることになりますね、新しい大学の院生だとなると。古い大学の院生のままならば、それは古い大学の延長部分に入ってくるんだろうけれども、それはちょっと気になるので、後でちょっと確認させてください。
(大村参事「今、答えても」と呼ぶ)いいですか。じや、お願いします。

○大村参事 最初に、前段の前の総長のお話、荻上総長が何か保障すると説明したのにつきまして、大変申しわけございません、私ども、いろいろ調べたんですけれども、学生の説明会の中で、B類の学生について保障しますよというのは聞いたんですけれども、それはありましたけれども、それ以外についてはございませんでした。
 先ほどのような形で、最後まで保障するというふうなことで、いろいろ面倒を見ようと思っていますので、荻上先生のいい分について、それを否定したということにはならないというふうに考えてございます。
 それから、十七年度と十八年度で新しい大学、両方とも新しい大学なんですけれども、大学院の構成は変わるんですけれども、十七年度に入学した大学院生は、十七年の構成のままで終了まで、その二年間なり、博士三年なりでは、その研究科が構成される形になりますので、暫定的にそれまでありますので、翌年入った人と、ちょっと研究室なりの名前が、同じことをやっていても変わってしまったり、ちょっとずれるというふうなことですが、十七年に入ったときの研究科がそのままそれまで残るということで、ちょっとわかりづらくて申しわけございません。そんな形でございます。

○曽根委員 ちょっと後でその部分は、その当事者になってみれば非常にわけのわからない話になりますので、後でちょっときちんとやりたいと思います。
 それで、年限が切られているという問題だけじゃなくて、実際にその指導教官がいなくなっていくということがあり得るわけですね。特に人文関係ですね。先生はどんどん減っていくだろうといわれているわけで、恐らく現実にそうなるでしょう。半分ぐらいになっちゃうということですね。
 そうすると、指導教官がいなくなるということが、学部生ももちろんですが、院生にとっては決定的な問題になるわけで、そういう点でも、私は、大学院生の勉学環境を保障するというのであれば、指導教官がやっぱりこの改革のために大学を去ってしまうとか、どこかに動かなきゃならないとか、何とかセンターに押し込められるとかいうことがないように、最大限、大学の院生との指導関係では配慮が必要だと思うんですよ。
 このことはどうせいい答弁が来ないから、要望しておきます。
 最後に、院生の人たちは、外国人もいるわけです。韓国とか、私のところにも幾つかの国の学生から、ちょっと日本語としては、てにをはがおかしいなと思う文章ですが、切々たる文書が来ました。
 つまり、指導教官が仮にいなくなり、自分のいるべき大学院の場所が実質なくなった場合、期限前でも自分の研究テーマがなくなれば学生としてやっていけな
くなる。そうすると、やっていけなくなれば自動的に帰国になるわけですね。留学生資格で来ているわけですから。大変な問題だということで、当事者としての危倶の念が示されていました。
 こうした院生の声は最大限尊重してもらいたい。前回まで学生についてはいろいろ話がありましたが、院生について、少なくとも当事者の要望をちゃんと大学本部自体が聞いて、その改革の中にもその要望を尊重するという姿勢は示してもらいたい。いかがでしょうか。

○大村参事 まず、新しい大学につきまして、その大学のコンセプトに賛同できる方については、全員新しい大学に移行していただくとともに、兼務をして、二十二年までに残る現在の大学の教育も引き続き担当していただきます。
 したがって、新しい大学でどの学部、あるいはどのセンターに所属になろうと、現在の大学の大学院なりを担当していれば、その方が、その学生がいる限りその面倒を見るという体制ができておりますので、それについてはやってございます。
 ただ、途中でいろんな事情で、定年退職も含めまして退職される教員があると思いますけれども、こういうふうなことは通常でもあるわけでございまして、それについては、同じ学科やその他の周りの教員なんかも通じまして、どうフォローしていくかというのを先生たちに考えていただくというふうなことで、その学生をきちっと育てていきたいというふうに考えてございます。
 なお、先ほどちょっと一点だけ、平成十七年の新しい大学につくる大学院が現在の構成なんですけれども、この現在の構成でやるのは二十二年まででございます。したがって、二十二年以降になる場合は、新しい十八年以降の構成の方に、今度移っていただく必要がありますので、そこのところについてはちょっとわかりにくいので、後で細かく先生の方には個別にお答えさせていただきますので、失礼いたしました。

○曽根委員 後で細かくやりましょう。本当にわからないな。
 それで結論としては、都立大学、ここまで来るのに、これだけの国際的、国内的評価、ビジネス界も含めた社会的名声を獲得するのに半世紀かかっているわけですね。
 この半世紀、ようやく私は、花開いてきたところだと思うんですよ。特徴がないとかなんとかいうことは、昔、聞いたことがありますが、しかし、今よく見てみれば、非常に評価は高いわけですね。科研費も伸びている。国としての評価も高い。
 これが、いわば知事と知事が選んだ少数の人たちでつくった非常に一方的な、都市にこだわった構想のために、全く新しいものというので一たん壊されて、この知的財産にとってかわるものができるのか。
 それがまた都立大学にふさわしいのか。それから、施設だけではなく、教員や学生、院生といういわば人間の集団が、日々勉学、研究活動をしている、そういう中で、この強引なやり方が通用するのか。それから、最終的には、都民がそんなことを本当に期待をしているのか。一つ一つ考えてみれば、いずれも知事や本部の説明は、私は、説得力が本当に欠けていると思うのです。
 まだ遅くはないので、都立大学総長を初めとして多くの関係者が声を上げているように、やっぱりレールを敷き直して、ルールのある都立大学改革の道、四大学それぞれについても、それぞれ本当に統合がふさわしいのかどうかも含めた論議のやり直しが必要だというふうに、私は強く申し上げておきたいのです。

 科学技術大学、先日、見に行ったんですよ。施設の耐震改修はするんですかね。ただ、体育館とか、さびが出ちゃって大変です、あれ、施設はね、新しいのは交流センターがありますけれどもね。
 それと、科技大は首都圏の中で、工学系の単科大学で、しかも公立の大学というのは、あと高崎工業大学があるぐらいで、都内にあるのは唯一らしいんですね。
 そういう意味でも貴重な存在で、都立大学と本当に統合しなければその存在価値を伸ばせないのかどうか。私、その点もまた疑問になってしまったんですね。
 そういうことも含めて、本当の意味でこの大学改革が都立の四大学それぞれの魅力を高める方向に進むように心から期待をしまして、質疑を終わりたいと思います。

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